青いつばさ (児童書)

  • 徳間書店 (2021年9月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784198653576

作品紹介・あらすじ

オランダ銀の石筆賞受賞!
心にひびく
兄弟の旅の物語

11歳のぼくは、いつも
16歳の兄ヤードランの面倒をみている。

ヤードランは、何かに夢中になると、
たいへんなことをしでかしてしまうからだ…

11歳のジョシュは、いつも16歳の兄ヤードランの
面倒を見ている。
ヤードランは、何かに夢中になると、
たいへんなことをしてしまうときがある。

「あなたはヤードランを守る天使なのよ」と、
ママはいつも、ジョシュに言う。

秋のある日、湖で、ケガをして
群れに置いていかれた
ツルの子どもを見つけたとき、ヤードランは、
「ツルの子に飛び方を教えて、
群れに返してやる」という考えに、とりつかれた。

昔、女優だったママが持っていた
大きな作り物をつばさをつけて、
スプリートと名づけたツルの子に、
飛び方を教えようとする兄弟。

でも、夢中になりすぎたヤードランは、
ジョシュにケガをさせてしまう。

そのせいで、ヤードランは
施設に入れられることに。
離ればなれになりたくない兄弟は、
スプリートを連れて、
ツルが越冬する南の地を目指し、
二人で旅を始めるが…?

○スプリート 
 ヤードランがツルの子に夢中になったせいで、
 ジョシュは大ケガをする
○ハンググライダー 
 迷子のツルの子を、南の越冬地に連れていく、
 というアイディアが浮かぶ
○南
 兄弟はスプリートを連れ、
 二人きりで、南を目指して旅に出る
○鉄塔
 施設の先生に追いつかれてしまった二人。
 ヤードランは高い鉄塔に登り、
 下りてこようとしない。
○ぼくたちは、永遠に
 ママが駆けつけて、
 思いがけない決断をする。

みんなの感想まとめ

心に響く兄弟の絆と成長を描いた物語。11歳のジョシュは、知的障害を持つ16歳の兄ヤードランを守りながら日々を過ごしている。ある日、湖でケガをしたツルの雛を見つけたヤードランは、その雛を群れに返そうと奮...

感想・レビュー・書評

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  • 小さいころ両親が離婚してから母と5歳年上の兄ヤードランと3人で暮らしていた11歳のジョシュのところに、新しい彼氏ムラットとその娘ヤスミンが引っ越してきた。体が大きくなんでも記憶していて、体と感情のコントロールが難しい兄とうまくやっていくために母とジョシュは心を砕いていた。ある日みんなで鶴を見に行ったときに、傷ついた鶴の子を見つける。ヤードランはその鶴の子をスプリートと名付け介抱するが、元気になっても飛ぼうとしない。ヤードランはジョシュと一緒に母親が女優時代に使っていた青い羽を持ち出して飛び方を教えようとし、そのとき興奮したヤードランのためにジョシュは大怪我を負う。これを契機にしょうがい者施設の担当指導員ミカは、ヤードランを施設の寮に入れるべきだと主張する。離れ離れになりたくない兄弟は、スプリートを群れに戻す旅に出る。ギブスを付た状態で、車椅子をトラクターに乗せて。

    鶴の子を家族に戻す度に出ることで、自分たちの絆を再確認する家族の姿を描いた物語。






    ******* ここからはネタバレ

    ジョシュが幼いころ、俳優として世界で活躍したかった父親は、息子たち(ヤードランは人の多いところがダメで、ジョシュは赤ん坊だった)は世界中を連れ回すことができないために去っていきました。
    それから、ムラットとその娘ヤスミンが引っ越してきてまもなく、鶴の子を拾い、その子の世話に夢中になったばかりにジョシュは3箇所を骨折する大怪我を負います。
    体も感情もコントロールが苦手な大男をこのまま家庭で生活させるのは限界だと担当指導員が薦め、段取りを整えていたところに、ヤードランは施設のトラクターに乗ってジョシュとスプリートを迎えに来て、逃避行となったわけです。
    ガス欠でトラクターを乗り捨て、車椅子を押して旅を続けていたら、それまで彼らそっと見守っていたミカが現れ、旅の終わりを告げます。でも、追いついてきた母は、最後までやり遂げたいと、トラクターのところまで戻り、ヤードランとジョシュと一緒に、ツルの越冬地まで旅したのです。
    そしてその帰路、ヤードランはそのまま施設に行くはずだったのですが、母親は一緒に帰宅することを選びます。「もう一度、みんなでやってみよう」と。


    いやぁ、こんなこと書いたら申し訳ないんですけど、この物語での母親の振る舞いにはびっくりし通しでした。
    まず、日常的に11歳のジョシュに兄の世話をさせていること。そのために彼は、自分のことをかえりみることができなくなっています。大怪我をしてちゃんと入院していないといけないときでも、ヤードランが失踪すれば、無理やり退院して連れ帰る手伝いをしなくてはならないかった。まだ11歳で、ちゃんと怪我が治らないと一生不自由するかも知れないのに。ジョシュにはジョシュの人生があって、家族として手伝うことを求めることはあっても、過度の犠牲を強いるべきじゃない。確かに兄との絆は強いかも知れないけれど、ジョシュには友だちもいないではないか!!!

