殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

  • 徳間書店 (2011年5月7日発売)
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本 ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784198933678

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読む作家さん。書き方(構成)が面白い。
    冒頭に“はしがき”があり、ある人物の「殺人鬼フジコ」について書かれた小説の紹介。
    次に本編。
    そしてラストの“あとがき”には、フジコのその後、小説を書いた経緯、新たな疑惑や仮説が出てくるのが衝撃的!

    フジコちゃん(…と呼んでしまう)の不遇に同情してしまう。不謹慎ながら、「フジコちゃん、コイツはムカつくね!こうするしかないか!」と共感、逆に「それはダメだよ〜」とげんなりしつつ、徐々に狂っていくその人生を追うことになる。

    フジコが突発的に嘆くこと、それは、
    どうしよう。どうしよう?
    違う、私はお母さんとは違う!お母さんのようにはならない!
    違う、私じゃない、私がやったんじゃない!
    うるさい、うるさい、黙れ!
    バカにして!私をバカにしやがって!
    なんで私だけ?
    バレなきゃいいの、バレなきゃ。

    恵まれない環境で育ち、出会う人皆が性悪な人間だったら歪んでしまう。良し悪しの判断がつかなくなる。人生狂う。
    負の連鎖って、どこかで止めることはできないのだろうか。

    ページをめくるたびに嫌な気分になり、もう無理、やめようと何度も本を閉じた。
    しかし多くのブク友さんが読まれ、そのお顔(プロフィールアイコンね)が思い浮かび、背中を押されてなんとか読む。…と言いつつ面白くなって一気読み。フジコちゃんの語り口調なので読みやすかった。

    2023.7/2追記
    解説やブク友さんのレビューから、ある場所にうまくトリックが仕掛けてあることに気付く(*_*)。

    • かなさん
      なおなおさん、おはようございます♪
      私もこの作品読みましたよ!
      読み終えてすぐは、
      後味悪さにイマイチかなって感じたけど
      あとから、...
      なおなおさん、おはようございます♪
      私もこの作品読みましたよ!
      読み終えてすぐは、
      後味悪さにイマイチかなって感じたけど
      あとから、また読みたくなるんですよねぇ(*_*;)
      その後真梨幸子さんの作品が
      気になって仕方なくなりました!

      この作品の続編、
      「インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実」も
      よかったら読んでみてくださいね(*^-^*)
      2023/07/02
    • なおなおさん
      かなさん、コメントをありがとうございます。
      後味悪いんだけど、読みたくなるイヤミス…って分かります。
      他の予約本をキャンセルして、続編を早速...
      かなさん、コメントをありがとうございます。
      後味悪いんだけど、読みたくなるイヤミス…って分かります。
      他の予約本をキャンセルして、続編を早速予約しちゃいましたよ〜楽しみです。イヤミスが楽しみって変かな^^;
      2023/07/02
    • あゆみりんさん
      なおなおさん、尾野真千子さんのやつ、私もTSUTAYAでレンタルしました。
      私も尾野真千子さん、好きです(∩ˊ꒳​ˋ∩)・*
      なおなおさん、尾野真千子さんのやつ、私もTSUTAYAでレンタルしました。
      私も尾野真千子さん、好きです(∩ˊ꒳​ˋ∩)・*
      2023/07/02
  • 怖すぎる本。休憩を挟みながらでないと読み進められませんでした。暴力的な描写が鮮やか過ぎて苦しい気持ちになります。基本的に全ての登場人物が常軌を逸しているので、途中からなんでそんなことになるのかが訳わからない。倫理観崩壊。

  • 自分都合で次々に人を惨殺していくフジコに打ち震える… 圧倒的な業の深さを堪能せよ! イヤミス度MAX!

