救い難き人

  • 徳間書店 (2023年7月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (472ページ) / ISBN・EAN: 9784198656157

作品紹介・あらすじ

怪物が、生まれる――。
巨大産業「パチンコ」。
金に魅せられ、男たちは狂乱する。

路上生活から62歳で作家デビューした
最後の無頼派作家・赤松利市の到達点。

母が殺された。父の手によって――。
朴マンスは、父・ヨンスクによって母が殺された14歳の夜を忘れない。
父は事故だと言い張るが、マンスは信じない。
心に誓った。父を許さない、と。

決意したマンスは、先輩・井尻の「助言」に従い、父が経営するパチンコ店に見習いとして就職する。
父は、姫路市内でチェーンを展開するパチンコ長者になっていた。
周囲に社長の息子であることを隠しながら下働きをするマンスには、ある計画があった。
父を地獄に叩き落とす、凄烈な計画が――。
パチンコ店を舞台に、金に魅せられた怪物たちの騙しあいが始まった。

みんなの感想まとめ

金と欲望が渦巻くパチンコの世界を舞台に、主人公の朴マンスが父への復讐を誓い、壮絶な物語が展開されます。母を殺された過去を抱えるマンスは、父が経営するパチンコ店に潜入し、計画を練る中で、周囲の人々との関...

感想・レビュー・書評

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  • 私見だが、著者の生き様が亡くなった西村賢太さんと被る赤松利市さん。波乱万丈な人生を歩んでおられる点や、内容の不気味さやリアリティなんかも同じ匂いがする。私の中では少し違和感を感じながら田中慎弥さんもここにカテゴライズする。となると利市さんも芥川賞受賞か?なんて妄想を。

    「らんちう」「純子」に続いて3作目の読了となった今作。主人公の在日二世の朴マンスは妾の子。差別を受けながら成長する。父親は姫路でパチンコ屋を経営して莫大な富を得ている。そこに中学生の時の先輩、井尻ことノブさんという貧困地域の黒里団地出身の男が近寄る。父親のヨンスクは母親をセックス最中に誤って殺してしまう。母の愛だけを頼りに生きていたマンスは父親を憎む。復讐の鬼と化す。

    一方金がすべてと言い切り深慮遠謀に長けたノブさんは、ヨンスクのパチンコ屋を全て自分のものにしようと自分のシナリオ通りにマンスを操る。ノブさんの武器は情報と人脈。金さえ積めば汚れ仕事もなんでも引き受ける。だが後半はマンスが暴走し始めその計画に手を入れる。

    いろいろ経験しているから描けるんだろうなと思わせる内容。金と欲に振り回される壮絶な物語。全てノブさんの計画通りだったのか。前半はマンスのサクセスストーリーのようだが、ヨンスクが全権をマンスに預けてからはマンスのエゴが爆発。最終的に復讐のゴールを見失ってしまっていたように思える。最後はひょっとしてマンスが…とかも想像する。読み応え十分。

    ノブさん→「金がすべてやと思うてるワイや。マンちゃんの気持ちは痛いほど分かるわ。そやけどな、マンちゃん。金に取り憑かれたらアカンねん」

  • ザ·赤松利市ワールド!
    最初から最後まで独特な気持ち悪い世界をしつこくしつこく、これでもか!っと描き続けます。
    楽しめる方、そうでない方、一度は手にとってみては?
    読後の爽快感ゼロ、後悔感は...?

  • パチンコ経営を中心として、ありとあらゆる救い難い人が登場。そして救いようのないことの繰り返し。生まれながらにして救い難い人ではなく、差別が怪物たちを産んだのだと信じたいです。1字1句が突き刺さる小説でした。

  • 救い難き人。
    どうしようもない悪人ばかり登場するので、いい加減こちらの感性が麻痺してくるような感覚に陥ってしまう。
    パチンコ屋を舞台に在日二世のマンスは、母の「恨の気持ち」を情動にして、中学の先輩で悪人のノブと共に父親への長い復讐を画策する。
    次々と金に固執する男達の悪事の連続に、464ページの長さも気にならなかった。

  • お笑いのネタでいうツカミが、読書人生一のディープさ、実生活に影響するほどの打撃をもらった後は無駄な贅肉が一切ない美しい文章運び。筆者は人の心を分かりすぎているがしかし、人間でありましてや神ではない。飴や鞭を巧みに与えられて、読者はどんどん引き込まれていく。有象無象の世界を文学は芸術に仕立ててしまう、ラストにはそんな品格さえ見せてくれる。

  • 久々にコテコテの関西弁小説読みました(笑)

