三つの名を持つ犬

  • 徳間書店 (2013年6月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198937010

みんなの感想まとめ

犬をテーマにしたミステリーが描かれる本作は、愛らしい犬たちと人間の複雑な関係が織りなす物語です。ミステリーが苦手な読者でも、犬が登場することで興味を引かれ、思わずページをめくってしまう魅力があります。...

感想・レビュー・書評

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  • ミステリーは苦手なのだが、犬が出てくる物語は好きだし、著者の別の作品を読んで好きだったこともあり、珍しくミステリーに手を出してみることにした。

    やはり犯罪者が出てこない小説の方が好きなのだが、たまにはこういうのも良い。
    先が気になって、一気に読んでしまった。

  • #読了 #読書
    初めて近藤史恵さんの著書を読みました。
    犬と暮らしている身として、最初は読んでいて辛かった。だけど、読み終えてそのモヤモヤが消えた。
    話に出てくる、首元がエリマキのような毛並のわんちゃん…ちょっと見てみたい。

  • エル、ササミ、ナナどれも同じ犬を指していて、サスペンス物語とは思っていなかった。可愛い犬も身勝手な人間達に利用されてしまうのが残念である。最後はまともになったのかな?と思う。

  • クライムサスペンス。二部構成で、主人公は草間都と思いきや、実は二部の江口という構成も意外性があって楽しい。
    ちょい悪の江口が登場した時は京都が恫喝される展開を想像してそれまで草間視線で読んでいただけに陰鬱な気分となる。ところが切ない人生を歩んできた江口視線に徐々に切り替わるとこの二人の顛末がとても気になり一気に読んだ。
    なるほどうまい結末を用意してくれる。
    作家自身犬を飼っているとのことで、犬の描写が上手く、とてもかわいいうえにこんなに性格をはっきり見せるものかと感じました。こんなにも濃厚な付き合いができるならペットも家族当然だなとあらぬ方向に思いを馳せる。
    途中で明らかになるタイトルの意味にも納得。

  • エル、ササミ、そしてナナ。
    ある日、些細なことから愛犬エルが亡くなってしまった草間 都。

    ホームレスが飼っていたエルそっくりの犬を盗んだことから、物語は、意外な方向に回り出す。
    下っ端の詐欺師 江口を巻き込み、物語は、何処へ進むのか。

    物語の最後に語られるささやかな希望が、叶うことを。
    良書です、ぜひ。



  • 吾輩は犬である。名前は三つある。
    ――この時点で、だいぶややこしい。

    あの有名な猫のように鋭い人間観察を期待されても困る。こちらはただの犬である。しかも名前が三つもある時点で、すでに人間関係に振り回されている。

    この物語を語るのは、草間都と江口正道。
    どちらも「人生、こんなはずじゃなかった」代表のような二人である。

    草間都は、頭の出来はまあ普通(本人談ではないが、たぶんそう)だが、ひとつだけ飛び抜けたものを持っている。美貌である。
    この“美貌一本足打法”でモデル業界に飛び込んだまではよかったが、世の中はそんなに甘くない。「綺麗な人」は掃いて捨てるほどいるのだ。

    案の定、売れない。
    事務所の社長から「もう若くないんだから」と言われる始末。なかなかパンチの効いた励ましである。

    そんな都に訪れた小さな奇跡。愛犬エルとの日常を綴ったブログがヒットし、ライター仕事が舞い込む。
    ――やっと軌道に乗った、と思った矢先に事件は起きる。

    エル、死亡。しかも事故。しかも都の不注意。しかもその時、不倫デート中。
    役満である。

    これでブログの信用は地に落ちる。いや、地面にめり込むレベルだ。さらに「犬ありき」の仕事なのに、その犬がいない。詰みである。

    普通ならここで反省するのだが、都は違う。
    「代わりを用意すればいいじゃない」と考える。発想が軽い。命も軽い。

    ペットショップ、里親サイト、ありとあらゆる手段を使って“エルそっくりの犬”を探すが、そんな都合のいい話はない。
    ――と思ったら、あるのである。しかも読者から情報提供。インターネット、恐るべし。

