愚かな薔薇 (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
3.66
  • (48)
  • (115)
  • (109)
  • (9)
  • (6)
本棚登録 : 1327
感想 : 124
  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198653477

作品紹介・あらすじ

================
萩尾望都さん、絶賛!
================

これは21世紀の「地球幼年期の終わり」だ。
山間の夏祭りの中で少年や少女が変化していく。
進化なのか? 人類はどこへ向かうのか?
巡る星々。過去と未来。
愛、愛はどこへ行くのか?

============
萩尾望都さん描き下ろし、
期間限定カバーで展開!
============

※萩尾望都版カバーは期間限定です
※2022年3月までを予定。在庫がなくなり次第、通常カバーで販売します

=====
著者より
=====

吸血鬼ってなんなんだろう、
と子供の頃からずっと考えていた。
人類の進化の記憶の発露なんじゃないか、
とどこかで感じていた。
一方で、うんと狭いところで
うんと大きい話を書いてみたいと思っていた。
昨今言われる「グローカル」というのが
念頭にあったのかもしれない。
またしても、
ものすごく時間が掛かってしまったが、
この二つの課題をやり遂げられたのかどうかは、
今はまだ自分でもよく分からない。             恩田陸

====================

【あらすじ】

14歳の少女高田奈智は、
4年ぶりに磐座の地を訪れた。

これから2カ月の間、
親戚が経営する旅館で世話になりながら、
昼間は磐座城周辺で行われる、
あるキャンプに参加することになっている。

事情をよく知らぬまま
この地を訪れた奈智であったが、
到着の翌朝、体の変調を感じ、
激しく多量に吐血してしまう。
やがて奈智は、親戚の美影深志や
同じキャンプに参加する天知雅樹らから、
磐座でのキャンプの目的を聞くことになる。

それは、星々の世界――
外海に旅立つ「虚ろ舟乗り」を育てる
ことであった。
虚ろ舟の聖地である磐座に集められた
少年少女たちは、徐々に体が変質し、
やがて、歳をとらない体となる。
食べ物もほとんどいらなくなり、
心臓に銀の杭を打たない限り、
死ぬことはない。

そのかわり変質体となると、
一定期間、他人の血を飲まないと、
死んでしまうという。

変質の過程で初めて他人の血を飲むことを、
「血切り」と呼ぶ。

深志は奈智の血切りの相手は
自分だと昔から決めていたと言うが、
奈智は、他人の血を飲むなどという
化け物じみた行為は嫌だと、思い悩む。

そんなことなら、虚ろ舟乗りなんかに、
なりたくない……と。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 高田奈智14歳は伯父夫婦の家で暮らしていますが、亡くなった母の故郷である磐座という特別な地域であるキャンプに参加するために、従兄の深志のいる美影旅館にやってきます。

    奈智の母の奈津は「虚ろ舟乗り」でしたが、そこで父の古城忠之に殺されて、父の忠之は行方不明になっているという噂になっていますが真偽はわかっていません。

    キャンプに参加するのは少年少女で「虚ろ舟乗り」になるという目標を参加者たちは持っています。
    キャンプに参加したり「虚ろ舟乗り」になればその家は国から支度金がもらえます。

    奈智の伯父夫婦の高田夫妻が「虚ろ舟乗り」やキャンプのことをよく思っていなかったせいで、奈智もキャンプには積極的ではありません。

    従兄の深志は、奈智に好意を抱いていて奈智の「血切り」は自分がするからと奈智にこっそりといいます。

    「虚ろ舟乗り」のトワは、「賢いバラは枯れるけど、愚かなバラは決して枯れない」「この世界が滅びかけているから地球を捨てて新たな場所を見つけなければならない」と奈智に教えてくれます。

    キャンプ生たちが皆、変質していく中、奈智は自分が「バケモノ」になることの葛藤に苦しみます。



    以下ネタバレしています。これから読まれる方はお気をつけください。



    このお話は吸血鬼になって地球ではない星を見つけてみんなで移住しようという青春SFです。
    奈智の死んだ両親の謎も最後には解き明かされます。

    体の衰えた大臣が磐座にやってきて、お金を積んで、「血切り」によって体を治そうとして失敗してしまうところなどは面白かったです。

    600ページ近くある大作ですが、とても読みやすいので一気に読めます。

  • 読み始めから、すーっと不思議な世界に連れて行かれる。

    磐座(いわくら)という小さな町で行われる奇妙な行事。
    子どもたちだけが参加する二か月間にわたるキャンプ。
    隧道を進むと、しめ縄が渡された山の斜面に舟の彫刻があり…。
    隧道(ずいどう)とは トンネルを指す古い言葉なのだそうですが、
    [棺を埋めるために、地中を掘り下げて墓穴へ通じる道]
    という意味もあって、なんだか暗示的でもあります。

