おじいちゃんとの最後の旅

  • 徳間書店 (2020年9月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (168ページ) / ISBN・EAN: 9784198651626

作品紹介・あらすじ

スウェーデンを代表する児童文学作家
ウルフ・スタルク最後の作品。
挿絵は、
アストリッド・リンドグレーン記念文学賞を
受賞した絵本作家キティ・クローザー。

おばあちゃんが亡くなって、いま、
ぼくのおじいちゃんは病院に入院している。
おじいちゃんは、かなり口が悪い。
きたない言葉ばかり使うので、パパは、
おじいちゃんのお見舞いに行きたがらない。
でも、ぼくはおじいちゃんが好きだ。
おばあちゃんと二人で暮らしていた家に
死ぬ前に一度もどりたいという
おじいちゃんのために、
ぼくはカンペキな計画を立てた。

パパやママには、サッカーの合宿に行くと
うそをつき、
パン屋のアダムに協力してもらい、
フェリーに乗って、
島にあるおじいちゃんの家に行った。

病院にもどると、おじいちゃんは
天国でおばあちゃんに再会するときのために
きれいな言葉を使うことにすると
いいだし…?

切ない現実を、巧みに、かつユーモアを交えて
描く作風が人気のウルフ・スタルク。
胸を打つ、最後の作品。

感想・レビュー・書評

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  • ウルス・スタルク最後
    の作品。

    人は、最期の時をどの
    ように過ごすのか?

    まわりはどうサポート
    すればよいのか?

    その答えは人それぞれ。

    その答えの一つとして
    心の片すみにしまって
    おきたい物語です。

    「おお、船がきたぞ。
       あのぼろ船が」

    憎まれ口をききながら
    目にたまった涙を拭う
    おじいちゃん。

    思うように動かない体
    で病院を抜け出して、

    我が家にもどる最後の
    旅。

    おばあちゃんとの再会
    に備えて、

    きれいな言葉づかいを
    練習するおじいちゃん。

    はたして、二人は再開
    できたのか?

    その答えは最後の頁に
    描かれた、

    ぬくもり溢れる挿絵が
    雄弁に物語っています。

  • 入院中のおじいちゃんは亡くなったおばあちゃんと暮らした島の家に一度戻りたいと、その望みを叶えるため、ぼくはウソつきになる。
    おじいちゃんとぼくのカンペキな計画。はちゃめちゃでユーモアがあり楽しい。けれどその先に待っているものがわかるだけに切なさが滲む。

    おばあちゃんが作ったコケモモのジャムを一匙づつ大切に食べるおじいちゃんは「おばあちゃんは自分の時間をジャムに捧げた。おばあちゃん自身の思いも。だから、おばあちゃんの人生の一部がこの中にある」という。こんな風に思われたら手仕事冥利に尽きる。
    「なにか、きれいな言葉を言いたかった。どんなにおばあちゃんのことを好きだったか…とか」きたない言葉ばかり使うおじいちゃんは、天国で再会するおばあちゃんのためにきれいな言葉を練習する。言葉にできなかった想いを後悔と共に抱えていたおじいちゃんの最後は、キティ・クローザーの描く挿絵が物語っている。
    きれいな言葉を使うことで、お父さんとも歩み寄れた。
    スウェーデンの児童文学作家ウルフ・スタルク最後の作品は、大好きだったおじいちゃんへの想いが詰まった素敵な話だった。

  • おじいちゃんは面倒くさい人だ。入院してからはもっと面倒くさい。怒りっぽいし、大声を出すし、汚い言葉を使うし、気持ちを落ち着ける薬を飲んでも吐き出しちゃうし。
    おばあちゃんが死んだのは去年だ。そのあとおじいちゃんが怪我をして入院した。
    パパはおじいちゃんとはあまり仲が良くない。病院にも行きたがらない。でもぼくは行くよ。おじいちゃんが好きだし一人ぼっちでいてほしくない。
    ぼくとおじいちゃんは同じ「ウルフ・ゴットフリート」という名前を持っているんだ。だから気が合うのかな。おじいちゃんはぼくを「小ゴットフリート」と呼ぶんだ。

    ぼくはおじいちゃんを病院から一晩抜け出させる秘密の計画を立てた。パパやママ、病院のお医者さんや看護師さんたちを騙さなくちゃいけない。でもぼくは嘘は得意なんだ。きっとパパに言われて本をたくさん読んでいるからかな。おじいちゃんはぼくを<抜け目のないペテン師>って呼ぶ。
    でもこの計画にはだれか大人の協力が必要だ。ぼくが目をつけたのは、パン屋で自動車修理もやってるアダムだ。