    ヤードランたちが見つかったあと、残りの旅への同行申し出るミカに、「これはわたしひとりで、二人の息子といっしょにしなかきゃいけないことなの」と言って、拒否している。

    それに、ムラットとヤスミンは完全に脇役扱いです。一生懸命二人を探し、ヤードランの引っ越しまで準備したのに、母親の一言でそれはキャンセルされています。
    ヤスミンだって、ヤードランがめちゃくちゃにした青い羽をきれいに繕ったのに、11歳の女の子がよくそんな事ができたと思うのに、ヤードランをどうするか?判断には気持ちさえ聞いてもらえないんです。もう家族なのに。
    あとから入ったメンバーは、それでなくても肩身の狭い思いをするんです。ちゃんと尊重してあげないと「新しい家族」の絆はできないですよ。

    ヤスミンが彼らの居場所をミカに教えたとジョシュは怒りましたが、あの状態で言うなっていうほうが無理ですよね。現にあのときにミカが現れていなかったら、ジョシュの怪我はもっとひどくなっていたかも知れないし、どっちにしても旅は続けられていなかったわけだし。
    本当、ジョシュは、もう少し自分の状態を考えるべきですよ。


    ヤードランが扱いにくいからと厄介払いのように施設に入れるべきだとは私も思いません。
    でも、16歳の男子です。体が大きくて力が強くて、コントロールが効きにくいんです。特にヤスミンと同居するのであれば、相応の配慮をすべきではないでしょうか。例えば、専門のヘルパーさんに入ってもらうとか。なんでもかんでも家族内で解決しようとすると限界が来ると思います。

    母親はヤードランが好きなんです。それは自分でも言っているし、どうやらヤードランは女の人にもてるらしいです。母曰く「ヤードランが中身を見てくれるから」

    ヤードランがスプリートの家族を見つけるために、自分の家族から見つけられないようにしている対比が興味深かったです。
    動けなくなっジョシュが、ヤードランに世話をされて、いつもと立場が逆になったことをお互いに喜んでいるところも。そう、人は自分の存在価値を常に求めてしまうんですよね。

    けっこう母親に軽んじられている感があるミカですが、さすがプロと思わされた場面があります。
    母親とヤードラン、ジョシュが食事をしているとき、ミカは一緒に食卓につかずにドアの横で雑誌を読んでいたんです。そして、かっとなったヤードランが席を立って店を出ようとしたとき、さっと彼の手首をつかみました。彼の行動をよくわかっているんですね。


    オランダの作品らしく、日本では珍しい光景もありました。
    男の人ふたりがベビーカーを押している場面なんて、日本ではまだ一般的じゃないですよね。


    正直、この一見美談な物語が、そのまま美談として扱われることに抵抗があります。ヤードランの気持ちも大切だけれど、周りの人たちの気持ちも大切だと思うからです。
    だからもっと、みんながいい方向になるよう「話し合って」ほしかった。母親が何でも勝手に決めるのではなくって。意見を出し合った後なら、自分の思い通りにならなくても納得できると思うから。

    なので、私はこのお話を、物語としてはおもしろいと思いましたが、だれにもオススメしたくありません。

  • 16歳のヤードランと11歳のジョシュ、兄が知的障害を持ち、兄を支えるよう言われて育ってきた弟、ジョシュの視点で描かれている。
    大好きな兄だが時々、制御し難い時があり、体も大きくてどうしようもなくなってきていた。そんな中でも、常に冷静に状況を判断し、出来る限りのことをしているジョシュ。
     ある日、幼い鶴と出会い、ヤードランは鶴にすっかり魅了される。その親鳥達が飛べない鶴を置いて越冬の為飛び立ってしまい、このままでは雛が死んでしまうので、家に連れて帰るのだが、雛を親鳥達のところへ連れて行きたいと、兄弟が力を合わせる。雛に飛ぶ訓練をさせる時、兄のせいで弟のジョシュが大怪我をし、ギブスで歩けなくなってしまう。それと同時に兄のヤードランを施設に住まわせた方が良いという話になり、そう決まってしまう。雛鳥を親たちのところへ連れて行くために、奮闘する兄弟は、自分達も離れたくない思いをかかえ、ヒナを連れて逃亡する。家族には、母と最近同居し始めた母の再婚相手とろの娘でジョシュと同い年の子がいて、よそよそしかった彼女との関係もストーリーの中で変化していく。

    「荒野にヒバリをさがして」にも似た設定だが、荒野にーの方が、自分が読んでいて寒さに耐えるのが辛く、最後もスッキリしなかったので、こちらの方が読後感も良く、お勧めしたい。

    小学校高学年から。

  • 序盤で兄弟の母親が弟に、「お前はお兄ちゃんを守る天使だよ」的なことを言います。自分だったら母親からそんなこと言われたら一生引きずる。

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著者プロフィール

ベルギーの作家・詩人。劇作家、ジャーナリストをへて作家デビュー。大人向けの文学4作、詩集1作のあと2012年に初の児童文学を発表、「現代の古典と呼ぶべき作品」と絶賛されている。ほかの作品に「おねえちゃんにあった夜」(徳間書店)など。

「2021年 『青いつばさ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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