われわれは仮想世界を生きている AI社会のその先の未来を描く「シミュレーション仮説」

  • 徳間書店 (2021年12月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (408ページ) / ISBN・EAN: 9784198653934

作品紹介・あらすじ

あなたも映画「マトリックス」の世界にいる!
と気づくことになる

イーロン・マスクを魅了した未来地図
「シミュレーション仮説」とは?
ホーキング博士も、現実は50%だと考えた!

〝あなたの世界観はガラリと変わる!″


【レビュー】
人類が『マトリックス』のようなシミュレーションの中にいないと、どうしてわかるのだろうか。
――「ガーディアン」誌

バークは(中略)多次元宇宙、量子不確定性、そして――怖くなるか安心するかは別として――私たちが認識する現実は実のところ巨大なシミュレーションの一部であるという可能性について、説得力と洞察力に富む道案内を行っている。
――「パブリッシャーズ・ウィークリー」

本書は重要な1冊である。なぜなら、私たちを取り巻くものはすべてシミュレーションであるというアイデアに、真剣に、深く踏み込んでいるからだ。
このアイデアについてどのような意見を持っているとしても、本書はそれをもう一度考えるきっかけを与えてくれるだろう。だからこそ、本書は注目に値するのだ。
      ――ジミー・ソニ(『A MIND AT PLAY』
         クロード・シャノンの評伝の著者)

【本書の内容】
パートⅠ マトリックスの作り方
     〈コンピュータサイエンス〉
パートⅡ シミュレーションは
      私たちの世界をいかに説明するか
     〈物理学〉
パートⅢ シミュレーションは
      未解明の現象をいかに説明するか
     〈神秘思想〉
パートⅣ 諸説の統合

感想・レビュー・書評

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  • ゲームの歴史と行き着く先

    単に平面上で反射神経を競っていたブロック崩しやインベーダーから始まり、ゼビウスのようにスクロールする世界に発展し、今ではAR、拡張現実の中で人工知能と会話し、ネットで多くのプレイヤーとつながる。電源をオフにしてもゲーム世界は消えない。ゲームの没入感は現実との境が曖昧になる程だ。
    この調子でさらに発展した世界において、現実と仮想現実の違いはどの程度のものになるんだろうか。いやそれどころか、我々はひょっとしてすでに仮想現実の中に住んでいて気がついていないだけではないだろうか。

    という映画「マトリックス」的世界観について、1 デジタル技術、2 量子物理学、3 宗教のおもに3つの観点から語る。

    まず1はよくある論点だがよい整理になる。ゴーグルなしでメタバースに入っていく時代はすぐそこだろう。
    2は例の不確定性原理が議論の中心になる。すなわち、量子の動きは観察するまで確定しない、というアレである。それって、プレイするまで画面が存在しないゲームと同じじゃん、と。このあたりからアナロジーが強引になってくる。

    最後3、もちろんブッダは「この世は認識によって成り立っていて実在はない」というようなことを言ったが、それがこの世が仮想現実であることの傍証だと言われてもさすがに無理がある。こういう宗教上の言葉の断片と科学を安易に結びつけることの危険は多くの場所で指摘されている。

    というわけで最後はしらけてしまったというのが正直なところ。ただ、長らく興味のあったゲームの発達の歴史の整理としてはかなり興味深かった。

    同時に、こうした該博な理系知識を組み合わせて壮大なそれっぽい世界観を作り上げてしまうことにはややオウム的な怖さも感じる。それが言い過ぎなら、マトリックスに夢中になりすぎたオタクによる、ややトンデモ寄りの考察本という感じか。

    もっとも、今目の前にある世界の実在をまったく疑わない、という傲慢さも危険と言えば危険。偉そうな言い方だが、決して嫌いなタイプの本ではなかった。

  • 「シミュレーション仮説」の本質に、ビデオゲームのメタファーを用いて、科学と宗教の溝を埋めながら迫っていく。

    近年よく目にするようになった「シミュレーション仮説」。これは私たちの生きるこの世界が、実はより高次元の存在によって構築された仮想世界なのではないか、というものだ。一般人には、いっけんトンデモな説に思えるこのお話、イーロン・マスク氏が「私たちがシミュレーションの中にいない可能性は数十億分の1」とまで言ったように、実のところ非常に科学的根拠も多く、世界の最高知性たちが大真面目に議論している、サイエンスの分野の中でも注目度の高い論説らしい。本書では、ビデオゲームに深く関わってきた著者独自の視点で、コンピューターサイエンス、物理学、神秘思想の3つの観点からこの仮説を検証していく。