  • 赤松さんらしい振り切れた物語。ストーリーは圧倒的やけれど結局何やったんかな、と言う感想。誰が主役で何を目指し何が間違っていて何が正しかったのか。最後まで読んでも良くわからんかった。けど面白く一気読みでした。

  • パチンコ屋 在日 裏金 狂気

  •  タイトル通りの救い難いクズが自滅していくストーリーは著者の得意分野だ。
     何をもって金しか愛せないクズに堕ちていくかを、ひとりの人生に描き出している。

     在日二世、朴マンスは中学校に入っていじめの対象になった。
     そこを救ったのが、貧困団地の井尻だった。
     マンスは井尻に月10万円を払い、学校での安全が保障された。
     マンスと井尻との関係は一生続くものになる。

     朴マンスは婚外子だ。
     父親は姫路のパチンコ屋の経営者だ。
     幼い頃は父親に猫かわいがりを受けたが、次第に父は母子の家に寄り付かなくなる。
     しかし、マンスが高校生になる頃には、父が忍んで家に来ていることを知っていた。
     そして父母が何をしているかも知っていた。

     ある日、マンスは見てしまった。
     母が父に首を絞められながらセックスをしているのを。
     そして翌日、母は死体となっていた。

     父を憎むマンスに、井尻はマンスに生きる目的をささやく。
     父の全てを奪ってしまえと。
     そのことを隠し、父のパチンコ店で働きながら次第に社内での地位を上げていく。
     しかし、目的のために手段を選ばなくなっていた。
     
     金に魅せられた怪物になっていく一人の男の人生を描く。

  • エンタメ性高い赤松利市作品
    「ボダ子」「らんちう」「藻屑蟹」「犬」のほうがパンチもバイオレンスも強い
    ミン・ジン・リーの「パチンコ」を読んだ時
    赤松利市さんも書けば良いのにと思った
    Twitterでも褒めておられたので、たぶんパチンコ業界を舞台の在日韓国人の小説を書かれると確信してた
    「パチンコ」は4代のファミリーヒストリーだったが、
    深く容赦のない在日韓国人差別で普通の少年がもはや誰にも救われないほどの怪物に墜ちてしまった「救い難き人」
    全編覆う大阪弁も読みにくくはなかった

  • 全く知らない世界で生きる彼らに感情移入できない。
    が、それが面白い。

    主人公マンスの小学から成りあがるまで描かれている。
    井尻、マンスと同じ中学校の先輩。
    大人になったマンスの周りには井尻の息のかかったメンバーで固められている。
    マンスはこのことに気付いていない。
    孤独なマンス。でもそれに気づいていない。
    井尻さんお金は信頼できる。
    でもほんとに?疑心暗鬼が面白かった。

    父を恨んでいるが、逆境に負けないでと思うのは、幼いころの父との楽しい思い出があるせいだろう。混乱したマンスの歪み様が悲しい。
    母への疑問、寂しさ。
    違和感を覚えるマンス。母が死んだのは自分のせい?最後の方では母の死を自分なりにかみ砕いたように思われた。そうか。自分は幸うすい女に惹かれていたのか、と思いついたシーンが心に残った。

    井尻さん いい人だなと思う。やってることは黒いが、人情があり多くの人に慕われている。愛嬌がある・・・とでもいうのだろうか?魅力的な人物。

    父 事業を大きくした経験は没落後も生きる。きっと余生は楽しむのだろうなと光が見えた。

    烈士・恨。韓国の文化の言葉か。知らないことが多かった。

    パチンカスを操るにはどうしたら良いかが書かれており勉強になった。射幸心という言葉を久しぶりに見た。
    ギャン中、借金、芸能界など裏のつながりが書かれていて面白かった。

    この方の本を読むと、穿った見方をしてしまう自分に気が付く。裏のつながりを勘ぐってしまう。幸か不幸か、そもそも決めるのが間違いなのか。

  • なかなかの描写でしたが、ちょっと大袈裟な展開になりました。

  • 清濁ぐちゃぐちゃに併せ呑み下す登場人物たちを悪人と断罪するには躊躇してしまう、人間力に溢れたアウトローたちの物語。明るい小説ではないが、軽妙な関西弁や時系列の分かりやすさもあって読みやすい。筆者の経歴から、遠からずこの本に近い現実を見てきたのだろう。石橋を叩くだけの平民である私は敬服するしかない。

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著者プロフィール

赤松利市
一九五六年、香川県生まれ。二〇一八年、「藻屑蟹」で第一回大藪春彦新人賞を受賞しデビュー。二〇年、『犬』で第二十二回大藪春彦賞を受賞。他の著書に『鯖』『らんちう』『ボダ子』『饗宴』『エレジー』『東京棄民』など、エッセイに『下級国民A』がある。

「2023年 『アウターライズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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