月とコーヒー (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
3.69
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本棚登録 : 590
レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198647728

作品紹介・あらすじ

これは、忘れられたものと、世の中の隅の方にいる人たちのお話。
喫茶店〈ゴーゴリ〉の甘くないケーキ。世界の果てのコインランドリーに通うトカゲ男。映写技師にサンドイッチを届ける夜の配達人。トランプから抜け出してきたジョーカー。赤い林檎に囲まれて青いインクをつくる青年。三人の年老いた泥棒。空から落ちてきた天使。終わりの風景が見える眼鏡──。
人気作家が腕によりをかけて紡いだ、とっておきの24篇。

感想・レビュー・書評

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  • 冴え冴えとした月を眺めながら、温かくて香ばしいコーヒーが飲みたくなる、24のショートストーリー。
    コーヒーのお供に出される様々な食べ物…甘くないケーキやきりっとしたサンドイッチ、ドーナツ、マスタードを塗っただけのパン等々。
    コーヒーって何にでも合う飲み物なのだな、と改めて思う。
    特に「大胆にして繊細」な『ジョーカーのサンドイッチ』は今すぐにでも食べてみたい。

    老人たちの暮らすシニアハウスでの一夜を描いた『アーノルドのいない夜』、アパートのお隣さんの夕食が気になる『隣のごちそう』、バナナに対するアツい思いを猿くん達が語り合う『バナナ会議』、恥ずかしがり屋のオルゴール修理職人の『鳴らないオルゴール』、遠く離れた星からやって来た女性に地球を案内する『美しい星に還る人』、ちょっとお茶目な泥棒三人組『三人の年老いた泥棒』が良かった。
    因みに私はちょっと熟れた位のバナナが好きです。

    ちょうど今時分の秋から冬にかけて、キンと澄みきった冷たい夜空に浮かぶ月を眺めながら、眠る前の一時に読むのにぴったりのショート集だった。
    秋の夜長にぜひ。

  • とにかく心地良さが流れる作品だった。

    なんと言っても眠る前に鍵のついた日記を開くような感覚を思わせるこのコンパクトなサイズが可愛らしい。

    そして開くと、まるで待っていてくれたかのように出迎えてくれる数々のショートストーリー。
    どの物語も最後の一文がなんとも言えない心地良さだ。
    まるで眠りの入り口で夢の世界へのチケットを切ってくれるような心地良さ。そのままストンと眠りにつける心地良さ。
    これは毎晩読みたくなる、大人のための、自分で読む大人の読み聞かせ本かな。
    手元に枕元に置きたくなる。

    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      吉田作品、1作読んで心地よくて次も読もうと思いつつ…
      この本はショートショートなんだ。
      それならば、気楽...
      こんばんは(^-^)/

      吉田作品、1作読んで心地よくて次も読もうと思いつつ…
      この本はショートショートなんだ。
      それならば、気楽に読めそうね♪
      いつも紹介ありがとう(⁎˃ᴗ˂⁎)
      2019/06/10
    • くるたんさん
      けいたん♪
      こちらこそいつもありがとう♡

      私も吉田作品はまだ2冊だけ。これはショートだからほんと寝る前に読むのにぴったり♪

      ミステリだと...
      けいたん♪
      こちらこそいつもありがとう♡

      私も吉田作品はまだ2冊だけ。これはショートだからほんと寝る前に読むのにぴったり♪

      ミステリだと興奮しちゃったりするよね(笑)。これは大人の童話の世界だからスッと眠りに誘われた気がするよ♪

      装丁も素敵だからたまに読みたくなる吉田作品◟( ˃̶͈◡ ˂̶͈ )◞
      2019/06/10
  • この本は大人のための「絵の無い絵本」だ。

    なかには24編の珠玉の短編が光り輝いていて、心の乾いた読者をやさしく迎えてくれる。

    どの短編もまるで詩のような、すっきりとした文体ながら、一文字一文字を読みすすめるごとにあふれるばかりの情景が目の前に広がっていく。

    1編ごとにかならず食べ物や飲み物が登場し、その描写が読者の胃袋を心地よく刺激する。

    物語に登場するどのキャラクターもすぐに顔が思い浮かぶ。

    この登場人物はあの人。そして、このキャラクターはあんな感じだ。

    一つ一つの物語はあっという間に終わってしまうが、終わってから読者の心にはその続きが泉のように湧き出てくる。

    まるで遠い昔、子供の頃にベッドの中で絵本を読んでもらった後、その続きをあれこれ想像しながら眠りについたあの時のように。

    そして気づいたときにはもう眠っている・・・幸せな夢を見ながら・・・。


    ちなみに、個人的に24編のなかでは、映写技師にサンドイッチを配達するという話の『映写技師の夕食』と地球に訪れた異星人の女の子に地球を案内するという話の『美しい星に還る人』がすきだなあ。

    • くるたんさん
      kazzu008さん♪

      こんにちは(*´∇`*)
      素晴らしいレビューです!!
      そうそう、読み終えても続きが湧き出てきてそれが眠りに誘ってく...
      kazzu008さん♪

      こんにちは(*´∇`*)
      素晴らしいレビューです!!
      そうそう、読み終えても続きが湧き出てきてそれが眠りに誘ってくれるんですよね♪
      なかなか寝付けない私には素晴らしい眠り薬本でした(⁎˃ᴗ˂⁎)
      そしてお気に入りの一編を見つけるのも楽しかったですね♪
      2019/07/01
    • kazzu008さん
      くるたんさん、こんにちは。
      うれしいコメントありがとうございます!