    磐座には空から船が降りてくる。(え~っ?)
    キャンプはその舟乗りの適性を見極めるためのもので、
    適性のある者は「変質」していき、その過程で人の血が必要になる。
    (え? ええ~っ!! なんか、おどろおどろしい)
    584ページもあるけど、読み切れるのかな、と不安になる。
    ところが、恩田陸さんの本は、いつも読み始めたら辞められない。
    (どういうこと? どうなるの?)の連続で、中休みがないのです。

    題名から、理瀬シリーズかなと勝手に思い込んでいました。
    でもこれは、「常野物語」シリーズに近い気がします。
    ある土地とその土地にまつわる不思議なお話。
    ただ、今回はスケールが大きい。
    地球と人類の、宇宙規模での未来が語られます。
    読み終えて、ふっと宇宙から見た地球を想像すると…。
    うふっ。こういうの、嫌いじゃないな。

  • 1.この本を選んだ理由 
    恩田陸さんが好きというのと、ブクログ評価で選びました。
    長編作品 584ページで、分厚い本です!!
    改行は多いですが、文字が小さめ。

    ファンタジーとか、SFは、ほとんど読みません。
    どちらかというと嫌いという認識を持っています。
    ですが、スターウォーズとか、バックトゥザフューチャーとか大好きだったから、きっと、いい作品に巡り合うとハマるのではないかという想いもあり、SF、ファンタジーだとわかっていながら、この作品を手にしました。

     
    2.あらすじ 
    虚ろ舟乗りになるためのキャンプが毎年行われており、14歳の女の子奈智がそのキャンプに参加することになった。
    虚ろ舟乗りになるためには、その適正が厳しく見定められ、限られた子供だけが盤座のキャンプに参加し、更に特殊な訓練を受けてごく少数のみが虚ろ舟に乗ることができる。
    奈智はもともと磐座で育った子どもだった。虚ろ舟乗りについては、特に説明なくキャンプに参加させられ、虚ろ舟乗りの謎や、自分を取り巻く様々な謎と向き合っていく。


    3.感想
    先が気になり、どんどんハマっていく感じでした。
    読み終えて、なかなか面白かったというのが感想です。

    終わりは中途半端な感じですが、モヤっとしたまま終わる感じで、作品的にはよかったと思います。

    最近、考えることを、ものすごい意識させられていたので、そういう面でも面白かったのかもしれないです。
    なにか、こう、自分の意識が、読書中の電車の屋根を通り越して、空から自分をみるような瞬間があって、読書から脱線することがしばしばありました ^_^

    これからは、もっとSFとか、ファンタジーを読もうかなという気持ちになりました。


    4.心に残ったこと
    意識が人をつくる。
    クリティカルシンキングのもう一人の自分や、
    ジョジョのスタンドのような、
    そんなものを実在するように感じることは、
    とても楽しい。


    5.登場人物  
     
    高田奈智 14歳
    美影奈津 奈智母
    古城忠之 奈智父

    美影健吉
    美影深志 高3
    美影久緒 深志母

    (クラスメイト)
    天知雅樹
    三上結衣

    (その他)
    城田英子
    城田浩司

    (キャンプ)
    飯田 校長
    富沢
    真鍋 保健師兼務
    沼倉 住職

    (警察)
    玉置署長


    6.言葉
    ・隧道 ずいどう
    棺を埋めるために地上から斜めに掘った、墓穴に通じる道。はかみち。

    ・磐座 いわくら
    古神道における岩に対する信仰のこと。 あるいは、信仰の対象となる岩そのもののこと。

    ・心張り棒(しんばりぼう)
    戸や窓が開かないように押さえておく「つっかい棒」のことである。

    ・だらなばら
    だら、が方言で、バカとかアホという意味

    ・シニカル
    皮肉な態度をとるさま。冷笑的。

  • 図書館でも、中古本でもない、久しぶりに書店で買った本です。
    (もらった図書カードを使いましたが)

    萩尾望都さんが書き下ろした、期間限定カバーに包まれています。

    SF小説だけれど、AIも並行世界も出てこない。
    一見、今どきっぽくないようで、実はかなり旬な内容のお話でした。

    ホーキングもアインシュタインも言ってたように、物理や科学の先には、こういうものがあるよね、と深くうなずきながら読みました。

    ど素人のくせに、偉そうな事言ってますが、とにかく面白かったです!

