神去なあなあ日常 (徳間文庫)

著者 : 三浦しをん
  • 徳間書店 (2012年9月7日発売)
3.87
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  • レビュー :771
  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198936044

神去なあなあ日常 (徳間文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 映画を先に観て
    あまりにも面白かったので
    すぐに読んだけど、
    映画の影響で登場人物たちをイメージしやすかったし、
    千年杉のジェットコースターの場面は爆笑必至で
    それをよくぞまぁ実写化した映画版も
    改めて上手くまとめたなぁ~と感じました。

    インパクトあるタイトルの『なあなあ』とは
    三重県にある架空の神去村(かむさりむら)の方言で
    「ゆっくり行こうや」とか
    「まあ落ち着け」ってニュアンス。

    携帯も繋がらず
    まだ子供たちがカッパを信じてる(笑)
    昔話さながらの山奥の村で、
    ひょんなことから林業に携わることになった
    横浜出身の主人公の青年、平野勇気の
    恋と成長を描いてます。

    有川浩さんと同様に
    どんな題材を扱っても
    ユーモア溢れる軽やかな文体で
    上質のエンターテイメントにしてみせる手腕は
    さすがの一言!


    斧一本で杉の大木を切り倒す
    林業をするために生まれてきた野生児の飯田与喜(ヨキ)。

    女だてらにカワサキのバイクを乗りこなす 
    勇気が恋に落ちる謎多きヒロインの直紀。

    いつも現場に着いてくる白いむく犬の『ノコ』。

    強烈なデコピンを得意技とする(笑)
    ミイラの置物のような繁(しげ)ばあちゃんなど、
    相変わらずのキャラの魅力もさることながら

    映画では描かれていなかった
    与喜がワザと薪の下敷きになり(笑)
    ノコを元気付けようというシーンには泣き笑いしたし、
    「いざとなったら飼い犬のノコを犬鍋にする」という
    与喜のセリフに
    人間と犬の強い絆を感じずにはいられなかったなぁ~。
    (吉本ばななさんの大好きな名作『TUGUMI』でのポチとつぐみの絆を思い出します)


    慣れない肉体労働と過酷な環境に
    何度となく山からの脱走を試みる勇気(笑)

    与喜に捕まり連れ戻されるたびに
    勇気は『なあなあの精神』を少しずつ理解し、
    もう少しだけ頑張ってみるかと思うのです。 


    しをんさんが丹念にリサーチを重ねたであろう
    斜陽産業と呼ばれる林業の現実。

    自然を畏怖し慈しみ 
    神と共に生きる神去村の住人たち。

    三浦しをんさんは都会のそれとは違う
    山奥の村の四季折々の美しい情景描写と共に、
    自然界の厳しさや
    そこで生きる人々の『心の在り方』をもリアルに描き出し、
    『こういう生き方もあるんだよ』と
    説教臭くなることもなく
    一つの選択肢を
    読む者に提示してくれる。


    それにしても宮大工や
    お酒を造る杜氏の世界と同じく
    手間と時間を惜しまず、
    百年単位の未来を見越して仕事をする林業の世界って
    改めてスゴいって思う。
    (春の時期の花粉症はコワいけど汗)

    そんな世界の一端を知れただけでも
    この小説を読んだ価値はあったし、
    一人の青年の成長物語としても
    十二分に楽しませてくれるし、
    これからの夏にピッタリな
    爽快感と
    明日も頑張ろうという仕事への意欲も得られる
    ホンマにいい作品ですよ(^^)
    (てか、タヌキに天ぷらを食べさせると死んじゃうってホンマなんやろか…汗)

  • 神去村、魅力的。
    神去村の人たちも魅力的な人たちだ。
    ヨキも豪快でいいんだけど、やっぱり清一さんがいい!!
    見事な落ち着きっぷりはなんなんだろう。

    勇気くん、1年ですごい成長だな〜
    続編も出てるみたいで、勇気と直紀の関係も気になる。

    しをんさんのお仕事話は今まで知らなかったことにすごく興味がわくので
    好きです。

    • nobo0803さん
      まろんさん

      好み似てますよね~(笑)
      いろんなところで、まろんさんと好みが似ていてうれしい限りです。
      きっとご近所だったら何時間でも話ができそうですね!(^^)!
      2013/01/28
    • まっき~♪さん
      こんばんは♪

