生きるぼくら (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
4.09
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レビュー : 286
  • Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198940140

作品紹介・あらすじ

いじめから、ひきこもりとなった二十四歳の麻生人生。頼りだった母が突然いなくなった。残されていたのは、年賀状の束。その中に一枚だけ記憶にある名前があった。「もう一度会えますように。私の命が、あるうちに」マーサばあちゃんから? 人生は四年ぶりに外へ! 祖母のいる蓼科へ向かうと、予想を覆す状況が待っていた????。人の温もりにふれ、米づくりから、大きく人生が変わっていく。

感想・レビュー・書評

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  • 読了して、まず、なんていい話だろう!と思いました。

    引きこもりだった、24歳の青年、麻生人生が、おばあちゃんの住む田舎で10か月間暮らしたお話です。
    この話は、ラストを読むと、感動のあまり、この話出来すぎ!と思ったくらいです。

    最初の方の、人生が高校生のとき、ひどいいじめにあい、じゃりの入った梅干しのお弁当を食べさせられる場面では、あまりのひどいいじめに、私まで具合が悪くなりそうでした。

    でも、おばあちゃんの余命が少ないという、年賀状を見て、蓼科のおばあちゃんのところへ行って、おばあちゃんや、志乃さんや、義理の孫のつぼみ、田端さん、田端さんの息子の純平に出会い、田端さんの施設で働いたり、米作りをして、人生が変化していく様子は本当に素晴らしかったです。
    最後の年賀状の秘密が判明するサプライズで「あっ!」と思いました。
    母との再会では「よかったね」と心の底から思いました。
    人生は、自分たちの作ったお米で、おばあちゃんにむすんでもらった、梅干し入りのおにぎりを食べるという夢が叶いますが、私も梅干しのおにぎりが、むしょうに食べたくなりました。
    つぼみとの将来も、楽しみな展開でした。

    「生きるぼくら」と題した、皆で撮影した写メが、目にみえるようでした。

    • kanegon69 さん
      次々と制覇、ありがとうございます^_^ 楽しんで頂けたなら幸いです。まだまだあるので、必要になったら、お声がけ下さい
      次々と制覇、ありがとうございます^_^ 楽しんで頂けたなら幸いです。まだまだあるので、必要になったら、お声がけ下さい
      2019/06/12
    • まことさん
      いつも、ありがとうございます!
      楽しませていただいています(^^♪
      今、図書館の未読本が、2冊あるので、またお暇なときでいいので、オスス...
      いつも、ありがとうございます!
      楽しませていただいています(^^♪
      今、図書館の未読本が、2冊あるので、またお暇なときでいいので、オススメ教えてください。
      2019/06/12
  • 良い小説を読んだ後の、心に灯がともるような心地よい充足感。この作品も、そんなひとときを与えてくれる。
    引きこもりやいじめの話かと思いきや、認知症問題も絡んで、最後はコメ作り。
    読み進むにつれて、読み手の心がだんだん温かく膨らんでゆく、そんな物語。
    『生きるぼくら』とは、けっして人間だけではなく、「自然と、米と、人間とーぼくらは、みんな、一緒に生きているんだ」と、題名に著者の思いが込められている。
    そして、困難な局面に立たされたとき、「・・・具体的で、現実的な希望を一つでも持つことが大切なんだ。どんな小さなことでもいい。」と、著者は作中人物に言わせている。
    原田マハのこの小説は、『風のマジム』とともに、人生の入り口に戸惑っている人への応援歌と言ってもいい。

  • 生きるぼくら 原田マハさん

    東山魁夷さんの絵が表紙になってて、驚いて縁だと感じで購入。

    解説の桂南光さんの言葉を借りて、
    24歳の麻生人生という青年が、米作りに出会い、人間的に成長していく話。離婚、ひきこもり、認知症、いじめ、対人恐怖症などといった現代の重いテーマが本に出てきて、ストーリーに大きく関わっている。

    本を読んで、主人公 麻生人生が成長していく様子や、つぼみの変化、米作りを通して色んな人が応援・助けてくれる人情味溢れたストーリーが読んでいて気持ちがいい。

    やはり、最後はハッピーエンドで終わるところが原田マハさんの素敵なところ。
    登場人物みんなが個性豊かで、素敵な人柄ばっかりでこんな地域に住みたいなって思う。
    改めて、私の家族や周りの支えてくれている人たちを大切にして、感謝を伝えていきたいと感じた。

    「うつむくのはこの瞬間で終わりにしなさい。まずはとにかく顔をあげなさい。」
    「いつでも私に声をかけなさい。困ったことがあっても、なくても。だって私、マーサさんとあんた達の応援団長なんだから。」
    「人間、長く生きていれば必ず何がある。そんなとき、家族の支えが一番必要になる。」
    「必ず名前で呼ぶ。名前で呼びかけることは、その人の個性を尊重すること。最後には必ずありがとう。」
    「具体的で、現実的な希望を1つでも持つこと。がんばればきっと手が届く、希望。」