    ぼくとアダムは、車で病院におじいちゃんを迎えに行った。
    一晩泊まることへのパパとママへの嘘はばっちり。アダムも完璧以上に役割を果たしてくれた。
    そしてぼくとおじいちゃんは船に乗って、おじいちゃんとおばあちゃんの家に行った。
    どうしてもおじいちゃんには、取りに行きたいものがあるんだって。
    おじいちゃんは怒りっぽくて汚い言葉を使う。だけどおばあちゃんのことを今でも考えている。おばあちゃんが生きていた頃に残したものを手に取り、おばあちゃんの夢を見て、まだおばあちゃんが死んだときのことで悲しんでいる。おばあちゃんは天国にいる。だからおじいちゃんも天国にいかなければいけない。そしておばあちゃんに会うまでに、汚い言葉を治す練習をすることにした。

    さあ、次の問題はぼくの方だ。パパとママに嘘を見破られないようにしなくちゃ。
    準備はばっちり。だけどちょっと腹も立ってきた。おじいちゃんはずっとおばあちゃんと過ごした自分の家に帰りたがっていた。もっと早く連れて行ってあげればよかったんだ。これはいいことをしたのに。嘘だって必要な嘘だ。おじいちゃんが、おじいちゃんの家でなにをしたかパパも知ってほしい。そしてパパの気持ちをパパの口から聞きたいって思ったんだ。

    旅から帰っておじいちゃんはきれいな言葉を習い始めた。最近は看護師さんにも優しくしてる。そしてパパも前よりも病院に行くようになった。たまにはおじいちゃんとパパが静かに話すこともある。
    でもおじいちゃんの体はどんどん弱っていったんだ。

    ===
    頑固な祖父、真面目な父、しっかり者の孫。
    父と子はどうもうまく行かないこともあるけれど、それでもお互いをわかり合うことだってできる。
    語り手のウルフ少年が、正しい嘘だってあるんだ、と迷わず嘘を実行する姿は頼もしささえ感じる。この嘘の顛末もなんとも言えずに粋な決着になっている。
    ウルフ少年が、行動を問われて本当のことを話したら「それは嘘だろう」と思われ、大人が喜ぶような嘘をついたらそっちは信じられた、という展開も面白いと言うか考えてしまうというか。

    おっかないおじいちゃんだけど、おばあちゃんへの慕情は実に優しく哀切漂う。
    そしてウルフ少年は年齢違うアダムと友情と信頼を結び、頑固者のおじいちゃんもアダムとはまるで本当の祖父と孫のような気持ちを持ち合う。
    頑固で怒りっぽいおじいちゃんだけれど、他人に見せる信頼は実に深い。

  • スタルク: Tea time ~EhonCafeのつぶやき~
    https://englishbluebell.at.webry.info/202010/article_3.html

    Kitty Crowther | Bureau Kida | agency & creative coordinations in Paris
    http://bureaukida.com/kitty-crowther/

    北欧文学翻訳 菱木晃子 公式ホームページ
    https://hishiki.info/

    おじいちゃんとの最後の旅 - 徳間書店
    https://www.tokuma.jp/book/b528845.html

  • こういうおじいちゃんの話にめちゃくちゃ弱い

    作者が自分の祖父についての話を元に書いた最後の作品

  • 心臓が悪く入院中のおじいちゃんは、口が悪く気むずかし屋で、いつも汚い言葉を吐く。
    看護師や息子とは折り合いが悪いけれど、孫のぼくは、汚い言葉を吐かれてもおじいちゃんが大好き。
    家に帰るというおじいちゃんの願いを叶えるために、パン屋のアダムを巻き込んでひと芝居打ち、最後の旅に出るのだ。

    汚い言葉が無意識に飛び出すくらいに染み付いているおじいちゃんと孫の強いつながりや信頼関係がにじみ出ています。
    おじいちゃんと孫を助けるために話にのってくれたアダムも素敵です。
    この旅を通しておじいちゃんの覚悟や不器用ながらも亡くなったおばあちゃんへの深い愛を感じ、孫のひたむきさにも心が打たれました。

    そして挿し絵がどれも素晴らしい。色鉛筆が力強くて色合いがなんとも言えず良いのです。額に入れて飾りたいくらい。
    お話と挿し絵がとても合っていてお互いが相まって素晴らしい仕上がりになっていると感じました。
    北欧の話なので、ちょこちょこシナモンロールとかコケモモジャムとかミートボールが出てきて、食べたくなりました。

