白鳥異伝 上 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 1695
感想 : 105
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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198931841

作品紹介・あらすじ

双子のように育った遠子と小倶那。だが小倶那は"大蛇の剣"の主となり、勾玉を守る遠子の郷を焼き滅ぼしてしまう。「小倶那はタケルじゃ。忌むべきものじゃ。剣が発動するかぎり、豊葦原のさだめはゆがみ続ける…」大巫女の託宣に、遠子がかためた決意とは…?ヤマトタケル伝説を下敷きに織り上げられた、壮大なファンタジーが幕を開ける!日本のファンタジーの金字塔「勾玉三部作」第二巻。

感想・レビュー・書評

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  • 第一部からは時は流れ、巫女を必要としない、知らない国もあるような時代に、大巫女がすべてを統べる村に生きる、第一部の狭也と稚羽矢の子孫が、また大蛇の剣と勾玉の力に運命を突き動かされるお話。
    うおーこれは面白かった。運命に翻弄される遠子と小倶那。成長したことにより思いもかけない、望んでいない未来に動き出してしまった。明姫に大碓皇子もまた翻弄され、思うままにならず、命を落としてしまう。どこまでが運命に定められたものなのか、どこから歯車が外れて不透明な未来になったのか。先が読めないワクワク感みたいな感じで、しかも最後の最後に新たな仲間を得て、上巻を読了。続きが気になる。
    モブキャラかと思われた象子にもちゃんと背景があったりしてね、明姫と較べられた苦労とか。
    七掬どうなったんかな、もう出てこないんかな。菅流も良いキャラクターしているよね。百襲姫はなんだか怖いし、無償の母の愛がねじ曲がった感じ。
    それぞれのキャラクター設定良いなあ、と思ったのです。出てくる人物の個性がしっかりしているので、読んでいる方はわかりやすいです。心の成長,機微も良いですし。
    後半、遠子が旅に出るのですが、イラストマップあると良かったなあ。誰か作ってくれないかな。

  • 大和創設の空色勾玉に続いて、今度は日本武尊の白鳥異伝。
    死して白鳥になって空に飛び立った伝説を持つ日本武尊だからタイトルから予想はできたが、古事記の神話をよくぞ膨らませて楽しいファンタジーにしてくれました。
    ヤマトタケルの西征から下巻へ。

  • 読みはじめから引き込まれた。
    登場人物がみんな魅力的。
    小倶那と遠子どうなるのか。
    きっと幸せになると思ってます。
    明姫…、悲しい。

    いよいよヒムカの国に、下巻楽しみです。
    本当に面白いファンタジーです。

    友達から頂いた本です。
    よい本です。

    • 9nanokaさん
      komoroさんがこういうの嫌いじゃなくてホッとしました(^_^;)
      明姫はショックでした…短命な雰囲気は最初からありましたけど…いなくな...
      komoroさんがこういうの嫌いじゃなくてホッとしました(^_^;)
      明姫はショックでした…短命な雰囲気は最初からありましたけど…いなくなったあと、どこにいっちゃったんでしょう?
      個人的には、角鹿が結構好きでした。遠子のあしらい方が上手ですよね(^^)
      2015/05/31
  • 勾玉シリーズ二作目。
    今作は小碓命(オウスノミコト)、ヤマトタケルの神話がモチーフになっているようです。
    前作の空色勾玉でこの世界観にもだいぶ馴染んだのですぐ引き込まれました。面白い。

    舞台は、前作空色勾玉が伝説となってしまうほど、時を経た豊葦原ですが、こちらでも神の存在は薄れたものの、輝と闇の末裔たちが存在し大蛇の剣や勾玉が継承され続けています。
    ただそれぞれの持つ血の濃度というのでしょうか、そういったものは段々と薄れてきていたようで、実際大蛇の剣を手にとれる者はいませんでした。
    が、まほろばの宮の大王とその妹の過ちにより生まれた小碓(小倶那)という少年が大蛇の剣の主となり再び豊葦原を滅すかの勢いで荒らしまくります。

    その小碓(小倶那)と双子同然に育てられた遠子が勾玉を守る橘一族の巫女だということもあり、前作同様、二人の少年少女が物語の命運を握りますが、今作はもともと心が通い合っていた二人が離れ離れになっていくためこれからどうなっていくのかが気になって気になって...

