図書館がくれた宝物

  • 徳間書店 (2023年7月12日発売)
4.23
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784198656652

作品紹介・あらすじ

1940年、ロンドン。
ドイツとの戦争が
始まったばかりの英国。
12歳のウィリアム、11歳のエドマンド、
9歳のアンナの三人きょうだいの
保護者がわりだった祖母がなくなった。
三人の両親は幼いころ亡くなっている。
遺産がのこされたが、未成年の三人は、後見人がいないと
遺産にも手をつけられない。
そこで、弁護士のエンガーソルさんが、
集団学童疎開に三人も参加することを
提案した。
空襲の恐れのある
ロンドンにいるよりは安全だし、
ひょっとしたら疎開先で、
後見人になってくれる人が
見つかるかもしれない…。

疎開先では辛いことも多い。
厳しい疎開生活のなか、
3人の救いとなったのは、
村の図書館だった。

ロンドンから疎開した
本の好きな3人きょうだいの
心あたたまる物語。
巻末に、物語中に登場する本のリストを収録。

感想・レビュー・書評

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  • 1940年、第二次世界大戦下のロンドン。
    12歳のウィリアム、11歳のエドマンド、9歳のアンナのきょうだいは、親代わりだったおばあちゃんが亡くなり、三人きりになってしまう。

    三人に必要なのは、保護者となる〝後見人〟
    後見人がいなければ、遺産に手をつけることも出来ない。

    そこで困り果てた弁護士が提案したのは、〝学童疎開〟に参加すること。
    他の児童に混じって田舎へ疎開し、受け入れ先の家が本当の家族になってくれるかもしれない…
    と言う夢のようなストーリー。

    そんな上手い話があるとは思えないが、他に方法のない三人は荷物をまとめ、疎開先へと旅立った。

    到着した村には素敵な〝図書館〟があった。
    受け入れ先の家で苦痛な日々を送る三人にとって
    司書のミュラーさんがいる暖かな図書館は唯一安心できる〝居場所〟となる。

    しかし、いつも温かく迎えてくれるミュラーさんも何か問題を抱えている様子…

    日に日に激しくなる戦争。
    ロンドンが攻撃されたニュースを目にし、不安を募らせる三人。
    自分たちの〝親〟になってくれる人に出会えるのか?




    たった12歳のウィリアムが、弟と妹を守りながら頑張る姿には胸が痛む。
    つらい場面も多いけど、本好きな三人が図書館でミュラーさんと本を選ぶ時間は幸せだ。
    この幸せがずっと続けば良いのに…
    と、明るい未来を願いながらの読書時間だった。


    作中には沢山の本が登場するが、巻末にそれらがまとめて紹介されているのも嬉しい。

    • きたごやたろうさん
      またまたオイラの本棚に「いいね」をありがとうございます。

      ブクログに参戦している方、全員集合!
      この本を読みましょう笑!
      またまたオイラの本棚に「いいね」をありがとうございます。

      ブクログに参戦している方、全員集合!
      この本を読みましょう笑!
      2025/02/26
    • aoi-soraさん
      きたごやたろうさん
      コメントありがとうございます^⁠_⁠^
      生きていると色々あるけど、自分は本が好きで良かったなぁ、って思う事があります。
      ...
      きたごやたろうさん
      コメントありがとうございます^⁠_⁠^
      生きていると色々あるけど、自分は本が好きで良かったなぁ、って思う事があります。
      この三人きょうだいも空想の世界では自由に飛び回り、心が満たされるんですね。
      私も本を読んでいるとふわっと心が緩んだり、現実逃避したり(時には必要ですよね笑)…
      2025/02/26
    • きたごやたろうさん
      aoi-soraさんへ

      そうそう。
      日本人は休み方か下手らしいから、ふらっと旅に出たり、おっしゃる通り本の中へ身も心も預けてみたり。...
      aoi-soraさんへ

      そうそう。
      日本人は休み方か下手らしいから、ふらっと旅に出たり、おっしゃる通り本の中へ身も心も預けてみたり。
      大切なことだと思います!
      2025/02/27
  • これは良書!
    3人兄妹が支え合いながら辛い疎開生活を過ごし直向きに乗り越えていく感動的な話で、涙を堪えて読んだ。