  • 頑固で言葉遣いが悪いおじいちゃんと、おじいちゃんが大好きな孫の少年との心温まる話。
    少年のお父さんとは仲が良くないおじいちゃん、お父さんからは、おじいちゃんの汚い言葉を真似してはいけない、病院へも行ってはいけないと言われている。
    でも入院している大好きなおじいちゃんに会いたい。
    少年は知恵を絞りおじいちゃんに会いにいく。協力してくれる友達もいる。
    そしておじいちゃんと最後となる旅が始まる。
    少年のおじいちゃんとの楽しかった思い出、大切な思い出は、おじいちゃんに何かをしてあげたいという気持ちでいっぱい。

    弱っていく人に何かをしてあげたい、自分にできることは何かを一生懸命考えている少年の姿が優しい絵と共に伝わってくる。

    希望をもってほしい思いで天国の絵の記事をおじいちゃんに見せにいくシーンは涙がでます。
    切なく、温かい気持ちになる一冊です。

  •  スウェーデンの児童文学作家、ウルフ・スタルクの最後の作品。この本のために書いてもらっていた挿絵を見るのを楽しみにしていたが、叶うことなく亡くなったそうです。

     題名を見ただけでおおよそのストーリーがわかるけれど、それでも、読んでいて一文一文が愛おしく、大切に読みたくなる本でした。

    ☆おじいちゃんは僕と同じものを見てるわけじゃない、と僕にはわかった。おじいちゃんが見ているのは、以前にあったもの。おばあちゃんが生きていた頃、この海路を何千回と行き来した時に目にしたものだ。顔を見ればわかる。くたびれたしわだらけの顔だけど、そのしわのうしろに、若いときのおじいちゃんがいるんだ。…

     子供は、父母だけでなく、祖父母からも影響を受け、年配の方と沢山接することで得るものが大きいと思う。最近は祖父母もまだまだお若い方が多いけれど、自分の違う世代の人が、どんな風に生きて来たのか、何を大切にしているのかなどを知ることは子供にとってこれからの人生を生きていくに当たり、宝物になると思うと改めて思いました。

    とても素敵な本でした。他の作品も読んでみたいです。

  • ボロボロに泣いてしまった。
    優しいあたたかな物語だ。
    こんな作品に会えたらもう胸がいっぱいになってしまう。
    菱木さんの文が大好きで手に取った本。
    多くの子どもたちと大人たちに、ぜひこれからも読んでもらいたい。
    それにしてもアダムの存在に心からの感謝。
    こんな素敵な大人がいるということがうれしい。

  • 友達に勧められた本。おじいちゃんと孫の話だけど,外国の本作家だからなのか,表現の仕方が馴染まないというか、終わりが物足りなかった。大文字で年配の方や子供でも3日くらいで読めそう

  • おじいちゃんとお父さんはイマイチ馬が合わない
    でも僕はおじいちゃんが大好きだ。
    おじいちゃんは口がとても悪い
    病院に入院しているけれど,病院のスタッフにも悪態をついてしまう
    僕はおじいちゃんを病院から抜け出させて,おじいちゃんの家に連れて行くことを思いついた。
    両親も病院の人もだましておじいちゃんを連れて行くことができるのか?


    言いお話でした。
    大人になると,子どもがどんな気持ちで読んでいるのかわからないことが残念。

  • アダム、素敵な[いとこ]だよ。大小ゴットフリードはいいコンビ。

  • 結末は悲しいのに爽やかな気持ちになれた一冊でした。

    汚い言葉を使うおじいちゃんと彼をちょっと疎ましく思うお父さん、そしてそんなおじいちゃんを慕うウルフの関係が児童書にしてはなんとも大人っぽい。

    物語が進むにつれてなぜおじいちゃんが汚い言葉を使うのか分かってきます。
    それは愛するおばあちゃんとの哀しい別れがあったから。

    人はどうにもならない悲しさや辛さを、怒りという形で表現することがあります。
    このおじいちゃんもそうなのではないでしょうか。

    インパクトのある挿絵に最初ちょっと嫌悪感ありましたが、読み終わった後はこの挿絵で良かったと思っている自分がいました。

    スタルク最後の作品なのだとか。それを知って読むと著者のメッセージがさらに胸に響いてきます。

  • 頑固で怒りっぽいけど気さくなおじいちゃんと、そんなおじいちゃんを慕う孫の僕。そんな二人が企てた最後の無謀な旅。祖父と孫、祖父と父、父と僕、そろぞれの親子関係性を細やかに描かれた物語。児童書のくくりでは勿体ない。軽やかに深い話。ところどころに名言が。

