天皇という「世界の奇跡」を持つ日本

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198647742

作品紹介・あらすじ

日本の天皇とは、海外から見ても比類なき存在である! 日本文化や歴史に精通すると同時に、法律家・宗教家でもある著者が、日本だけが万世一系を続けられた理由から、西欧王室やローマ教皇との比較、中国・韓国で皇帝・王族制度が滅んだ訳、近年の女系・女性天皇論争まで分析。さらに占領期の天皇廃絶と新憲法をめぐる攻防やGHQによる皇室弱体化の裏側を紹介。外国の目から「天皇と日本人」の間の紐帯とその意義を読み解く。現代版『菊と刀』!

感想・レビュー・書評

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  • 読んでみると、まあ極めて当り前のことかなと思える。以前の職場の同僚に共産党員がいたけれど、彼にこの本の内容を話したら、いろいろと反論するんだろうなとつい考えてしまった。でも、共産党もずいぶんと変わってきたとは思う。
    日本の伝統文化には天皇や皇室由来のものが多いとケント・ギルバート氏は言うが、日本の歴史自体天皇なしでは語れないのは自明のことではないだろうか。ケント・ギルバート氏は、自明とは言わず「天皇という世界の奇跡」と言って、天皇について愛情をこめて語っている。博学の人には当たり前のことが多いのだろうが、私にとって心に留めておきたいことが多々あったので、天皇のこと、日本の歴史のことで、幾つか記録しておく。
    ①天皇家は父系として2700年、少なくとも1500年続いている。世界に類を見ない。
    ②国際連盟を発足させるために開かれたパリ講和会議で日本は「人種差別撤廃」を打ち出した。これは欧米にとっては、白人国家の植民地支配の否定を意味する。ここから米英の日本へのパッシングが始まった。
    ③ポツダム宣言で無条件なのは軍部に関することだけであった。しかし、トルーマン大統領は、条件付きの天皇制存続の案を握り潰し、故意に皇室の存続を曖昧にして、日本に受諾出来ないようにさせ、原爆投下前に日本に降伏させないようにした。
    ④マッカーサーは、天皇排除を主張する極東委員会を、アメリカの単独統治に反対し、天皇処刑によって日本を混乱に陥れ、ドイツのように分割統治しようと考える英ソを代弁する組織と考えていた。また、ゲリラ戦を防ぐためにも天皇を利用したいとも考えていた。
    ⑤帝国憲法改正において、マッカーサーは日本の松本試案を否定し、天皇を日本の象徴とするGHQ草案を短期で作らせて発表し、極東委員会を出し抜き、結果的に天皇と皇室制度を救うことになった。
    ⑥1946年元旦に出された天皇の新年の詔書は、後半の五箇条の御誓文を掲げた部分に本当の趣意がある。天皇自ら「自分は現人神である」と言ったことはない。
    ⑦1946年の公職追放は、後の空白地帯に共産勢力が流れ込むことを助けてしまった。
    ⑧日本人に拭い難い贖罪意識を植え付ける洗脳政策WGIP(War Guit Infomation Program)について、日本のマスコミは広く日本人に伝えようとしなかった。
    ⑨近代法体系は、柔軟に改変していく「英米法」と、条文の有無や文言に拘泥する条文至上主義の「大陸法」に分けられる。日本は英米法に近い考えを持っていながら、近代文明国家になったことを欧米に示すために明文化された大陸法を大日本帝国憲法に採用した。本音と建て前を使い分けることのできる明治の元勲が次々に消えていくと、うまくコントロールできなくなり、条文至上主義になっていった。とくに、1930年のロンドン海軍軍縮会議で浜口雄幸内閣が軍縮条約に調印すると、反対派は憲法第11条の「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」を理由として、天皇の承諾なしに兵力量を動かしたのは憲法違反だとして糾弾した。いわゆる「統帥権干犯問題」である。これ以来、軍部は統帥権干犯を理由として内閣の干渉を退け、やがて暴走していくようになる。
    ⑩内閣の影響力を排除したい軍部と野党立憲政友会が結びつき、天皇機関説は排撃され、立憲主義の統治理念は否定され、軍部は天皇を神格化していき、天皇の威光を背に内閣の口出しを封じ込めた。天皇自身は戦線の拡大は望んでおらず、一貫して戦争には否定的であった。
    ⑪左翼は階級闘争の扇動のために、「天皇は差別の元凶である」と喧伝した。これは自分たちが天皇にとって代わり、社会を支配するための単なる方便である。
    ⑫君が代の原歌の「君」は、還暦や古希を迎えた父母や友人たちを指している。
    ⑬中国は、世界的に有名な天皇と会見したり訪中を求めたりすることによって、政治利用しようとする。
    ⑭ハプスブルク家は、婚姻外交で支配地を拡大した。女系で乗っ取ったわけである。日本の男系を堅持するという伝統が外敵を排除し皇室を守ってきた。
    まだまだ歴史については学んでいきたい。

