先生のお庭番 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
3.80
  • (22)
  • (56)
  • (41)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 400
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198938383

作品紹介・あらすじ

舞台は長崎の出島。15歳で修行中の庭師・熊吉はオランダ商館への奉公を命じられた。仕える相手はシーボルト。なんと更地に薬草園を作れという。熊吉はそれでも工夫を重ねて見事な薬草園を仕上げ、シーボルトと妻のお滝の信頼を得てゆく。四季折々の草花に魅入られたシーボルトは、熊吉に日本の自然の豊かさについて説き、どこの国でも同じだと思っていた熊吉は驚かされる。土と草花を通して人のぬくもりを描いた、感動の職人小説にして成長小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • シーボルトに従事した、庭の管理人=御庭番•熊吉のお話。

    蘭語にどうしようもなく惹かれ、そこからシーボルトとの運命的な出会いを果たす冒頭、初っ端からぐっとくる。

    フィクションのような盛り上がりがあるのに、ノンフィクションの持つ客観性も持ち合わせていて、読んでいて不思議な気持ちになった。

    シーボルト先生が、私たちにとって馴染み深い「自然」という言葉を初めて定義付けるシーンも、ハッとさせられる。
    それなのに、日本人の「自然」観には触れきれないシーボルト先生の哀しみ。

    それでも、熊吉の彼を慕う姿が良い。
    どれだけの犠牲を払い、失い、過たれたとしても、熊吉の仕事は変わらない。
    ひたすら地味だけど、めちゃくちゃ格好良い!

    読んでいて、良い重みを感じた。

  • 切なくて、美しい話だった。
    日本の良いところ、悪いところ、美しさがきれいに描かれていると思う。

    嵐に対して怒りを抱かない日本は、今もそうなのかも。
    怒りが全くないわけではないけれど、自然を受け入れ、共に生きること。日本人は昔から、そうしてきたんだなと思う。

  • 詳細は、こちらをご覧ください
    あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート
     → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1301.html
    本書を読むまでは、 「熊吉」のことは 全然知らなかったので 実在の人と知ってびっくり。
    以前見に行った「シーボルト展」でも紹介されてたんですね。
    2016/11/6「日本の自然を世界に開いたシーボルト」展へ行く
    https://sea.ap.teacup.com/pasobo/2174.html

  •  長崎出島を舞台に、植物学者のシーボルトの
    下に仕えることになった少年・熊吉の姿を描いた
    歴史小説。

     何もない土地からいきなり荘園を作れ、と命令
    された熊吉。

     熊吉は初めは何をすればいいのか分からず、
    シーボルトから指示をもらおうと、右往左往
    するのですが、何も言ってもらえません。
    結局作業が進まないまま、五日がすぎ、
    そこでシーボルトの奥方のお滝が熊吉を一喝
    します。

     たとえ少年であっても、実力がないと許さ
    れない世界。そんな中でそこから創意工夫を
    凝らし、信頼を勝ち得ていく熊吉の姿がとても
    爽やかでした。

     このお滝のキャラも印象的です。彼女は元々
    女郎だったところをシーボルトに見初められ
    ました。女郎までの人生経験のためかどんな
    出来事に対しても、どこか達観としているよう
    にも見えます。

     しかし、シーボルトは故国のオランダや
    母親への思いがあります。お滝はそうなっても
    仕方ないと思いつつも、シーボルトが帰ることに
    より今の幸せがなくなってしまうかもしれない
    という、不安定な立場が故の不安や弱さが見られる
    場面もあり、そうした弱さの描き方が良かった
    と思います。

     シーボルトと熊吉、お滝の間の歯車が狂う場面
    の象徴としてそれぞれの自然観の違いが如実に
    現れる場面があるのですが、この場面がとても
    印象的でした。

     四季のある日本で暮らしてきた熊吉たちと
    そうでないオランダ人のシーボルト、そこから
    見える世界というもの違いに越えられない壁を
    感じさせられました。そういう溝の描き方が
    とても上手いなあ、と読んでいて感じます。

