人魚姫 探偵グリムの手稿 (徳間文庫)

  • 徳間書店 (2016年1月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784198940553

作品紹介・あらすじ

愛する王子が隣国の姫君と結婚した日、人魚姫は、自らに剣を刺し、泡となって消えた。
しかし、その翌日、王子が殺される。
王宮が動揺するなか、王子の側近くにいて、消えた人魚姫に疑いがかかるが……。
同じ頃、宮廷に出入りしていた少年アンデルセンは、海辺で人魚姫の妹に出会った。
そして、アンデルセンと人魚の少女は、グリムの協力を得て、事件の真相を追及することに……。

みんなの感想まとめ

ファンタジーとミステリーが巧妙に融合した物語が展開されます。愛する王子の結婚を機に自ら命を絶った人魚姫の妹、セレナの無実を証明するために、若きアンデルセンとグリムが事件の真相を追い求めます。歴史的背景...

感想・レビュー・書評

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  • 人魚姫の世界観の中で、グリムとアンデルセンが王子殺人事件の謎に挑むファンタジーミステリ。魔女に心臓を差し出した人魚の少女のタイムリミット。先入観であまり期待してませんでしたが、ミステリらしいどんでん返しもあり、楽しめるミステリ。トリックは物理の北山らしい、バカミス風味。

  •  歴史とファンタジーが融合した、異色の童話ミステリ。
     1816年、後に童話作家となるハンス・クリスチャン・アンデルセンが、少年時代に故郷のオーデンセで遭遇した、デンマーク王子殺害事件。
     同時期に『グリム童話集』の編集で知られるドイツの文学者、グリム兄弟の末弟である画家のルートヴィヒ・エーミール・グリムが探偵役となり、二人は、妹の無実を証明しようとする人魚セレナに協力する形で、不可能犯罪の真相を解き明かす。
     『人魚姫』の後日談としてのメルヘンチックな世界観を下敷きに、現実のデンマーク国内の状況と、フランス革命後の世界情勢が根底で絡み合い、事件の構造は、論理的かつ物理的に検証され、解体されてゆく。
     推理物としての構想自体は手堅いが、終盤、ヨーロッパ戦乱史上、或る高名な人物の存在と、人魚姫の狂気に変貌した恋情を交錯させる図式が浮かび上がるのが白眉。
     これもまた、形を変えた悲恋物語であり、歴史の謎の背景とも言えようか。
     後年、ハンス少年が、あくまで綺麗な童話として、人魚姫の恋を完結させた前日譚の由来としても、趣向の面白い作品である。

  • アンデルセンとグリム兄弟夢の共演。
    かと思いきや、そうは問屋が卸さない。解説の辻真先氏もおっしゃるよう、そんな単純な作りはしないんだなこの作者は。
    少年検閲官しかり、少しさみしげなファンタジーを書くと、この作者はとても良い。
    そこにゴリゴリの力業トリックをぶっこんでくるところとか、も一つ良い。久しぶりにクロック城を思い出した。
    犯人、ずっとあのトリック考えてたのかな。
    追い詰められた局面で思いついたとしたら、ダイイングメッセージ並みの比類なき知性の飛翔だよ。

  • あらすじにフランス革命以降と書かれておりますが、
    殺害の動機など、ラストの部分は世界史の知識がないと理解するのは難しいかもしれません。

    同じ作者さんの『少年検閲官』や『オルゴーリェンヌ』の世界観に似ており、相変わらずファンタジーの世界を書くのが上手いなぁと思います。

    しかしセレナの心臓がかかっているのに、それでも学校に行かなければならないなんて(´ω`)
    学校でも家でも居場所がなさそうだったハンスが、この先どうなるのか、続きを見てみたいです。

  • 人魚姫をモチーフにしたミステリ。最初、人魚なんてのはセレナの嘘で、最後は合理の範疇に納めるんだろうと思っていたら、ガチでびっくり。海の底に人魚や魔女が住んでいる世界を舞台にした、特殊設定ミステリになるのか。ミステリ向きの設定ではないが、うまく取り込んでお話を造っているように思う。この辺は「ファンタジーの北山」と言ったところ。もちろん「物理の北山」も出てくるので、その辺を期待する向きも裏切られない(少ししょぼいが)。

  • メルヘンな雰囲気はとても良かった。ただミステリのトリックはこの時代だからこそできたものであるという事を除いてもちょっと大味すぎてなぁ…。全体的に悪くはないがめっちゃ良いとも言えない感じ。探偵役やワトスン役のキャラクター性もよくみるような感じなのでちと拍子抜け。犯人の動機や幕間の話で作られる雰囲気はとても良かったのでそういう空気を読むのが好きな方には合うと思う。

  • 昔話とミステリの融合は最近よく見るけど、リアルな史実も絡めてる所は良く出来てると思う。

  • 半分から流し読み。童話とミステリを融合させた、ちょっとおもしろい作品。でも中弛みが気になって飛ばしてしまった。王子を殺せたはずがないはずがないって、延々と語っていて、ハイハイわかりましたって感じ。目の付け所は素晴らしい!と思ったし、内容自体も童話がうまく絡んでいておもしろかったけど…わたしの個人的な体調のせいなのかも。残念。