      私も、いまこの作品読んでいます。
      読み始めたばかりですが、続編が予約数半端なくて…しをんさん人気すさまじいです。

      勇気君目線で語られるので、読みながら吹き出してしまいますね。

      さくさく読めて面白いですね♪


      2013/02/22
    • nobo0803さん
      まっき~♪さん

      面白いですよね~
      勇気の語りで、ぼやいてる所。
      私も吹き出しながら読んでました。
      続編、私のところも半端ない予約人数です・・
      気長に待つしかないですよね。
      2013/02/24
  • 今回は「林業」。しをんさんってNHKの「はたらくおじさん」好きだったのかなとか考えつつ。

     高校を卒業してフリーターでもしよっかな、という勇気くんが三重県の神去に流されるように送り込まれる。
    「まあ、よくわからんが風習やな」というものがたくさん残る神去で、実家の横浜を時々羨みつつも、いつのまにか神去に魅せられていく。
    自然と超自然の描写が好き。
    霧の冷たさとか森の湿った匂い。田んぼの甘い香りがふわーっとしてきそう。
    とにかく神去のオジ様たちがカッコイイ。
    ヨキのワイルドさには若干引くけど。
    山歩きでもつい時間ばかり気にしてる気がする。
    今度は少し「なあなあ」でいこうという気分になった。

  • 三重の山奥で林業に就くことになった都会育ちの青年の独り語り小説。主人公の平野勇気がカルチャーショックの連続にへこたれず汗を流して働く姿が心地よい。都会で暮らしているときには感じていなかった感性が磨かれ、山の恵みを戴くことで人が生かされているという理解を深めていくさまに感動を覚える。2作目で勇気がどんな大人に成長するのか楽しみ。それにしても三浦しをんはうまい。日常のすべてを感動の場面にしてしまう。

  • 林業を通しての主人公勇気の成長物語。
    彼と、彼を取り巻く、山に携わる人々の交流が、三浦しをんらしいユーモアとホッコリ感を持って、展開する。
    クライマックスの樹齢千年杉の滑走シーンでの「ファイトオオオ!」「いっぱああつ!」には、思わずニヤリ。
    林業を舞台にしたことは、その危機が叫ばれる現代、時機を得ており、また映画化によりこの分野が注目され、林業衰退の歯止めの一助になれば。
    しかし、作者の意図は、あくまで、神去村に象徴される、日本人が置き去りにしてきたものを、ちょっと立ち止まって考えてみよう、それが大事なことだという、奈辺あたりか。

    • KOROPPYさん
      ユーモアとほっこり感のバランスが、うまいですよね~。
      楽しみながら、林業について考えられる。
      素敵な作品でした。

      映画の紹介もちらっと見ましたが、
      ユーモアがあって楽しい仕上がりっぽいです^^
      2014/06/17
    • hongoh-遊民さん
      映画も、傑作のようで、ぜひ観てみたいです。
      2014/06/17
  • 横浜育ちの平野勇気・18歳。
    高校卒業までだらだらしていたら、担任の熊やんと両親が勝手に就職先を決め、林業の研修生として三重の山の中へ放り込まれてしまった。
    向いてないと落ち込んだり、脱走を試みたり、ほのかな恋心をはぐくんだりしながら、山の仕事と自然と村を愛していくようになる勇気の四季。

    いっそ清々しいほど無駄なものがない山の暮らし。
    明るくたくましい村の人々と、美しい自然。
    大きなダニや血を吸ってぶよぶよに膨らむヒルは勘弁だが、読んでいるだけで、澄んだ空気を呼吸するような気分になる。

    そして、神去の「山の神」である「オオヤマヅミ」様への信仰は、人が自然に対して畏れと遠慮を持っていた頃の古代信仰を思い起こさせる。
    衣食住なんでも、人は自然から「頂いて」きたのだ。
    少し立ち止まって、そんなことも思い出してみたい。

    …精一さん、いつも落ち着いていて人格者で…すてきですね。
    白犬のノコも良い。

    一章 ヨキという名の男
    平野勇気は「中村林業株式会社」で働くことになり、金髪だけど山仕事の天才の飯田与喜の家に下宿。
    慣れない仕事も山暮らしも何もかもつらくて…
    冬の主な仕事は「雪おこし」

    二章 神去の神さま
    春が連れてくるのは美しい芽吹きとせせらぎと花粉症!
    春の主な山仕事は「植え付け」…杉苗である。
    おやかたさん・中村精一の息子、山太が神隠しにあった!

