槇ノ原戦記

  • 徳間書店 (2023年6月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784198656539

作品紹介・あらすじ

これが戦争だ。
今、世界で何が起きているのか。

数多の文学賞を受賞し、多くの小説家に影響を及ぼす日本文学界の異端児が戦時下の極限状況を活写する。


太平洋戦争。
寒村で起きた悲喜劇。
靜と綾。上槇ノ原で生まれた双子の姉妹には不思議な力が宿っていた。
天才的な頭脳と統率力を持つ靜。絶対に死なない綾。
そんな二人が成長したとき、太平洋戦争が勃発する。
食料が枯渇した村は強烈な飢えに襲われ、打開策として靜がとった行動は、長年対立してきた下槇ノ原への襲撃だった。
戦火の中、二人が人々を導く先は天国か地獄か――。

感想・レビュー・書評

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  • 初の花村萬月でこれを選んでしまった。
    初めから靜姉が見ている悪夢、綾が決めた結末が現実になるとあって、どう手を打っても過酷な状況へ流れる。闇へ向かうのに、やる気もないのに、怯えもせず自然体で立ち向かう靜姉さん。なりたくてなったわけじゃない、他にいなかったからなった所長の名を背負って、ただ綾のそばに居たいだけと言う靜姉さん。無邪気は最も罪悪が深い。飢えも綾が決めたというのか。戦中の物資支給が無くなって、食べれるものは食べ尽くした悲惨極まりない飢餓の果てに、住人全員が食人するのを誰が責められようか。後書きから、食人を描くのが目的だったようで、大方その話なのに、読み進めてしまって、戦後にも靜姉さんがまだ生きていてくれて、やっとこちらも息をついたら読了。会話の書き方が秀逸。
    昔からの上と下の恨みの原因も、もう忘れたというのに深く恨む。
    靜姉さんのご飯をたくさん残したのに。

  • 羣馬県の僻地である上槇ノ原が舞台となる。
    その上槇ノ原で生まれ、神がかった力を持つ美しい双子の姉妹、靜と綾が主人公となって、上槇ノ原を戦いから守るために凄惨な生き方を先導して行く物語だ。
    
舞台となる静かな上槇ノ原に、突如ボーキサイト鉱が発見された。
    戦争に向かって突き進む日本は、戦闘機の材料需要から大規模な鉱山開発を行うため、多くの兵隊と鉱夫としての囚人を上槇ノ原へ送り込む。
    その後日本は開戦を迎え、戦況の悪化に伴って徐々に配給物資も途絶えがちになり、やがて僻地の上槇ノ原は飢餓地獄に陥る。
    双子の姉妹である靜と綾は、上槇ノ原の人達を守るため、長年対立していた隣の下槇ノ原と鉱山の兵隊・囚人達との凄惨な戦争に突入して行く。
    この姉妹が上槇ノ原の人々を導く先は天国なのか地獄となるのか⋯

  • 太平洋戦争を時代背景にして、究極の飢餓を人肉食で生き残る女性たちを描いた異色のエンタメ小説(伝奇小説?)。物語に入り込むのに苦労するが、次第に引き込まれてしまう熱量を持った作品。読了感は爽快。たまには戦国物をと思い手に取りましたが、予想外の内容でした。しかし、瓢箪から駒ではないですが、面白い作品に出会えました。続編?の『夜半獣』も読んでみたい。

  • 夜半獣を読まないと話の流れが分からない。
    飢餓状態になると人は狂うものなんだと。

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。89年『ゴッド・ブレイス物語』で第2回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。98年『皆月』で第19回吉川英治文学新人賞、「ゲルマニウムの夜」で第119回芥川賞、2017年『日蝕えつきる』で第30回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『ブルース』『笑う山崎』『二進法の犬』「武蔵」シリーズ、『浄夜』『ワルツ』『裂』『弾正星』『信長私記』『太閤私記』『対になる人』など。

「2021年 『夜半獣』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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