神去なあなあ日常 (徳間文庫)

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  • 徳間書店
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レビュー : 837
  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198936044

感想・レビュー・書評

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  • 映画を先に観て
    あまりにも面白かったので
    すぐに読んだけど、
    映画の影響で登場人物たちをイメージしやすかったし、
    千年杉のジェットコースターの場面は爆笑必至で
    それをよくぞまぁ実写化した映画版も
    改めて上手くまとめたなぁ~と感じました。

    インパクトあるタイトルの『なあなあ』とは
    三重県にある架空の神去村(かむさりむら)の方言で
    「ゆっくり行こうや」とか
    「まあ落ち着け」ってニュアンス。

    携帯も繋がらず
    まだ子供たちがカッパを信じてる(笑)
    昔話さながらの山奥の村で、
    ひょんなことから林業に携わることになった
    横浜出身の主人公の青年、平野勇気の
    恋と成長を描いてます。

    有川浩さんと同様に
    どんな題材を扱っても
    ユーモア溢れる軽やかな文体で
    上質のエンターテイメントにしてみせる手腕は
    さすがの一言!


    斧一本で杉の大木を切り倒す
    林業をするために生まれてきた野生児の飯田与喜(ヨキ)。

    女だてらにカワサキのバイクを乗りこなす 
    勇気が恋に落ちる謎多きヒロインの直紀。

    いつも現場に着いてくる白いむく犬の『ノコ』。

    強烈なデコピンを得意技とする(笑)
    ミイラの置物のような繁(しげ)ばあちゃんなど、
    相変わらずのキャラの魅力もさることながら

    映画では描かれていなかった
    与喜がワザと薪の下敷きになり(笑)
    ノコを元気付けようというシーンには泣き笑いしたし、
    「いざとなったら飼い犬のノコを犬鍋にする」という
    与喜のセリフに
    人間と犬の強い絆を感じずにはいられなかったなぁ~。
    (吉本ばななさんの大好きな名作『TUGUMI』でのポチとつぐみの絆を思い出します)


    慣れない肉体労働と過酷な環境に
    何度となく山からの脱走を試みる勇気(笑)

    与喜に捕まり連れ戻されるたびに
    勇気は『なあなあの精神』を少しずつ理解し、
    もう少しだけ頑張ってみるかと思うのです。 


    しをんさんが丹念にリサーチを重ねたであろう
    斜陽産業と呼ばれる林業の現実。

    自然を畏怖し慈しみ 
    神と共に生きる神去村の住人たち。

    三浦しをんさんは都会のそれとは違う
    山奥の村の四季折々の美しい情景描写と共に、
    自然界の厳しさや
    そこで生きる人々の『心の在り方』をもリアルに描き出し、
    『こういう生き方もあるんだよ』と
    説教臭くなることもなく
    一つの選択肢を
    読む者に提示してくれる。


    それにしても宮大工や
    お酒を造る杜氏の世界と同じく
    手間と時間を惜しまず、
    百年単位の未来を見越して仕事をする林業の世界って
    改めてスゴいって思う。
    (春の時期の花粉症はコワいけど汗)

    そんな世界の一端を知れただけでも
    この小説を読んだ価値はあったし、
    一人の青年の成長物語としても
    十二分に楽しませてくれるし、
    これからの夏にピッタリな
    爽快感と
    明日も頑張ろうという仕事への意欲も得られる
    ホンマにいい作品ですよ(^^)
    (てか、タヌキに天ぷらを食べさせると死んじゃうってホンマなんやろか…汗)

  • 長い間本棚で眠らせていたのは、読み始めたら止まらなくなってしまうのがわかっていたからだと思いたい。本当に冒頭から引き込まれて一気に読んでしまいました。
    自然とともに生きると聞けばなんとなくかっこいいものの、それは死と隣り合わせの暮らしだったりもします。山には神様がいる。そうなんだろうなぁと思いました。主人公が横浜っ子で、いきなり山の暮らしにポンっと送り込まれたため(好きで移住したわけでなく)、主人公に近い目線で神去村の日々を楽しめました。何度か「ギャー」とか「うわぁ」とかも・・・ 最後のページを読み終えて、悲しかったです。
    三浦しをんさん ますます好きになりました。

  • 横浜育ちの平野勇気・18歳。
    高校卒業までだらだらしていたら、担任の熊やんと両親が勝手に就職先を決め、林業の研修生として三重の山の中へ放り込まれてしまった。
    向いてないと落ち込んだり、脱走を試みたり、ほのかな恋心をはぐくんだりしながら、山の仕事と自然と村を愛していくようになる勇気の四季。

    いっそ清々しいほど無駄なものがない山の暮らし。
    明るくたくましい村の人々と、美しい自然。
    大きなダニや血を吸ってぶよぶよに膨らむヒルは勘弁だが、読んでいるだけで、澄んだ空気を呼吸するような気分になる。

    そして、神去の「山の神」である「オオヤマヅミ」様への信仰は、人が自然に対して畏れと遠慮を持っていた頃の古代信仰を思い起こさせる。
    衣食住なんでも、人は自然から「頂いて」きたのだ。
    少し立ち止まって、そんなことも思い出してみたい。

    …精一さん、いつも落ち着いていて人格者で…すてきですね。
    白犬のノコも良い。

    一章 ヨキという名の男
    平野勇気は「中村林業株式会社」で働くことになり、金髪だけど山仕事の天才の飯田与喜の家に下宿。
    慣れない仕事も山暮らしも何もかもつらくて…
    冬の主な仕事は「雪おこし」

    二章 神去の神さま
    春が連れてくるのは美しい芽吹きとせせらぎと花粉症!
    春の主な山仕事は「植え付け」…杉苗である。
    おやかたさん・中村精一の息子、山太が神隠しにあった!