    3人は本当にいい子で、ミュラーさんが悲しくて元気のない時は自分たちが率先して仕事をしたりとても優しい。

    エドマンドは純粋無垢な性格で、やることなすことが少年らしくてかわいい。ストレートで遠慮のない物言いが面白すぎて何度も笑わせられた。
    そんな彼が度々ウィリアムに感謝の言葉を伝えるのがすごくいいなと思った。

    一番幼いアンナも、ミュラーさん手編みの靴下を見て、長い間自分たちを思っていてくれたことにちゃんと思い至るところに感心した。言葉でうまく表現できないかわりにギュッと相手を抱きしめるところも愛らしい。

    ウィリアムはしっかり者。まだ12歳で自分だって不安でいっぱいだろうに、長男としての責任感で弟と妹のために弱音を吐かずに2人を支えているのが健気で胸が苦しくなる。

    それをミュラーさんが「もうがんばらなくていいから」「あなたは、もうじゅうぶんにやってきたんだから。」とウィリアムのこれまでを肯定して認めてくれて、お手伝いをさせなかった場面に感極まってしまった。

    子どもたちが夢にみたホットチョコレートを飲む場面は一緒に感激したし、愛されることを知らずに育ってきた三人の心が解きほぐされていく過程に胸が熱くなった。

    イギリスでは日本のように疎開児童が集団で暮らすわけではなく、個々に知らない家庭で暮らすので子どもたちはより不安感が強かったはず。
    それなのにいじめられて、元の家は空襲で戻れず、子どもにとってあまりにもむごい状況。でもそんな彼らを支えたささやかな楽しみが本だったことがまた素敵。

  • 2024年読書感想文コンクール課題図書 高学年
    https://www.dokusyokansoubun.jp/books.html

    1940年、第二次世界大戦中のロンドンに暮らす12歳のウィリアム、11歳のエドモンド、9歳のアンナ。三人の両親はすでに亡く、後見になっていた祖母も亡くなってしまった。
    ここで三人にとっての大問題が起こる。このままでは未成年の三人はバラバラにさせられてしまう。両親亡き後寄り添って生きてきた三人にとって離れ離れにだけは決してならない。
    そこで祖母の弁護士が三人に提案する。「今は戦時中。ロンドンの子供たちは田舎に疎開している。君たちも田舎に疎開し、三人とも受け入れてくれてそのままずっと家に置いてくれる家庭を指すこと」

    物語は疎開先でのつらい日々になる。
     ちょっとまって、さすがに読書感想文課題図書にあまり辛い結末にはならないよね、このほっとするような表紙の絵で酷いことにはならないよね?と思いながらも、三人一緒ということの難しさを考えるとどうなるんだよと。
    村の子供たちと疎開の子供たちの揉め事、疎開受け入れ家庭に支払われるお金目当てで労働力として引き取る家、受け入れ先家庭との衝突…。
    それでも決して離れない、と寄り添う三人の心の支えとなったのは図書館だった。
    図書館の司書さんはミュラーさんという中年女性。三人を心配してそっと助けてくれるミュラーさんだが、ドイツ人の旦那さんがドイツに帰ったまま音信不通。旦那さんは「ドイツ人」というだけなのだが村人からは「ナチスだ」と決めつけられて疎外されている。

    家庭とはなんだろう。三人のきょうだいは甘えられる両親を知らないので自分たちで自然に役割ができて果たしている。そして自分たちで家族になってくれる人を探すのだ。

    物語の力も大きい。三人は本を読むことが大好きで、疎開先での辛いときにはお話をして心を安定させる。憧れの家庭は「寝る前の読み聞かせ」をしてくれること。
    物語とは、本だけではなくて長男ウィリアムが弟妹への心の支えのために「お父さんはこう言っていたよ。お母さんはこうしてくれたんだよ」と聞かせる作り話もそうだ。わんぱくっ子次男エドモンドは兄の作り話を見抜いていても「本当のことと必要なことは違う」と聞いている。そして末っ子アンナは疎開先の幼い子供たちにお話を読み聞かせることを自分の役割にする。