  •  吸血鬼SF? 「愚かな薔薇」とは、いつまでも美しいまま枯れることのない薔薇のことを指す。不老不死→吸血鬼=虚ろ船乗り(宇宙船)

     萩尾望都氏の期間限定の表紙カバーがついている、そこに冒頭に書いた「吸血鬼SF」とあるのだが、ちょっと違うだろう。人間の血を吸うことには違いはないが。「鬼」ではない。人に死に至らしめるわけではないし、吸血鬼に変えてしまうわけでもないからだ。さらに21世紀の「幼年期の終わり」とあるが、エヴァンゲリオンの人類補完計画が想起された。

     500頁を超える長編であるが、一気に読むことができた。状況説明はないが、架空の、ifの世界だと理解できれば、すんなりと読めるだろう。

  • 吸血鬼って何? 恩田陸の答え 新著「愚かな薔薇」:東京新聞 TOKYO Web
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/156022?rct=book

    恩田陸が14年の連載を経て紡ぐ、美しくもおぞましい吸血鬼SF『愚かな薔薇』発売! - 徳間書店
    https://www.tokuma.jp/news/n44927.html

    愚かな薔薇 - 徳間書店
    https://www.tokuma.jp/book/b597790.html

  • 今回もなかなかの長編だったけど、
    長いと思わない程世界観に引き込まれる。
    さらに本作はすごい想像力だなと感心するばかり。
    おかげで私は幽霊見ても怖くなくなったと思う。
    見たことないけど(笑)

  • 恩田さんの描く壮大でファンタジックで不思議なSFワールド。
    帯とかPopとか出版元とかのサイトは見ずに読むとワクワク感は半端ないと思います。
    懐かしい感じがするのにちょっと怖い。このあたりは恩田さんの得意な分野かな。
    謎が解けてくると「ああっそうだったのか」としか言えない面白さです。

  • <食>

     恩田陸は2005年に,たぶん本屋大賞を獲った『夜のピクニック』を読んだ時に、ああ面白そうな作家さんだなぁ、と思い知った。しかしその次の作品を読んで、なんだ どうやら小難しくつまらない純文学系の作家さんみたいだな。ま、いっか、僕の嫌いな男性っぽい筆名を使う女流作家だし、と思ってしまった。人気はあったので出る新刊は結構目についたが僕は意識的に避けてきた。本の題名や装丁を見て、あ面白そうだな、でもなんだ恩田陸かパスだな、という具合。もしかすると長い間僕は損をしていたのかも知れない,と前半は 思った・・・。

     本書は題名からは中身が全く想像できないSF作品である。ではなぜ恩田陸が好きでない僕が今回読もうと思ったか。それはまたまた例の本の雑誌の新刊めったくたガイドのせい(いや,おかげか)である。はっきりとは記憶にないが確か北上次郎さんが紹介していたのを読んで、なんだとても面白そうな内容だけど恩田陸なのかぁ、と またも一旦その時は思った・・・。

     僕の住んでいる愛知県の〇〇町の隣の隣に岩倉市がある。もちろん いわくら と読む。この物語の場所も いわくら。でも字は違う「磐座」。おお一発で変換候補にあがって変換できた。最初は ばんざ とか読んでいて,まてよ違うだろ と思って本の再度のっけに戻って確認したら(小説作品は最初に出て来る難しい漢字に,大概は一回だけふりがなをふるのです。僕にとってはまるでその一回で覚えろ!と言われている気がして毎冊の試練です) いわくら だった。もう絶対に忘れないだろう。いやもうこの頃は齢で 物忘れがづいぶんひどいから,たぶん忘れないだろう に訂正。すまぬ。

    そして調べてみると 磐座 と云う地名は岐阜県の土岐市や同関市にあるみたい。いづれも僕の家から割と近く車なら30分圏内に入っている。 なにやら神様にまつわるいわれのある土地名だという事だ。まあ本書の地名点けもそういうところから来ているのかもしれない。

    僕はSF・ファンタジーといえども充分なる『蓋然性』が必要だと思っている。(蓋然性 という言葉は竜崎伸也に教えてもらったw)そういう眼でこの作品を眺めると,とても蓋然性があるとは言えない。やはり恩田陸とは相性が良くないようだ。済まなかった。

    • ryoukentさん
      しかしそれにしてもこの作品の感想文に 節操なく粗筋=ネタバレを書いている読者諸兄姉が多いのにはびっくりだ。どうしてそうなるかね。なに 自分へ...
      しかしそれにしてもこの作品の感想文に 節操なく粗筋=ネタバレを書いている読者諸兄姉が多いのにはびっくりだ。どうしてそうなるかね。なに 自分へのメモ だぁ。それなら挙げないで 欲しい。
      2022/05/02
  • 両親の死後、伯父夫婦の元で暮らす14歳の奈智は、選抜されて、母方の故郷・磐座で行われるキャンプに参加することになる。それは、遠い将来滅びる地球からの脱出先を捜す舟の乗組員(虚ろ舟乗り)としての適性を見極めるための長期キャンプだった。子どもたちはそれぞれ覚醒を待つが、それは人外になることを意味していた。

    なんとも壮大なスケールの話だが、『月の裏側』の延長線上にあるような読後感。(『月の裏側』は遙か昔に読んだので怪しいけれど、なんとなく似たような印象を受けた。)

全124件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年、宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞を受賞。06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞を受賞。07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞。17年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞する。

「2022年 『本からはじまる物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

恩田陸の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×