    三章 夏は情熱
    勇気、生まれて始めて蛍を見る。
    夏の主な仕事は「下刈り」
    畑の野菜の収穫も手伝い、山太とも遊ぶ。
    夏祭り、憧れの女性・直紀さんにもらった金魚。

    四章 燃える山
    いよいよ「オオヤマヅミさん」の祭り。
    勇気を家族同然に扱ってくれる精一さんたちや、ヨキの一家、仕事仲間の巌さんたちだが、村には“よそ者”と認識している人たちも多々いる。
    大祭によそもんを加えたら(神さまの)お怒りに遭う!と言う。
    山火事。
    クライマックスの祭り。
    命がけの千年杉ライドが凄い!

    終章 神去なあなあ日常
    山の仕事は同じことの繰り返しではない。
    刻々と表情を変える自然からは目を離せない。
    勇気は「まだ神去村にいたい」と思うのだった。

  • 進学もせず、就職もしない。卒業後はフリーター決定の主人公が担任の計らいで後継者不足の林業に携わることに。
    ただ木を切ればいいってわけじゃない林業の奥深さ。
    自分の知らない「お仕事」を知るのは楽しい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「自分の知らない「お仕事」を知るのは楽しい。」
      そうして色々知れば。何一つ疎かに出来るモノが無いコトに、皆が気付いていくのかも知れません。
      2012/12/08
  • 『舟を編む』で"辞書作り"について書かれた三浦さんが、
    今度は"林業"について、青春コメディをベースに描かれています。

    どちらも"時間をかける仕事"なのは、意識されているのでしょうか。

    その舞台となるのはその林業で生計を立てている、三重県の神去村。
    架空の村ですが、実際には同県の美杉村がモデルとか何とか。

    で、横浜の高校を卒業しても、特に目的なくフラフラしている、イマドキな主人公が、
    業を煮やした母親に騙されて?、村に放り込まれるところから物語は始まります。

    最初は逃げ出すことばかりを考えていた主人公・勇気も、
    日々の仕事を重ねていくにつれ、真摯に向き合うようになっていきます。

    実際に"木を育てる"ということが、どういったものなのか、
    その過程がこと細やかに描かれていて、非常に興味深く読めました。

    ここ最近『もやしもん』や『銀の匙』で、農業については再認識していたのですが、
    林業についても同じように、自然への畏敬も含めて、感じるものがありました。

    深山で感じる"シン"とした空気の清冽さは、確かに神を信じたくもなります。
    八百万の神を求めた文化は、こういったところにも見出せるんだなぁ、、なんて。

    閑話休題。

    さて本編では、なんのかんのと恋愛要素もまぶされていて、さらっと楽しく読めました。

    ラストの"オオヤマヅミさんの祭り"、実際の情景が風をきる音と共に浮かぶようで、神木の描写は圧巻です。
    村の名前を「神が去る」としたのも、この辺りに起因しているんでしょうか。

    ん、久々に山に入ってみたくなった、そんな一冊です。

  • 待ちに待った文庫化!やっぱりしをんさん大好き!
    私とはぜんぜん違う世界で生きる人たちの生活を見せてくれる。
    高校卒業して無理やり三重県の山奥で林業をさせられる青年の話。
    主人公の勇気と一緒で、都会育ちの私にとって山奥での生活はすごくエキサイティング!びっくりすることも多々。
    山を信仰の対象として、神様が普通にいるという世界はとても神秘的に感じるけれど、昔の日本人はみんなあんなだっただろうなぁ。
    林業は大変そうだけど、私も1度山奥で生活してみたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「山を信仰の対象として」
      畏敬の念を持って大切にするって良いですよね。私も早く読もうっと(「舟を編む」を読んでファンになりました)。。。
      2012/10/01
  • 自然はそのまんま放っておいて出来上がるものじゃなくて、ちゃんと手を入れて育てて、神様から借りている土地や生き物と一緒に、棲み分けして、ヒトは生きていく。
    そこに耳を傾けながらゆっくりと、ただ一生懸命に真剣に生きていける事に少し羨ましさと憧れを抱きました。
    やっぱり街は雑音が多すぎるし、空気は流れないのに情報と思惑だけがすごい量とスピード感を持って流れていく。どうしたって淀んでしまう。

    神様には会えないだろうけど、深呼吸するために、山へ行ってみたくなるな。

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