- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784198922337
感想・レビュー・書評
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D県警シリーズが好きだ。
D県警には警務課調査官人事担当・エース二渡さんがいるから。二渡さん、好きなんです……
横山さんには二渡さんが活躍する話をもっと書いて欲しいな。
あ、でも。そうなると、どうしても警察内部や身内同士のドロドロとした部分を暴きだすようなミステリーになるのかな。だって二渡さんの職務って身内が対象となることが多いもんなぁ。
だから何だか重いミステリーとなる。
それでもそれを重たいだけで終わらせないのが、横山秀夫さんなのだ。横山作品は人間の真髄を見せてくれる。
『顔』の連続ドラマ(2003年放送)が大好きだったから、当時原作の『顔 FACE』も読んだはずなんだけど、まだブクログを始めてなかったから今回登録するために再読。
そうだった、原作にはドラマ版でヒロインとともに重要な役柄であった西島刑事がいないんだ。
だからなのか、原作のヒロイン・婦人警察官(作品の呼称のまま)平野瑞穂には、たった1人で肩肘を張りながら警察社会で闘っている、そんなイメージがドラマ版よりも強くある。ピリピリとした緊張感が彼女にはつきまとう。
鑑識課機動鑑識班の一員として、似顔絵作成を担当していた瑞穂は、1年前失踪騒ぎを起こし休職する。その辺りの事情は『陰の季節』に収録されている「黒い線」で描かれている。
『顔 FACE』は、その彼女が秘書課の広報公聴係員として復職してからのミステリー、短篇5編が収録されている。
もう一度鑑識課に戻りたいとの希望は叶わずとも、瑞穂はまっすぐと事件の闇を見つめ真相へと辿り着いていく。
そう、今回は大好きな二渡さんじゃなくて、彼女が活躍するD県警シリーズ作品なのだ。
とにかく横山作品の描く警察は男社会である。
それも身内だろうがなんだろうが、隙を見せたら容赦なく蹴落とされるようなヒリヒリする空気を漂わせている。
当時の警察って、特に所轄署はまだ「24時間戦えますか」が当たり前の職場だったと思う。そんななかで女性が働くには本当に辛い職場だったろう。
「だから女は使えねぇ!」なんて言葉は、さすがに現在では女性警察官に対して面と向かっていう輩もいないだろうけど、でもやっぱり警察社会のリアルな現状って根本的な部分は男社会ではないだろうか。
小説内で瑞穂は何度もそういう言葉を吐かれるし、吐かれないまでも、何気ない描写に男たちの舌打ちが聞こえてくる。男性警察官の全員がそうではないけれど、やはりそんな場面が多くある。
なんだろ。たとえば男性警察官が瑞穂と同じような行為をしたとしても、周囲はその男性警察官自身に対して毒づくだけで「だから男は使えねぇ!」なんて言わないよね。
そこが憤懣やる方ない。婦人警察官は1人の警察官として認められてるわけじゃなくて、「女」というひとかたまりとしてしか見られていないのではないだろうか。もっと言えば「女」という言葉の裏には「警察官」という身分さえ認められていないのかもしれない。
つまるところ、1人の婦警の失敗が、そのまま婦警全員の失敗になるのだ。
おまけに瑞穂は、「黒い線」での問題があるから、D県警、とくに鑑識課・刑事課からは疎まれた存在として尚更だ。
瑞穂は婦警を続ける以上、重い過去を背負っていかなければならない。
今、彼女はその過去から逃げ出さないように踏ん張っているところなんだと思う。
泣かないように歯を食いしばっているのだと思う。
この社会で生きていくには、これからも辛いことのほうが多いだろう。見たくないものを見ることもあるはずだ。
次、失敗したら後がない。
それをわかっていながら戻ってきた瑞穂はなんて強いのだろう。
彼女は数々の事件に関わるようになって、少しずつ変わりはじめる。いや、彼女の中に眠っていた正義感や婦警としての誇りなどが目を覚ましはじめたのだろう。
「心の痛みを涙で癒すのはもう嫌だった。」
ミステリーだけでは終われない。
これでもかと人間の持つ闇を抉った先に微かな光が射し込む。
それが横山秀夫作品であり、D県警シリーズなのだ。
〈D県警シリーズ〉
・影の季節
・動機
・顔 FACE
・64(ロクヨン)
・刑事の勲章(電子書籍のみ)-
hiromida2さん、おはようございます。
横山秀夫さんのミステリーいいですね!
わたしも久しぶりに読んだらやっぱり面白くて、また...hiromida2さん、おはようございます。
横山秀夫さんのミステリーいいですね!