    子供たちだけでなく大人の事情も感じられる。意地悪な受け入れ家庭、戦前にドイツ人と結婚した女性をナチスと繋がってるんだとか決めつける(そもそも旦那さんもドイツ人だけどナチス党員かはわからん)村人、疎開児童に厳しい引率の先生。あってはならんが、当時の状況だとそうなったんだろうなあ。特に引率の先生は、そりゃー何十人もの児童を一人で教育して村人との調整もしてってのは難しいというのも分かるしなあ。

    さすがに課題図書なので最後は「家庭」を作ることができるし、ミュラーさんも受け入れられるし、疎開者と地元民の共同作業により距離も縮まる。
    物語として、ああよかったなあ。児童文学ですが大人が読んでも良い文章の良い本です。

    そして読者としても自分が持っているものを当たり前だと思っちゃいけないよなあ。

  • 戦争は、対立するはずのなかった場所にも不和と分断をもたらす。
    権力者以外、戦争を望む者などいないのに...

    戦火がロンドンにも及び始めた頃、唯一の保護者である祖母を亡くした3人の兄弟(妹)。
    財産を管理する弁護士の勧めで、田舎に疎開をして里親から後見人になってくれる人を探そうとするが...

    イギリスの児童文学で疎開から始まる物語は結構あるような気がする。
    有名なのは言わずと知れた『ナルニア国物語』だが、この物語の著者ケイト・アルバスはそれにインスパイアされたそうだ。
    もともと心理学の研究をされていたからか、登場人物や兄弟の書きわけが巧みで、物語にぐいぐい引き込まれた。

    日本の疎開といえば、戦火の及ばない地方のお寺や旅館に集団で行うものだが、イギリスでは一般の家庭が疎開児童を受け入れる。
    国から支給される手当が目的の家庭があったり、里親家庭の子どもと相性が悪かったり、老夫婦だったり、と疎開児童には選べない。

    この三兄弟は3人まとめて預かってくれる家を希望しているので、なかなか厳しい状況だが、しっかり者の長男が色々な事を背負い込む(まだ小6くらいなのに)。
    最後にはタイトルにあるように図書館が3人に希望の光を与えてくれる。

    戦争は本当に憎むべきものだが、この物語は本当に魅力にあふれている。

  • ベスト 『図書館がくれた宝物』 | 教文館ナルニア国
    https://onl.sc/MUu8kBp

    『図書館がくれた宝物』ケイト・アルバス・作、櫛田理絵・訳 : 読売新聞
    https://www.yomiuri.co.jp/kodomo/kbook/sinkan/20230828-OYT8T50046/

    図書館がくれた宝物 - 徳間書店
    https://www.tokuma.jp/book/b630028.html

  • 第二次世界大戦中、疎開した三兄弟の話。
    親もいない、祖母も亡くなってしまい
    疎開先で新しい家族を見つけようとする。
    本、物語が心の支えとなり、幸せに結びついていく…。
    物語は、人をいろんな世界に旅させてくれる。
    もっと本を読みたくなってしまう

  • 良い話だった。
    ミュラーさんが良い人すぎる!
    戦争中、身寄りの大人が亡くなってしまった3人の兄妹。この3人のキャラが定型だけどわかりやすくて良い。あとがきによると作者は心理学者とのこと。子どもたちの心情がわかりやすい理由はそこかなと思う。
    3人は弁護士のエンガーソルさんに疎開先(イギリスの疎開はホームステイになるらしい)で、新しい保護者を見つけようとする話。
    ぜひ。

  • 第二次世界大戦下のロンドンから疎開した3人兄妹のお話。辛いおもいをしながらも図書館に救われる。そして、親代わりだったおばあさんも亡くなり後見人を探す。ステキなお母さんにも巡り合えた。本と愛に包まれてステキな大人になってね

  • 登場人物の心情、風景、時代背景など、とても丁寧に描かれていて、読みやすかった。
    また、戦争によるひもじさや身請け人に辛くあたられる場面なども多かったが、それほどに悲愴感なく読み終えたのは主人公たちの絆や無邪気さがしっかり描かれているからかなと感じた。
    それにしても、図書館に全てを救われたみたいな終わり方が、ザ課題図書だな。。。