     シーボルトをめぐって後半は不穏な動きが
    あります。史実に基づいたが故の展開なのだと
    思うのですが、そのため終盤からシーボルトの
    人物像が分からなくなってしまったのが、個人
    的にちょっと残念だったかなあ。

  • 2020/9/21
    私もしぼると先生がいい人なのか悪い人なのか結論を付けられぬまま本を閉じた。
    うーん…と思ってたけどでも、人ってそうやんな。
    いいとこばかりの聖人もおらんし、極悪人にもたぶんいいとこはあるんやろう。
    いい悪いの判定も人によって違うし。
    先生は確かに妻子を愛してたし、草木も愛してた。
    自然は制圧するもんやし、虫の声は雑音やから殺してしまえと思ってても。
    思ったよりドライにいろんなものを諦めて捨てて行っても。
    みんな連れて行けばいいと思ってたけど、そんな簡単にはいかないんだな。
    友人付き合いしていた人や教え子のような人たちが死んだり失脚したりしてたのはどう思ってたのかな。
    やぱんでは余裕綽々でも本国では生き残りに必死やったんかな。
    ままならぬのだな。と思うと涙出そうになってきた。
    熊吉も奥方も娘もなんだかんだで幸せでよかったよ。
    おるそんは幸せに暮らしたかな。そうだといいな。

  • 先生のお庭番・・・先生はシーボルト。
    お庭番は園丁熊吉。
    映像で観てみたい作品だと思う。

  • 先生(=シーボルト)のお庭番になった
    熊吉が主人公。

    植物の描写がとても良かったです。
    主人公が日本の植物を海外に送ろうと
    試行錯誤する場面は学がなくても
    やれる人は存在するなぁ…としみじみ
    感心しました。私は怠け者なので…。

    シーボルト自体はうっすらとしか記憶して
    いなかったけれどなかなか色々な面を持つ
    人物だったようで、日本史は非常に苦手な
    勉強でしたが、シーボルトが来日していた
    時代の歴史を振り返ることができて面白かったです。

  • 15歳の熊吉が雇われたのは
    長崎、出島の蘭医師シーボルトの薬草園。

    草木への深い愛
    阿蘭陀に日本の草木を送りたいというシーボルトのために
    工夫奮闘する熊吉

    やがて起こる長崎事件・・・

    日本ってやはり美しい国なのだなぁと。
    そして、この時期に今でいうカタログ販売があったのに驚き!

  • オタクサにもるへん。最後の最後で。

  • 面白くてどんどん読んだ。
    史実があるから、ラストは、ちょっと寂しさや哀しさが残るけれど。しぼると先生は本当は何を考えていて、どんな事情があったのだろう。日本の四季や草木を愛したことは疑う気にはならない。
    それぞれが幸せな日々を送っていることが描かれ、朝井さんらしいと思った。

全45件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

朝井 まかて(あさい まかて)
1959年生まれ。甲南女子大学文学部国文学科卒業後、コピーライターとして広告制作会社に勤務。独立。2006年から大阪文学学校で学び、2008年第3回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞してデビュー。受賞作は『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』と改題され、講談社文庫に収録されている。
2013年、幕末から明治を生きた歌人・中島歌子の半生を描いた『恋歌』で第3回本屋が選ぶ時代小説大賞、2014年第150回直木賞を受賞。ほか、2014年『阿蘭陀西鶴』で第31回織田作之助賞、2016年『眩』で第22回中山義秀文学賞、2017年『福袋』で第11回舟橋聖一文学賞、2018年『雲上雲下』で中央公論文芸賞、『悪玉伝』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。
他の著書に『ちゃんちゃら』『すかたん』『先生のお庭番』『ぬけまいる』がある。『眩』は2017年に宮崎あおい主演でドラマ化された。

朝井まかての作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
坂木 司
宮下奈都
米澤 穂信
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印

先生のお庭番 (徳間文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×