わたしも久しぶりに読んだらやっぱり面白くて、また横山秀夫ブームが来そうですo(>∀<*)o
「顔 FACE」はドラマが好きで、というかこの時のオダギリジョーが大好きでした。
でも原作にはいないキャラなんですけどね。
D県警シリーズは二渡さんが大好きで、「顔FACE」にも最後の方に一行だけ出てきたのを、わたしは見逃しませんでした 笑
この正月休みは、世の中はドラマ「教場2」だと思いますが、わたくしは「陰の季節」「刑事の勲章」のドラマを観て、二渡さんの元へ出頭して参りたいと思います("`д´)ゞ(なんのこっちゃ……)
hiromida2さん、こんなわたしですが、来年もどうぞよろしくお願いします(*^^*)
よいお年を~♪2020/12/30 -
地球っこさん、ありがとうございます。
なるほど…です! ドラマの方も結構面白かったですよね。 県警事情に詳しい 横山秀夫さんだからこその作品...地球っこさん、ありがとうございます。
なるほど…です! ドラマの方も結構面白かったですよね。 県警事情に詳しい 横山秀夫さんだからこその作品の数々^ ^
ますます…ブーム再来の予感!
こちらこそ、こんな…私ですが、来春も…どうぞ宜しくお願いします。2020/12/30 -
2020/12/30
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D県警シリーズ第3弾!
今度の主役は婦警さん。
それも犯人などの似顔絵を描くという仕事。
この話では、実際は、失敗というより、言う事きかんかったから、追い出されてからの話になる。
今までのD県警シリーズよりも、事件現場に近い感じがする。今までのは、人事とかそんなのの権力闘争みたいなのばっかりやから…
男社会の警察組織をまざまざと見せつける。「女は使えん!」みたいな事を言われながら、事件を追うって感じ。
何で、こんなに男社会なんか知らんけど…
やっぱり、刃傷沙汰が多いというイメージから、男という感じになるんかな?
まぁ、適材適所ですわ〜
いくらでも活躍出来る場はあるし、頑張って下さい〜
古い作品なんで、今の現状を表しているかは不明… -
どんどん追いかけてくるような文章に共感してます。もはや横山秀夫の文章が読みたいです。
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大好きなD県警シリーズ。実は1作目から順には読めておらずつまみ食い状態の横山作品。そんな私でも面白かった。
警察官も人間である。警察組織はそんな人間たちの集まりに過ぎない。だから差別もあるし嫉妬もある。内部のいざこざだって出てくるし、外にはいい顔をしたいだろう。
瑞穂もその中の1人だ。特別強いわけでもなく弱いわけでもない、悩みながら、迷いながら、大きな手柄もなければ貢献しないわけでもない。それが妙にリアルで親近感の湧く主人公だった。観察眼には驚くが、ミスも悩みもありバランスが良い。
何人もの男性が出てきたのに、キーパーソンはいつでも女性だったことも徹底してて面白い。-
ぴぃさん、はじめまして。
わたしもD県警シリーズ好きです。
特にエース二渡さんが大好きです♪ぴぃさん、はじめまして。
わたしもD県警シリーズ好きです。
特にエース二渡さんが大好きです♪2021/02/02 -
地球っこさん
初めまして。
コメントありがとうございます。
二渡さん、ほんの少しでしたが出てきていましたね!
1作目からちゃんと読んでいこ...地球っこさん
初めまして。
コメントありがとうございます。
二渡さん、ほんの少しでしたが出てきていましたね!
1作目からちゃんと読んでいこうと思います。2021/02/03
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D県警シリーズ第三弾。今回の主人公は婦警・平野瑞穂。連作短編だが、最後の話は少し長い。この話は意外なラストだった。
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陰の季節を呼んでいたら、FACEの登録漏れに気付きました。読んだのは1年くらい前か。婦警平野瑞穂巡査の活躍で面白かったです。
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男性社会での女性警察官の奮闘物語。ミステリーとしても要素も結構あったし面白かったかなー。
著者プロフィール
横山秀夫の作品






そこそこスピード出るのと、サスペンションが無いので道路の凸凹がまともに振動となって(((゚Д゚)))...
そこそこスピード出るのと、サスペンションが無いので道路の凸凹がまともに振動となって(((゚Д゚)))ガタガタ
みなとみらいの大渋滞は車の横をすり抜けるのが怖かったです:(´◦ω◦`):プルプル
もっと楽な移動手段が欲しいものです。
もっと楽な移動手段が欲しいものです。