原宿団地物語 (徳間文庫 ひ 25-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198931292

感想・レビュー・書評

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  • 小曽根さんがご近所の登場人物たちと接する中で、それぞれの個人的な生活、人生、日常的な風景が描かれている。登場人物たちが抱える事情は、都会の真ん中にある原宿団地の土地柄を反映しているようなリアリティがあって、退屈せずに読み進められた。

  • 原宿の団地に住む定年爺さんの小曽根さんと居住者の人情話が8編。 各々の話が一話完結でその後が気になる。

  • ヒキタクニオらしい設定だか、いまいちパンチに欠けるかな。珍しくほのぼのした感じでした。

  • 青山キラー通り沿いにある原宿団地を舞台にした短編集。
    原宿団地とは実在したのですね。
    もちろんフィクションでしょう。

    主人公は73歳の小曽根さん。
    40代までアメリカで過ごした江戸っ子で、ベルギー人の奥さんと二人暮らし。
    原宿団地の主として団地で起こることをすべて見ている。

    小曽根さんが主人公になったり、脇役になったりして物語は進んでいく。

    表題作『原宿団地物語』は団地の住民達が団結して落書き犯を捕まえる話。
    タイガーマスクの仮装をすることで安堵感を得られる女性という存在が面白い。
    バツイチの翻訳家との恋愛話もあり、唯一恋愛色の強い話だった。

    『汚し屋』
    ヴィンテージジーンズの贋作を作る売れない役者が主人公。
    団地に住むホステスの部屋に転がり込んで、小曽根さんと出会う。
    夢追い人のなんだかヒリヒリする話。

    『ボールゲーム』
    小曽根さん少年野球の監督になるの巻。
    爽やか。野球が好きであるほど楽しめる。
    ノー知識だといまいちかも。

    『スイス式』
    ハゲであることにコンプレックスを持つスイス人マッサージ師の話。
    自虐と悲哀。

    『原宿シロー』
    亭主関白な夫を持つ専業主婦のお話。
    一番ドラマチックなものの、こういう系統の話は好きではない。

    『夢騒がし』
    自分が人を殺した(妻を殺した)と思い込んでいる男の話。
    精神ホラー的。

    『天狗』
    トンデモ系。
    とつぜん現れた天狗に「願いをかなえてやる」と言われた40男が、とある願いをかなえてもらう話。
    かなりしょうもないけど、オチはよかった。

    『チョコレート・ペーストの日々』
    小曽根さんがいじめられているらしき小学生と出会い、なんとか救う手立てはないかと考える。
    小曽根さんの生活もちらり。

    ほのかな恋愛テイストあり、
    スポ魂あり、ホラーあり、不思議系もありで、いろいろなお話が楽しめる。
    相変わらず文章がうまくて展開のメリハリも効いて面白い。

    のだが、本作は小曽根さんのキャラがいまいちな印象だった。
    小曽根さんは中身はアメリカンなおじいさんだけれど、物語の中ではとても70代には見えない。
    70代に設定する必要性もさほどない。
    だからあえての小曽根さんの設定に違和感があった。

    そしてそれぞれの物語の登場人物、筋は悪くはなかったものの、もう一段階、全編につながりがあればよかったかなあと思う。
    ちらっと別の話とリンクしたりする場面もあるものの、少し物足りなかった。
    ちょっとパラパラしちゃった感。

    もう一歩のカタルシスがないのが、凡庸な読後感。

  • 何だか、ほのぼのする。
    爺さん婆さんの奮闘記。
    なんだか、こういうコミュニティあったら良いね。今って近所の人間関係なんて希薄だしよ。
    場所が想像出来るだけに、中々悪くない。

  • つまんない、ことはないのです。

    でも、ヒキタ作品ということで期待はでかく、
    その分ちょっとだけ、びみょー感。

    登場人物の面白さ、原宿という場所の意味、団地、という設定。

    すべてにきちんと理由があるのでムリはないんだけど、
    でもなんとなく、すかすかした感じが抜けない。

    殺し屋シリーズのひりひりした感じ、やっぱあれが好きだからかな?

  • 確かに原宿の辺に団地あるなあ、って場所が秀逸。ハイソってわけでは全然なく、田舎ではない超都会の中に裏びれている。
    小曽根さんの人柄に癒される。
    「ボールゲーム」は少し泣きそうになった。解説の岡本健一が中々よく分かった解説をしていますね。

  • なんかゆるめな話が続くかんじでござった。
    小曽根さんがお掃除するのが日常で、もう一個非日常なお話が近くで展開。短編が続く。あー原宿団地か…

    素敵に暮らしたいね

  • 「凶気の桜」の作者なので、恐々と読みましたが、
    良い意味で裏切られた、連作でした。

    アメリカ帰りの元アパレル勤務のじいちゃん筆頭に、
    平成初め位な雰囲気で、団地のおかしな人々の悲哀が
    描かれます。

    最初の1話はとっつき難かった物の、
    以降はすんなり入れました。

  • すごく好きな作家のひとりなんだけど、
    今回は、ちょっと残念。

    連作集だと思わずに読み始めたから、最初の話から、
    こんな調子で続くのなら、ちょっとだるいな、と思って
    一度途中で中断してしまった。
    短編が続くと知って、何とか持ち直した。

    タイガーマスクの話も、天狗の話も、スイス人の話も、そう考えるとよかったし、
    最後の淳也と小曽根さん以外、ひとりで暮らしていて、そのさびしい生活の中で団地っていう設定が必要以上になれなれしくなく、それでいて人とつながっている感じがして、うまいなぁ、と思った。

    でもねー…。
    野球の話とか、おもしろそうだったので、もっとよく理解したかったし、
    写真の話とかは、よくわかんなかったし。
    小曽根さんも、もう少し深みのある人物にかけそうなものを。

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著者プロフィール

ヒキタ クニオ
1961年、福岡県福岡市生まれのイラストレーター、クリエーター、作家。1986年、九州産業大学芸術学部デザイン科卒業。大学在学中に日本グラフィック展で奨励賞受賞。1988年、JACA日本イラストレーション展銀賞。1998年にCD-ROMで、ブラウン管で読む小説「ブラノベ」『ブラノベ人生画報』を発表以降、作家業を営む。作家代表作に、2006年に第8回大藪春彦賞を受賞した『遠くて浅い海』。ほかの作品に映画化された『凶気の桜』『鳶がクルリと』、『触法少女』など。2019年10月に、『「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」―男45歳・不妊治療はじめました』 が実写映画化される。

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