月とコーヒー (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
3.79
  • (14)
  • (33)
  • (18)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 523
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198647728

作品紹介・あらすじ

これは、忘れられたものと、世の中の隅の方にいる人たちのお話。
喫茶店〈ゴーゴリ〉の甘くないケーキ。世界の果てのコインランドリーに通うトカゲ男。映写技師にサンドイッチを届ける夜の配達人。トランプから抜け出してきたジョーカー。赤い林檎に囲まれて青いインクをつくる青年。三人の年老いた泥棒。空から落ちてきた天使。終わりの風景が見える眼鏡──。
人気作家が腕によりをかけて紡いだ、とっておきの24篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 冴え冴えとした月を眺めながら、温かくて香ばしいコーヒーが飲みたくなる、24のショートストーリー。
    コーヒーのお供に出される様々な食べ物…甘くないケーキやきりっとしたサンドイッチ、ドーナツ、マスタードを塗っただけのパン等々。
    コーヒーって何にでも合う飲み物なのだな、と改めて思う。
    特に「大胆にして繊細」な『ジョーカーのサンドイッチ』は今すぐにでも食べてみたい。

    老人たちの暮らすシニアハウスでの一夜を描いた『アーノルドのいない夜』、アパートのお隣さんの夕食が気になる『隣のごちそう』、バナナに対するアツい思いを猿くん達が語り合う『バナナ会議』、恥ずかしがり屋のオルゴール修理職人の『鳴らないオルゴール』、遠く離れた星からやって来た女性に地球を案内する『美しい星に還る人』、ちょっとお茶目な泥棒三人組『三人の年老いた泥棒』が良かった。
    因みに私はちょっと熟れた位のバナナが好きです。

    ちょうど今時分の秋から冬にかけて、キンと澄みきった冷たい夜空に浮かぶ月を眺めながら、眠る前の一時に読むのにぴったりのショート集だった。
    秋の夜長にぜひ。

  • とにかく心地良さが流れる作品だった。

    なんと言っても眠る前に鍵のついた日記を開くような感覚を思わせるこのコンパクトなサイズが可愛らしい。

    そして開くと、まるで待っていてくれたかのように出迎えてくれる数々のショートストーリー。
    どの物語も最後の一文がなんとも言えない心地良さだ。
    まるで眠りの入り口で夢の世界へのチケットを切ってくれるような心地良さ。そのままストンと眠りにつける心地良さ。
    これは毎晩読みたくなる、大人のための、自分で読む大人の読み聞かせ本かな。
    手元に枕元に置きたくなる。

    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      吉田作品、1作読んで心地よくて次も読もうと思いつつ…
      この本はショートショートなんだ。
      それならば、気楽...
      こんばんは(^-^)/

      吉田作品、1作読んで心地よくて次も読もうと思いつつ…
      この本はショートショートなんだ。
      それならば、気楽に読めそうね♪
      いつも紹介ありがとう(⁎˃ᴗ˂⁎)
      2019/06/10
    • くるたんさん
      けいたん♪
      こちらこそいつもありがとう♡

      私も吉田作品はまだ2冊だけ。これはショートだからほんと寝る前に読むのにぴったり♪

      ミステリだと...
      けいたん♪
      こちらこそいつもありがとう♡

      私も吉田作品はまだ2冊だけ。これはショートだからほんと寝る前に読むのにぴったり♪

      ミステリだと興奮しちゃったりするよね(笑)。これは大人の童話の世界だからスッと眠りに誘われた気がするよ♪

      装丁も素敵だからたまに読みたくなる吉田作品◟( ˃̶͈◡ ˂̶͈ )◞
      2019/06/10
  • この本は大人のための「絵の無い絵本」だ。

    なかには24編の珠玉の短編が光り輝いていて、心の乾いた読者をやさしく迎えてくれる。

    どの短編もまるで詩のような、すっきりとした文体ながら、一文字一文字を読みすすめるごとにあふれるばかりの情景が目の前に広がっていく。

    1編ごとにかならず食べ物や飲み物が登場し、その描写が読者の胃袋を心地よく刺激する。

    物語に登場するどのキャラクターもすぐに顔が思い浮かぶ。

    この登場人物はあの人。そして、このキャラクターはあんな感じだ。

    一つ一つの物語はあっという間に終わってしまうが、終わってから読者の心にはその続きが泉のように湧き出てくる。

    まるで遠い昔、子供の頃にベッドの中で絵本を読んでもらった後、その続きをあれこれ想像しながら眠りについたあの時のように。

    そして気づいたときにはもう眠っている・・・幸せな夢を見ながら・・・。


    ちなみに、個人的に24編のなかでは、映写技師にサンドイッチを配達するという話の『映写技師の夕食』と地球に訪れた異星人の女の子に地球を案内するという話の『美しい星に還る人』がすきだなあ。

