所轄魂

  • 徳間書店 (2014年6月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784198938413

感想・レビュー・書評

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  • 連続殺人事件を追う警察小説でありながら父と子の物語でもある。
    刑事として捜査ひと筋に生きてきた葛木は息子に対して負い目を感じている。
    父として遊んでやったこともどこかに連れて行ってやったこともほとんどない。
    妻にばかり子育てを押つけて、まるで母子家庭のような環境に息子を置いてきたからだ。
    息子が父の背中から何を学んだかはわからない。
    キャリアとして警察庁に入り、いまやエリート警察官となった息子。
    その息子が葛木たちの署に設置された捜査本部に管理官としてやってきた。
    所轄の刑事たちを手足のように使い、手柄をひとり占めしようとする本庁捜査一課の山岡。
    きっちりと筋を通す息子・俊史のやり方は山岡を苛立たせる。
    捜査の目処が立たないまま犠牲者は増えていく。
    あまりにも出来すぎた息子に少しだけ辟易したが、物語だと思えばあり得ない設定でもない。
    刑事の勘というけれど、何かひっかかるような感覚をそう表すのだろうか。
    葛木は自分自身の直感を信じ、仲間たちと協力しながら真犯人へとたどり着く。
    所轄刑事の意地を感じた物語だった。
    本庁に勤務する刑事たちからみれば所轄は道案内くらいにしか思わないかもしれない。
    葛木自身にも経験のあることだった。
    だからこそ、互いに協力することの大切さを知っているともいえる。
    二転三転する捜査方針。
    方向が決まってしまえば、他にどんなに有力な情報が出てきても排除されていく。
    それは誰にも止められない。
    本来、そんなことがあってはならないのだろうが、いかにもありそうで怖い気もしてくる。
    読みやすいけれど読み応えがある。
    そんな物語だった。

  • いわゆる警察ものですが、息子の上司と一刑事のそういう葛藤のドラマかなあとは思ったけど違い捜査を通しての人間ドラマと事件の終盤の逆転に驚きました。良かった。

    2989冊
    今年217冊目

  • この作者らしく人物の心情描写というか、登場人物が思ってることをやたらに話すのでちょっとくどい、そして長い。捜査にかける熱意とか、気概を語り合う刑事なんているのかねというかいないだろう。
    捜査一課と所轄の対立、真犯人逮捕へのどんでん返しなどはよくあるパターンだが、最後まで読めた。

  • 女性の絞殺死体が公園で発見された。特別捜査本部が設置され、所轄の城東署・強行犯係長の葛木邦彦の上役にあたる管理官として着任したのは、なんと息子でキャリア警官の俊史だった。本庁捜査一課から出張ってきたベテランの山岡は、葛木父子をあからさまに見下し、捜査陣は本庁組と所轄組の二つに割れる。そんな中、第二の絞殺死体が発見された。今度も被害者は若い女性だった。

  • 評価は3.

    内容(BOOKデーターベース)
    公園の木立で発見された絞殺死体は、裸足の女性――。捜査本部に着任した警視庁捜査一課のキャリア管理官は、我が息子だった。同時にチョウバ壊しで知られる捜査十三係の鬼係長・山岡も派遣されてきた。26歳警視の俊史と犯人を追うことになった城東署の強行犯係長・葛木の、所轄刑事の意地を懸けた苦闘の日々が始まった……。揺れる捜査方針に、本庁と所轄の面子が火花を散らしてぶつかり合う! --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

    ストーリも出てくる人物も面白いのだが・・1ヶ所残念だったのが父親が息子の晴れ姿を見て感動したり、出来すぎだなんだと涙ぐんだり・・・が多すぎた。
    最後にひと言「できすぎな息子だ」程度だったらこの親子凄い!と思えたが・・・しかも、ここまで父親に素直な息子なんていないだろう~。
    全般的に自慢しすぎ。周囲の人もここまで温かく見られるか?しらけてしまいそのたびにテンションが下がった・・・

  • 連続女性殺人事件が起こる所轄に、「荒らし屋」と悪名高い本庁捜一が乗り込んでくる。
    さらに、その所轄刑事、葛木の息子が管理官として捜査本部に派遣されてくる。
    人間関係のゴタゴタに終始するかと心配したが、なかなか読み応えのある作品だった。

  • 元捜査一課の腕利き刑事の父。今は妻を失い人生を見直し所轄の係長として地域警察として勤務している。そして父に憧れ、父を超えるキャリアとして警察庁に入庁した息子。
    ある連続殺人事件の管理官と所轄として手を携えて苦境を乗り越え、真実に向かってひた走るのでありました。

    ネタバレになりたくないのてあまり語りませんが、父と息子の心の交流、所轄のプライドと本庁のプライドとの激突。手に汗握るフィナーレ。これはかなりの力作です!

