花咲家の人々 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 707
レビュー : 104
  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198936389

作品紹介・あらすじ

風早の街で戦前から続く老舗の花屋「千草苑」。経営者一族の花咲家は、先祖代々植物と会話ができる魔法のような力を持っている。併設されたカフェで働く美人の長姉、茉莉亜。能力の存在は認めるも現実主義な次姉、りら子。魔法は使えないけれども読書好きで夢見がちな末弟、桂。三人はそれぞれに悩みつつも周囲の優しさに包まれ成長していく。

感想・レビュー・書評

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  • 風早の街にある、和洋折衷でレトロな洋館。
    カフェも併設された花屋の千草苑。
    そこに住む、花咲家の人々の物語。
    花咲家の人々は植物と交流できる不思議な能力を持つ。

    シリーズ一作目なので、やさしい語り口とともに中にご案内される。
    人々や植物に、「ようこそ」「ようこそ」と迎えられるようにして、おそるおそる覗くと…
    黄昏時の光に満ちた、不思議で、喜びと、ちょっとした悲しみに満ちた幸せな世界だった。
    失った人に対する思慕にあふれている。
    いのちについて、みんなが考えている。

    『黄昏時に花束を』
    祖父・木太郎(もくたろう)さんの幼なじみで初恋の人が、疲れきって外国から帰ってきた。
    長女の茉莉亜は、花屋とカフェの仕事の合間に、地元FM局で、「トワイライトブーケ」という番組のパーソナリティもつとめる。
    「わたしの声が聞こえますか…」

    『夏の怪盗』
    次女のりら子は、親友の野乃実に、夏の日に会った怪盗の話を聞かせる。
    遠い国から帰ってきた一枚の絵と、いばらに囲まれたお屋敷の中の絵描き。

    『草のたてがみ』
    末っ子の桂(けい)は、お母さんの顔を見たことがない。
    赤ちゃんの時に死んでしまったから。
    もっと強くなりたいと思いながらも、なんとなく世の中に遠慮するように、本だけを友に生きていたが…

    『十年目のクリスマスローズ』
    クリスマスイブ。
    父の草太郎は、風早植物園の広報部長。
    その博識と人柄で街の人気者である。
    FM風早のゲストに招かれて、亡き妻を偲びながら、命について語る。
    十年前に亡くなった、草太郎の妻であり、子供たちの母である優音(ゆの)が作ろうとしていた、クリスマスローズのロックガーデンが完成して、クリスマスの奇跡。

  • 植物と会話ができる不思議な一族が住むまちの物語。
    いろいろとシリーズを出されているのは知っていて気になっていましたが、本書が村山さんの初読みになります。
    なんといっても素敵な設定に惹かれて。
    読んでみたら、まるで大人のおとぎ話でした。

    純粋さと優しさに溢れてて、心が洗われるようでした。
    「大人の」おとぎ話だという所以は、痛みがあるから。
    それは、大切な人を亡くした痛み。
    途中すこし泣きそうにもなりました。

    3姉弟も草太郎パパも、木太郎さんも唄子さんも、おもちゃ屋のおじいさんも、とにかく登場人物もみな優しくていい人たちなんですよね。
    この本には、悪意が登場しないんです。
    だからずっとにこにこしながら読んでいられる。それと同時に、こんな世界があったら素敵だなあと思わずにいられない。

    私もちいさい頃は動植物と話ができたら、といつも夢見ていました。
    だから、たとえおとぎ話の世界の中だとしても、こんな人たちがいてくれることが単純に嬉しい。
    読んでいてどこか慰められるような、優しさに包まれるような感覚が味わえるのもこの本の魅力なのでしょうね。
    いいシリーズと出会えました。

  • 大好きな村山さんの世界、風早街シリーズ。植物とお話できるなんてあこがれちゃいます。
    家族それぞれのキャラクターがとても素敵。
    花咲家、まだまだ続くお話なので楽しみ。

  • めっちゃメルヘンな絵本を大人向けにした感じかなぁー

    と、思いきや!!!

