法の雨

  • 徳間書店 (2020年4月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784198650759

作品紹介・あらすじ

無罪乱発
判事が下した判決が
裁判官、検察官、弁護士、被害者、加害者
それぞれの正義を狂わせていく…

厳格な法の運用ゆえに「無罪病判事」と呼ばれた嘉瀬清一は、結審直後に法廷で倒れてしまう。
宣告されていたために有効とされた判決は、逆転無罪。
無罪判決は死も同然である検察界。
担当検事の大神護は打ちひしがれる。
有罪率99.7%の日本でなぜ今!
その後、この事件で無罪放免となった看護師が殺されたと知り、大神は嘉瀬のもとを訪れるが、嘉瀬は老人ホームにおり、会話もままならない状態となっていて……。
あの判決に何があったのか。

“法”は救いか縛りか。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

法の運用と正義の複雑さを描いた物語は、登場人物それぞれの正義感が交錯する中で展開されます。特に、無罪判決を連発する「無罪病判事」と、その影響を受ける検察官の葛藤が物語の核となっています。成年後見人制度...

感想・レビュー・書評

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  • 私もかつては一般人よりもちょっとだけ法律に近づいて傍目から眺めるようなことをしていましたが、成年後見人制度にこういう闇があるとは思っていませんでした。
    とは言え、私が法律を眺めていたのはもう35年も前のことなので、その当時の制度(当時は行為無能力者制度と言われていました)とはだいぶ違っているようなので、法律が変わってからの話なのかどうかは分かりませんが。
    ただ、この話は成年後見人制度の闇がどうの、という話ではなくミステリーの中にこの制度が噛んでくる、程度の認識で大丈夫だと思います。
    話の最後の方で、裏の裏のさらに裏をかくみたいな展開になってくるので、誰がどういう事を考えているのかをしっかり把握していかないとわけがわからなくなってしまいかねないのでその点だけは注意ですね。

  • 下村敦史4冊目。ハードボイルド系の検察官・大神が松金組組長刺殺事件の裁判に関わる。当然被疑者の水島看護師の有罪状況を固めたが、逆転無罪判決。裁判長の嘉瀬は判決を言い渡した直後に倒れ、脳血管性の認知症になる。この話しは複数が入り乱れるが、最後にはスッキリした。①水島看護師は有罪なのか?②成年後見制度の闇、③松金組の跡取り問題、④被害者から裁判官への賄賂、色々盛りだくさん。法では裁けない闇の部分は確かにあるが、それを裁かなくてはならないか?ということは別問題である。司法においてのバランスが所謂、闇深だった。

  • 話に裏の裏があって、最後の方はえ?どっち?いい人なん?悪い人なん?と悩まされるが、それぞれの正義を貫こうとしてる姿はかっこいい。

  • 一審の有罪判決を高裁で何度もひっくり返している"無罪病判事"がいた。
    三度の逆転無罪を出されている検察官の大神が次に無罪病判事の法廷に立ったのは、入院中の暴力団組長を看護師の水島が殺害したとされる事件だった。
    裁判の結果、逆転無罪の判決を受けた水島看護師は、その後組員に銃で撃たれて死亡した。
    法とは、真実とは、正義とは…を深く掘り下げる内容ではないが、この他に成年後見人制度も大きなテーマの一つとなっており、色々な知識を元にうまくまとまっているな、という感じ。
    主人公に感情移入しにくかったが、どうなるのか先が気になり一気に読めました。

  • 私が読む、著者の作品2作目。

    先に読んだ『同姓同名』(←出版はこちらの方が後)とは随分と毛色が違うし、本書の主人公は小説の主人公としてはものすごく地味〜な感じがするのだが、引き込まれた。

    フィクション、ノンフィクション、ひっくるめて「検察」絡みの書物は色々読んでいるので色々と思うところはあるが、「法」は本物の法曹関係の人やらその道の学者さんやら同士で語らせたって意見は千差万別なんだろうと思うので、一般市民の私には何も語れない。

