W県警の悲劇 (文芸書)

  • 徳間書店 (2019年1月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784198647520

作品紹介・あらすじ

警察官であるより前に、一人の人間として、常に正しくありたいんだよ――「警察官の鑑」と誰からも尊敬されていた熊倉警部。W県警初の女性警視へと登りつめた松永菜穂子は、彼にある極秘任務を与えていた。その最中の、突然死。事故かそれとも……。事故として処理したい菜穂子の胸中を知ってか知らずか、熊倉警部の娘が事件現場についてあることに気づく。『絶叫』『凍てつく太陽』の著者が贈る、ネタバレ厳禁!前代未聞の警察小説。

感想・レビュー・書評

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  • 保守的で男尊女卑的な、W県警。
    そこで働く女性を軸にした、連作短編集。

    かならず一ひねりを加えてある、ミステリ。
    予想外のどんでん返しもあれば、わかってしまうものの。

    文章は軽いタッチだが、描かれている内容は、結構ブラック。
    読後感は苦め。

    その中でめずらしく読後感のよい「ガサ入れの朝」が、よかった。

    『このミステリーがすごい! 2020年版』国内18位。

  • 表紙をよく見ると、髑髏が浮かび上がってくる。それが暗示するがごとく、W県警には、これからずっとずうっと悲劇が続いていくことだろう。正義を自認する者は、悪魔と紙一重であるのだ。いったい何を言ってるんだと思うでしょ。どんでん返しばかりの6つの短編を読めば、それが分かる。6つの短編の主人公はそれぞれ違うが、お互いに関りがいろんな意味である。その中の皆が仰ぎ見る松永菜穂子警視が最後に来るんだろうなあと思っていたら、その通りだった。警視から警視正になって、めでたしめでたしだったけど⋯。ところで、5話「破戒」で、神に対して犯した罪を俗世の法律による罪に肩代わりさせるというのは、どうなのだろう?ちょっと無理があると思うけどなあ。

  • 男尊女卑なW県警。県警初の女性最高幹部になろうとする松永警視の薫陶を胸に抱いて働く女性警察官達を主人公にした6つの短篇集。どの話もそれぞれの部署で奮闘する彼女達の姿と想像とは違う方向に捻ってくる結末が面白い。「洞の奥」でこの流れね、と構えていたら「交換日記」「ガサ入れの朝」で見事にしてやられた。よく読めばすぐ判る仕掛けなのに!どの主人公も少しずつ繋がっているのが最後の松永警視が主人公の「消えた女」で効いている。しかし最後、あれからどうなったのかが気になって仕方がない。

  • いやあ、完全にやられました!6つの短編から構成されていて、最初短編集とは知らず、2章目を読み始めたところでちょっと肩透かしを喰らわされた感じがしましたが、なかなか面白い話ばかりで楽しめました。
    前回読んだ『絶叫』がシリアスなミステリだったので、そういった作風の作家さんと思っていたら、大間違い!今回のは軽いタッチのミステリ揃い。ただ、どんでん返しが見事。そこは絶叫と共通していました。
    どんでん返しが見事と言いましたが、むしろそれがメイン。読書に対してこのトリックを見破れるか!と勝負を挑んできているような6編。
    1話目がこんな感じだったからと、2話目は注意して読んだら全く違ったトリックにやられ、3話目以降も同じようにスッカリ騙されてしまいました。

    ①洞の奥
    誰からも尊敬される堅物で有名な『警察の鑑』の熊倉晢。特命を命じられた熊倉は謎の死を迎える。その死に隠された真相とは・・・。

    ②交換日記
    日下凛子はコンビを組む上原に好意を抱く。2人が受け持つ事件は、少女が惨殺された事件。その真相に近づいた時、世界は一変する。

    ③ガサ入れの朝
    千春は嗅覚に自信を持っていた。その慢心からか、ガサ入れの際、想いを寄せる先輩刑事に怪我をさせてしまう。今回の任務でなんとか汚名返上したいところだが。

    ④私の戦い
    嫌なことを嫌と言えない千紗は、強くなりたいと思い柔道を始め、さらには警察官になった。しかし、警察官になった今も上司のセクハラの被害に遭っている。千紗の署に痴漢の被疑者が取り調べを受けることになる。果たして千紗の戦いとは。

