天空の犬: 南アルプス山岳救助隊K-9 (徳間文庫 ひ 24-3)

著者 :
  • 徳間書店
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  • / ISBN・EAN: 9784198937621

作品紹介・あらすじ

南アルプス山岳救助隊の夏実は救助犬メイとともに、北岳の警備派出所に着任した。過酷な訓練と相次ぐ山岳事故、そして仕事への情熱と誇り。そんな苦楽を分かち合う仲間にも打ち明けられない深い心の疵が、今もなお越えられぬ岩壁のように夏実の前に立ちはだかっていた。やがて立て続けに起こり始める不審な出来事。招かれざるひとりの登山者に迫る陰謀と危難を察知した夏実は、猛り狂う暴風雨の中、メイとともに命をかえりみず救助に向かった……。

感想・レビュー・書評

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  • 初めましての作家さんです。
    フォローさせていただいている方のレビューがきっかけで手に取りました。
    主人公は、南アルプスの山岳救助隊に着任した夏実と、山岳救助犬のメイ。
    夏美は、色を感じるという特殊な能力がある。
    そのせいで心に深い傷を負っていた───

    とにかく夏美とメイの「強い絆」が素晴らしかった。
    脚にピストルの弾が貫通するケガを負いながら、
    夏美の元へまっしぐらに走っていくメイ。
    とび色の大きな瞳が、暗闇で二つの青い光になる。

    やっとメイと再会できたのに、また別れなければならない場面、
    またもや自分の元から離れるように命ずる「GO!」
    もうこらえきれず泣いてしまいました。

    メイの瞳が、鮮やかなコバルトブルーに染まった瞬間、
    見上げる天空に広がる美しい青──
    乗り越えるのが無理なら背負って生きよう──
    生きていることは素晴らしい──
    この最後のシーンに胸が震えました。
    夏美とメイのこれからが、とても楽しみです。

    余談ですが、メイを見ていると愛犬を思い出します。
    いつも、澄んだまんまるのやさしい瞳で見つめてくれて…
    ちぎれそうになるほど尻尾を振ってくれて…
    ただひたすらに私を信じてくれて…
    ワンちゃんに限らず、動物はみんなそうですよね。
    与えられている時間は、人間よりはるかに短い。
    だからよけい、懸命に働いているコを見ると無性にいじらしく思えるのです。

    • ひとしさん
      うさこさんおはようございます。
      絶対泣いてしまうような内容です(T_T)
      私も犬を飼っているので、感情移入してしまいそうです。
      うさこさんおはようございます。
      絶対泣いてしまうような内容です(T_T)
      私も犬を飼っているので、感情移入してしまいそうです。
      2018/07/06
    • 杜のうさこさん
      ひとしさん、こんばんは~♪
      コメントありがとうございます!

      ワンちゃん、いらっしゃるんですね~♪
      感情移入、すっごくわかります!
      ...
      ひとしさん、こんばんは~♪
      コメントありがとうございます!

      ワンちゃん、いらっしゃるんですね~♪
      感情移入、すっごくわかります!
      私も動物モノにはいろんな意味で弱くて…

      本当は読みたくて仕方ないのです。
      でも、読んでいる本に動物が登場すると、その子たちが最後まで無事かどうか、そればっかり気になってしまって…
      ホント、困ったちゃんです(>_<)

      この本もフォローさせていただいてる方のレビューがなければ、たぶん読むことはなかったと思います。
      でも、読んで良かったです!
      涙ぽろぽろにはなりましたが、悲しい涙ではないですよ^^♪
      読後感は、とても爽やかで清々しかったです(*^-^*)
      2018/07/07
    • ひとしさん
      私は昔から犬が好きで、今はミニチュアシュナウザーを飼っています。
      仕事から帰ると、5分くらいは抱き合っています(笑)
      でも、死んでしまっ...
      私は昔から犬が好きで、今はミニチュアシュナウザーを飼っています。
      仕事から帰ると、5分くらいは抱き合っています(笑)
      でも、死んでしまった時はどうしようもない気持ちになってしまってダメですね。それでも可愛くてまた飼ってしまうの繰り返しなんですが。