    成年後見制度については、本書の内容とは色々と異なる経験をしたので、こういう「制度」というものも(それが改善か改悪かはわからないが)、運用しながら見直されて変化しているということなのだろう。

    ストーリーとしては、細かい部分で多少は「ああ、そういうことだったのか」と思う部分も有ったが、中心軸となっているそもそもの組長殺人事件の真相は想像がついていたし、どんでん返しだと思うような意外な事案も特に無かった。

    実際に、ある事件の裁判で被告人が無罪となった時、じゃあ真犯人は他にいる!と警察や検察は事件を洗い直すなんてことをしているんだろうか?
    とてもそんなことしているとは思えない。

    また、私が読んだのは初版本で、単なる脱字だとは思うが、エピローグでいきなり「母」という単語が出てきてびっくりした。
    ちょっと待って待ってよ、エピローグの段で出てきた「母」(本当は幸彦が幼い頃に亡くなっている)って誰よ?
    たぶん祖母の間違いなんだけど、話の本筋がここで「実は…」と変わってしまうのかと焦った。
    こういう誤字脱字、勘弁して…。

    それと、定年前の裁判官と大学受験の孫の設定ありきだから、祖父63歳・孫18歳。
    もちろん無理ではないが、ちょっと違和感。

  • 気をつけよう成年後見人制度

  • 異様なほどの無罪判決を宣告する「無罪病判事」。しかし彼が無罪判決を下した被告人が、釈放後に殺害されてしまう。彼が本当に無実だったのか、そして無実であったとすれば、彼が殺された責任は誰にあるのか。その一方で病に倒れた判事の後見人制度を巡って苦悩する家族。どちらのパートも先が見通せず、はらはらさせられるミステリです。
    法が万能ではないというのは、そうだろうなと思えます。正義だって絶対に正しいものはないし。ただ、だとすれば法は人を守るためのものなのか、それとも縛るためのものなのか。法の存在意義に悩まされることになりました。もちろん正しく使えばいいのだろうけれど。どこにでも悪用する輩はいるし、そうでなくとも使いこなせないこともあるだろうし。とても難しい問題。
    その中で自分の職務に真摯に取り組もうとする人たちの姿が非常に頼もしく感じられました。特に、最初は悪印象しか湧かなかったあの人。実にかっこいいぞ。

  • いろんな書評サイトでけっこうな高評価が目立っていたので読んでみようと手に取った本。

    結論。すごくがっかり。
    あまりに調子が良すぎる内容と展開に何度も途中で投げ出そうと思いながら、流し読みで最後までたどり着いた感じ。

    成年後見人制度や冤罪、そして「法とは何か」というたいそうなお題目がテーマになっているけれど、設定があり得なさ過ぎてちょっとついていけない。

    そもそも最初の数ページで、無罪判決を乱発する判事を糾弾する主人公・検事の心の声駄々洩れの文章を読まされるんだけど、

    P7 
    絶対的な証拠を提示しないと、全部、疑わしい、疑わしい、だ。
    p9
    証拠不十分や証言の些細な不確かを理由に無罪判決が出る。

    これのどこが不満なのか、まったくわからない。
    証拠不十分でも曖昧さが残る証言でも、それを元に有罪判決なんて出された日には冤罪が生まれまくるだろうが!この検事はそれでもいいと思っているのか? 

    このあたりで私的には拒否反応がびびっと働いた。

    続く本章で医大に合格したのに入学金が払えなくて困る学生の話になるのだが、その金額にびっくり。聞いて驚け、500万オーバーだ。
    ありえない。いったいどこの医大だよ。

    これも実際の200万くらいに設定すると、登場人物たちがなんとか都合をつけて用意できてしまうからという、おそらくその程度の理由で実際にはありえない「500万」という数字をご都合主義で設定しただけとしか思えない。

    これに続いて、この学生が500万の入学金を払えない理由が、「成年後見人をつけたため、毎月生活費としての10万しかおろせなくなった」とくる。
    いや~、さすがに10万円は極端すぎるでしょ。