    不幸な環境で育った少女が、自身の幸せのために次々と惨殺を繰り返していく、超嫌な気分になるミステリー。

    ストーリーの構成が凝っていて面白いっ
    ミステリー好きにはたまりませんね。最後の最後まで読者を楽しませてくれる仕掛けで最高です。で、結局誰がどうなったんだ? と読み返してみると、悪者と不幸ばっかりでビビりました。

    本作の魅力は、なんといってもフジコのキャラクターですね。業が深く、自分の幸せへの執着が強すぎる感じが、いやー怖い。登場人物の描き方が潔く、狂った情念がビシバシ伝わってきました。素晴らしい!

    しかし気持ちはわからんでもないが、人から金品や命まで奪って、どうして自分が幸せと感じるんでしょうか。どんなに不幸な環境だろうが、自身で幸せを生み出そうとしないと、必ず転落しますよ。あー説教臭い。

    自分もイヤミス作品をそこそこ読んできましたが、圧倒的ストレートに嫌な気分にさせてくれる作品でした。あ、これ誉め言葉です。

    嫌いな人もいるでしょうが、わかりやすいイヤミスとして是非お勧めしたい一冊です。続編もあるようですので、読まなきゃです!

  • フジコ、一体何人殺したのよ。。
    思いつくままに、次から次へと。
    美波ちゃんが亡くなっていく経過は読んでいて辛かった。現実でもこうやって殺される子どもがいるんだろうな。どこまでも救いのない話。

  • 衝撃的過ぎる。
    最後まで読み終わり、飲み込めずもう一回、あとがきを読んで、更に後ろがあることに気づき、あとがきを読む。
    ただ呆然としています。

    人の命を、こんなに軽く考えてもいいのだろうか。
    子は親を選べないのに、子が親や周りの大人から受ける愛情の大切さがわかった。愛を受け取れず、自分から不幸になる方を選んでしまう。
    途中、吐き気をもよおすほどだった。
    親から毎日残酷に扱われた結果なのか。
    自分を大切に扱うということが、わからないから。フジコの半生もかなり過酷。かわいそうだった。親にも恋人にも大切にしてもらえない。だから殺人をおかしていいことには、ならないけれど。

  • 一家殺人事件の生き残りとなったフジコが、やがて殺人鬼となっていく壮絶な物語。

    イジメ、ネグレクト、児童虐待、殺人のオンパレードで救いのない展開を、不覚にも食い入るように読み進めていた私がいた。そうだ。欲していたのだ。

    そして、殺人鬼フジコに同調する自分もいた。
    誰もが少なからず持っている嫉妬心、虚栄心、自己顕示欲、そのすべては人間なら必ずしも持つ心の弱さが故の感情だ。そうだ、私の中の弱さが共感したのだ。

    そして、本作のあとがきを読んだ時、ミスリードを食らっていた自分に失笑。

    やってくれたな真梨幸子。
    続編、読みますとも。

  • 読友さんに触発されて真梨さん。確かにこの本は気持ち悪く、グロテスクだった。小学生の頃に受けた凌辱、嫉妬、殺人等、サイコティックホラーなのだろう。フジコを主観的に捉え、自分の負の情動、苦痛であるかのように味わった。一方、芦沢央さん、湊かなえさんの本とは異なる。即ち、登場人物を客観的に捉え「登場人物への同情、苦痛を感じるもの」なのだろうと考える。兎に角、この本は終始気持ち悪く、グロテスクであり、次の真梨さん本を読もうとするときにはエネルギーが必要です。故に真梨さんの本は自己体験的なイヤミスなのかもしれない。

  • 初めての真梨幸子さん。
    真梨幸子さんの作品で読みたいものが何作かあり、それじゃあ先にベストセラーということで手にとりました。

    これはしんどい。なにか大きな黒いものに飲み込まれそうになりながらもなんとか読み終えた。しばらく引きずりそう…と暗い気持ちでしたが、あとがきでえっ?となり、はしがきに戻り、もう一度あとがきを読み、パラパラと章をめくり、???、いろんな疑問が出て来て、最後の最後に楽しませてもらえました。あとがき読むまでは続編はいいかな、と思っていたのですが、モヤモヤが残ったので読みたくなりました。

