銀河英雄伝説 9 回天篇 (徳間文庫 た 5-16)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198908560

作品紹介・あらすじ

地球教徒の魔の手によりヤン・ウェンリーは還らぬ人となった。残されたフレデリカ、ヤンの遺志を継ぎ新司令官となったユリアンらは新体制構築のため多忙を極めていた。その時スクリーンに映る見慣れた笑顔が彼らを驚愕させた!ヨブ・トリューニヒトが新領土総督府高等参事官としてハイネセンへ赴任したのだ。一方、新領土総督ロイエンタールもまた彼の赴任に嫌悪感を禁じ得なかった…。宇宙は再び嵐の中へ。

感想・レビュー・書評

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  • イゼルローン要塞でユリアンらは新体制構築のために奔走していた。
    帝国側はウルヴァシー事件でラインハルトが暗殺されそうになり、その罪をロイエンタールはかぶせられてしまう。叛逆罪を着せられたロイエンタールは帝国軍と戦うことになる。


    泣くしかない。読むのが辛かった。
    ミッターマイヤーがロイエンタールを失うということは、ラインハルトがキルヒアイスを失った、ユリアンがヤンを失ったようなものだと思います。
    それでも今回は特に精神的ダメージが大きかったです。
    なぜなら、今まではキルヒアイスもヤンもラインハルトやユリアンにはどうしようもないところで死んでしまっていたけれど、今回はミッターマイヤーが自ら手を下さないといけなかったんですよ!それが辛い。

    そしてロイエンタールは戦場で散るのではなく、ゆっくりと死んでいく……
    死ぬまでに考える時間があるのも辛いなと思います。それを受け入れて死んでいくロイエンタールはやはり強い。

    「死ぬにあたって、幼い子供を託しえるような友人を持つことがかなえば、人生最上の幸福だ、と……」
    この言葉の後に
    「遅いじゃないか、ミッターマイヤー……」
    とくる。ロイエンタールからミッターマイヤーへの信頼と友愛を感じました。

  • ユリアンとフレデリカがヤンの後を継ぎ戦争はいったん終了。策謀にはめられてロイエンタールが叛乱するも鎮圧され死亡。ロイエンタールの叛乱はどうも納得いかないというか、ちゃんとラインハルトとコミュニケーション取れば、どうにかならんかったのかねと思うが、まあ仕方ない。ロイエンタールが死に際に元同盟トップ、トリューニヒトを道連れにしたので、さあ後はラインハルトvs地球教+元フェザーンのボス、ルビンスキー。結局ルビンスキーが一番手強かったが最後は果たして。そしてイゼルローンやいかに。

    もう1つ、ラインハルトとヒルダが一夜の同衾で子を成し結婚。世襲って最悪なことになる可能性があるけど、共和制って衆愚政治になるよね、というのが本作の重要なテーマだと思うんだが、さてその辺はどうなるのか。個人的にも優秀な専制政治ってのが実は好きで(シンガポールとかソフトバンク)、でも確かに次世代にどう繋ぐのかまでは考えたことなかったので、その点でも結末が楽しみだ。いよいよあと1冊。

  • 胸キュン展開から始まるこの巻。

    だが、男同士の矜持のぶつかり合いが熱く、哀しい。
    ロイエンタールがロイエンタールであったが故の結末に鳥肌が立つ。
    これだけ複雑な心境を持つキャラクターは銀英伝の中で屈指。だからこそのお気に入りキャラNO1。

    トリューニヒト&ラング、ざまぁ。

  • 「ロイエンタールの大ばか野郎!」…戦を避けられるはずでも自ら飛び込んでいったロイエンタール。…自重してほしかった。

  • これまでは、専制主義と民主主義の対立として描かれていたが、この巻は専制主義の主君と臣下の対立を描いている。

    同じ勢力である以上、争いは避けたかっただろうが、
    理が曲げられてしまった以上、主君としては争いを避けることができなかった。

    主君は売られたけんかは買わなくてはならない。

  • 終幕に向けて役者が次々と退場してしまう第9巻。夏の終わりのバラ〜ウルヴァシー事件〜反逆は英雄の特権。建て直しを図る共和政府、揺れ動く帝国上層部。8巻から9巻は涙無しには語れませんね。「遅いじゃないか、ミッターマイヤー…」

  • 「遅いじゃないか、ミッターマイヤー」
    ここは、何度読み返しても、そのたび号泣してしまいます。
    帝国軍の双璧は変わらず双璧であるのだと、誰もが信じていたかったはずです。

  • 誇り高きロイエンタールが、策謀で叛乱へと追い込まれ、散っていく様に涙を禁じ得ない巻だった。また、ヤン・ウェンリーの衣鉢を継いだユリアンとフレデリカのイゼルローン革命軍の奮闘と、ロイエンタールからの誘いを断り、すぐれた政治判断を見せた巻でもあった。/「おれが言うのはおかしいが、皇帝を頼む。これはおれの本心だ」(ロイエンタール)/「卿も知るとおり、ロイエンタール元帥は誇り高い男だ。自分が何者かの陰謀によって犠牲の祭壇にささげられたとは、とうてい口外できまい」(ミッターマイヤー)/「これは命令だ。死ぬなよ」(ラインハルト。ミッターマイヤーに対して)

  • 詰まらなさの続く第九巻が漸く終わったが、冗文は未だ一巻有るとは勘弁難いね。

  • どうしてこの作者(ひと)はこんなにも人を感動させるのだろうか…。

    どうだろう、この溢るる才気!
    ヤンの死を以ってしても衰えを知らないヴォルテージ!

    本統に、全く以って前巻を読んだときに抱いた懸念は杞憂に終わった。第2巻における布石がここに至って最大に活き、登場人物各々に血液を脈動させる。

    素晴らしき人生讃歌!!
    もはや、これは単なるジュブナイルでない。
    本統の宇宙叙事詩だ。

    そして次回で物語は、いや歴史は終局を迎える…。

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著者プロフィール

1952年熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。1978年「緑の草原に……」で幻影城新人賞を受賞しデビュー。1988年『銀河英雄伝説』で第19回星雲賞(日本長編部門)を受賞。2006年『ラインの虜囚』で第22回うつのみやこども賞を受賞した。壮大なスケールと緻密な構成で、『薬師寺涼子の怪奇事件簿』『創竜伝』『アルスラーン戦記』など大人気シリーズを多数執筆している。本書ほか、『岳飛伝』『新・水滸後伝』『天竺熱風録』などの中国歴史小説も絶大な支持を得ている。

「2023年 『残照』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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