海がきこえる〈2〉アイがあるから (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
3.81
  • (70)
  • (87)
  • (111)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 612
レビュー : 73
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198911317

作品紹介・あらすじ

大学1年の夏、杜崎拓は故郷高知に帰省した。親友・松野と里伽子のわだかまりも解け、気分よく東京に戻った拓の部屋に、年上の女性、津村知沙が入り込み泥酔し寝ていた。「その年上の女、たたるぞ」という松野の言葉が拓の脳裏に甦る。不倫の恋に傷ついた知沙。離婚した父とその再婚相手との間で傷つく里伽子。どうしたら人は人を守れるのだろう?さまざまな思いと痛みが交錯しながら拓は東京ではじめての冬を迎える-。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • “文春砲”的な価値観に慣らされた今であれば、
    「里伽子の父よ、それはちょっとないんじゃないの?」
    とか、
    「美香さんに慮る必要ある?」
    とかって感想を持たれるような気もするけど、

    でも、誰が悪いわけでもない、
    ただ、アイがあるか、そうでないか、
    アイがある方がいいって学んでいくんだよ、って、

    そういう書き方であるところがとても好き。

    大人になってから読むと、子どものときには解らなかった、津村千沙の切羽詰まった感情がよく解る。
    つらいよね、お説教しないで!って思うよね、
    非常識でも会いにいきたくなるよね。

    余談だけど、20年以上も前に書かれた話だからか、
    現代で考えると、登場人物の年齢+10歳くらいがちょうどいい気がする。
    安西おばァって……もうおばァなんだ……むごいな……(笑)

    前作で、「もう二度と、里伽子には会えないだろうな」と思っていたはずのふたりが、「拓」「里伽子」と呼び合ってるのが、しみじみと嬉しくなる。

    氷室冴子さんが亡くなったことで、もう彼らに会えないのは寂しい。
    拓や里伽子はもちろん、松野や水沼くん、田坂さんもなんだか現実に存在するような錯覚があった。
    脇役の一人一人にまで、ちゃんと命が吹き込まれてて、思春期に出会ってからずっと、彼らを友達や知り合いのように感じていたんだ。

  • 海がきこえるの続編

    拓と里伽子にまた会えると思うと、
    それだけで嬉しくて手に取った本。

    近藤勝也さんの作画集はいまでも大事に持っています。

    青春小説ですね。

    ブクロブに出てくる表紙、
    出来れば文庫本のアニメ絵ではなく、
    ハードブックの表紙にしてくれないかな~

  • 一巻の中の肝心な場面で怒れなかった主人公が今度こそヒロインのために怒る。だからこそ二部作で、これで完結なのだ。
    サブヒロインのほうが可哀想な気もするが、主人公はヒロインのために怒る。なぜならアイがあるから。

  • 大学一年の夏、杜崎拓は故郷高知に帰省した。
    親友・松野と里伽子のわだかまりも解け、気分よく東京に戻った拓の部屋に、年上の女性、津村知沙が入り込み泥酔し寝ていた。
    「その年上の女、たたるぞ」という松野の言葉が拓の脳裏に甦る。
    不倫の恋に傷ついた知沙。
    離婚した父とその再婚相手との間で傷つく里伽子。

    その二人の美女に振り回され、翻弄される拓。
    パート2になっても拓のお人好しと苦労性は健在だ。

    僕は拓のまっすぐさが好きだ。
    飄々としながらも、どうやったら人を守ることができるのだろうと真剣に考える拓はスゴイと思う。
    しかも拓には下心なんてものはない。
    拓は本気で他人の幸せを願っているのだ。

    拓のすることは格好良くない。
    ファッションはいつだって綿シャツにジーンズだし、それ以外の服装をしろと言われて、慌てて大学の女友達にバーゲンに連れていってもらったりする。
    里伽子が急に泊まることになっても、母親が用意していったガーゼの寝間着しか出せない。
    イタリア料理なんかよりもラーメンのほうが大好きだ。
    何というか、うまく言えないけれど、拓はあか抜けなくてダサくって、だけどなんだか暖かくって僕は大好きなのだ。

    きっと里伽子も知沙もこういう拓が大好きなんだろうと思う。
    拓を見ていると格好つけたり、見栄を張ったりすることが馬鹿らしく思える。
    それに今回、拓は必死の思いで里伽子を守る。
    確かには里伽子は子供だし、再婚相手の美香にしてみたら、やっていることもただの嫌がらせにしか思えないだろう。
    だけど拓は里伽子を守ろうと一生懸命になった。
    美香の友人には威勢のいいタンカまで切った。
    かっこいいぞ、拓。

  • 大学生活の中で起こるちょっとした出来事。不倫、継母問題、かなりの厄介ごとに巻き込まれる杜崎拓。どの女性も我儘に見えて(たしかに我儘だけど)大沢さんが津村知沙へ言う言葉、「キラキラしているのが、痛々しい。祈りたいような、守りたいような気持ちになる。」の通り、一見強く見えるけれど痛々しくて壊れてしまいそうで、、そんな彼女たちと杜崎くんが紡ぐストーリーと会話の一つ一つが心地良くて優しくて愛しい。終盤の銀座でのシーンと里伽子が杜崎くんから拓呼びになってるのがかなり好き。"この街は海に浮かんでいるのか"