    見つかったのは、ホームレスが飼っている犬。ほぼエル。奇跡である。
    ただし、その奇跡には当然“持ち主”がいる。

    交渉はあっさり決裂。ここで引けばまだ人間だった。
    しかし都は引かない。強奪する。
    そしてホームレスは追いかけ、車道に飛び出し、死亡。

    ――もはやサスペンスではなく、業の見本市である。

    さらに追い打ち。
    不倫相手の中年男性が、都の様子を怪しみ始める。嫉妬に狂い、「犬を殺す」「警察に突き出す」と騒ぎ出す。
    この時点で全員まともではない。

    結果、都は包丁で刺す。
    気がついたら刺していた、という便利な言い回しがここでも登場するが、便利すぎて怖い。

    一方の江口正道。こちらもなかなかの人生である。
    振り込め詐欺の出し子で日銭を稼ぐ男。胸を張れる職業ではないが、本人もたぶん張っていない。

    転落のきっかけは両親の死。遺産2,000万円。
    普通なら慎重になる場面だが、彼はそれをFXにつぎ込む。
    結果?――聞くまでもない。

    気づけば半減、さらに借金、そしてサラ金。
    ここまで来ると、人は“立て直す”より“流される”ほうが楽になる。江口も例外ではない。気力も体力もなく、犯罪組織の末端で使い捨てられる人生に収まっていく。

    ――そんな二人を結びつけるのが、一匹の犬である。

    都はこの犬に「ササミ」と名付ける。理由は好物だから。雑である。
    しかし外では「エル」と呼ぶ。ブログのためである。都合がいい。

    そして元の名前は「ナナ」。
    つまり一匹で三つの名前。犬としてもなかなかの多重人格ぶりだ。

    江口はブログを読み込み、このカラクリを見抜く。
    こうして、嘘と借金と死体を抱えた二人の人生が交差する。

    ――と書くと救いがなさそうだが、不思議なことに、この物語は最後に少しだけ息をつける場所を用意している。

    人生を踏み外した二人が、「今いる場所で、等身大で生きる」と決める。
    言葉にすれば簡単だが、ここに至るまでの道のりを思えば、なかなかどうして重い決断である。

    そのきっかけが、一匹の犬。
    名前が三つあっても、犬は犬だ。ただそばにいるだけだ。

    人間のほうが勝手に転び、勝手に悩み、そして勝手に立ち上がる。
    ――犬は何もしていない。していないのに、すべての中心にいる。

    困ったものである。いや、救いなのかもしれない。

  • 最初はうわー読んだの失敗だなと思った。
    犬は死ぬは、犬を誘拐するわ、殺人は犯すわ……何この救いのない連鎖。

    でも、近藤さんと言えば犬。

    と思って手に取った本、最後まで読むことを決めた。
    途中で視点が変わったのが良かった。こいつもクズだったけど。カス。

    犯罪者同士がなんかするのかな、と、とにかく犬の未来だけが救われてくれ!と思ったが、なるほど〜となった。良かった。

    正直、女の方が完全犯罪で終わるのかと思ったから、男の方が何とかなったのはモヤモヤ。
    犬にとっても、ころころ主人が変わって大変だよなあ。でも、誘拐された時点でもう、ね。
    一番いい着地になったとは思う。

    流石近藤さんでした。

  • 犬が可愛い!そして意外な展開。
    愛人の男性、どこがよかったのか…

  •  エル、ナナ、ササミという3つの名前を持つ犬の物語。飼い主の草間都と犬を通して都に魅かれていく江口正道。一筋の光が輝くラストに拍手を。近藤史恵「三つの名を持つ犬」、2011.5刊行、2013.6文庫。

  • 話は面白く、どんどん読んでいける。
    でも、犬視点は全くなし。

  • なんですかね、この身勝手な人達は。読み進めていくにつれて「おーい」と突っ込みたくなる感じ。いや、あかんやろ、の繰り返し。良く最後は納得のいく、常識の地点に降りられたな、と。さらさら読めるんだけど、恋愛感情もちょっと軽い気がしないでもない。冒頭の不倫は論外。エル、ササミ、ナナに癒されるながらの読書でした♪

  • 人物描写の上手い作者だが、今回に限って言えば唸るまではいかなかった。
    (※美人ブロガーと振り込め詐欺の手下という、何となくありがちな設定だからかな…)

    個人的には、愛人の殺人事件に発展するのではなく、あくまでも犬をめぐるアレコレの展開を期待していた。
    願わくは是非、その展開でアナザーストーリーを描いて頂きたいと願っている。

