生きるぼくら (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198940140

感想・レビュー・書評

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  • 表紙が素敵だなと手に取った本。
    いじめにあって引きこもっていた主人公の救いと再生の物語。誰の人生にも辛いことがあり、立ち止まることがある。認知症のばあちゃんがただそこに存在しているだけで孫二人の生きる糧になっているのがとても素敵だった。
    疲れた時、立ち止まって動けない時、元気をわけてもらうためにまた読もうと思う。

  • 原田マハさんの本は、すごい!別々の個性を持ちながら、なんて魅力的な話の数々。
    今回もとても素敵な話に出会わせてくれて感謝。

    いじめにあった事をきっかけに長い間ひきこもりだった24歳の麻生人生。母親から投げ出され、なんとか生きていかねばと年賀状を頼りに長いこと会っていなかった祖母のマーサのもとを訪ねる。そこで認知症になってしまっていたマーサを、血のつながらないいとこと一緒に支える暮らしがスタート。清掃の仕事につき、沢山の人に手伝ってもらいながら自然農法での米作りも挑戦。稲が空に向かってすくすく伸びるように人生の心も解放され、大きく変わっていく。

    人間も自然の一部だという事、自然の力を信じること→自分の力を信じること、が話の中からじんわり伝わってきた。
    お米や農家の皆さんに対しての感謝も込み上げてくるお話。
    東山魁夷のあの絵は蓼科を描いたものだったんだ。画集を見てみたい。

  • 読み終わってから表紙を改めて見ると、じんと胸に響くものがある「生きるぼくら」というこの小説。
    何がいいって、自然や大地の力強さと、人の温かさや優しさ。生きるって、すごい。いい。素直にそう思えます。

    壮絶ないじめ、心荒む引きこもりの日々。
    認知症の孤独。対人恐怖。
    就活の失敗。
    もしかしたら、一生縁のない人もいるかもしれないけど、生きていればしんどいなあと逃げ出したくなるようなことがあります。
    どん底に落ちている時は何も気付かないかもしれないけど、浮上していくにつれ、見える景色が変わってくるのが感じられます。

    私がこの本の中で好きなのは、おにぎりの話。
    「おにぎりって、なんかこう、実にいいかたちをしてると思わない?」
    「どうしていいかたちかっていうとね。人の手で結ばれたかたちをしているからだよ」
    ふたつの手と手を合わせて、ほっこりと握る。それがおにぎりのかたち。これを食べる人が健康でいっぱいご飯を食べられますようにっていう、作った人の祈りのかたちなんだよな。

    おばあちゃんが田んぼで丹精込めて作ったお米で握ったおにぎりは、何にも勝るごちそうですよね。

    登場人物はみな、人間味溢れている。
    頑張って頑張って折れてしまうことも、逃げ出してしまうことも、あるいは、新しい道を歩み始めることも、全部を受容してくれるかのような懐の深さを感じました。
    舞台が自然豊かな蓼科だというのもポイントですね。

    人生が元気になるにつれて、同調して自分までパワーチャージされたような、そんな気分です。

  • 米作りを通して、生きるを考え直す物語。

    お米を大切に食べようと思う。
    単純だけど、大事なことだと思う。
    もう一度、大切なひと
    大切なものを見つめて
    一足一足、歩んで行けたらいいな。

    • まいけるさん
      原田マハさんの中で一番好きな本です!
      元気になります。
      原田マハさんの中で一番好きな本です!
      元気になります。
      2024/03/30
    • kimiさん
      コメントありがとうございます!
      そうなんですね…!著者ご自身も米づくりを1年かけて体験した体験記も書いていたかと思います。生の経験、書くため...
      コメントありがとうございます!
      そうなんですね…!著者ご自身も米づくりを1年かけて体験した体験記も書いていたかと思います。生の経験、書くためにはやはり大事なんですね。
      2024/03/30
  • 感想
    面白かった。続編書いて欲しいくらい続きが気になる。

    色々な人に支えられて、生きているということがヒシヒシと伝わってくる。農村部における問題、介護色々なテーマについて読みながら考える。

    お母さんは米が出来るまで連絡しないのはちょっと引っ張りすぎじゃない?