  • 本のタイトルに惹かれて
    図書館で借りた本

    やっと見つけた「宝物」
    この後の戦争で手放すことが無いことを
    祈ります。

  • 2024 小学校高学年の課題図書
    とても懐かしい気持ちで子どもの頃に戻って読んだ

    1940年、ドイツとの戦争が始まったばかりのイギリス
    ロンドンに住む12歳のウィリアム、11歳のエドマンド
    9歳のアンナの三人兄弟は、幼い頃両親を亡くし、さらに保護者代わりだった祖母も亡くす

    莫大な遺産があるが、後見人が見つからないことには遺産にも手をつけられない

    弁護士エンガーソルさんの提案により、集団学童疎開に参加することになる
    そこで三人を愛してくれる後見人が見つかるかもしれないと期待して

    疎開先での辛い生活に対する、兄弟それぞれの行動が興味深い
    特にたった12歳のウィリアムが一生懸命弟や妹の世話をし、自分の思いは殺して、大人びた口調で対処する姿が痛々しい

    そんな三人にとっての唯一の救いは、図書館と司書のミュラーさんだった
    ミュラーさんが登場すると、ガラリと雰囲気が変わり、本を読むスピードが早くなり、うきうきと楽しくなる
    まるで三人がそうであったように

    自分たちのことをお月様だと思ってくれる人を密かに探し求めていた三人は、果たしてそんな人に出会い受け入れてもらったのだろうか?

    日本語タイトルは「図書館がくれた宝物」だが、原題は
    「A PLACE TO HANG THE MOON 」
    だった

    たまには児童書もいいもんだなと思った

  • 本好きな私に家族が選んでくれた一冊。よく見たら児童書だったけど、本当に素晴らしくて感謝。
    第二次大戦時下のロンドン、唯一の身寄りの祖母を亡くした12才、11才、9才の子供達が主人公。莫大な遺産相続人と言う身分を隠して田舎に疎開した事から物語は始まる。
    イジメや貧困に耐える姿がいじらしく、本好きな兄妹が図書館を憩いの場としてるのも微笑ましい。司書の抱擁力や子の三人三様の性格も目新しくはないが、対象の児童にわかり易くなっている。
    物語の空想の中に希望を見出す姿に涙が止まらなかった。

  • 新しい家族を見つける目的もあって疎開した3人のきょうだい。
    疎開先の家で上手くいかず辛い日々だが、図書館と本が心の拠りどころだった。

    戦時中ということもあり、子どもたちは思っている以上に考えが大人なのが切ない。特に一番年上のウィリアムが健気で胸を打たれる。ミューラーさんと出会えて子どもらしくいられるようになって良かった。

    心がポッと温まるような結末に大満足。

  • 図書館好き、戦時中の生活に興味ありの私にはぴったりだと思い、読書開始。
    いじめや貧困が絡まるストーリーはヨーロッパやアメリカではありがちとは思うのだけど、それはすっかり大人になってしまったから思うのであって、まだまだ読書体験の少ない子どもたちなら心温まるストーリーに感動したり第二次世界大戦中のイギリスの様子を追体験できるのかも。

  • 2024課題図書 高学年の部

    戦争の話か、と思いながら読み始めたけれど、読み進めていくうちに、それがメインではないんだな、と気づきました。
    これは図書館を中心にした家族探しの物語です。ピンチに立たされた三兄妹が、本と物語の世界を知っている子どもたちでよかった。本はいつでも誰かの逃げ場所となれる。
    終盤は思わずほろりと泣いてしまいました。

  • 幼い兄弟が疎開という名目で新しい家族を求めて…と言う話。個性的な3人兄弟もとても魅力的だし、風景や表情が頭に浮かぶような文章もすごく素敵だなと思いました。

  • (2024課題図書小学高学年)          
    子ども達3人と図書館司書のミュラーさんとの関係が良い。
    人が人との繋がりを求める祈るような切実な想いに泣いてしまう。

  • 知り合いのお勧めで読了。

    イギリスにも”疎開”というシステムがあったのだ。
    けれども日本とは異なりホームステイ型の疎開が主で、だからこそ受け入れ側の家庭によって子どもたちが幸せになったり不幸になったりする。

