- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198926267
作品紹介・あらすじ
失業中の元銀行員・大原次郎は、再就職活動中に金融絡みの難題について相談を受けた。これまでの経験と知識を生かし、怪事件を鮮やかに解決していく。出納記録だけの謎めいたノートの持ち主を推理するスリル満点の「誰のノート?」他全七篇。ミステリー連作集。
感想・レビュー・書評
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銀行を辞めた主人公が就職先が決まらずにやむを得ずに金融問題の探偵を始める話。自分も金融関係につとめていたので銀行ものとか好きですが、この話は探偵ということで一味違ってまた面白い。しかしなんだか儲かってなさそうだしハラハラしてしまった。
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池井戸潤さんの本はこれが16冊目。
「半沢直樹シリーズ」や「空飛ぶタイヤ」等々から入った私は池井戸さんがミステリーでデビューしたことをすっかり忘れておりました。
この「金融探偵」も探偵の前に金融とついているのだから金融限定なのかと思っていたのですが…
7編の連作短編。
読み始めるとどうやらそんな感じではなく、「眼」を読んだ時には「あれ?」と不思議な感じに。
「誰のノート?」・「家計簿の謎」にはぐいぐいひきこまれました。
解説ではこの「誰のノート?」のアイデアを活かした長編小説「●●巴里日記」(●●はあえて伏字に)がミステリマガジンに連載されていると書かれているのですが、この作品は本としては出版されていないような…
「金融探偵」を読んで、「誰のノート?」の持ち主である●●にまで興味がでてきた私。
「●●巴里日記」も読んでみたい! -
金融探偵も面白いが、直前に読んだ「銀行総務特命」の方が面白かったかな。
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オレが大学を卒業した頃の就職活動・・昭和60年。
この頃に、もしも企業の偏差値というものがあったら、銀行という就職先は高値の華。
成績証明書でも、ほとんどの成績が「優」でないと完全に書類審査で落とされて、一次にもたどり着けない。
それほど、銀行というのは将来の約束をされた就職先であり、優秀な奴ばかりが進む場所だったのだ。
主人公の大原は、再就職を求めてあちこちの企業をまわるがどこにも受け入れてはもらえない。
そして彼は金融関連で銀行がからんでいる問題を抱えている人たちの悩み事を聞いているうちに・・・
これまでの銀行時代の経験と知恵を活かし、様々な問題を解決していくのだ。
銀行マンというものには、もちろんなったことはない。
しかしこの仕事というのは、客の口座一つを切り口に、様々な想像力を駆使して大きなビジネスにつなげるものであると思う。
大原にとっては、この「金融探偵」という仕事は、就職先が決定するまでの「かりそめの仕事」のつもりだった。
しかしいつの間にか、天職といってもいいほどマッチしてくるのだ。
池井戸潤氏は、ほぼオレと同学年。慶応大学から旧三菱銀行に入行したエリートだった。
メガバンクの中のドロドロした勢力争いなどを描く小説も嫌いではない。
しかしこの小説「金融探偵」は、細かい部分に彼の銀行マン時代のノウハウが凝縮されているように思えるもの。
金融の面白さを十分に垣間見れるこの作品は、池井戸氏がぜひ描きたい内容であったのではないだろうか。
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池井戸潤の金融モノなので、半沢みたいにスカッとしたのを期待したけど、主人公がいまいちさえずに終わってしまった。
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大手銀行をリストラされ、なかなか再就職できず、なんの縁か、大家の娘にすすめられはじめた探偵業が、探偵過ぎずに面白い(^^)本当に素人が探偵始めましたって感じで、ちょっとしたことで躓きながら、成長?していく姿がなかなかです?
話の進行と並行に、再就職のために、ハローワークや面談を受けているのですが、結局、本書では再就職実らず…世の中、厳しいねぇ(笑) -
銀行を解雇され、ハロワに通う青年がダラダラと過ごす日常の中、偶然に巻き込まれてしまった事件に首を突っ込んでいくうち、自称探偵として活動するという連作短編小説。
ベラベラと捜査情報をしゃべりまくるお巡りさん、盲目なのにレジや接客まで一人だけでやってしまうマッサージ店経営者、死者の見た映像が見える角膜移植者など、ツッコミどころ満載の登場人物。それゆえに現実離れした感覚で気楽に読める爽快な小説だ。
さらに、仕方なく探偵をやっているという主人公のやる気のなさが、ハロワに通うイマドキの若者像にマッチしている。
若者よ、シューカツより探偵だ。 -
職探しをする元銀行員がいつの間にか探偵に。
おもしろいのは、半沢直樹のような理詰めの話以外に、へぇ、そんなことにも興味持ったのか、この作家は!と驚くような要素が入っていること。
怒りに燃えて道を切り開いていく現在の諸作にくらべ、大きな流れに右往左往流される主人公がどこか人間味に溢れていて、つい応援したくなる。