  • なんだか出来過ぎた親子関係で、そのせいかストーリーも全体的に出来過ぎに感じてしまった。
    事件の謎解きとしては面白くて、あっという間に読み終わってしまったけど、でも息子が優秀で、おまけに性格も良くて、なんだか出来過ぎなんだよな。と思ってしまうのはひねくれた性格だからか。

  • 重層的多面的な展開に、読み応え抜群のエンターテイメント。
    題名通り、所轄刑事の意地と刑事魂の物語であり、本庁と所轄刑事のぶつかり合う群像劇であり、警察を舞台とした父と子の物語でもあるし、100人以上の捜査本部を束ねるマネージメントを描く小説でもある。
    何よりも、容疑者を、黒か、白かを決めかね、グレーの状態での判断をためらい、主人公たちがこれほど悩み続ける警察小説はかつてなかったのでは。
    ここに、この小説の、他に際立つ魅力があり、主人公たちと一緒に、読者を思い悩ませ推理させる要素があるのではないか。
    はやくも、シリーズ第2弾が出たらしいので、葛木倭文子の活躍、特に息子俊史の更なる成長を早速見てみたい。

  • 父子刑事のお話
    父は所轄の係長、子はキャリアで管理官という関係で
    連続殺人事件を追う
    父と子のやりとり
    警視庁捜査一課と所轄のやりとり
    捜査など
    読みどころ盛りだくさんでしたが
    展開が遅く感じました

  • 現在は所轄にいる元捜査一課の刑事と、キャリアで本庁の管理官である息子が、連続殺人事件の捜査にあたる。
    親子という設定は面白いが、少し饒舌な表現なのか、読むのに我慢が必要だった気がする。
    シリーズ化されているとのことなので、これから読んでいきたい。

  • 所轄署の刑事で警部補の父、キャリアで警視の息子。警視庁捜査一課の管理官としてのデビュー戦は父の所轄署で起きた連続殺人事件だった。警視庁と所轄、キャリアとノンキャリアという警察小説に父子の物語をミックスして読ませる。シリーズ化してるようなので読む。

  • 父親と息子が同じ現場で事件を解決するという設定が他の刑事小説にはなくて、面白そうだな。と思って購入。

    結末はどんでん返しがあったり、衝撃の展開があったりと面白くて一気読みした。

    ただ、事件が解決に向かって動き出すのはかなり後半の方なので、それまでが長くややスピードに欠ける(本当の事件のようにリアルさを追求した結果、こうなったのかもしれないが。。。)し、息子が現場の指揮を執るのが初めてなのだがそう思えないほど仕切っているので多少、出来過ぎなんじゃ?と感じてしまった。

    著者の山岳作品がすごく面白かっただけに、こちらの小説はちょっと物足りないなあ〜。といった読後感だった。

  • 連続殺人事件捜査で所轄と本庁がいがみ合う。
    犯人逮捕は手柄の争い合かと思うと虚しくなる。
    真の犯罪を追求し、一般人の平和のために警察があるはずで、それが所轄魂の中にある、という事なのだろう。
    そんな思いに一般人として救われる。

  • 息子が管理官として、親父が刑事をしている所轄で、連続殺人事件の指揮をとる。
    様々な障害を親父と息子が、所轄の刑事達と乗り越えていく。
    事件の見立てが二転三転して行く中で、個性的な刑事達の真摯な所轄魂が、気持ち良く描かれています。よかったです。

  • 笹本稜平にしては少し斬れ味が足りないと感じた警察小説。

    女性の惨殺事件で特別捜査本部が設置された所轄に着任した管理官は、所轄の係長・葛木邦彦の息子・俊史だった。面白い設定であるが、少し無理があると思った。キャリアとノンキャリアの確執、浮上する容疑者、怒りと焦りの中、葛木父子は…犯人の欲望の正体と事件の結末は…

    シリーズ第一弾。

  • 所轄刑事の父とキャリア管理官の息子が殺人の捜査本部で一緒になった。
    父と子、所轄vs捜査一課、捜査のマネージメントの大変さ、色々盛りだくさん。
    面映くなるセリフもいっぱいだけど、父子の関係が良い。息子に毒が全く見られず、今後キャリアでやっていけるのか心配になる。。
    来月の新刊も楽しみ。

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著者プロフィール

1951年、千葉県生まれ。立教大学卒。出版社勤務を経て、2001年『時の渚』で第18回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『太平洋の薔薇』で第6回大藪春彦賞を受賞。ミステリーをはじめ警察小説、山岳小説の名手として絶大な人気を誇る。主な著書に『ソロ』『K2 復活のソロ』(祥伝社文庫)他。21年逝去。

「2023年 『希望の峰 マカル―西壁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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