  • データベースには「切なく」と書かれていたけれど少し違う印象を持った。
    身勝手な行動から次第に追い詰められていく主人公が、やがて自分のしてしまった行いの本当に意味を知る。
    罪のかたちをした白い犬を前にどんな決断をくだすのか。
    「犬」という生き物を通して問われているのは、きちんと生きるということなのだと思う。
    リードをつけられた犬は自由に動ける範囲がとても狭い。
    部屋に閉じ込められた犬はドアの向こうに一人で行くことはけっして出来ない。
    犬に限らずペットとして何かを飼うということは、そのままその生命に責任を持つといくことだ。
    都にとってエルが収入を得るための存在。
    必要不可欠なアイテムになってしまったことが悲劇の始まりだった。
    どんなに似ていたとしても、愛したものの代わりなどいないとわかっていたはずなのに。
    突然にナナを奪われたホームレス。
    大切にしてくれた主人が死ななければならなかった原因が都だと知ったら、果たしてナナは心を許しただろうか?
    エルへの愛情をブログで語りながら、どこかで「たかが犬」と都自身が思っていた部分があったのでは?と思ってしまう。
    エルを失いナナをさらってきた行動は、何となく「調達」といった感じがしてしまう。
    周囲を誤魔化すための穴埋めにされたナナも、ナナを追いかけて事故にあったホームレスも、死んでしまったエルも、みんな都の身勝手さの犠牲者だ。
    都がどんなに改心したとしても、どんなにナナを愛していると訴えようとも、どうしてもそこに本物の愛があるとは思えなかった。
    犬を飼っていない人にとっては、とてもわかりやすい物語だったと思う。
    孤独さゆえに犬に救いを求めた女性。
    その犬がきっかけで仕事をもらうようになり、犬はアイテム化していく。
    アイテムを失った女性は、非合法な手段を使って代替品を手に入れる。
    だが秘密は思いがけないところからもれていく。
    最終的に女性が下した判断は・・・。
    面白くなかったわけではない。
    けれど、読み終わった後も心に小さく残る不快感を拭いきれなかった。

  • 犬が原因となって起こる事件。
    犬が関わる話しで、こんなに衝撃的なものは初めてかも…

    2016.12.19

  • 思ってなかった展開で、わりと面白くスイスイ読んで満足感もあったんだけど、よくよく考えたら都って超自己中で、とんでもない奴だったり?・・・美人で、犬のため、とか言われると許されちゃう感があるけどーww

  • 犬を撫で、その温かさに触れることで、ようやく少し救われる。売れないモデルの草間都は、愛犬エルとの暮らしをブログに綴ることで、心が充たされるだけでなく、生活の糧も得ていた。だが、ある夜エルは死んでしまう。追い込まれた都は、エルそっくりの飼い犬を、思わず家に連れ帰ってしまった。ちいさな罪のはずが、それはやがて思いがけない事件に…切なく胸を打つ傑作ミステリー!

  • 初めから読んでいて、どうしてそういうことになるのよ、と嫌な気持ちになる。でも読み進めて行くと意外な展開で面白くなってくる。そして最後にはちょっと爽やかささえ感じる。

  • ミステリーじゃなくてもいいんだけどな。

  • 2014.03.18読了。書店で可愛いワンちゃんの表紙に惹かれたが購入できなかったのですがお借りする事が出来ました。読んで驚き!猫ちゃんが好きな私ですが子供の頃飼っていたのはワンちゃんだったので思い出と重なってしまい、初めは読んでいてとても胸が痛く苦しかった。主人公の都の2匹のエル(特にササミ)への身勝手な仕打ちに耐えられず途中何度もやめようと思いましたが、エグが出て来てから少しずつ救われてったかな。エグに対する都の気持ちは「恋」ではなく「信頼」でハッピーエンド、とは言えませんが、エグの最後の決心は良かったと思います。

  • 現状を壊すのが怖くて、ほんの少しのつもりが
    いつのまにやら後戻りできなくなる。
    主人公、都ほどのことはないにしても
    少々の事は誰に起きても不思議ではない。
    きっと嫌な終わり方、後味悪くなるのかな・・と思ったら
    少し前向きな終わり方。
    ちょっと安心した。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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