    それにしてもどうしてこういつも弱い子ばかりが、大蛇の剣の主となってしまうのでしょうか...心が痛みます。いい方へ向かってくれるといいのだけど。

    とにかく続きが楽しみです。

  • 先日読み終えた空色勾玉に続く、勾玉三部作の第二作。
    今日の午後に購入して、そのまま読み終えてしまった。

    物語の舞台は、空色勾玉の時代からはかなり後の話。
    それでも、伝説として狭也や稚羽矢、そして鳥彦が語り継がれていることはなんだか嬉しかった。

    個人的には、大碓皇子と明姫が好きだったので、この二人が死んでしまったのは残念だった。
    そして何より、遠子と小倶那がこれからどうなるのかを考えるだけで本当に辛くて仕方がない。
    自分が小倶那を殺すと言っている遠子、自らの内に秘められた大蛇の力を恐れる小倶那。
    本当に幼い頃から一緒に育って、幼馴染以上とも言えるような者同士で戦うことを考えると、ただただ切なく辛い。

    正直読み進めるのがとても辛いが、それでも続きが気になるので、早速明日から下巻を読もうと思う。

  • 前作の直後から始まるのだと思っていたので時代や登場人物が一新されていて驚いた。だが、前作よりも登場人物が魅力的なのでさくさく読める。大碓と明姫が特に好きだったのでいきなりあんなことになろうとは…。上巻は勾玉集めが始まったところで終わったので続きが気になるところ。ただ、遠子がまた型破りなキャラで狭也と被って見えるのが残念。

  • 前作『空色勾玉』から長い年月が経ち、狭也達の成し遂げた事が伝説に近い形で文化に馴染んだ時代。
    遠子と小倶那は双子のように育つが、互いの成長をきっかけに引き離されてしまう。
    そのまま運命に翻弄され、やがて小倶那は各地に災いをもたらす者となり、遠子は彼に会って自身で討つ決意を固めていく。
    上巻では二人の別れと成長、災いの始まりと、歩み出した遠子の姿が描かれる。

    漫画等で主従萌えするせいもあってか、七掬から小倶那、角鹿から遠子への温かな愛情が印象的。

  •  勾玉三部作の中で始めて読んだ本で、一番好きな本です。
     初めて読んだ中学生の頃は、ヤマトタケルの白鳥伝説も知らなかったし、分厚い本の内容を終始集中して頭に入れる芸当もできなかったけど、話の奥深さを察することはできて、それが理解できない自分が歯がゆかったのを漠然と覚えています。それでも夢中になって読むくらい面白い本だった。
     だから、いつか必ず手元に置いてリベンジしたい本でした。

     男勝りなお転婆少女の遠子と拾い子で大人しい小俱那は、常に一緒にいる表裏一体のような関係。
     ところが、のちに発覚する血筋によって、二人は上代まで遡る因縁の大波に呑まれることになります。

     奔放だけどそれゆえに曲がることない意志を抱ける遠子は、「橘」の里を滅ぼした小俱那を殺すために、思慮深いがために自分のことを考えてはドツボにはまる小俱那は、遠子に殺されるために、互いに道を歩んでいく。
     上巻で遠子が「小俱那はわたしが殺します」と宣言する場面には、目頭が熱くなります。

     そして、幼い二人を見守る周囲の人々がまた良い。
     世の中のすべての人が、七掬や角鹿のように、二人に優しければ良いのにと思わずにいられません。
     そして菅流もかっこいい。親と子ではなく、兄のように見守り支えてくれる。冒険心はあるけど誰よりも安定志向というバランス感覚の良さが、危なっかしい主役二人と対になっているようで、一層魅力的です。


  • あー!前作にも増してキャラ萌えが激しい!
    菅流とか…ニクイな〜

    ブレイブ・ストーリー(いや、八犬伝?)のような冒険譚になってきた!

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著者プロフィール

荻原規子・東京生まれ。早稲田大学卒。『空色勾玉』でデビュー。以来、ファンタジー作家として活躍。2006年『風神秘抄』(徳間書店)で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞を受賞。著作に「西の良き魔女」シリーズ、「RDGレッドデータガール」シリーズ(KADOKAWA)『あまねく神竜住まう国』(徳間書店)「荻原規子の源氏物語」完訳シリーズ(理論社)、他多数。

「2021年 『エチュード春一番 第三曲 幻想組曲 [狼]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

荻原規子の作品

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