    はぁ、でも次は心温まる話を読もう。 

  • 読書備忘録852号。
    ★★★。

    読んでて食欲が無くなる作品でした。
    流石、真梨さん。

    冒頭のはしがきで意味深な解説が。これも含めて物語です。これは実際にあった事件だと語る。
    そしてこの作品の作者は女性で自殺未遂の末、結局亡くなったと。
    小説タイトルは「蝋人形 おがくず人形」であったと。

    川崎に両親と妹と暮らす11歳女子。これは誰?と思う。
    両親に金銭感覚はなく、所謂ネグレクト状態。
    日常着る服や学校教材は妹と共有。
    給食費も滞納。
    そんな彼女はクラスメートのアホ男子K君に執拗にイジメられる。K君に追いかけられた女子は遮断桿が降りた踏切を強引に渡り、K君は列車に轢かれてミンチに・・・。
    ホウホウの体で家に帰った女子を待っていたのは血まみれの姿で立つ母と殺されている父の姿?
    そして、この地域には指名手配されている殺人鬼の女の影が・・・。
    なぞの多い章でした。

    次の章。主人公は森沢藤子。11歳。おお、この子がフジコか?
    両親はおらず、叔母の茂子と暮らす。
    この時点ではK君に追いかけられていた女子はこの藤子か?という想像もできるが多分違うな。

    藤子は質の悪いグループに属してしまったが為に嘘と虚飾の世界に足を突っ込んでしまう。
    クラスで飼っていたカナリアをバラバラにして捨てて・・・。
    それを見ていたクラスメートの女子を殺してバラバラにして捨てて・・・。
    中学時代に交際していた大学生を寝取った女子を殺してバラバラにして捨てて・・・。
    廃人となった大学生と結婚。
    ここからは、殺してバラバラ、殺してバラバラの繰り返し。
    気持ち悪くなるから書かない・・・。

    そしてクライマックス。1章に出てきた風景の繰り返し。ん?そういうことか。この作品の作者はそういうことだったのか。
    そしてそれをはしがきで紹介した女性の正体も。
    最後の新聞記事6行の恐ろしさ。

    人は業(カルマ)に縛られる。そこからは抜けられないと。食欲無くなりました。

    好きな方には堪らない物語なんでしょうね!

    • bmakiさん
      あ!!!本当ですね!何て失礼な私(⌒-⌒; )
      この頃まだ知らない作家さんだったからですね(笑)
      ↑言い訳
      あ!!!本当ですね!何て失礼な私(⌒-⌒; )
      この頃まだ知らない作家さんだったからですね(笑)
      ↑言い訳
      2024/08/31
    • ゆーき本さん
      私はいつも小池真理子さんとごっちゃになります
      ( ᐛ ).。oஇ
      私はいつも小池真理子さんとごっちゃになります
      ( ᐛ ).。oஇ
      2024/09/02
    • shintak5555さん
      小池都知事?(๑>◡<๑)
      ちゃうか・・・。
      小池都知事?(๑>◡<๑)
      ちゃうか・・・。
      2024/09/02
  • イヤミスなんで、読み難いと思ったんやけど、結構、すいすい読める、読み易い!
    でも、「読み易い=読みたい」ではなくてね…
    こんな家庭に生まれりゃ心は歪むわな。
    でも、周りを意識して生きていったりする気持ちは、分かる。
    リセットする手段に殺人ってのはないけど。
    読む前は、フジコは、サイコパスみたいに、もっと殺人を普通の事のように、何気ににやるのかと思ってたけど、そうではないんや。
    そこには、好感⁇は持てる⁇笑
    ちなみに、私は、虫も殺さない善良な一般市民です!

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著者プロフィール

1964年宮崎県生まれ。1987年多摩芸術学園映画科卒業。2005年『孤中症』で第32回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』がベストセラーとなり、”イヤミス”の急先鋒として話題に。2015年『人生相談。』が山本周五郎賞の候補となる。そのほかの著書に、『5人のジュンコ』『私が失敗した理由は』『カウントダウン』『一九六一東京ハウス』『シェア』など多数。

「2023年 『まりも日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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