  • 読み終わってから表紙を改めて見ると、じんと胸に響くものがある「生きるぼくら」というこの小説。
    何がいいって、自然や大地の力強さと、人の温かさや優しさ。生きるって、すごい。いい。素直にそう思えます。

    壮絶ないじめ、心荒む引きこもりの日々。
    認知症の孤独。対人恐怖。
    就活の失敗。
    もしかしたら、一生縁のない人もいるかもしれないけど、生きていればしんどいなあと逃げ出したくなるようなことがあります。
    どん底に落ちている時は何も気付かないかもしれないけど、浮上していくにつれ、見える景色が変わってくるのが感じられます。

    私がこの本の中で好きなのは、おにぎりの話。
    「おにぎりって、なんかこう、実にいいかたちをしてると思わない?」
    「どうしていいかたちかっていうとね。人の手で結ばれたかたちをしているからだよ」
    ふたつの手と手を合わせて、ほっこりと握る。それがおにぎりのかたち。これを食べる人が健康でいっぱいご飯を食べられますようにっていう、作った人の祈りのかたちなんだよな。

    おばあちゃんが田んぼで丹精込めて作ったお米で握ったおにぎりは、何にも勝るごちそうですよね。

    登場人物はみな、人間味溢れている。
    頑張って頑張って折れてしまうことも、逃げ出してしまうことも、あるいは、新しい道を歩み始めることも、全部を受容してくれるかのような懐の深さを感じました。
    舞台が自然豊かな蓼科だというのもポイントですね。

    人生が元気になるにつれて、同調して自分までパワーチャージされたような、そんな気分です。

  • H30.8.29 読了。

    ・「24歳の麻生人生という青年が、米作りに出会い人間的に成長していく話なのですが、そこには今の時代に起きている、色々な問題が取り上げられています。離婚、引きこもり、認知症。とても重いテーマをマハさんの明るいタッチで、ちょいちょいとギャグも入りミステリアスに展開していきます。(解説より)」。
    ・この作家さんの小説初めてでしたが、登場人物たちの悔しさややるせなさや喜怒哀楽が、手に取るようにわかる、共感できる文章力に圧倒されました。気づくと物語に感情移入していました。
     居場所を見つけた人生とつぼみが大好きなおばあちゃんと米作りを通して成長していく姿に勇気と元気をもらいました。「人は他人を傷つける。でも人は他人を癒すことができる。」ということをあらためて考えさせられた作品でした。いつか長野に蓼科にミシャカ池に行ってみたい。

    ・「生き抜くつもりで、いじめに耐えた。それは、想像していた以上に酷かった。けれど、今度は、死んだほうがいい、などとは思わなかった。母ちゃんのためにも、死んだりしない。死ぬくらいの限界がきたなら、逃げてやるんだ。」
    ・「ここでの生活は、一言でいえば「スローライフ」、言い換えると「不便な生活」だ。最寄りのバス停までは徒歩30分。駅までは車がないと行くのが難しい。一番近い商店は、無人の野菜販売所。当然、コンビニや自動販売機なんてものは皆無だ。」
    ・「生きてるんだ、という言葉が、どこからともなく聞こえてくる。生きてるんだ、という思いが、心の底から湧いてくる。すがすがしい山の風景と澄み渡った空気に触れるたびに、体中の細胞が喜んでいるような気がする。それは、たまらなく懐かしい感覚だった。」
    ・「失敗を繰り返してこそ、成長できる。自分が傷ついてこそ、人の痛みを理解できる大人になれるのに。」
    ・「自然に備わっている生き物としての本能、その力を信じること。すなわち、生きる力、生きることをやめない力を信じること。」

  • 作者の原田マハ氏が描く「生きる」ことに対するたくましさ、みたいなものを感じる作品だと思った。それでいて、とても優しい。
    今の世の中は、いかに人との接触をせずに生きていくか、で生活が成り立っているように思えるけれど、人に頼ること(これはかなり難しい)、人を支えること、人に支えられることが、純粋に「生きる」っていうことなのだろう。

    イジメもヒキコモリも、ここ数年よく耳にする言葉だが、そこからどう立ち直っていくかは人それぞれで、あまりクローズアップされることはないように思うのだけれど、やはり一番のキーパーソンは母親なのだと思った。「向き合う」「思いきる」「突き放す」は時に大事なのことなのだな、と。

    人生とつぼみ、おばあちゃん、お母さんのその後は、いろいろありながらも賑やかに過ぎているような気がして、なんだか嬉しい。

  • おいし〜〜いお米が食べたくなりました。
    酸っぱい梅干しが入っていて、つやつやの新米で作ったおにぎり、、、絶対おいしいですよね?!

