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- / ISBN・EAN: 9784198912727
感想・レビュー・書評
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この本は「おすすめ文庫王国」の「心を滑らかにしてくれる⑩冊」に挙がっていて、書いた人の偏愛振りに惹かれ、ほしい本のリストに入れていた。
漸くブックオフオンラインに出てきたので、そちらで購入。それにしてもチョー久し振りだな、打海文三。
元結婚詐欺師で60歳にして銀髪の探偵所相談員・ウネ子、それに振り回される元刑事で容姿がトラウマの探偵・野崎、登校拒否の中学2年生・姫子、確かにそれぞれに魅力的な人物造形ではある。
ただ、彼女らがそれぞれ阪本という男の行方を探すのだが、阪本がなんであんなにモテるのか分からなければ、警察や公安が彼を泳がしているのも腑に落ちず、お話は何となく上滑りな感じでちょっと残念。
(解説で『たとえ筋書きが陳腐であったとしても』と筆が滑って、慌てて言い訳してたけど、そうした文章を残すこと自体、話が陳腐だって言ってるのと一緒のような気も…)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ずっと読みたいと思っていた著者の作品。何と言っても題名すごいよね。そしてもてもての男阪本といい、13歳の姫子といい、ウネ子、野崎、新田までも、他の本には出てこなかったような人物が描かれる。もっと読みたくなる小説だろう。
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桜庭一樹の個人的な文庫オールタイムベストテン
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図書館で。少女と30代オジさんってこの人が書くと意外としっくりするのはなぜだろう。ハルピンカフェでもそうだったしな。
こういう女性にだらしないと言うか女性がだらしなくしているサカモトさんみたいな人居るよなあと思いながら読みました。一見優しいんですけど本質的には優しくない、と言う。正義感が強いようで実は自己満足でしかない。彼が全てをややこしくしている感があります。蕪の話は面白かったな。
個人的には野崎さんの方が好みです。そしてウネ子さんと言い、姫子ちゃんと言い、女性がカッコイイ。姫子ちゃんのアタックに野崎さんが屈する日はそう遠くないと思います。色々な意味でがんばれって感じです。 -
決してスケールの大きな話ではないし、途中で犯人がほとんど明かされてしまうので予定調和的な部分もある。男女間の不潔な雰囲気も鼻につく。なのに、読後のこのスッキリ感はなんだろう(笑)最終的に、すごく気持ちの良いところに落ち着いたお話でした。
多分、登場人物がすごく魅力的なんだと思う。姫子にウネ子さんに野崎に。みんな俗っぽくて猥雑なんだけど、それを突き抜けてしまうくらいの格好良い生き様。特にウネ子さんが素敵すぎて…元結婚詐欺師で、他人の戸籍を買い取ったのちに探偵業に落ち着いた60歳のおばあちゃんって…反則やろ…
もともとハードボイルドはそんなに得意でなかったのですが、姫子の成長の物語としてとても清々しく読めました。続編もあるようなので、そちらも後日、ぜったい読む。 -
ミステリ通たちを驚喜させた傑作書下し長篇。探偵小説を超えた探偵小説。初恋の相手は殺人容疑者。死体の脇で発芽したアブラナ科の子葉は無実の鍵なのか。13歳の姫子は追う。絡むウネ子60歳。男は逃げる。恋は切ない。愛はもつれ残酷だ。
アーバン・リサーチ・シリーズ 2
ウネ子、病気は治ったのか?笑 1の続きだけど、変更か?
1よりは面白く読めたが、ラストは思った通りなのでちょっと残念。
不細工な元刑事の探偵野崎は、中々可愛らしいキャラだ。佐竹、野崎、この後のシリーズ登場に期待。
読み返しは、ないかもね。 -
2011-41 坂本君のもて話、下は中学生から上は60歳まで出てくる女性みんなにもてる。でもあまりキャラクターはよく分からない。登場人物全員なんか感情移入できるような人はいない。
とりあえずタイトルが抜群にカッコイイ。全然関係ないが映画「腑抜けども悲しみの愛を見せろ」と双璧をなす格好よさ。 -
後からボディブローのように効いてくる小説。
最高級洋菓子のような、新鮮な果物のような小説。
あまねく修羅場ってのは失恋に起因しているのかも知れない。
またそのうち読み返してみたい。
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あなたも私と同じことをして私のところまで堕ちてきてよ。
人が死ぬシーンよりもこの台詞に最も修羅場を感じた。 -
こういう風に10代前半の少年少女を描く作家さんがいることを全く知らなかった。衝撃だった。描かれている少年少女の造形を追うと、(確か)中世欧州では“子ども”は“幼児”ではなく“小さな大人”として扱われいた、ということを思い出す。弱いだけでなく、したたかさを持つ存在。
文章は柔らかにして明瞭。
強面の野崎さえ恋に落とす、姫子の気概が印象深い。