    三章 夏は情熱
    勇気、生まれて始めて蛍を見る。
    夏の主な仕事は「下刈り」
    畑の野菜の収穫も手伝い、山太とも遊ぶ。
    夏祭り、憧れの女性・直紀さんにもらった金魚。

    四章 燃える山
    いよいよ「オオヤマヅミさん」の祭り。
    勇気を家族同然に扱ってくれる精一さんたちや、ヨキの一家、仕事仲間の巌さんたちだが、村には“よそ者”と認識している人たちも多々いる。
    大祭によそもんを加えたら(神さまの)お怒りに遭う!と言う。
    山火事。
    クライマックスの祭り。
    命がけの千年杉ライドが凄い!

    終章 神去なあなあ日常
    山の仕事は同じことの繰り返しではない。
    刻々と表情を変える自然からは目を離せない。
    勇気は「まだ神去村にいたい」と思うのだった。

  • 待ちに待った文庫化!やっぱりしをんさん大好き!
    私とはぜんぜん違う世界で生きる人たちの生活を見せてくれる。
    高校卒業して無理やり三重県の山奥で林業をさせられる青年の話。
    主人公の勇気と一緒で、都会育ちの私にとって山奥での生活はすごくエキサイティング!びっくりすることも多々。
    山を信仰の対象として、神様が普通にいるという世界はとても神秘的に感じるけれど、昔の日本人はみんなあんなだっただろうなぁ。
    林業は大変そうだけど、私も1度山奥で生活してみたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「山を信仰の対象として」
      畏敬の念を持って大切にするって良いですよね。私も早く読もうっと(「舟を編む」を読んでファンになりました)。。。
      「山を信仰の対象として」
      畏敬の念を持って大切にするって良いですよね。私も早く読もうっと(「舟を編む」を読んでファンになりました)。。。
      2012/10/01
  • 山で生きて山で死ぬ。山仕事は仕事じゃなく、生き方そのもの。
    壮大な自然に対峙した時、人間はなすがままになるしかない小さな存在だ。
    「なあなあ」という言葉が持つ奥深さを感じる物語でした。

  • おもしろかったです

    都会の男の子が卒業したら
    バイトしながらふらふらしようかなと思っていたところで
    突然に 林業の世界へ 有無を言わさずぶち込まれますw

    基本いい子なんだね
    自分だったら1日ともたず いやいや半日も無理だよ
    山に携わる仕事の神々しさ
    文明から程遠い村での生活
    その村の素朴な人々

    あったかく のんびりと でも 厳しさがありました

  • 林業の話なんて面白いんだろうか・・・と、あまり期待しないで読み始めたのですが、いやいや面白い!
    神去村の雄大な景色、そこで暮らす人々の「なあなあ」という方言の中に隠された懐の深さ、個性的で。。。でも憎めない面々。

    どんどん引き込まれていって、読み終わる頃には、勇気と同じように神去村を好きになっていました。
    この『ゆる~い』感じ、ハマります♪

  • 予備知識は全くないまま 表紙の深い緑色の山と清流に 涼を期待して読み始めた 「舟を編む」同様 今回も三浦しをんの徹底した取材に感心した 林業という別世界の出来事をまず作者が驚きのめりこみ 主人公がつづき そして読者が引きずり込まれていくという三段構え 深い山奥の林業の1年を活き活きと描き 高校出たてのだらけた青年がいっぱしの山男に育っていく様子が無理なく描かれている この本には 大昔から伝わる迷信・ありえない言い伝えなどまで読者に信じさせてしまう力があった
    独特の方言が物語の流れを穏やかに感じさせたが 山場の千年檜を切り出す神事はスピード感充分の「手に汗握るスペクタクル」であった あまりの激しさにこの本の映画化は無理だろうと思った ・・・がすでに映画は作ってあったのね イメージ壊したくないので映画は見ないでおこう^^;  

  • 面白すぎる!
    声あげて笑ったんは、有川浩先生の『キケン』以来や!
    特に秋祭りはもう、ワケわからんテンションでw

    林業のこと、地域に根差す村の在り方、信仰、いろいろあるけど、人の営みが傲慢ではなく、寄り添い、領域を弁えることで自然と共存しているねんな、て実感できる作品です。
    ぜひ、お手にとって見てください♪


    清一さんは、曲者やな。
    あの人、ヨキより悪がきやったんちゃうか。しかも、頭がええから、ヨキよりたち悪そうw
    大好きです
    勇気の恋も実ったらいいなぁ

  • 高校卒業後、林業をするために『神去村』に追いやられた勇気のお話。
    林業ってどんなことをしているのかなんて全然知らなかったけど、とても興味深く読めた。

    この話の軸になっているのは、『林業』と『神様』だと思う。
    神去村の人たちは、神去山の神様の存在を当たり前に信じている。
    神隠しや、神おろしなど…。
    そしてなんといっても【オオヤマズミさんの祭り】という大祭!
    これは、映像化したら面白いだろうなぁ、と思いながら読んでいた。
    (調べたら、映画化するみたいですね!)
    続編の『神去なあなあ夜話』も絶対に読む!

著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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