    ⑤破戒
    滝沢純江は、結婚を機に一度警察を辞めた。神父が父親を殺すという事件が起こる。その神父に純江は過去救われた経験があった。決して人を殺すような人物ではなかった。しかし、自分が殺したと言い張っている。しかし、神父が殺したとされる時間と、監察が調べた死亡時間が合わない。神父は誰を庇っているのか。容疑者は2人。しかし、容疑者たちのアリバイも立証され・・・。

    ⑥消えた少女
    松永菜穂子はW県警始まって以来の女性警視正となった。菜穂子は所轄の事件の応援に呼ばれる。少女が遠足の帰りに行方不明になった事件だ。菜穂子は、母親が虐待をしていたことを見抜いた。しかし、見抜いたことが仇となり・・・。

    いやぁ、お見事!でも、長編を楽しみたかったかな。今度は思いっきりなミステリをお願いします!

  • W県警を舞台に、県警初の女性警視松永菜穂子を中心とした警官(主に女性警官)が県内で起こる事件解決してゆく。六編。
    男社会が強く残る組織で強く生き、活躍する女性の姿や、どんでん返しの内容で面白く(最後まで物語はつながっているしね)。ブラックだし、色濃く描けていましたね、メリハリありで楽しめた。私の中では「ガサ入れの朝」が印象に残る。

  • 最後までどんでん返しの連続でした。

  • 男尊女卑が色濃く残るW県警で活躍する女性警官を主人公にした連作短編集。
    「政治的に正しい警察小説」の流れを組む作品。
    ただのきれいごとばかりを並べた警察小説とは違い、それぞれの短編の主人公の女性警官の心の闇が、何とも言えない。
    社会派と言われる作者のダークな部分が見える一冊。
    それぞれに、ゾクッとするラストが待っており、これもちゃんとした「イヤミス」と言う分野になるのだろうか…

  • 面白かった!
    短編集だけど、話は繋がっている。
    驚くところも多くて、さくっと読める気軽さもよかった。

  • 女性 W県警の女性視点の短編集。

    思わず、可愛いってなってしまう話から、怖っ!!と思う話まで色々。

    ここに登録する時に、表紙がドクロになってるぞ!!と気がつく。

  • こんな警察は嫌だ。W県警は田舎にあり、警察署の中でも特に男尊女卑が激しい。そんな中奮闘?する女性警察官たちの連作短編集。まずは1話、2話からドン引きのイヤミスで幕を開け、ふげーと思ったところ3話目の『ガサ入れの朝』は一転して、一番のお気に入りの話。全体的な強引さやミスリードには目をつむって面白かったものの、そこここに著者の他作品の切り貼りのようなエピソードが散見されたのが気になる。そして装丁と題名が好みではなかったのだが、読むとなるほど、と思う装丁なのだね。そしてラスト...悲劇としか言いようがないわな。

  •  W県警を舞台に繰り広げられる連作短編の推理小説。

     6編の短編は,それぞれ独立して読めます。でも,全体として,W県警絡みの繋がりがあるといってもいいです。

     どの短編も主人公が女性。昔ながらの男尊女卑的な風土が残るW県警で起こった事件。
     女性警官を主人公に綴られる物語は,読んでいて少し辛かったり,男女平等なんて絵に描いた餅ですよねぇと皮肉を言ってみたくなったり。

     面白くて,ぐいぐい読み進められたのですが,小説で描かれた女性警官を取り巻く現状に,心の中がもやもやとしたのです。
     W県警のWも,womanのWを引っ掛けているんでしょうね。

  • ほろ苦い短編集。読みやすいけど、あまり共感できない登場人物が多かった。『交換日記』『破戒』『ガサ入れの朝』はどんでん返しが心地よかった。

  • ( 図書館本)お勧め度:☆6個(満点10個)。警察という男社会において、女性の地位を向上させ、W県警を改革しようとする女性警察官「松永菜穂子」。監察官として女性警官とも接しそれぞれの女性の闇を切り開き事件を解決するという連続短編小説。最初の章と最後の章での繋がり、どんでん返しが印象的である。他の章も独立していて面白い。特に「ガサ入れの朝」は種を明かせば、ちょつとびっくり。読みながら、最後はどういう結末なのか期待していたけど、まさか、そんな終わり方があったのかと驚かされる結末だった。ぜひご一読を・・・。