      くるたんさんがこの本をレビューしていて、本当に素敵だったので、ぜ...
      くるたんさん、こんにちは。
      うれしいコメントありがとうございます!

      くるたんさんがこの本をレビューしていて、本当に素敵だったので、ぜひ読みたいと思っていた本でした。

      ほんと、良かったです。
      あっという間に一つの話は終わってしまいますが、その続きが気になって仕方ないんですよね。
      確かにあれこれ想像すると眠くなるっていうところも良かったです(笑)。
      この本は、定期的に読み返したい本になりました!
      ありがとうございました!
      2019/07/01
  • 「食」がからんだ24編の
    ショートストーリー集。

    表紙絵、本のタイトルにひかれて
    読み始めました。

    あとがきによると著者は
    「寝しなに読むための短い間お話を
    書いた」そう。
    先が気になり、
    のめりこんで眠れなくなるお話ではなく、
    ここで終わり?この先は?と
    自分で考えているうちに眠ってしまう…
    という所をねらったそうです。

    確かに、1つ1つのお話は
    とてもあっさりしていて
    ふんわりとしています。

    現代に起こったお話、というよりは
    地球と似た別の星で起こったことを
    おとぎ話のようです。

    ですが、
    ひとつひとつを読み終えても
    キツネにつままれたような後味で、
    お話の余韻を楽しむことが
    わたしにはどうしても、できませんでした。

  • 「寝る前に読む物語」として書かれた、食事をテーマにした短編集。
    一部、連作になっている物語もあるものの、ほとんどは繋がりがない。
    日本を舞台にしたような名前が多いが、日本でないような気もする。
    作者のあとがきで生きていく上で必要なのは「太陽とパン」だが、「月とコーヒー」も大事なものであるという記述があり、それはそのまま小説そのものだな、と思った。
    誰かにとっての月とコーヒーが、この小説なのだろう。
    様々な職業の様々な人の生き方が、優しく細やかに、本当にいるように描かれている、吉田篤弘氏の小説を読むと、働きたくなるし、生きていたくなる。この世で生きることの勇気を貰える本だ。

  • 読友さんのレビューを読んで
    手にとってみた。

    短いお話が24
    ちょっと不思議な静かなお話たちで心地よかった。

    コーヒー大好きだしブログも「moon」だし、
    勝手に親近感感じてます。

    装丁も文庫サイズのハードカバーも素敵。

    いつもお金かかってるなぁと思うのだなぁ
    吉田氏の本。

    お洒落さんだ。

  • ちょっと小さめの判型で、適度に厚みがあるちょうどいいサイズの本の中に、寝る前とかコーヒーを飲みながら読みたくなる短めのおはなしが24篇。
    甘くないケーキ、映写技師の夕食、バナナ会議、美しい星に還る人…
    目次だけで本に誘われる。

  • 大好きな篤弘先生の、掌編集。
    一つ一つが長編にも連作集にもまた、映画原作にもなり得るほどの上質さを持ちながらのあえて、掌にのせてしまう、潔さというか、勿体ないを知らないというか。
    夜、眠りにつく前の自分へのご褒美として少しずつ読みました。あとがきにあったように。
    でも、余計気になって眠れなくなったものも。
    いつか、それぞれをちゃんと読み返すときがありますように。

  • 午後のスイッチを入れたい時、冬の夜の入り口に温まりたい時…コーヒーのある時間や空間がたまらなく愛おしく思う瞬間があります。
    どこかの、誰かの、コーヒーを巡る出来ごとを通して、小さな愛おしさを分けてもらった様な、まるーい気持ちになれる本です。
    手に取りやすい程よい厚みと、両手で包んでそっと開くサイズが良くて、意味もなく触っていたくなります。

    ーーー 一日の終わりの寝しなに読んでいただく短いお話を書きました。先が気になって眠れなくなってしまうお話ではなく、あれ、もうおしまい?この先、この人たちはどうなるのだろうーと思いをめぐらせているうちに、いつのまにか眠っているというのが理想です。

  • あれ、ここで終わり?この後知りたい…と思うお話が多くて、そして後書き読んで「なるほど」と。吉田さんの手のひらに居た感じです。読みやすい方の吉田さん。それでも、幾つかは「?」なものはありましたが、読み急ぐことを許さない、一つ一つ丁寧に読まなければ気が済まない、そんな不思議な作品でした。一つ一つの言葉、選ばれる一つ一つの物が、本当にいちいちお洒落で、この作品を読んでいる間気分が良かったです♪

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著者プロフィール

吉田篤弘

1962年東京生まれ。小説を執筆するかたわら、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作と装幀の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂の夜』『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『金曜日の本』『京都で考えた』『あること、ないこと』など著書多数。

「2019年 『天使も怪物も眠る夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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