海がきこえる〈2〉アイがあるから (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198911317

作品紹介・あらすじ

大学1年の夏、杜崎拓は故郷高知に帰省した。親友・松野と里伽子のわだかまりも解け、気分よく東京に戻った拓の部屋に、年上の女性、津村知沙が入り込み泥酔し寝ていた。「その年上の女、たたるぞ」という松野の言葉が拓の脳裏に甦る。不倫の恋に傷ついた知沙。離婚した父とその再婚相手との間で傷つく里伽子。どうしたら人は人を守れるのだろう?さまざまな思いと痛みが交錯しながら拓は東京ではじめての冬を迎える-。

感想・レビュー・書評

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  • 『海が聞こえる』の続編。
    大学生になった拓は、上級生の美人女子大生、津村知沙に目をつけられ、パーティと称したコンパなどに無理矢理付き合わされてしまう。一方里伽子は、父親の再婚相手と対抗し、うまく打ち解けられずにいた。

    拓が、自分の感情を抑えきれなくなるほど怒ったときにも、相手の気持ちを察する冷静さや優しさがあって、私には多分真似できないな、と思った。
    他にも女性の登場人物は自分勝手な子が多くてあまり共感できなかったが、人に気を使わせずに親切にできる人ってステキだな、と思った。目標にしたい。

  • 海がきこえるの続編

    拓と里伽子にまた会えると思うと、
    それだけで嬉しくて手に取った本。

    近藤勝也さんの作画集はいまでも大事に持っています。

    青春小説ですね。

    ブクロブに出てくる表紙、
    出来れば文庫本のアニメ絵ではなく、
    ハードブックの表紙にしてくれないかな~

  • 決めるところをびしっときめるた拓に共感。
    2冊通じて、もっと里伽子の幸せそうな描写があると嬉しい。今でもきっちり書かれていると思うけど。
    次に読むときはどんな感想を持つだろう。

  • 一巻の中の肝心な場面で怒れなかった主人公が今度こそヒロインのために怒る。だからこそ二部作で、これで完結なのだ。
    サブヒロインのほうが可哀想な気もするが、主人公はヒロインのために怒る。なぜならアイがあるから。

  • 大学生活の中で起こるちょっとした出来事。不倫、継母問題、かなりの厄介ごとに巻き込まれる杜崎拓。どの女性も我儘に見えて(たしかに我儘だけど)大沢さんが津村知沙へ言う言葉、「キラキラしているのが、痛々しい。祈りたいような、守りたいような気持ちになる。」の通り、一見強く見えるけれど痛々しくて壊れてしまいそうで、、そんな彼女たちと杜崎くんが紡ぐストーリーと会話の一つ一つが心地良くて優しくて愛しい。終盤の銀座でのシーンと里伽子が杜崎くんから拓呼びになってるのがかなり好き。"この街は海に浮かんでいるのか"

    2019/11/27 読了

  • 0089
    2019/01/09読了
    大学生になってる〜!
    学生だな〜〜〜!って感じ。
    方言無くなっちゃうんだねえ。
    松野もザ・大学生でかわいい。
    男女関係は難しいなあ〜。
    拓の周りはやっかいな女ばっかりだな。
    すごいストーリーが進むでもないけど、そこがリアルというか、大学生のある1幕を見たのが楽しかった。

  • 続編。
    高知の田舎のシーンがないからか、ノスタルジックさはなくなった。ちょっと残念。

    さらに不倫だの流産だの重い話もあり、ちょっとテイストは変わった。

    学生の主人公は少しずつ大人の世界に入っていく物語。

  • ジャケ買い…は、絶対しない分野かと(苦笑)

    とはいいながらもジブリ映像化版を観てそう時間もたたないうちに本屋で見かけてしまったのでついとを伸ばしてしまった。先に読み始めていた三島由紀夫が予想以上に重すぎてペースが上がらす、つい中休みに…と読みだすと一気にこちらを読みきってしまった。そんな心地よさ。

    ちょうど映画の終わったところから話を続けてくれるのも親切な感じで、原作を褒めちぎる人多々いる中、そこまでモチベーションは上がらなかった自分にど真ん中の形で要望に応えてもらった感あり。前編の時代設定は高校生活を中心に大学生の年齢に至るまでという今の自分には甘酸っぱすぎて唾液の処理に困るような内容ではあったが、本後編は主人公たちが大学生、それを取り巻く人達が社会人とちょっと落ち着いた登場人物となっているため、ストーリーの展開とも併せて若干大人向けに綴られていて一安心。ただその分ちょっと人生の酸っぱさは増す。

    とまぁ、ジブリを通してまた世界感を広げてもらったというところか。

  • 北国で生まれ育った氷室冴子さんが、南国で生まれ育って、大学進学を機に上京したばかりの男の子を主人公に描く。

    彼が、高校の同級生と、同じ大学の先輩という2人の都会派美人に振り回される物語でもあるのだけど、ありきたりの話にならないのは、2人の女性の心の揺れがとても丁寧に扱われているからかも知れない。

    恵まれた家庭で育ち、外見が美しく、勉強もスポーツも習い事もこなし、その狭い世界では、お姫様のような彼女たちが出会った、ままならぬもの・・・家庭がある男性への恋心。

    年上の彼女は、断ち切ろうとしても断ち切りきれない思いに駆られ、同級生の彼女は、父親が母親とは別の女性と生活を始めていることを受け入れきれず、ふたりして、どこか制御不能。

    そして、この二人の邂逅・・・。

    同級生の彼女が、家庭ある男性とレストランで食事している年上の彼女を見かけ、デート中の二人を傷つけるような言動を取るのだが、そんなことをしながらも、彼女はデート中の彼女が恋人といてとても嬉しそうで、心から相手が好きなことをしっかり見抜いていたりする。鋭い感受性や冷静ですらある観察力や、さらには一途な恋心にどこかで憧れていたりしても、やはり、許せない、許したくない・・・という複雑さを描き出しているところが、やっぱりすごい。

    主人公が大学で出会う男性の知人・友人も、なかなかに存在感があって、特に、故障に苦しんでいる4年生の陸上部の彼が、陸上生活から負けることを学んだと言うところなど、忘れがたい。

    作中で、挫折という言葉は使われていないと思うが、スポーツ選手としての彼の挫折に触れられているから、まるで質の違う挫折に出会い、懸命に乗り越えようとする危なげな二人の彼女たちの姿が浮かび上がり、その彼女たちに振り回されながらも目が離せないでいる男の子たちのこともはっきりと見えてくるように思える。

    あと、そこかしこから、バブル時代の香りがする。だけど、別の国を舞台にした物語を読むようで、これはこれでよいと思う。

    美人を中心に据えて青春小説を書くなんて、氷室冴子さんは、すごい。

  • 拓のような男の方が理伽子よりよっぽど罪な気がする。
    博愛主義は恋する女の子には毒でしかない。

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著者プロフィール

氷室冴子(ひむろ・さえこ)
1957年、北海道岩見沢市生まれ。 1977年、「さようならアルルカン」で第10回小説ジュニア青春小説新人賞佳作を受賞し、デビュー。集英社コバルト文庫で人気を博した『クララ白書』『ざ・ちぇんじ!』『なんて素敵にジャパネスク』『銀の海 金の大地』シリーズや、『レディ・アンをさがして』『いもうと物語』、1993年にスタジオジブリによってアニメ化された『海がきこえる』など多数の小説作品がある。ほか、エッセイに『冴子の東京物語』『冴子の母娘草』『ホンの幸せ』など。 2008年、逝去。

「2021年 『新版 いっぱしの女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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