    あらすじ
    麻生人生はいじめが原因で引きこもりになった24歳。ある日、母親が人生を支えることに疲れたと言って、家出する。母親の残した手紙に同封されていた手紙に、離婚した父方のマーサばあちゃんからの手紙を発見する。そこには余命いくばくもないと書かれており、人生は蓼科のマーサばあちゃんに会いに行く決意をする。

    ばあちゃんの家に着いた人生はばあちゃんが認知症になっていたことにショックを受ける。また、そこにはマーサばあちゃんの孫というつぼみがいた。彼女は父親が再婚した相手の連れ子で、人生のどん底にあるところで、ばあちゃんから手紙を受け取り、駆けつけて、それ以来一緒に暮らしているという。

    人生は気持ちを入れ替えてばあちゃんと一緒に暮らすことにする。清掃会社でバイトをしながら、つぼみと一緒にばあちゃんが諦めていた自然農法の米作りをすることに。米作りを決断した日、ばあちゃんの認知症が急激に進み、呆けてしまうように。人生とつぼみは役割分担を決めて、必死にばあちゃんを支える。

    米作りが進むにつれて、作業は大変になったが、周りの人の支えもありなんとかこなしていく。ある日、ばあちゃんが行方不明になり、思い出の湖でばあちゃんを発見する。その後、認知症の症状が回復する。

    いよいよ米の刈り入れを行い、みんなで新米を食す。米作りを成し遂げたことで自信を取り戻し、母親に連絡する。久しぶりの母親に自分が作った米を食べてもらうために東京の家へと帰る。

  • 『生きるぼくら』読了。
    久しぶりの読了投稿!6月の家出(?)騒動の時に唯一持ち出せた本。自活することになるまでのこの3ヶ月間の間にゆっくり読んでいました。
    ひきこもりをしていた人生くんが蓼科で米作りを通して成長する話です。周囲の人たちを頼り殻を破る姿をなんとなくここ最近の自分と重ねてしまいました。
    周囲の人たちの助けがなかったら私もここまで来れなかったなって思ったよ…ずっと前から家を出て自活したいとずっと思っていた。嫌な出来事がたくさん続いたが良い機会だと思った。私もいろんな人の手を借りて成長したいな〜って思いました。
    辛い時期に読むことができてよかった。思い出の本になりました。

    2023.10.4(1回目)

  • 久々に一気読み。止まらない。
    誰かのため何かのために生きるというメッセージが伝わる。
    みんな苦悩や困難を抱えながらも人を通じて米作りを通じて救われていく。
    清々しく優しい気持ちになる。
    良い出会いに感謝したい。

  • 自然と、米と、人間と。みんなひっくるめて、生きるぼくら。
    自然に備わっている生き物としての本能、その力を信じること。
    生きる力、生きることをやめない力を信じること。
    だから、文明の利器はできるだけ使わずに、お米につき合う。使うのは、人の手だけ。
    なぜなら、人の手は生き物の手。
    人の力は、自然の力の一部だから。

    米作りを通しての心温まるストーリーと思って読んでみた。
    それは間違いなかったけれど、いじめ、引きこもり、介護など社会の様々な問題が取り上げられていた。
    自分が介護する側になったときに、もう一回読もう。

    「ショックなのはわかるけど、うつむくのは今、この瞬間で終わりにしなさい。まず、とにかく顔をあげなさい」
    志乃さんが主人公人生にかけたこの言葉が刺さった。

  • 引きこもりから仲間と共にひとつの目標に向かって邁進し、達成感を味わうという大きな経験を得るまでに至った過程、結末に思わず涙してしまいました!

    「生きるぼくら」というタイトルはこの物語にぴったりです。
    自分の弱さを乗り越えること、大切な人のために信じ続けること、頑張った先に大切なものを見つけられる可能性があること等、色んなことを感じました。

  • 生きることの原点を教えてくれる本でした。
    自然界における人間の動物的な最低限で最大限の”生きる”を感じました。

    生きていく上で、嫌なことに向き合わないといけない時もある。
    そんな時にこそおすすめの本だと思います。

    自分もかっこいい大人になりたいなぁ

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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