    昨年くらいにメタバースという仮想空間が話題になったが、あれによって予想できる体験はMMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイングゲーム)ですでに既視感があり、あまり新鮮味を感じなかった。本書のパート1では幼いころからビデオゲームに親しんできた著者らしく、黎明期のテキストアドベンチャーからMMORPGという現時点での到達点に至るまで、ビデオゲームの歴史を丁寧に振り返り、デジタルテクノロジーの進化の果てにある、MMORPGやメタバースなどを超えた<マトリックス>的世界を予想する。さらに私たちのこの数十年の進歩を考えれば、もっと古い歴史を持つ高度な文明があった場合、すでにそれを実現していて私たちがその中にいる可能性は高いというところまで話は進む。

    パート2では量子論とビデオゲームの共通点から論を起こし、パート3では宗教や神秘思想とビデオゲームの対比をしながら話を進めていく。あくまでもビデオゲームというメタファー、なかんずくMMORPGとの類似点が大きく浮かび上がってくるのが印象深い。そこから導き出されるシミュレーション仮説の可能性は、これまで衝突しがちだった科学的世界観と宗教的世界観の橋渡しになり、それぞれの未解明現象の優れた説明にもなりうると結論づける。

    「私たちはコンピューターが生成したシミュレーションの中に住んでいる」と語ったフィリップ・K・ディックとそのSF世界に思いを馳せながら、ニック・ボストロムが2003年に提唱した「シミュレーション議論」を基点に、現時点で拾えるあらゆる論点から語り尽くしたといえる一冊。ビデオゲームに寄りすぎているのが個人的には好みであるものの、気に入らない向きはいるかもしれない。本書を読んで<マトリックス>的世界の可能性は十分に感じたが、まだまだ確信は得られず、真偽は考えれば考えるほどわからなくなるように感じた。しかし我々をその思惟に導き、SFやオカルトの枠を出たシミュレーション仮説が、科学と宗教を統合しさらに発展させたその先を見せてくれるかもしれないという、人類の新たな視座を提案することこそ本書が果たすべき役割なのかもしれない。

  • 古来の東洋思想と量子力学など最新科学が交わるところが、「この世界が仮想現実である」ということが疑いの余地がないと思わせる興味深い一冊。

    ・著者はビデオゲームデザイナー
    ・シュミレーシュン仮説は、この世界をビデオゲームだと考える。
    ・相対性理論は光や高速移動から同時性ははいと証明。私たちは絶対的な共通の世界ではなく、個々のデバイスによって違う世界をみているのではないか
    ・ミクロな量子力学でも観測によって結果が変わる、確率の世界になっている。ゲームと同じ。
    ・瞑想、ヨガ、仏教思想をはじめとする古代東洋伝統を調べていくと、科学で認められているよりも多くの現象が私たちの物理的世界で起こっていると確信。
    ・東洋の伝統は、私たちを取り巻く世界が「本物の世界ではない 」という発想の上に構築されている。人間が選択を積み重ねながら、意識の中で作り上げているものだと信じている。
    ・シンギュラリティを通過したあとは、人間と機械、現実世界と仮想現実の区別はなくなる
    ・伝統仏教や宗教も現実は幻であると説いている
    ・起きているあいだの現実が幻覚であるという本質
    ・夢にいる限りは現実のように思えるが、夢と同様に現実は脳による作り物であり、共有された作り物かもしれないが、幻であることに変わりはない。
    ・カルマを達成するために現実が生成されるという東洋の伝統思想と、現在実現されているビデオゲームの仕組みが同じ
    ・量子もつれ、量子不確実性は、この宇宙が自己最適化機能を備えたコンピューターであることのエビデンスとなる
    ・自然な形状を得るための唯一の道が「計算」である事実。フラクタル図形が葉や貝など自然界に存在する事実は、自然界に計算的要素が存在するというエビデンス。
    ・物理的世界は一連のコンピューターアルゴリズムであること。自然界で何らかの計算が進行しているのであれば、人類は全世界用コンピュータープログラムにいるかもしれない。
    ・宗教や神秘思想が行う現実の本質の説明によれば、この物理的世界は、私たちが「ダウンロード」され、行動が記録される場所だということになる。そして私たちは、物理的世界の外にあるどこかに帰るのである。

