経済封鎖される中国 アジアの盟主になる日本 米中戦時に突入

  • 徳間書店 (2023年2月1日発売)
3.91
  • (1)
  • (8)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 22
感想 : 2
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784198655891

作品紹介・あらすじ

2023年1月現在の世界を一言で表せば、アメリカ民主党が原因をつくって戦争が起き、それを共和党が力で後片付けするという、いつものパターンに、どっぷりハマりつつある。
オバマ政権が中国の台頭を許しトランプ政権がどうにか抑止。再びバイデン政権に移行し、資源・エネルギー高騰への対応が遅れた。そこにEU(欧州連合)とバイデン政権が過度なグリーン政策を押し進めロシアは武力行使を決断。ウクライナ侵攻で東西デカップリングが加速した。
米中は戦争前夜の状況だ。
地政学的、あるいは地理・空間的な観点からも日本にとってのテーマは「中国」ということになる。
習近平体制は3期目となり台湾問題、南シナ海問題、尖閣諸島問題など侵略の意図を隠さず、西側・東側の対立はさらに激化から、衝突へと転化していく節目の年になるだろう。そのことは2022年末に向けた米中両国の動きを見れば、自ずと導き出せる。
アメリカは議会を中心に続々と、対中強硬策のToDoリストを提出した。
ICT(情報通信技術)が国家の命運を左右する時代にあって、2022年10月に、アメリカは中国に対してスーパーコンピュータとキーパーツである半導体の輸出、再輸出を「規制」した。
本書で詳説しているが、もはや事実上の「半導体禁輸」で、「規制」という名の「制裁」だ。
米ソ冷戦のフロントラインはドイツを中心としたヨーロッパだったが、今度の新冷戦の最前線は日本だ。影響は甚大なものになるだろう。2023年の国内経済を見通す上で、西側の動きは重要なポイントということになる。
しかもアメリカは対中政策として「次」を打ち出している。
議会のU S C C(米中経済・安全保障調査委員会)による「USCCレポート2022」、
国防総省が公表した「中国軍事力報告書2022」がそれだ。特徴的なのは国防省が、習近平国家主席自らが推進する「軍民融合」政策に大きなボリウムを割いている点だ。現在の安全保障は経済安全保障とリンクさせなければ成立しない。
バイデン大統領が率いるバイデン政権は2022年中間選挙で下院の多数派が共和党になったことで、内憂外患の状態だ。日本は、これまでより自主的に意思決定を行わなければならなくなった。
本書はオフィシャルな資料を基に、2023年の日本と世界を見通すことを目的にした。不透明な2023年を照らす灯火となるだろう。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 現在2025年であるが、世界は混沌としたままだ。
    今でもロシア-ウクライナ戦争は終結していないままであるが、東アジアの日本周辺地域についても、実はかつてないくらいに緊張感が高まっている。
    日本は確かに今まで奇跡的に安全で、平和に過ごしてきた。
    その安全と平和が、これからは崩れてしまうかもしれない。
    中国は本当に台湾に侵攻するのだろうか。
    その「もし」が起きた時は、日本は間違いなく惨禍に巻き込まれる。
    その時に日本はどういう手を打つのか。
    アメリカは介入するのか。どの程度なのか。
    戦争は起きないと言っている識者が多いのは事実。
    論理的に考えると、中国が台湾侵攻を実行した際のデメリットの方が多く、利はほとんどない。
    確かに論理的に鑑みればその通りで、まさか戦争を起こすはずがないと思うのだが、そのまさかが起きたのが「ロシア-ウクライナ」である。
    独裁国家ゆえに、国家のトップが「やるぞ」と言えば、論理を超えて戦争が始まってしまう。
    中国は軍事力増強の一途である。
    とにかく戦争が始まってしまえば、軍事力の問題だけでなく、総合力での戦いとなる。
    GDP世界2位の国家が、あらゆる手を使って攻めてくるとしたら、日本だって自衛隊だけで、アメリカ軍のサポートだけで守りきれるかどうかは、分からない。
    例え戦勝したとしても、参戦した国が、すべて無傷ではいられないのが戦争なのだ。
    とにかく、戦争を起こさせないことが絶対に重要だと言える。
    このために、あらゆる手を使って、外交する訳であるが、果たしてどうなるか。
    本書にも書かれている「半導体禁輸」によって、世界のICT(情報通信技術)のパワーバランスが大きく変わる。
    先端半導体は、まさに台湾しか作れない状況であったのを、改善しようとしている。
    アメリカ国内にも、日本にも先端半導体を製造できる工場を建設することで、リスク分散を図ろうとしているし、中国は中国で、自国での半導体製造を急ピッチで進めている。
    戦争に使うミサイルだろうが、戦車だろうが、ドローンだろうが、すべてにおいて先端半導体とネットワークは必須である。
    もちろんそれら技術は、EVや自動運転、スマホにも使われる訳だから、AIや量子コンピュータを含めた最新科学技術のどの分野をどう握っていくかというのは、国家安全保障と直結する最重要戦略と言えるのだ。
    本書では日本の立ち位置を示しているのだが、大きな意味で世界情勢のカギを握ると言っても過言ではない。
    この30年間経済は停滞し、モノづくり日本の栄光から脱せられないままだった。
    新規産業を構築できないまま、GDPはジリジリと後退し、少子高齢化、人口減少、労働力不足、技術の継承問題などが、ドミノ倒しのように起こっている状況だ。
    果たしてこれらを打開する方法があるのか。
    とにかく冷静に勝ち筋を見つけ、一手一手着実に駒を打っていくしかない。
    中国の動きを牽制する日本の対応如何によっては、世界のパワーバランスが大きく変わってしまう。
    それだけ重要な役割を担っているのは間違いない。
    自国の平和と安全が最優先であるが、世界の平和も日本の対応次第だ。
    逆に言えば、大きなチャンスとも言える。
    これで中国を上手にコントロールできれば、日本のプレゼンスは大きく上がる。
    その時に日本の半導体工場が上手く立ち上がっていれば、追い風を掴んで上昇気流に乗れるかもしれない。
    まだまだ国家間の駆け引きは続く。
    これからAI含めたソフトウェアは益々重要になるが、さらにそこにロボットや自動運転などハードウェアも絡んでくる。
    ハードを制御するのはソフトウェアな訳で、いずれにしても先端半導体は今後も益々需要が増してくる。
    そんな中で、原材料であるレアアースでは中国が優位である。
    日本は現段階では製造に不可欠な素材では優位性を持っている。
    台湾TSMCは、半導体チップのアセンブリで圧倒的な技術力を誇っている。
    これらのバランスがどうなっていくのか。
    日本の動き次第というのは、大袈裟な話ではない。
    今までの閉塞感から殻を破って、新時代への飛躍を想像してしまう。
    日本にとって大きなチャンスでもある。
    明るく元気な、そして平和で安全な世界を目指していきたい。
    (2025/7/4金)

  • 今の日本の立ち位置や米中の新冷戦の今までの流れ、これから日本が進むべき道がどのようになっているのか分かりやすく説明されていた。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。海外の経済情勢に精通すると同時に内外の経済・政治状況のリサーチと解析に定評があり、2009年に出版した「本当にヤバイ!欧州経済」(彩図社)で欧州危機を警告してベストセラーになる。
近著「山口組分裂と国際金融」「パナマ文書」(徳間書店)「トランプ! ~世界が変わる日本が動く」(ビジネス社)「貧者の一票」(扶桑社)など。

「2017年 『平和ボケ お花畑を論破するリアリストの思考法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

渡邉哲也の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×