    2019/11/27 読了

  • 0089
    2019/01/09読了
    大学生になってる〜!
    学生だな〜〜〜!って感じ。
    方言無くなっちゃうんだねえ。
    松野もザ・大学生でかわいい。
    男女関係は難しいなあ〜。
    拓の周りはやっかいな女ばっかりだな。
    すごいストーリーが進むでもないけど、そこがリアルというか、大学生のある1幕を見たのが楽しかった。

  • 続編。
    高知の田舎のシーンがないからか、ノスタルジックさはなくなった。ちょっと残念。

    さらに不倫だの流産だの重い話もあり、ちょっとテイストは変わった。

    学生の主人公は少しずつ大人の世界に入っていく物語。

  • ジャケ買い…は、絶対しない分野かと(苦笑)

    とはいいながらもジブリ映像化版を観てそう時間もたたないうちに本屋で見かけてしまったのでついとを伸ばしてしまった。先に読み始めていた三島由紀夫が予想以上に重すぎてペースが上がらす、つい中休みに…と読みだすと一気にこちらを読みきってしまった。そんな心地よさ。

    ちょうど映画の終わったところから話を続けてくれるのも親切な感じで、原作を褒めちぎる人多々いる中、そこまでモチベーションは上がらなかった自分にど真ん中の形で要望に応えてもらった感あり。前編の時代設定は高校生活を中心に大学生の年齢に至るまでという今の自分には甘酸っぱすぎて唾液の処理に困るような内容ではあったが、本後編は主人公たちが大学生、それを取り巻く人達が社会人とちょっと落ち着いた登場人物となっているため、ストーリーの展開とも併せて若干大人向けに綴られていて一安心。ただその分ちょっと人生の酸っぱさは増す。

    とまぁ、ジブリを通してまた世界感を広げてもらったというところか。

  • 北国で生まれ育った氷室冴子さんが、南国で生まれ育って、大学進学を機に上京したばかりの男の子を主人公に描く。

    彼が、高校の同級生と、同じ大学の先輩という2人の都会派美人に振り回される物語でもあるのだけど、ありきたりの話にならないのは、2人の女性の心の揺れがとても丁寧に扱われているからかも知れない。

    恵まれた家庭で育ち、外見が美しく、勉強もスポーツも習い事もこなし、その狭い世界では、お姫様のような彼女たちが出会った、ままならぬもの・・・家庭がある男性への恋心。

    年上の彼女は、断ち切ろうとしても断ち切りきれない思いに駆られ、同級生の彼女は、父親が母親とは別の女性と生活を始めていることを受け入れきれず、ふたりして、どこか制御不能。

    そして、この二人の邂逅・・・。

    同級生の彼女が、家庭ある男性とレストランで食事している年上の彼女を見かけ、デート中の二人を傷つけるような言動を取るのだが、そんなことをしながらも、彼女はデート中の彼女が恋人といてとても嬉しそうで、心から相手が好きなことをしっかり見抜いていたりする。鋭い感受性や冷静ですらある観察力や、さらには一途な恋心にどこかで憧れていたりしても、やはり、許せない、許したくない・・・という複雑さを描き出しているところが、やっぱりすごい。

    主人公が大学で出会う男性の知人・友人も、なかなかに存在感があって、特に、故障に苦しんでいる4年生の陸上部の彼が、陸上生活から負けることを学んだと言うところなど、忘れがたい。

    作中で、挫折という言葉は使われていないと思うが、スポーツ選手としての彼の挫折に触れられているから、まるで質の違う挫折に出会い、懸命に乗り越えようとする危なげな二人の彼女たちの姿が浮かび上がり、その彼女たちに振り回されながらも目が離せないでいる男の子たちのこともはっきりと見えてくるように思える。

    あと、そこかしこから、バブル時代の香りがする。だけど、別の国を舞台にした物語を読むようで、これはこれでよいと思う。

    美人を中心に据えて青春小説を書くなんて、氷室冴子さんは、すごい。

  • 拓のような男の方が理伽子よりよっぽど罪な気がする。
    博愛主義は恋する女の子には毒でしかない。

全73件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

氷室冴子(ひむろ さえこ)
1957年1月11日 - 2008年6月6日
北海道岩見沢市出身の作家。本名、碓井小恵子(うすい さえこ)。1980年代から1990年代にかけて集英社コバルト文庫を代表する看板作家だった。藤女子大学文学部国文学科在学中、第10回「小説ジュニア青春小説新人賞」へ「さようならアルルカン」を応募、佳作を受賞してデビュー。宝塚歌劇をモデルにしたコミック『ライジング!』原作者を経て、作家に専心。
以降多くの作品を手がけ、『なんて素敵にジャパネスク』シリーズ、『銀の海 金の大地』シリーズなどが代表作となる。『海がきこえる』は1993年にスタジオ・ジブリでアニメ化された。2008年6月6日、肺癌で逝去。

氷室冴子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有川 浩
瀬尾 まいこ
有効な右矢印 無効な右矢印

海がきこえる〈2〉アイがあるから (徳間文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×