  • 葉真中さんらしくない連絡短編集。いつもなら重くて厚い社会派な長編。まぁタイトルと装丁から違う雰囲気が出てたけど。そしてそのらしくな作品が面白かった。好きなやつだった。

    最初「洞の奥」の結末にグッとくる。警察官の鑑と呼ばれた清の父親。その実情は人に言えない。W県警初の女性警視となった松永菜穂子の判断。そして清の選択たるや。そして「交換日記」では、まさかのトリック。ゆうじの存在が悔しくて仕方がない。千春さんの「ガサ入れの朝」は注意深く読んでると気付けるが、騙されるのも楽しくていい。「私の戦い」の千紗の決断もいい。セクハラって気付かずにやってる人いるしね。YouTuberを利用するとは。「破戒」の神父の気持ち、逆に最初の洞の奥に通じている。「消えた少女」で全てがうまく落ちた。

    テンポもいいいし良作だった。

  • 連作短編集。
    片田舎W県警。いまだに男尊女卑が激しい県警。トップでキャリアを差し置いて、運営を決めるのは中華料理店での円卓会議。女性警視はそこに食い込もうとしている。
    ・刑事の父親が汚職警官だった。
    ・女児殺害。捜査する若手女性刑事は先輩のおじさんが気になる。
    ・ガサ入れの朝…途中まで気づかなかった!警察犬の話。
    ・私の戦い…痴漢とセクハラに立ち向かう。ユーチューバーを利用して。
    ・破壊…地元の教会での事件。まっすぐだ。
    ・消えた少女…初めのエピソードが関わるよ。娘の警官は正義感で犯罪を重ねているな。

    ドラマを見ていたが、使われていないエピソードもあったのかな。見忘れていたのかな。どの短編も工夫されていて、ちょっとだまされたところが面白い。文章のタッチが丁度よくて、後味悪そうな結末でも読後感は悪くない。

  • たぶん初読み作家さん。ブラックなどんでん返しが続くのが面白かった。警官だって人間だものという感じ。

  • バラバラのようで少しずつ繋がってる短編集。それぞれオチがついて面白かったが、最後の話が秀逸。もやもやしてた序盤の伏線もしっかり回収するという見事なストーリー展開。他作も読んでみたくなった。

  • ドラマ化されるということで購入。
    全6話の短編ですが、一つ一つの話に意外な真実・どんでん返しがあり、最後まで楽しめました。主人公はそれぞれ違いますが、共通しているのは、ある女警視になにかと関わりがあることです。第1話からエッジが効いていて、今度はどんな真相があるんだろうとついつい引きこまれました。
    一話につき約50ページな分、サクッと読めます。ですので、一人一人の登場人物のキャラクター性は薄いように感じました。ただ、ある特定の人に関しては、読んだ後の余韻は濃い部分もありました。
    葉真中さんの作品では「blue」を読んだこともあり、社会性の闇に迫る作品かなと思いました。この作品では、男尊女卑やセクハラなど女の視点から見た問題点を絡めながら、推理小説に仕上がっていて、面白かったです。
    bsのテレビ東京でドラマ化されるということで、どう映像化されるのか楽しみです。特に「ガサ入れの朝」がどう映るのか気になります。
    スカッと読み終えるのかなと思いましたが、最後はイヤミスという終わり方でしたので、モヤっと感がわき、星4つにしました。

  • このタイトル見て「Wの悲劇」を想像する世代w

    葉真中さん。『絶叫』を読んで以来です。
    6編の連作短編集。
    最後に、どんでん返しのあるブラックミステリーです。

    ウフフ。と笑えるものから、ええ!?マジで!?
    そりゃないよ。というものまで。

    なかなかのブラックで楽しめました❗(*≧∀≦)

  • 6月-20。3.0点。
    W県警の連作短編。各話、それぞれにひねりやどんでん返しがあり、一気読み。

    軽い感じかな。余り印象に残らないかも。

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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