こわれもの (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 747
感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198936860

作品紹介・あらすじ

ある日突然、婚約者の里美を事故で失った漫画家の陣内龍二は、衝撃のあまり、連載中の漫画のヒロインを作中で殺してしまう。ファンレターは罵倒の嵐。だがそのなかに、里美の死を予知する手紙があった。送り主の神崎美佐とは何者か。本当に死を予知する能力があるのか。失われた恋人への狂おしい想いの果てに、陣内が辿り着く予測不能の真実!最後の1ページであなたは何を想いますか。

感想・レビュー・書評

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  • ある日突然、婚約者の里美を事故で失った漫画家の陣内は衝撃のあまり、連載中の漫画のヒロインを作中で殺してしまう。誹謗中傷のファンレターの中に、里美の死を予知する手紙があった。

    漫画家だけでは無く、作家さんにも同じような事が起きているのではないか・・・。
    死を予知する力を持ったら自分ならどう伝えるか?
    沢山の伏線もあり、どんどん読み進めていったが、ラストが想像ついてしまって、少し残念。

  • 予言というのがキーポイントの漫画家をめぐる物語。予言が実現されていって、いったい最後はどうなるのかという関心で引っ張っていく。最後のどんでん返しは、うーんちょっと弱いなあ。もう少し驚かせてほしかった。星3つは甘いかも。

    • やまさん
      goya626さん
      こんばんは。
      いいね!有難うございます。
      こんばんは、相当寒いです。
      やま
      goya626さん
      こんばんは。
      いいね!有難うございます。
      こんばんは、相当寒いです。
      やま
      2019/11/20
  • ”主人公”陣内の恋人の事故を予言した、神崎という不思議な女の造形や設定。
    陣内と三橋という二人の視点が交互に描写されることの読みやすさ。
    スリリングな展開や、地道に張られた伏線の回収。
    どれをとっても上手い。

    欲を言えば、ラストのサプライズがやや弱いのが残念。
    しっかり読むと意味がわかって面白いが、初見では理解が追いつかず、素直に驚けない。

    良くも悪くも、良質な2時間ドラマといった印象。

  • 死を予知できる神崎という女性。能力は本物なのか、嘘なのか。
    これがひとつ大きな軸ではあるのだけれど、他にも、「スニヴィライゼイション」の今後の展開はどうなるのか、三橋はどう動くのか、陣内の運命はどうなるのか、など気になる点が多く退屈しない。

    途中、関係がちょっと予想できてしまう部分もあったけれど、終盤はいくつか意外な展開が続くので、そこがわかった上でも楽しめた。

    最後の最後で別の可能性が見えたのが、また意外で良かった。

  • この浦賀和宏って作者、上手いな。
    「彼女は存在しない」を読んで気になってたんだけど、たまたま本屋で見かけて、本書を購入。「彼女は~」以上に上手さが光ってるんじゃないか?人物の描写も上手く描けてる。
    というか、上手すぎる。

    本書の中に「オタク」が登場するんだが、この人物の描きかたなんか上手すぎて、読みながら嫌悪感さえ感じさせる描写。あまりに嫌悪感が強くなって、読むのを止めようかと思ったほどだ。これほど嫌な登場人物は久々に出会ったな。

    あまりの嫌さ加減に挫折しかけたんだけど、後半1/3からは怒涛の展開で一気にラストまで持っていく推進力。
    二転三転するストーリー、背筋がス~ッと寒くなるような伏線の回収(手前と奥に本を並べてる本棚)など、お見事と言うほかない出来栄え。

    最後の最後で、もう1回、ダメ押しのドンデン返し。
    読み終わった!と思って、「あとがき」、「解説」を読むつもりでページをめくると、まだ物語が続いており、ここから思いもしない展開。わずかに未来に希望を持たせる描写で終わってた。

    二読、三読すると、もっと良さが伝わってくる小説だと思う。

    ☆5個

    背表紙~
    ある日突然、婚約者の里美を事故で失った漫画家の陣内龍二は、衝撃のあまり、連載中の漫画のヒロインを作中で殺してしまう。ファンレターは罵倒の嵐。だがそのなかに、里美の死を予知する手紙があった。送り主の神埼美佐とは何者か。本当に死を予知する能力があるのか。失われた恋人への狂おしい想いの果てに、陣内が辿り着く予測不能の真実!最後の1ページであなたは何を想いますか?

