三つの名を持つ犬 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198937010

作品紹介・あらすじ

犬を撫で、その温かさに触れることで、ようやく少し救われる。売れないモデルの草間都は、愛犬エルとの暮らしをブログに綴ることで、心が充たされるだけでなく、生活の糧も得ていた。だが、ある夜エルは死んでしまう。追い込まれた都は、エルそっくりの飼い犬を、思わず家に連れ帰ってしまった。ちいさな罪のはずが、それはやがて思いがけない事件に…切なく胸を打つ傑作ミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • ミステリーは苦手なのだが、犬が出てくる物語は好きだし、著者の別の作品を読んで好きだったこともあり、珍しくミステリーに手を出してみることにした。

    やはり犯罪者が出てこない小説の方が好きなのだが、たまにはこういうのも良い。
    先が気になって、一気に読んでしまった。

  • #読了 #読書
    初めて近藤史恵さんの著書を読みました。
    犬と暮らしている身として、最初は読んでいて辛かった。だけど、読み終えてそのモヤモヤが消えた。
    話に出てくる、首元がエリマキのような毛並のわんちゃん…ちょっと見てみたい。

  • エル、ササミ、ナナどれも同じ犬を指していて、サスペンス物語とは思っていなかった。可愛い犬も身勝手な人間達に利用されてしまうのが残念である。最後はまともになったのかな?と思う。

  • クライムサスペンス。二部構成で、主人公は草間都と思いきや、実は二部の江口という構成も意外性があって楽しい。
    ちょい悪の江口が登場した時は京都が恫喝される展開を想像してそれまで草間視線で読んでいただけに陰鬱な気分となる。ところが切ない人生を歩んできた江口視線に徐々に切り替わるとこの二人の顛末がとても気になり一気に読んだ。
    なるほどうまい結末を用意してくれる。
    作家自身犬を飼っているとのことで、犬の描写が上手く、とてもかわいいうえにこんなに性格をはっきり見せるものかと感じました。こんなにも濃厚な付き合いができるならペットも家族当然だなとあらぬ方向に思いを馳せる。
    途中で明らかになるタイトルの意味にも納得。

  •  エル、ナナ、ササミという3つの名前を持つ犬の物語。飼い主の草間都と犬を通して都に魅かれていく江口正道。一筋の光が輝くラストに拍手を。近藤史恵「三つの名を持つ犬」、2011.5刊行、2013.6文庫。

  • 話は面白く、どんどん読んでいける。
    でも、犬視点は全くなし。

  • なんですかね、この身勝手な人達は。読み進めていくにつれて「おーい」と突っ込みたくなる感じ。いや、あかんやろ、の繰り返し。良く最後は納得のいく、常識の地点に降りられたな、と。さらさら読めるんだけど、恋愛感情もちょっと軽い気がしないでもない。冒頭の不倫は論外。エル、ササミ、ナナに癒されるながらの読書でした♪

  • エル、ササミ、そしてナナ。
    ある日、些細なことから愛犬エルが亡くなってしまった草間 都。

    ホームレスが飼っていたエルそっくりの犬を盗んだことから、物語は、意外な方向に回り出す。
    下っ端の詐欺師 江口を巻き込み、物語は、何処へ進むのか。

    物語の最後に語られるささやかな希望が、叶うことを。
    良書です、ぜひ。



  • 人物描写の上手い作者だが、今回に限って言えば唸るまではいかなかった。
    (※美人ブロガーと振り込め詐欺の手下という、何となくありがちな設定だからかな…)

    個人的には、愛人の殺人事件に発展するのではなく、あくまでも犬をめぐるアレコレの展開を期待していた。
    願わくは是非、その展開でアナザーストーリーを描いて頂きたいと願っている。

  • データベースには「切なく」と書かれていたけれど少し違う印象を持った。
    身勝手な行動から次第に追い詰められていく主人公が、やがて自分のしてしまった行いの本当に意味を知る。
    罪のかたちをした白い犬を前にどんな決断をくだすのか。
    「犬」という生き物を通して問われているのは、きちんと生きるということなのだと思う。
    リードをつけられた犬は自由に動ける範囲がとても狭い。
    部屋に閉じ込められた犬はドアの向こうに一人で行くことはけっして出来ない。
    犬に限らずペットとして何かを飼うということは、そのままその生命に責任を持つといくことだ。
    都にとってエルが収入を得るための存在。
    必要不可欠なアイテムになってしまったことが悲劇の始まりだった。
    どんなに似ていたとしても、愛したものの代わりなどいないとわかっていたはずなのに。
    突然にナナを奪われたホームレス。
    大切にしてくれた主人が死ななければならなかった原因が都だと知ったら、果たしてナナは心を許しただろうか?
    エルへの愛情をブログで語りながら、どこかで「たかが犬」と都自身が思っていた部分があったのでは?と思ってしまう。
    エルを失いナナをさらってきた行動は、何となく「調達」といった感じがしてしまう。
    周囲を誤魔化すための穴埋めにされたナナも、ナナを追いかけて事故にあったホームレスも、死んでしまったエルも、みんな都の身勝手さの犠牲者だ。
    都がどんなに改心したとしても、どんなにナナを愛していると訴えようとも、どうしてもそこに本物の愛があるとは思えなかった。
    犬を飼っていない人にとっては、とてもわかりやすい物語だったと思う。
    孤独さゆえに犬に救いを求めた女性。
    その犬がきっかけで仕事をもらうようになり、犬はアイテム化していく。
    アイテムを失った女性は、非合法な手段を使って代替品を手に入れる。
    だが秘密は思いがけないところからもれていく。
    最終的に女性が下した判断は・・・。
    面白くなかったわけではない。
    けれど、読み終わった後も心に小さく残る不快感を拭いきれなかった。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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