  • 小5の息子の読書感想文用にどうかなって借りて来て、読んでもらえず母が読んで考えこんでいる。自分ならきっと、父親と同じ様な対応をしてしまう。でもおじいちゃんの願いもよく分かる。
    見て見ぬふりをしてあげる勇気?何が起こっても後悔しないって強い決意で送り出してあげる?
    どちらも現実の自分には出来そうにない。

  • 最高だった。
    すみからすみまでスタルク節で、口の悪い、むずかしい人であるおじいちゃんの人間性が生き生きと立ちあがってくるし、にやりとしてしまうユーモアに満ちている。
    そして主人公のウルフも、巻きこまれて手を貸してくれるパン屋のアダムも、父親であるおじいちゃんとうまく行っていないウルフのパパも、みんなそれぞれにひとりの人間として描かれている。

    ストーリーを動かすためにへんな行動をとる人がいないし、逆境をつくりだすために不幸をおわされる登場人物もいない。完ぺきな文学作品で、完ぺきな児童書ではないでしょうか。

    死におもむく人に対して、あれもいけないこれもいけないということは、たぶんその本人のためではないんだろう。それでも家族や病院のスタッフはそうしがちなんだよね。わたしも母が大腿骨骨折で手術したあと、退院したらすぐに家に帰りたいというのをおしとどめて、数か月間ホームで暮らしてもらったっけな。あれは本人のためというより、その方が安心で世話がしやすいという、こちらの都合だったように思う。そんなことも思い出したりした。

  • 昨年末に読みました。

    ワイルドなおじいちゃんと、現実的なパパ、
    そしておじいちゃんが大好きなぼく。

    おばあちゃんが死んでしまってから、足の骨を折って、愛する家を離れ入院しているおじいちゃん。
    ぼくは、おじいちゃんを元気づけようと、病院を抜け出して、離島の家に帰る計画を勧めます。

    ふたりの計画に力を貸してくれる素敵な大人として、
    近所のパン屋のアダムがいます。アダムは古くなったシナモンロールを子どもたちにくれたりする。
    「犬にでもやれ。」と言って。でも誰一人として犬なんて飼ってないんだけど。

    ぼくの完璧な嘘の行方がなんとも切なく描かれています。

    そして、スウェーデンといえば、ミートボールにコケモモジャム!おじいちゃんとおばあちゃんの大切な想い出が詰まったコケモモジャムが、物語の語り手になってくれているようです。
    ジャムはお話しが進むとともに少しずつ、減っていく…

    愛とユーモアに溢れた素敵なお話でした。
    あ、アダムのカルダモンロールもとっても気になる。。

    ウルフ・スタルク 最後の作品。。

  • スタルク最後の作品。

  • 気性が荒く頑固者のおじいちゃんを、病院から連れ出してほんの少し旅をする優しい孫のはなし。

  • 入院したお年寄が乱暴になったりして周りの人を困らせる話は実際よく耳にする。

    「獣みたいに、こんなところに、とじこめやがって!」ウルフのおじいちゃんの言うこともわからないでもない。

    そんなおじいちゃんを息子であるウルフの父親は見舞おうとしないけれど、ウルフは「なにがあっても、ぼくは行くよ。ぼくは、おじいちゃんが好きだし、ひとりぼっちでいてほしくないから」

    そして、死ぬ前に、おばあちゃんとふたりで暮らしていた家に取りに行くものがあるというおじいちゃんのために、カンペキな計画を立てたウルフ。

    「うそをつくのは悪いことじゃなきゃいよね?」
    「ああ、ときには、うそは真実に勝るぞ」

    「うそをつくと、きりがなくなる。なにかバカなことを思いついてうそをつくと、最初のうそがばれないように、またすぐにうそをつかないといけなくなる。そして、そんなことをつづけていると、うそだらけの世界ができあがってしまう。」

    ウルフはこのままうそをつきつづけるのだと思ったら…
    「パパは、ぼくの思いついたうそを真実だと信じこみ、ぼくが話す真実を、うそだという。」

    予想以上にユーモアと感動とが混じり合ったいい作品だと思いました。


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著者プロフィール

スウェーデン、ストックホルム生まれ。現代スウェーデン児童文学を代表する作家。リンドグレーン賞などさまざまな賞を受賞していて、日本でも多数の作品が翻訳されている。著書に『おじいちゃんの口笛』(ほるぷ出版)、『シロクマたちのダンス』『夜行バスにのって』(偕成社)、『ちいさくなったパパ』(小峰書店)、『パパが宇宙を見せてくれた』(BL出版)などがある。

「2025年 『世界の絵本と子どもの権利 (全5巻)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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