    舞台は第二次世界大戦下のロンドン。ウィリアム、エドマンド、アンナの3人兄妹は両親に死なれ、親代わりの祖母も無くなり、孤児となる。
    後見人を探さなければ遺産に手を付けることもできない。
    そこで、祖母の弁護士は学童疎開を3人に提案する。
    もしかしたら3人を暖かく受け入れてくれる、後見人にふさわしい新しい家族に出会えるかもしれないという計画で…。
    しかし、物事はそんなにうまくはいかなかった。

    苦しい状況のなか、3人がよりどころにしたのは図書館だった。
    子どもたちは本が好きで、図書館が心安らぐ場所なのだ。
    実在の名作が物語に多数登場するのでそれだけで読み手はワクワクする。
    物語もさることながら、「図書館」や「本」が大きな意味を持っているので、本好きにはたまらないだろう。

    戦時下では大人も自分たちが生きるのに必死で、時に意地悪な態度をとることもあるのかもしれない。
    意地悪に見える疎開先の家族がふと見せる善意もリアルでよかった。

    舞台は戦時下ながら、血のつながりだけが家族ではないというテーマは今に通じると思った。

    2021年、ニューヨーク公共図書館ベスト・ブック・オブ・ザ・イヤー受賞作

  • ウィリアム、エドマンド、アンナのきょうだい3人は、唯一の身寄りだった祖母がなくなり、保護者がいなくなってしまった。折しも戦争中。学童疎開をして、田舎の預かり先がこの先もずっと3人を置いてくれることにならないかと期待するが……。

    疎開ものには、良作が多いというのは私の個人的な印象だが、その私の印象にまた1作良い作品が加わった。
    3人きょうだいは本が好きで、それが大きな救いとなっていく。誰もが生きていくのに必死の時代で、よそ者の子どもたちに優しくする余裕なんてない。それでも、裕福な家庭に生まれ育った3人が、やったことがないことでも、子どもがやる必要がないはずのことでも、生きていくために文句も言わずに頑張る。特にウィリアムはいつもお兄ちゃんとして、大人とやりとりをするし、弟妹の面倒を見ている。まだ十二歳なのに。ミュラーさんが、ウィリアムを正しく子どもとして扱ったところで、ああよかったと本当にうれしくなった。エドマンドは、ネズミ取りのときに、兄がどれだけ自分のことを考えてくれているのかわかったのか、精神的に成長したようだった。ミュラーさんのあたたかさに包まれることで、3人はミュラーさんや、周りの人のことを考えることができるようになる。自分たちに辛い思いをさせた相手をまっすぐに見られるようになる。本当によかった、と思える結末だった。 
    The enchanted wood、戦時中に発売されていたのかぁ、とちょっとビックリ。これは邦訳出しましょうよ~。

  • 素晴らしい本でした。戦争中、両親のいない3兄弟が、保護者となる後継人を探すためにロンドンから田舎に疎開するのですが、途中色々と辛い思いをします。彼らの心の拠り所となったのは村の図書館でした。「ここがあれば、なにがあっても大丈夫」という台詞があるんですけど、本当にその通りだと思いました。1冊の本はその人の人生を根底から支え、苦しみから立ち上がらせる力を与えてくれるからです。

    図書館はまるで魔法です。漱石も芥川も宮沢賢治も、紫式部も清少納言もいます。日本だけではありません。ゲーテやヘッセ、ドストエフスキーやトルストイもいます。もちろん現代作家もいます。時空を超え、国境を超えてみな一堂に会しているのです。ここで無料で本が読めるなんてこれ以上の幸せがあるでしょうか。人生には苦しみや悲しみは必ずありますが、それ以上に本は人間の素晴らしさや、この世には誰が何と言おうと絶対に美しいものがあることを教えてくれます。3兄弟がどんな時も希望と感謝の気持ちを持つことができたのは、本があったからだと思い嬉しくなりました。

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著者プロフィール

米国の児童文学作家。ニューヨークで育つ。心理学者として研究に携わっていたが、友人の参加する創作の集まりに顔を出したことをきっかけに、物語を書くことのおもしろさに目覚める。本書がデビュー作。

「2023年 『図書館がくれた宝物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

櫛田理絵の作品

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