      これとは違いますが、杜のうさぎさんも読んでらした『優しい死神の飼い方』のレオも最高でしたね!
      動物は無垢なだけに本当にやられちゃいますよね(^_^;)
      2018/07/16
  • 著者初読み。
    山岳小説の得意な作家さんが、南アルプスを舞台にした山岳救助犬の話を描いたと言うことで、気になってはいたけど、なかなか読めずにいたシリーズ。
    警察小説と言うカテゴリにするのも、どうかと思ったけど、一応、主人公・夏実の所属が所轄と言うことで、警察小説として読んでみた。
    他の人の感想にもあるように、中盤までは話が散らばり過ぎて、なかなか入り込めない。雪崩で亡くなってしまった救助隊長、東日本大震災、共感覚…何をメインで描きたいのか、なかなか絞り込めずに、読むペースも上がらない。
    いろいろなことを乗り越えて、山岳救助隊の一員として、救助に参加するも、夏実とメイが初めて救助出来るのは、200ページを過ぎた頃…しかし、そこからが面白かった。
    少し長めのイントロダクションと思えば、山の景色の描写は文句なく美しいし、隊員それぞれのキャラクターもとても好感が持てるので、これからが楽しみなシリーズ。
    それにしても、北岳が3,193mになっていたなんて…一番の衝撃!

  • 主人公は、南アルプス山岳救助隊に属するハンドラー。そして、共感覚という特殊な能力を持っている。
    そんな彼女の成長物語かと思っていたら、終盤にきて事件性を帯び、俄然警察小説の趣きになって、急展開した。
    著者は、南アルプスの山麓に居を構えているとのこと、それだけに山の描写は美しくリアルで、山の魅力はいやがうえにも読者に迫ってくる。(40年ほど前に北岳の頂上に立ったことを思い出させる)
    山岳小説と警察小説とを融合した秀逸な作品には、笹本稜平氏の著者が多々あるが、さらに動物小説を加味したのは著者だけであろう。
    東日本大震災、原発事故に触れられ、遭難者の死亡の事故等々もあるが、信頼し合う救助犬とハンドラー、爽やかで誇り高い山岳救助隊員たち、そして舞台は南アルプス。
    読後に爽快感が残る傑作。
    シリーズ化されているようで、次回作にも手が出る誘惑が・・・

    • 杜のうさこさん
      hongoh-遊民さん、こんばんは。

      ご無沙汰しております。
      この本hongoh-遊民さんのレビューがきっかけで読みました。

      ...
      hongoh-遊民さん、こんばんは。

      ご無沙汰しております。
      この本hongoh-遊民さんのレビューがきっかけで読みました。

      すごく良かったです!
      うっかり読んで号泣してしまうことがあるので、
      動物が危険な目にあいそうな本は敬遠しがちなのですが、
      hongoh-遊民さんのおかげで素敵な本に出逢えました。
      ありがとうございました!
      2018/06/25
    • 杜のうさこさん
      hongoh-遊民さん、こんばんは~。

      お返事ありがとうございました。
      この後の5作のレビュー読ませていただきました。
      メイたちが...
      hongoh-遊民さん、こんばんは~。

      お返事ありがとうございました。
      この後の5作のレビュー読ませていただきました。
      メイたちが無事か、ドキドキしてしまいました。
      『天空の犬』を読み終えた時点で、すでに続きが気になっていたのですが、
      ますます読みたくなりました!
      シリーズ制覇めざしてみます(*^-^*)

      今日は異常に暑かったですね。
      なかなか雨音を聴きながらの読書はさせてもらえませんね。
      2018/06/26
  • 山の日に読書。北岳にも登ったことがあるので、より情景が想像出来て楽しめた。山岳小説と警察小説と動物小説の融合。救助犬メイとハンドラー夏実の絆に、後半は泣いてしまった。
    続くシリーズも読みたい。そして山に行きたい。

