真昼の誘拐 (徳間文庫)

  • 徳間書店 (2005年10月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198923242

感想・レビュー・書評

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  • 昭和47年に『週刊小説』(実業之日本社)に連載された作者の初期の作品。いかにも森村作品らしい構成の妙があり、その設定と展開には多少の強引さも感じられるが、登場人物の関係の糸が少しずつ明らかになっていく巧みな筋書きが一気に読ませてくれるサスペンスだ。必然にあらがおうとする人間たちの懊悩と苦闘、虚構の愛を覆い隠せなくなり、静かな悲しみが漂うラスト、すべてが森村が奏でるいつもの色調である。

    主人公の大学助教授・宮本洋一郎が、人気清純派女優・八木橋紀子との情事の後に帰宅すると妻が死体と化し、息子の姿が消えていた・・・。誘拐されたと判断した宮本は息子を案じるがゆえに警察には連絡せず、愛人の紀子に助けを求める。しかし犯人からは連絡はこない。そこで女優の紀子は一計を案じ、テレビの生放送劇で犯人に連絡することを思い立つのだが・・・。昭和40年代には生の放送劇なんてものがあったのかと時代を感じさせる。読む側からすれば「警察に電話しろよ!」と言いたくなるが、そこはプロット上やむを得ない。複数の別の場所で発生する事件が見事にひとつにまとまっていく構成は作家の技量であり、古さは感じるがとにかく面白いことは確か。

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著者プロフィール

森村誠一
1933年1月2日、埼玉県熊谷市生まれ。ホテルのフロントマンを勤めるかたわら執筆を始め、ビジネススクールの講師に転職後もビジネス書や小説を出版。1970年に初めての本格ミステリー『高層の死角』で第15回江戸川乱歩賞を受賞、翌年『新幹線殺人事件』がベストセラーになる。1973年『腐触の構造』で第26回日本推理作家協会賞受賞。小説と映画のメディアミックスとして注目された『人間の証明』では、初めて棟居刑事が登場する。2004年に第7回日本ミステリー文学大賞受賞、2011年吉川英治文学賞受賞など、文字通り日本のミステリー界の第一人者であるだけでなく、1981年には旧日本軍第731部隊の実態を明らかにした『悪魔の飽食』を刊行するなど、社会的発言も疎かにしていない。

「2021年 『棟居刑事と七つの事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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