    うん、たしかに最後の1ページまで気の抜けない小説だ。

    この作者、もっと売れても良いと思う。

  • 恋人を失った漫画家の男、男の書く漫画の熱狂的ファンの男。
    主にこの二人がメインとなり、予知能力を持っているとされる人物と関わりつつ、ストーリーは進んでいきます。
    オタクの描写がリアルですね。想像のはるか上を行くような結末を期待していただけに少し物足りなく感じてしまった。
    面白くないわけではないけど、ある程度の想定内でした。

  • メフィスト賞の受賞作家で、京極さんが褒めているということに惹かれ、この著者を初読み。

    コアなファンを持つ漫画を連載中だった主人公・陣内。人気漫画家として恵まれた生活を送り、結婚を決めた矢先、婚約者・里美が事故死。そのショックで自分の漫画の人気女性キャラを作中で殺してしまう。あまりにあっけない死に方にファンは納得せず、陣内が殺されかねない勢い。そんな折、里美の死を予知していた者が現れる。

    終始イヤ〜な感じです。どうもこの著者はカニバリズム等、社会でタブー視されているものを多く扱う人だそう。その点では、イヤ〜な感じといえども、登場人物に狂った人が多いというだけで、禁忌といえるほどのものはなく、私の初読みにはちょうどよかったかもしれません。同人誌ってこんなの?とオタク文化に対する偏見を持ってしまいそうなところもあり、これを読んだ今、ニュートラルな感情を持てるかどうか。

    非常に嫌な話だけど、面白いことは面白いんだなぁ。こういうのは困ります(笑)。

  • とにかく三橋の描写が気持ち悪い。作者の力量かもしれないけど。
    悪い意味で90年代の古臭い感じがしてしまって好きになれなかった。

  • 母親の復讐までは想定内。 結論としては「未来は変えられる!」。 可もなく不可もなくサクッと読めた。 テンポ的には好きな部類。 別の作品も読んでみたい。

  • 「死」を予知する能力。
    神埼はその能力を忌まわしいものだという。虚しいものだという。
    もしも「死」が運命で避けられないものだとしたら、何もすることはできない。
    運命に勝つことは出来ないのだから。

    人は誰でも何かしらの狂気を心の奥底に隠しているのかもしれない。
    きっかけさえあれば、いつでも、何にたいしても、その狂気は迷うことなくターゲットへと向かう。
    どんなに人気の連載コミックだろうが、所詮は二次元の中でしか生きられないヒロインである。
    でも、特別の思い入れを持つ人たちにとっては、何物にも変えがたい唯一無二の存在であることも確かだろう。
    唯一無二の存在。
    これほどやっかいで面倒なものはない。
    何しろ思い入れの深さは当人にしかわからないのだから。
    狂気はやがて本人の意識さえ乗っ取り、暴走を始め、狂気そのものがすべてを支配していく。
    そこに良識や社会のルールなど、入り込む余地はない。
    当たり前のように来ると信じている明日。
    希望を持って思い描く未来。
    でもそれは、「こわれもの」のように脆くあやふやで不確かなものでしかない。
    あるドラマの台詞にもあったように・・・。
    人は過去を忘れて生きていくけれど、過去はけっして人がしてきたことを忘れてはくれないのだから。
    いつもながら浦賀さんの物語は読みやすい。
    展開にイラつくこともなく、流れがすっと入ってくるような文章はいい。
    サスペンス小説としてカテゴリー分類をしたけれど、ミステリーでもいいかな?と思う内容だった。

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著者プロフィール

1978年、神奈川県生まれ。1998年、『記憶の果て』で第5回メフィスト賞を受賞しデビュー。『時の鳥籠』『頭蓋骨の中の楽園』など、著書多数。2020年、急逝。

「2020年 『こわれもの 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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