    2018.8.11

  • この作者が書く山の世界が好きです。南アルプスに住んであるというだけあって、情景が鮮やかに浮かんで来ます。物語も感動あり、スリルありと目が離せない展開で面白いです。ただ、最初の方に、福島の震災の事が書かれていて、あれ?南アルプス山岳隊の話だったよね?とタイトルを見直しました(笑)現実にあった事を加える事で、この小説にリアル感を持たせたかったのかな、と感じました。

  • 最後には感涙、感動の山岳冒険警察小説。主人公の星野夏実は被災地での経験で心に深い傷を負い、ボーダーコリーのメイと共に南アルプス山岳救助隊で任務に就くことになる…主人公が心に深い傷を負ったのは共感覚の持ち主ゆえ…

    星野夏実が山岳救助隊の中で揉まれながら成長し、次第に山の仲間と打ち解けていく過程が南アルプスの自然の描写と共に見事に描かれている。

    樋口明雄が描く山岳小説は兎に角面白い。自然を愛するがゆえなのか山の描写から心に強く伝わって来るものがある。初期の『狼は瞑らない』『光の山脈』『男たちの十字架』も素晴らしい山岳小説であり、日本冒険小説協会大賞を受賞した『約束の地』も素晴らしいが、この作品も一連の作品に勝るとも劣らない傑作である。

  • どこかで「ブロッケンの悪魔」のことを見て読んでみようかと思ったが、シリーズ物だったので最初のものからにしようと、まずこの本を買ってみた。

    シリーズ物の最初ということと、主人公が初めての職場に着任することが重なって、途中までは小ネタを挟みながら登場人物や救助犬や山岳救助隊の仕事や北岳周辺の様子を説明されているような話が続き、退屈なわけではないし後で効いてくるところもあるのだけれど、このまま大きな事件も起こらずに終わりはしないかと思わされるのは話の展開としてはどうかな。
    ようやく270頁を過ぎてから山場の話となったが、不穏な天候の中での、神がかり的なヘリの操縦テク、荒唐無稽なヘリからの降下&空手対決、超人的(超犬的?)な犬の働き、政治家を叱咤する主人公に、叱咤された政治家の思わぬ心情の吐露(今の政治家に聞かせたい)と、色んな要素がてんこ盛りで一気呵成に読まされた(犯人はあんまり面倒なことをしなくても、3人だけになった時、どこか絶対助からないような所で突き落としてしまえば良かったのではないかと思うが、まあ野暮なことは言いっこなしで)。

    次からはもう少し前半からスピーディーな展開になるかな、続編も読んでみようと思う。

  • 警察小説というには特別部門の話です
    主人公がイイデスね
    共感感覚・・・何気にすごい特技をお持ちで
    それも悲しい経験のなせる所だから単純には
    慶べないのですが

  • 犬のお話が好きで、読んでみました。
    山岳救助の設定だと思っていたら、東日本の震災が出てきて驚きました。

    メイと夏実の絆に気持ちが温かくなる。
    震災、過去の悲しい事故、恩師の病、そして政治など、話を色々詰め込んでいるので、あと一歩入り込みきれなかったが、続編があるなら是非読んでみたい作品。

  • 救助犬とハンドラーの絆の深さが感じられて感動する。

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著者プロフィール

1960年山口県生まれ。明治学院大学卒業。雑誌記者を経て、87年に小説家デビュー。2008年『約束の地』で、第27回日本冒険小説協会大賞、第12回大藪春彦賞をダブル受賞。2013年刊行には『ミッドナイト・ラン!』で第2回エキナカ大賞を受賞。山岳救助犬の活躍を描く「南アルプス山岳救助隊K-9」シリーズの他、『狼は瞑らない』『光の山脈』『酔いどれ犬』『還らざる聖地』、エッセイ『北岳山小屋物語』『田舎暮らし毒本』などの著作がある。有害鳥獣対策犬ハンドラー資格取得。山梨県自然監視員。

「2022年 『南アルプス山岳救助隊K-9 それぞれの山』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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