    …馬鹿みたいな感想でごめんなさい。笑


    辛い事情から引きこもりになってしまった人生(主人公の名前)が、
    マーサおばあちゃんのいる蓼科に移り住み、自分を変えようと一生懸命働きながら、丁寧に丁寧にお米作りをするお話です。

    自然に触れながら、大好きな場所で、大切な人と一緒に過ごす人生は、どんどん素敵な青年に成長していきます。

    お父さんとお母さん、そしてマーサおばあちゃんにも、
    人生は本当に愛されているんだなあと思います。


    自分にとっての大切な人に会いたくなるような、あたたかいお話でした。

  • 最初は、なかなか苦しい小説だなあと思った。
    イジメに遭い、引きこもりとなった人生に、母が告げた別れの言葉。

    それだけ母を追い詰めてたんだから、当然だろうって思ってしまう私は、向こう側の人間なのかもしれない。

    やぶれかぶれで蓼科に向かい、彼の祖母マーサと、血の繋がらない妹との出会いから少しずつ上昇するかと思いきや、そうはならない。
    マーサおばあちゃんが認知症を患うのだった。

    時間が経つことを切実に読ませるストーリーだった。

    人生を生きる中での苦しみ。ほんとうなら抱える人が増えるほど、多様な重みが増すはずだ。
    けれど、そうではなかった。
    それが、人生の強さだと思う。

    桂南光さんと、原田マハさんの意外な接点。
    解説もあたたかかった。

  • 今回は、完全にジャケ買い。原田マハさんなので大丈夫だろうと、あらすじも何も見ずに購入。

    先日、「東山魁夷展」に行き、蒼や碧色の心に沁みる絵を沢山見る機会がありました。そこにも出展されていた絵がカバー絵になっており、ついつい惹かれてのジャケ買いでした。

    中高生時代のいじめをきっかけに引きこもっていた主人公が、一緒に暮らしていた母親が家出して一人になったことから、やむなく家を出て茅野にある祖母の家を訪ね、そこで祖母の介護に向き合う中で手間のかかる米作りに挑戦しながら、心を開き、自分の足で歩き始める物語。
    ジャケ買いした東山魁夷の絵は、そのモデルとなった茅野の御射鹿池が
    主人公たちにとって大切な場面である、ということで登場。

    引きこもり、認知症介護、農家の後継者不足、人のつながり、親子の情愛・・・などがいい具合のスパイスになっていて、興味深く読み進めました。都会に居るとついつい忘れてしまいがちな、いろいろ不便であっても、不便を楽しみながら丁寧に生きる、ということの大切さが軸になっているようにも思います。

    ストーリーが少々出来すぎの感は否めないけれど、世の中に大勢いる、引きこもりたくないのに引きこもってしまっている若者たちにも、この主人公のような人との出会いや気づきがあればいいだろうなぁ、人の温もりを味わう瞬間に出会えたらいいだろうなぁ、と思いました。

    …という内容とは別に、美味しいもの好きの私には、この本を読んでいる最中に、おいしい梅干おにぎりが
    食べたくて仕方なくなって困りました。夜中に読んでいるのに・・・。
    原田マハさんの小説は、「(海外の)美術館に行きたくなる」「旅に出たくなる」そして、今回は「おにぎりが食べたくなる」。五感を大いに刺激されることが多いです。

  • 祖母から届いた一枚の年賀状をたよりに、4年間引きこもっていた麻生人生は、父方の祖母マーサが暮らす蓼科へ

    祖母と孫、血の繋がらない孫との奇妙な3人暮らしが始まるーー

    読んでいくうちに、体の中の余計なものがどんどん削ぎ落とされていく気分を味わった
    生きていく上で本当に大切なものは、そう多くはないんだということにあらためて気付かされる

    つらい時、困った時は、声を上げて人に甘え、頼ったらいいのだということも

    「自然のまんま、そのまんま。がんばらなくても、みんな一緒に 生きているのよ。私たち繋がり合って、生きているのよ」
    というマーサおばあちゃんの言葉に全てが集約されていると思う

    私が気に入ったところ
    ふたつの手を合わせて、ほっこりと握る。それがおにぎりの形。
    これを食べる人が健康でいっぱいご飯を食べられますようにっていう、作った人の祈りの形なんだよ

    太陽の下で干した布団に横になった時のほんわかとした温もり
    お日様のにおい
    読み終えた後、そんな幸せな気分になることができた

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著者プロフィール

原田マハ(はらだ まは)
1962年東京都生まれ。小6から高校卒業まで岡山で育つ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部美術史学専修卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事株式会社、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館での勤務を経て、2002年よりフリーのキュレーターとなる。2005年小説化デビュー作の『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。2012年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞、『キネマの神様』で第8回酒飲み書店員大賞をそれぞれ受賞。2013年には『ジヴェルニーの食卓』で第149回直木賞候補、2016年『暗幕のゲルニカ』で第155回直木賞候補となる。2017年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞受賞。2019年『美しき愚かものたちのタブロー』で第161回直木賞候補に。

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