- Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198923297
感想・レビュー・書評
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連作短編。
どの短編も秀逸な浅田節。
中でも「小鍛冶」と「雨の夜の刺客」が好み。
「雨の~」は苦しいほどに切なく、生命に満ちている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「夢にも他言なさいますな」
…などと言われたら
誰かに話したくて
話したくてしかたないのが世の常。
何とも怪しげな会合で語られる
興味深い話の数々…。
立花新兵衛只今罷越候もいい、
雨の夜の刺客もいい!
見事に引き込められた…。 -
宮部さんの百物語は中だるみかなあと思っていたところで
浅田さん版百物語、浅田さんはやはりすごいと再認識。 -
ぐぅっと引き込まれる話ばかり。おもしろい!
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とにかく『小鍛冶』の話が好きすぎる。
日本刀好きにはたまらない!あの小狐丸の逸話をこう取り入れたのか、と心の中では拍手喝采だった。
『百年の庭』も、登場人物の語り口にグッと胸にくるものがあった。庭(自然)の方が立場が上、人間は僕。その考えを徹底して生きてきた老婆の語りは、音声を伴って聞こえてくるようだった。
すごく細かいところにはなるが、最後の一編、『雨の夜の刺客』の301ページに「ときどき洩らす広島弁は」とあるが、平成以降の広島出身者からすると「そんなに広島のヤクザって名を轟かせていたのか……?」と不思議な感覚がある。まぁ、レンタルビデオ店に行っても広島が舞台の任侠作品はたくさんあるので、きっと昭和の広島ヤクザはすごかったんだろう、きっと。 -
手順前後で『草原からの使者』を先に読んでしまったが、沙高樓はこっちが本家。おそらくシリーズ化を決定付けたであろう第一作「小鍛冶」は傑作。さすがにこの緊張感とクオリティを全作に求めるのは酷というもので、サイコ・ホラーあり、幽霊譚あり、ミステリーあり、義侠小説ありとバラエティに富むものの、いずれも(水準遙かに以上とは言え)今一。
最近、浅田次郎ばっかり読んでいる気がするな。 -
この人は実にいい。なぜ? ・・・・解らない。何冊か読み足してみるとしよう。
「百年の庭」が秀逸
カバーデザインも又いい。 -
ある日、主人公は国立博物館に出かけた。目的は宝刀。閉館30分前の到着であった。千年の鉄色の前に30分は瞬く間に過ぎ、後ろ髪を惹かれる様に立ち去ろうとしたとき、目に留まったのは小竜景光、楠木正成の佩刀であった。あまりの美しさに目を奪われ閉館時間を無視することに決めたとき、ふいに横合いから名前を名を呼ばれた。振り向けば、旧知の小日向、現、三十四世徳阿弥家(刀剣の鑑定家元)であった。 小日向は、主人公をある会合に誘う。その会合は、沙高楼と呼ばれるビルの一室で開催される。 小日向曰く「高みに上り詰めた人は、誰もが必ず決して口にすることが出来ぬ秘密を持っているものです。そうした毒を吐き出す集いがここで催されるのです」。主人公は、この怪しげな会合、綺譚に加わる。 まずは、小日向が口火を切り、その後4人が各々の毒を吐き出す。なんとも不思議な話が展開する。それぞれの話は、荒唐無稽なようで、でもどことなく、あるかも知れぬというなんともいえない微妙な感じで到底要約できない。この歯切れ悪さが、気持ち悪い人は、読んでみてください。決して損はいたしません。
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今宵、打ち明けられるのは映画のカメラマンやガーデナー、おヤクザさんなど、心の内に隠していた行き場のないお話。刀鍛冶やガーデニングなど、浅田さんの引き出しの多さにも驚かされました。その中でも、1番最後の「雨の夜の刺客」は特に読んでほしい。まともすぎるくらいまともな人間の語る死生観は、目を背けてしまいたくなるほどの真実で、言葉の重みにうなり声をあげてしまいました。この短編を読むだけでも、この本を読む価値はある。