  • 思ったより著者の自分語りが多かったのと、ゲーム世界に慣れ親しんでいる人でないとピンとこない表現もけっこう多めかも。(自分はピンとこなかった。)部分的には資料集のように時々読み返したい部分も。5章とか。値段相応のボリューム感。

  • 各章エピグラフにブッダからパラマハンサ・ヨガナンダ、ルーミー、ケン・ウィルバーまでを引用する、健啖家(けんたんか)ぶりに驚かされた。
    https://sessendo.hatenablog.jp/entry/2024/04/21/165708

  • 知人に勧められて読みましたがとても面白いと思いました。本書はもしかすると賛否がかなり分かれる本かもしれませんが、それは著者の主張の真偽にどこまでこだわるのかによるのかもしれません。逆に言うと私は、著者の主張であるシミュレーション仮説自体の真偽はどちらでもよく、この仮説自体が純粋に面白いので、自身の想像力をかきたててくれるという意味で本書を高く評価したいです。

    自分の備忘のため、著者の提示するステージ論を以下に書きます。2022年時点で考えると、ステージ5、6がだいぶ現実味を帯びてきているというところでしょう。
    ステージ0:テキストアドベンチャーと<ゲームの世界>
    ステージ1:初期のアーケードおよび家庭用グラフィックゲーム
    ステージ2:グラフィックアドベンチャーゲームとRPG
    ステージ3:3DレンダリングされたMMORPGと仮想世界
    ステージ4:仮想現実を用いた没入
    ステージ5:フォトリアルな拡張現実(AR)と複合現実(MR)
    ステージ6:現実世界におけるレンダリング-ライトフィールドディスプレイと3Dプリンティング
    ステージ7:マインドインターフェイス
    ステージ8:記憶の植え付け
    ステージ9:人工知能とNPC
    ステージ10:ダウンロード可能な意識とデジタル不死

    果たして我々は、壮大なゲームの中でゲームをプレイしている存在に過ぎないのでしょうか。宗教家の悟りが、自身を超える存在に気づくことだとしたら、それを本書流に言い換えれば、我々が現実だと思っているゲームを組み立てている「超存在」に気づいたということなのでしょうか。いずれにしても、本書を読んで確信したのは、技術が進歩するにつれて、我々人類はますます現実と仮想世界の区別がつかなくなっていくだろう、ということです。映画「インセプション」では、主人公役のディカプリオが、現実世界と夢の世界を識別するためのアイテムを準備していました(机の上で金属製のコマを回して、ずっと回り続けているのなら夢の世界にいることになる)。もしかするとARやVR技術が進歩するにつれて、各人がまさにそのようなアイテムを必要とするのかもしれません。想像力が大いに掻き立てられる本でした。

  • リズワン・バーク「われわれは仮想世界を生きている」読了。一昨年ごろFacebook がMetaになりSnow crashが復刻したり注目のメタヴァース。しかし本書は仮想世界に元々人類が存在するとの驚愕の内容だった。物理学専門の著者が唱うSFとNFの境界のようなシミュレーション仮説を半信半疑ながら楽しめた。

  • 物理と宗教を唯一説明できる理論

  • 机上の空論を砂上の楼閣式に積み上げていく感じで途中から読み進めることが苦痛だった。特に既存の宗教についてゲームのアナロジーで語る部分には、著者の根本的なスタンスを読み取ることが難しくなりクラクラするものがあった。

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著者プロフィール

リズワン・バーク(Rizwan“Riz“Virk)起業家、投資家、ビデオゲームパイオニア、インディーズ映画プロデューサー。また、MITゲームラボによってキャンパス内に設立された〈プレイ・ラボ〉の創始者でもあり、ベイビュー・ラボを運営している。マサチューセッツ工科大学(MIT)でコンピューター・サイエンス学士号、スタンフォード大学経営大学院で経営学修士号を取得。23歳のときに起業家精神に目覚めて以降、シリコンバレーなどで数多くのスタートアップの共同創業者、投資家、アドバイザーを務めている。ビデオゲームでは「タップフィッシュ」や「ペニー・ドレットフル」、インディーズ映画“Thrive“ほかを手がける。著書に“ZenEntrepreneurship““TreasureHunt“、そして本書の続編となる“TheSimulatedMultiverse“(いずれも未邦訳書)がある。

「2021年 『われわれは仮想世界を生きている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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