    • nejidonさん
      goya626さん、コメント欄でははじめまして。
      興味をそそられる本ですね。
      全然博学でもなんでもないですが、①から⑭まで全部知っており...
      goya626さん、コメント欄でははじめまして。
      興味をそそられる本ですね。
      全然博学でもなんでもないですが、①から⑭まで全部知っておりました。
      つくづく残念なのは、⑧のWGIPについて知らない日本人が多すぎることです。
      日本を「解体」した後は、南洋の島々に「移民」させて現地人と「交配」させ、
      やる気のない民族にしようという案もあったそうですよ。
      2019/10/10
  • 当たり前のことを書いているに過ぎないのだが、アメリカ人がここまで掘り下げていることに敬意を感じる。

    洗脳教育にずっぽりとはまってしまって分からないのだろうが、日本人はこの洗脳から抜け出す努力をしなければならない。
    特に洗脳施策について詳しく書かれていて、戦後、どのようにして共産党員が政治・メディア・教育などの場に入り込んでいったのか、いかに戦後の教育がおかしいのか、よくわかる。
    日本文化・風習・慣習は、全て皇室の存在によって発展してきた。皇室について、日本人は考えなさすぎる。

  • 知日派という方だけあって、外国人からの視点と歴史解説で面白い。

  • モルモン教宣教師として来日後、日本人の勤勉で真面目な性格に惚れ込んで、国際弁護士としての活動とタレント業を並行し、日本の文化や歴史にまで興味をもったケント・ギルバード氏の著書。

    神武天皇の開国以来、126代1500年以上(少なくとも)万世一系の系統で続く天皇家は、世界に貴族や王室をもつ国はあるとはいえ、これまで途絶えることもなく、過去には皇族内で暗殺騒動はあったとはいえ、多民族や国民からの乗っ取りもなく、古い歴史を続けてきた日本の天皇家は世界に誇れるものだ。

    天皇家の最大のピンチは、第二次世界大戦後GHQの統治時代、天皇にこそ戦争責任があるとするアメリカをはじめとする連合国は、戦犯として処刑しようとする。しかし、GHQの最高司令官だったダグラス・マッカーサーは、当時、連合国からは理解できなかった天皇と日本人のつながり方を理解し、天皇を生かし、その後の日本統治に利用することとする。

    当時、日本人の中での天皇の在り方、天皇の戦争との関わり方は、連合国には理解しがたく、ヒトラー等の凶悪な先導者や、国民を操るカルと宗教日本神道の教祖とみなし、天皇を崇拝することによって日本人は一致団結し、自らの死をも省みない強さをもっていると誤解される。
    マッカーサーは、実際の天皇の在り方は、そのどちらとも違うことを理解し、天皇の存続を決定する。

    軍事思想の根元とされた日本神道も、キリスト教やイスラム教、仏教等の他の宗教とは違い、法典もなければ、開祖もいない。
    神社は八百万もあり、狐や犬等の動物が神様だったり、岩や滝を祀ってあったりと、人の力の及ばないものを崇める風習があった。
    明治からの80年くらいは、国家神道として天皇崇拝を助長するような使われ方をしたこともあったが、江戸時代の天皇は仏教に帰依していたり、奈良の大仏を建立したのも聖武天皇だったりと、他の宗教とは明らかに違う。
    日本人は日本神道を宗教とは認識してとらず、民間に伝わる慣習、風習、精神と理解しているため、神道を禁じた政策後も風習として日本人の生活に馴染んでいる。

    日本人の中には、天皇家の廃絶や弱体を望む勢力もあるが、本当に日本人と天皇家の歴史について知っているのか、勉強しようとする意思はあるのか、それとも他国の同じような勢力の一派なのかよくわからないが、日本と共に長い歴史を歩んでこられ、日本人の心の拠り所として存在し続けている天皇家をこれからも日本の誇りとしていきたい。

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著者プロフィール

米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年米国アイダホ州に生まれ、ユタ州で育つ。1971年米ブリガムヤング大学在学中に19歳で初来日。経営学修士号(MBA)、法務博士号(JD)を取得後、国際法律事務所に就職し、起業への法律コンサルタントとして再来日。弁護士業と並行して『世界まるごとHOWマッチ』(MBSテレビ系)などテレビに出演。2015年公益財団法人アパ日本再興財団による『第8回「真の近現代史観」懸賞論文』の最優秀藤誠志賞を受賞。近年は企業経営や全国での講演活動を行いつつ、『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ系)、『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)などで論陣を張る。

「2020年 『プロパガンダの見破り方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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