聖林輪舞 セルロイドのアメリカ近代史

  • 徳間書店 (2000年6月1日発売)
3.60
  • (1)
  • (1)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 15
感想 : 1
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198913250

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • アメリカを彩った伝説のスター、政治家、大富豪、凶悪犯罪者の島田流伝記。これがやたらと面白い。
    島田氏の練達の筆の冴えもその要因だが、やはり何といっても現在の世にも名を轟かせている希代の著名人たちの、一般人とはかけ離れた人生劇場が物凄く面白いのだ。
    題名の英語版は「ハリウッド・ロンド」であるからこれはハリウッド・スターのみを取り扱ったものかと思えばさにあらず、ハリウッドに魅せられ、ハリウッドに踊らされ、またハリウッドに毒され、最後にハリウッドに蝕まれた者たちの鎮魂歌なのだ。16の有名人(一家)が扱われており、そのどれもが非常に面白い。
    前半のハリウッド黎明期のスター達―早川雪洲、チャップリン、キートン、ディーン―では今ではなかなか知りうることの出来ないハリウッドの裏側を詳細に紹介し、一般に英雄とされるハワード・ヒューズが実は晩年、狂人的な生活を送り、寧ろ不幸であったこと。プレスリーという不世出のロックスターもやはりメディアの毒に負け、死んだ事。ヴェトナム戦争がアメリカ人に与えた暗い翳がチャールズ・マンソン事件のような惨劇を生み出したこと。アメリカの病巣を抉り出す筆致はしかし、物静かだ。
    唯一、フレッド・アステアのエピソードが非常に温かく、破顔してしまった。ジェームズ・ディーンが男色家だったのは驚きだし、キートンの幼少の頃のコントみたいな扱われ方も非常に面白かった。

    ハリウッド、この特殊な街、いや特殊な世界が訪れるものを狂わせる。人生の半ばはそれが与える栄光で金銭的、性的幸福を得られるかもしれない。
    しかし、末路は皆一様に人の数倍も不幸である。今日もハリウッドでは誰かが金に酔い、誰かが不幸のどん底に陥っているのだろう。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島田荘司の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×