    • くるたんさん
      kazzu008さん♪

      こんにちは(*´∇`*)
      素晴らしいレビューです!!
      そうそう、読み終えても続きが湧き出てきてそれが眠りに誘ってく...
      kazzu008さん♪

      こんにちは(*´∇`*)
      素晴らしいレビューです!!
      そうそう、読み終えても続きが湧き出てきてそれが眠りに誘ってくれるんですよね♪
      なかなか寝付けない私には素晴らしい眠り薬本でした(⁎˃ᴗ˂⁎)
      そしてお気に入りの一編を見つけるのも楽しかったですね♪
      2019/07/01
    • kazzu008さん
      くるたんさん、こんにちは。
      うれしいコメントありがとうございます!

      くるたんさんがこの本をレビューしていて、本当に素敵だったので、ぜ...
      くるたんさん、こんにちは。
      うれしいコメントありがとうございます!

      くるたんさんがこの本をレビューしていて、本当に素敵だったので、ぜひ読みたいと思っていた本でした。

      ほんと、良かったです。
      あっという間に一つの話は終わってしまいますが、その続きが気になって仕方ないんですよね。
      確かにあれこれ想像すると眠くなるっていうところも良かったです(笑)。
      この本は、定期的に読み返したい本になりました!
      ありがとうございました!
      2019/07/01
  • 読友さんのレビューを読んで
    手にとってみた。

    短いお話が24
    ちょっと不思議な静かなお話たちで心地よかった。

    コーヒー大好きだしブログも「moon」だし、
    勝手に親近感感じてます。

    装丁も文庫サイズのハードカバーも素敵。

    いつもお金かかってるなぁと思うのだなぁ
    吉田氏の本。

    お洒落さんだ。

  • 「寝る前に読む物語」として書かれた、食事をテーマにした短編集。
    一部、連作になっている物語もあるものの、ほとんどは繋がりがない。
    日本を舞台にしたような名前が多いが、日本でないような気もする。
    作者のあとがきで生きていく上で必要なのは「太陽とパン」だが、「月とコーヒー」も大事なものであるという記述があり、それはそのまま小説そのものだな、と思った。
    誰かにとっての月とコーヒーが、この小説なのだろう。
    様々な職業の様々な人の生き方が、優しく細やかに、本当にいるように描かれている、吉田篤弘氏の小説を読むと、働きたくなるし、生きていたくなる。この世で生きることの勇気を貰える本だ。

  • ちょっと小さめの判型で、適度に厚みがあるちょうどいいサイズの本の中に、寝る前とかコーヒーを飲みながら読みたくなる短めのおはなしが24篇。
    甘くないケーキ、映写技師の夕食、バナナ会議、美しい星に還る人…
    目次だけで本に誘われる。

  • 大好きな篤弘先生の、掌編集。
    一つ一つが長編にも連作集にもまた、映画原作にもなり得るほどの上質さを持ちながらのあえて、掌にのせてしまう、潔さというか、勿体ないを知らないというか。
    夜、眠りにつく前の自分へのご褒美として少しずつ読みました。あとがきにあったように。
    でも、余計気になって眠れなくなったものも。
    いつか、それぞれをちゃんと読み返すときがありますように。

  • すっと話が終わる短編集。短い話が沢山詰まっていて、どれも静かな内容なので、色々な絵本が纏まっているような印象。
    後書きに書かれているように、一日一話ずつ読んで、余韻を楽しむのが良さそう。

  • 掌編24作。
    短いけれど濃密な世界。
    2話目の途中で必ず睡魔に襲われる。

  • シンプルな、食がテーマの短編集だなぁと読みながら思っていたら、あとがきにもそのように記されていました。
    シンプルだけど、食にこだわりがあるような、大切に作られている感じがして食べたくなったり。
    読み始めは引き込まれるような事もなく、淡々とした感じだったけれど、コーヒーや、青いインク、月など、好きなものが出てきて、きっと繋がる何かがあるんだろうなぁ。

全35件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

吉田篤弘

1962年東京生まれ。小説を執筆するかたわら、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作と装幀の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂の夜』『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『金曜日の本』『京都で考えた』『あること、ないこと』など著書多数。

「2019年 『天使も怪物も眠る夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉田篤弘の作品

月とコーヒー (文芸書)を本棚に登録しているひと

ツイートする