蒼林堂古書店へようこそ (徳間文庫 い 51-2)

著者 :
  • 徳間書店
3.23
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本棚登録 : 1974
感想 : 287
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198931513

感想・レビュー・書評

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  • 古本屋で語られるミステリー仲間の集いが羨ましい!ライトな読み口&良書紹介 #蒼林堂古書店へようこそ

    ■あらすじ
    ミステリファンで集う蒼林堂古書店。毎週日曜日は、店主と馴染みのお客さんで賑わっていた。いつもミステリー談義と日常の謎を語らい合う彼らだったが、その会合も14ヶ月目を迎えたときに…

    ■レビュー
    14の掌編で綴られた連作集、全編とおしてホッコリとした空気で満たされる作品です。読んでて心地いいですね~

    なにより本作で一番素敵なのは、登場人物の皆さんの仲の良さ。
    私もこんなミステリー仲間、読書スペース(しかもリーズナブル)が欲しい!
    だれかミステリー専門の古書店を近所に作って下さい、頼む。

    本作のトリックは日常の謎ではありますが、相変わらず視点が面白く、またその謎に対して遊ぶのが超上手い。頭の体操になるような内容で読んでて楽しいですね。

    そして各篇に最後に挟まれるミステリー書籍の紹介もイイ!
    現代ではない少し古めの作品が多く、知らない作品がたくさんありました。
    積読で大変なのに、また読みたい本が増えちゃうじゃないの。困るっ

    気軽に読める内容かつ掌編の短い物語で進行するので、ちょっと疲れた時や日曜の午後など、ほっとしたい時に読むといいですね。

    ■推しポイント
    作者が日常にそれとなく存在している、ごく細かいことに対しても、つねに興味や疑問を持っていることが伝わってきます。

    例えば本のタイトル、商品名、人の名前、手紙やメールの文字などなど。
    なぜこうなっているのか?という探求心、こう変化したらこうなるだろうといった好奇心が凄いです。

    人生、ぼけーーーと生きているとあっと言う間に時間が過ぎますが、身の回りにある課題を見つけたり、解決していく能力が必要です。
    こういった気づきの大切さを教えてくれる、優しい本だと思いました。

  • ミステリーは実際にはめったに起こるものではない。
    だからこそエンターテインメントとして客観的に楽しめる。

    しかし、ミステリー沼にハマった住人はどうなのだろう。
    蒼林堂古書店の店主や常連客にとってミステリーは日常に溢れている。
    とはいえ、ハラハラするようなものではなく、日頃出会う小さな気がかり。
    例えば、おもちゃの電車を走らせていたけど、トイレに行ってる間になぜか消えていた。とか、
    居酒屋で出会った年齢もタイプも違う怪しい会話をしている団体客、彼らは秘密結社の一員なのか?など。

    こんな些細な気がかりがこの住人たちの洞察力、観察力、推理力によって次々と解明されていく。
    最後の最後でこんなオチが待ってるとも思わず、
    まったりとした時間を過ごさせてもらった。

    知的な人たちにかかれば謎解きも秘めた思いを託すツールにもなり得る。
    気づいているの?気づいていないの?この揺れ動く気持ち。
    思いがけなくロマンチックな読後感だった。

    • autumn522akiさん
      NEW PEACEFULLY BOOKSTOREさん、こんにちは!

      感受性豊かなとっても素敵なレビューですね。
      本書は私も同じような...
      NEW PEACEFULLY BOOKSTOREさん、こんにちは!

      感受性豊かなとっても素敵なレビューですね。
      本書は私も同じような感想を抱いていて、もう一度優しい気持ちになれました^^
      2022/09/24
  • '22年1月2日、読了。久々の、乾くるみさん…。

    お見事!

    正直、「日常の謎は好きだけど…ちょっとパンチに欠けるなぁ」なんて思いながら読んでいましたが…最後の最後、見事に、カッコよく、そしてホッコリ、幕を閉じます!

    唯一、「転送メールの罠」だけ、意味が解らず…再読して、笑ってしまいました!バカミスっぽい(┛◉Д◉)┛彡┻━┻

    楽しかったです!

  • 話の内容も◎だが、店長が投稿としているミステリ本の案内が面白いです!毎回出てきた本を紹介しています。 近所に、コーヒー一杯(しかも美味しい)を飲みながら、本をゆっくり読む空間があるのは凄く羨ましいです。

  • 雑誌連載をまとめたものだから仕方ないかもしれないが、各章の前置きの重複には、ちょっと???
    文庫化にあたって、加筆?減筆?修正できなかったかな。
    それに余って、各章ごとの小さな謎解きと、本書全編での謎の仕掛けには思わずニヤリ、楽しめた。
    「林雅賀のミステリー案内」での紹介作品は、今後の読書案内に大いに参考になる。
    そして、こんな古書店が近くにあったら、ぜひ行ってみたいな。常連客になってしまうかも。

  • ミステリー専門の古書店で繰り広げられる古今東西のミステリー談義。
    一言でいうとそういった短編集。途中でちょっと飽き、ちょっと放置しておいたのですが、手にとって読了。
    そこはやはり乾さん、それだけに終わらずにやはり仕掛けがあったのでした。唸らせてくれたから☆五つ。

  • 凄く良かった!正直舐めてた。
    ブックオフで背表紙だけを見てなんとなしに買って帰っては来たものの、特にお目当ての物ではなかったという事もあり後回し状態だったのだがようやく手に取り読んでみるとビックリ。
    ページを開いてからミステリー物だと知る位なんとなくで読み始めてみたこの作品、絶妙なマッタリさと心地の良い空気感になんかホッコリしてしまった。
    当方、普段あまりミステリーものは読まないが、この機会に作中で紹介されている数多くのミステリー作品の中から幾つかチョイスして読んでみようかな。

  • 短編がどんどん続く感じかと思っていたけど、予測していたより1話完結みたいな感じで読みやすかったです。でも、何となくゆるーい感じて進むので、人によっては退屈って感じるかも。ミステリーが好きな年齢も違う彼らが、楽しく話すシーンが1番好きでした。

  • 蒼林堂古書店のカフェカウンターにマスター含め5人のミステリー愛好家が集まり、日常の謎やらについて語り合うお話し。ミステリー小説の紹介もあり、いろいろな本を読みたくもなりました。

  • 連作短編集。

    登場人物4名が古書店に集まり 日常の謎を持ち寄り推理していく物語。

    一つ一つの謎はビックリするようなものはないのだが、最後に短編を締めくくる部分はかなり面白かった。
    評価は☆3にしたが、限りなく☆4に近い感じがする。




    登場人物の一人であるしのぶ先生は古書店店主に恋心を抱いているのだが、店主はしのぶ先生の従妹に昔恋をしていたことをしのぶ先生は知っており、それを隠して店主に気持ちを伝えようとする。

    その気持ちに店主は答えるのに、告白と同じように本を使って答えるのだがしのぶ先生と読者は店主が振ったと思うのだが、そこでどんでん返しが待っている。

    そして物語とは関係ないような部分、最後の1行で二人のその先を表現しているところは 何気に読んでしまうと見逃すような表現でまたまた驚かせてくれた。

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著者プロフィール

静岡県大学理学部卒業。1998年『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。著者に『イニシエーション・ラブ』、『スリープ』など。

「2020年 『本格ミステリの本流』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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