    一時のドラマによくあった「主人公をよく見せるためにライバルを必要以上に悪くする」のようなあざとさしか感じない筋運び。

    そして最後は「実はそうではなくて…」とあれもこれも<どんでん返し>。
    あっちにどんでん、こっちどんでん、転がしすぎて肝心の話はそもそもなんだったのかわからなくなる。

    入学金の行方が気になりすぎて最後まで読んだが、すべてがすべてこのように予定調和のためのご都合主義、設定が無理やりすぎて開いた口がふさがらなくなってしまった。

    この作家さん、こんな作品を書く人だったかなあ。
    この人の本、よほどのことがない限り、もう手に取ることはないだろう。

    最後うまい具合にハッピーな感じで終わらせてるけど、みんな、忘れてない?
    結局死ぬまで後見人弁護士に高額な報酬を搾取され続け、貯金は年々一気に目減りする事実は何も解決していない。
    それに、そもそも違法な振込があったからという理由で入学金500万を引き出せないというのなら、たとえ10万でもそこから引きだしてはダメだろう。
    500万はダメで、10万ならいい理由は?

    あ~、もう疲れるからこの辺で終わりにします。
    ただの小言をお読みいただき、ありがとうございました。

    ====データベース====
    無罪乱発
    判事が下した判決が
    裁判官、検察官、弁護士、被害者、加害者 それぞれの正義を狂わせていく…

    厳格な法の運用ゆえに「無罪病判事」と呼ばれた嘉瀬清一は、結審直後に法廷で倒れてしまう。
    宣告されていたために有効とされた判決は、逆転無罪。
    無罪判決は死も同然である検察界。
    担当検事の大神護は打ちひしがれる。
    有罪率99.7%の日本でなぜ今!
    その後、この事件で無罪放免となった看護師が殺されたと知り、大神は嘉瀬のもとを訪れるが、嘉瀬は老人ホームにおり、会話もままならない状態となっていて……。
    あの判決に何があったのか。

    “法"は救いか縛りか。

  • どーいう展開になるんやろと思いながら読んだ。弁護士さんがいい味だな

  • フォローしている、あくらさんの感想を見て
    読みたくなってしまいましたー。
    いっきに読める本だったよー!!

    検察官とか弁護士、裁判官とか、詳しいことは
    よくわからない私ですが、おもしろく読めましたー。

    さまざまな事件で有罪、無罪などが判定されるけど、
    「もはや犯罪報道は娯楽と化してしまった」
    と書かれていたように、
    納得できることが多々あったよー。

    事実は事実として、司法の制度がどのように判断するのか、
    検察官や弁護士とか考えて裁判してるんだなぁー
    なんて考えてしまったー。
    (実際はどうかわからないけどさぁー)

    成年後見人の藤本弁護士は、最初嫌いだったけど、
    事実が分かってから、なんていい人なのー!!と
    感動しちゃった。
    藤本弁護士が後見人でよかったと思ったよー。

    • あくらさん
      いつもいいね!をありがとうございます。下村さんの作品好きなので、読んでいただけて嬉しいです^^
      いつもいいね!をありがとうございます。下村さんの作品好きなので、読んでいただけて嬉しいです^^
      2021/09/10
    • ほくほくあーちゃんさん
      いえいえー。
      あくらさんの感想を読んでると、自分まで読みたくなる作品がたくさんなんです。
      下村さんも、今までの自分なら読んでなかった作品です...
      いえいえー。
      あくらさんの感想を読んでると、自分まで読みたくなる作品がたくさんなんです。
      下村さんも、今までの自分なら読んでなかった作品ですけど、はまっちゃいましたー!!
      2021/09/10
  • 法定後見人の闇を題材にした社会派ドラマかと思ったが、やくざの内紛絡みの犯罪ミステリだった。

    「正義とは」と文字にすると青臭くなるが、テーマとしてそつなくまとめられている。

  • 成年後見人制度は高齢社会の味方だと思っていたよ。
    予測が次々に覆されてちょっとしんどかった。

  • 人が人を裁く、多分に危ういことも想定されそこから負の連鎖にハマっていく。法の下の正義とは何か。成年後見人制度を絡めて展開していく。成年後見制度は良く分からなかったが随分と融通の利かない制度なんだと少し驚いた。制度に苦労する幸彦とお祖母ちゃんに感情移入しながら読んだ。制度は人を助けるものであると思うが完璧ではないと怖くもなった。