    すーっと設定も体に入ってきて、自然に読めました。

    誰かに色んな思いを持ち続けて、人生は続いていくからこそ、死ぬまでは前を向いて、有川浩さんじゃないけど「倒れるときは前のめりで」くらいの気持ちで進んでいきたいなって、読了後思いました。

  • 草花とお喋りができる一族、花咲家シリーズ第1弾。村山先生らしい、とても心が温かくなる本でした。
    村山先生の本は悪い人が出てこないので安心して読めます。優しい人ばかり…癒されます。
    この物語に登場するキャラクターは全員大好きですが、特にお気に入りのキャラは草太郎パパと末っ子の桂くん。二人ともとてもチャーミングでした。

    金木犀の香りから始まりクリスマスで終わる連作短編なので、今の季節にぴったりです♩

  • 風早の新しい物語。
    植物と意志の疎通ができるある一族のお話し。

    ”心温まる”とか”心が洗われる”とかいう表現は村山早紀さんの書く風早の物語を読むとよく分かる。胸にストンと腑に落ちる。
    今回もまさにそう。
    悲しくて泣けるのではなく、優しくて泣けるのは本当に貴重なこと。

    多くの人に読んでもらいたい物語です。
    読後、本当に優しい気持ちに包まれます。

    大げさな話、争いが減るんじゃないかと(笑)

  • 少し、不思議なことが起こりやすい海辺の街、風早の商店街に、昔からある花屋さんの、千草苑。
    その店を営む花咲家の人々は、植物と話せる一族です。
    若い頃はプラントハンターで、今は樹医として腕をふるう祖父、木太郎。
    植物学者で、街の植物園に勤めている父、草太郎。
    天使のような美貌と優しさを兼ね備えている・・・のに、時々ちらりとブラックな一面を覗かせる長女、茉莉亜。
    全て科学で証明出来ると信じる次女、りら子。
    少し体が弱くて、本が大好きな末の弟、桂。
    そんな花咲家の人々が関わる、少し不思議な出来事が、とても優しく描かれています。
    読んでいると、涙が流れるのに、あたたかい気持ちになれます。
    登場する人たちが、もう、いちいちみんな好き過ぎて、読み終えるのが残念でした。

  • 最後のお話は、ぜひともティッシュ箱片手に読んで欲しいです。本がべちょべちょになってしまう前に!
    村山先生が書く本は、別れと救いの内容が多いです。
    人生はお別れの連続…大切な人ともいつかは別れなくてはならない。不条理だと思っても、その時は選べず、私たちは途方もないほど大きな運命の流れの中でたゆたう、小さなひとかけらでしかありません。
    でも、だからこそ、忘れたくない思い出や出会い、大切な人との時間はこんなに煌めいているんだと、その何一つが無駄でなく、時間と思い出こそが永遠の物なのだと、先生は本の中でいつも改めて教えてくれる。
    大切な人との別れを経験したことのあるすべての大人に勧めたい物語です。優しい気持ちになりたい人、疲れている人にそっと寄り添う物語。

  • 「命」について、「母」について考えさせられる物語。

    物語は、植物と会話ができる花咲姉弟の、さりげない日常から切り取られている。
    しかし、そこには常に、姉弟の「母」の「死」という現実が横たわっている。

    祖父・木太郎、その親友の唄子さん、おもちゃ屋のおじさんの周りには、まだ色濃く戦中・戦後の記憶が残っている。
    そして、まもなく訪れるであろう死の匂い。

    若くして亡くなった花咲家の「母」。
    戦争で亡くなった三角屋のおじさんの「母」。
    戦後の貧しい時代になくなった美世子さんの「母」。
    子猫を助けたお兄さんの、ゼラニウム好きの「母」。
    いずれも生きた姿で物語には登場しない。

    しかし、誰の記憶の中でも「母」は優しく微笑んでいて、
    大きな存在感を放っている。


    ただのファンタジーではない物語の精巧さを感じた。
    それから。物語の舞台である風早の街が、「現代」だけでなく、遥か昔から遠い未来まで、ひとつの世界として存在していることを知り、
    ほかの時代の風早の物語も覗いてみたくなった。

  • (ごめんなさい
    今の自分にはあわないお話でした
    語り口がまどろっかしくて…)

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著者プロフィール

1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。著書に『シェーラ姫の冒険』(童心社)、『コンビニたそがれ堂』『百貨の魔法』(以上、ポプラ社)、『アカネヒメ物語』『花咲家の人々』『竜宮ホテル』(以上、徳間書店)、『桜風堂ものがたり』『星をつなぐ手』『かなりや荘浪漫』(以上、PHP研究所)、げみ氏との共著に『春の旅人』『トロイメライ』(以上、立東舎)、エッセイ『心にいつも猫をかかえて』(エクスナレッジ)などがある。

「2020年 『魔女たちは眠りを守る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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