  • 読み始めるも医学部に合格した孫息子の入学金が支払えないとの件で、認知症になった祖父が祖母の計らいで後見人をお願いしたら本人の意思がないと渡せないという。入学金がどうなったのか気になりラストを読む。ラストが気になるぐらいの文章力と背景にこの作家の引き込ませる内容とに他作品もどんどん読んでいきたい。
    この本も認知症で
    成年後見人の内容が書いてありためになる。

  • 医学部に合格した嘉瀬幸彦。
    交通事故で両親を失い、祖父母と暮らしていたが入学時納入金550万を二週間以内に納めなければならないその時に祖父・嘉瀬清一の成年後見人である弁護士・藤本の判断で支出が認められなくなる。

    成年後見人制度の融通の利かなさに歯がゆく居た堪れない思いでいると、そこに裁判官、検察官、弁護士それぞれの思惑、暴力団の後継者争いなどが絡み合い、真相が明らかになると全ての点が線で繋がる。

    法律にしろ成年後見人制度にしろ人間が良かれと思い作った物で苦しむのは本末転倒。

    法の正義とは何なのかを考えさせられる。

  • ラストまで何が真実か正義か二転三転させられる面白い作品だった
    法律では推量れない事実や正義はあると思う人が人を捌く事に完全な答えがあるのだろうか?本当に難しい問題だと思った

  • めちゃくちゃ面白くて中盤以降はページをめくる手が止まらなかった。
    それぞれの立場での正義、葛藤、思惑。
    一冊読み終える間に登場人物たちの印象ががらりと変わっていく。
    物語のメインは無罪放免となった看護師が殺される事件。
    それと同時に発覚した“とある問題”。
    この組み合わせは面白い。

  • 判例にそぐわない無罪判決ばかり出す判事…その孫の医学部入学を賭けた真実の追求。「10人の真犯人を逃すとも、一人の無辜を罰するなかれ」この刑事裁判の原則をどこまで裁判官が突き詰められるのか。成年後見制度の問題点、司法のあり方、罪と罰などについても問題提起が。

  • 何から何まで陳腐な話だった。法とは何か、正義とは何か、を真摯に問う話かと思って読んでみたけれど、小難しいストーリーを捻り出したいがためだけの無理矢理の設定と、御都合主義ばかりの謎解きに閉口してしまった。何よりも刑事、検察官と暴力団員たちのやりとりが恥ずかしくなるくらいに陳腐に感じてしまった。医学部入学金のエピソードには終始イライラしてしまったし、重度の認知症っていう設定なのにただの忘れっぽい人にしか思えなかった。また、根本的な問題として、最後に自らが言及していた通りに、水島に無罪判決が出た時点で組長殺しの真犯人の捜査はやり直さなかったのだろうか?
    良心的ではあるのかもしれないけれど、無理矢理作った小難しい設定に興が冷めてしまった一作。

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    厳格な法の運用ゆえに「無罪病判事」と呼ばれた嘉瀬清一は、結審直後に法廷で倒れてしまう。宣告されていたために有効とされた判決は、逆転無罪。無罪判決は死も同然である検察界。担当検事の大神護は打ちひしがれる。有罪率99.7%の日本でなぜ今!その後、この事件で無罪放免となった看護師が殺されたと知り、大神は嘉瀬のもとを訪れるが、嘉瀬は老人ホームにおり、会話もままならない状態となっていて…。あの判決に何があったのか。“法”は救いか縛りか。

    成年後見制度の実際がこの通りだったとすれば。。。認知症患者の家族の苦悩は一体どれほどなのか?今回は○くざや殺しや不正な振り込みなどがあったので弁護士による口座凍結だが。悪い人もちゃんとした人もいる世の中で使うための法律って難しいと改めて思った。

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著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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