  • 評価
     サプライズ ★★★☆☆
     熱中度   ★★★☆☆
     インパクト ★★★☆☆
     キャラクター★★★★★
     読後感   ★★★★☆
     希少価値  ★☆☆☆☆
     総合評価  ★★★★☆

    サプライズ ★★★☆☆
     クリスチャン王子殺害の犯人がルイーズ王子妃だというのはある程度予想できてしまう。よって,この部分はあまりサプライズがない。魔女が二人いて,一人目の魔女がナポレオンに恋し,ナポレオンを助けていたという点もあからさまに書かれている。セレナの妹が二人目の魔女になっていたという点はややサプライズ。総合的にみると,★3かな。伏線が丁寧でよくできているので,納得のいく驚きである。

    熱中度   ★★★☆☆
     よくできた話。人魚姫が存在するファンタジー世界の話である。よって何でもアリ。どういう展開になるか気になる。話はそれほど荒唐無稽にならず,きれいにまとまっていく。先が気になることは確かだが,そこまで入り込むほどの展開ではない。背景となる魔女殺しを除くと,殺人はクリスチャン王子殺害の1つしか起きない。捜査も丁寧だがやや冗長。熱中度は★3で。

    インパクト ★★★☆☆
     人魚姫を下敷きにしたミステリというわけで,これだけでもある程度のインパクトはある。しかし,内容はまっとうな本格ミステリ。北山猛邦らしい物理トリックがあり,跳ね橋を使った死体異動の物理トリックのインパクトもある。ただし,インパクトがあるかというとうまくまとまっているという印象の方が強い作品

    キャラクター★★★★★
     グリム,セレナ,ハンスを始めとして登場するキャラクターは非常に魅力的である。ひと昔前の子ども向けアニメにでてくるファンタジーっぽいキャラクターが勢ぞろい。魔女になったセレナの妹の告白もリアル。キャラクターは★5を付けることができる。

    読後感   ★★★★☆
     セレナの心臓が戻らず,セレナの妹は魔女として生きていく。しかし,セレナは心臓がない状態でもある程度いきられそう。ラストシーンがセレナとハンスの笑顔というグリムの贈り物で終わるシーンの読後感はよい。★4で。

    希少価値  ★☆☆☆☆
     徳間文庫というのが何とも言えない。地味な作品であり,将来的に手に入りにくくなる可能性があるかも。

    総合評価  ★★★★☆
     ミステリとしては,跳ね橋の物理トリックを使った死体移動のトリックのみ。ミステリとしてはそこまでの作品ではない。しかし,魔女の企みが背後にあり,ナポレオンを支えるという魔女の企みが生きている。各キャラクターも非常に魅力的。ハンスはまさにひと昔前のアニメに出てきそうなキャラ。グリムとセレナもとてもいきいきしている。特殊世界のミステリとして非常に丁寧に作られており,ラストもさわやか。万人におすすめできる作品だと思う。良作。★4で。

    〇 メモ
     プロローグは1793年。人魚姫がある男性を助ける。しかし,男性はほかの女性に助けられと誤解する。
    第1章
     1816年のデンマーク・オーデンセ。ハンス・クリスチャン・アンデルセンの父が病死する。ハンスは父の形見の人形を探しているときに,自分が死神だと誤解した男,グリムに出会う。グリムとハンスは人形を探している中で,セレナという女性に出会う。セレナは人間の姿をしているが人魚。離宮で起こったデンマーク王子(クリスチャン王子)殺人事件の真相を解明したいという。セレナの妹は魔女の力で人間となっていた。王子と結ばれないと泡となって消える。魔女が用意した短刀で王子を殺害すれば人魚に戻ることができる。しかし,妹は王子を殺害しなかった。その後,王子が魔女の短刀で殺害された。王子殺害の真犯人を見付けないと,妹に不名誉な噂が生じ,ひいては海の世界の戦争につながるという。
     セレナは魔女と取引した。心臓と引き換えに人間の姿を得た。1週間以内に真相を見付け心臓を取り戻さないと死んでしまう。
     1793年。ある人魚が魔女に会うシーン。
    第2章
     離宮に入るためにハンスはセレナとブンケフロード牧師夫人に会う。偶然グリムもブンケフロード牧師夫人のところにいた。ブンケフロード牧師夫人の紹介で,離宮に入る。ハンスとセレナは図書室から抜け出し捜査をする。その捜査の中で庭師のラーセンから話を聞く。ルイーズ王女に会ったところでヨハンネス執政官に見つかるが,フレデリク第3王子の助けにより無事離宮を出る。捜査の結果,王子を殺害できる人間はいないように思われた。
     1793年。ある人魚は魔女を殺害し,人間になる。しかし,魔女の呪いで魔女になってしまう。
    第3章
     更なる捜査。翌日,ハンスは先生に見つかり,学校に行く。1日が終わる。ハンスはセレナに会う。セレナは町で情報収集をしたがあまり収穫はなかった。セレナの姉からの情報によると魔女の行方が分からないという。セレナとハンスは魔女の遺体を見付ける。セレナがクリスチャン王子殺害の疑いで逮捕される。
    1796年 
     謎の人魚は愛する男のために諜報活動をする。男は勝利を重ねる。
    第4章
     グリムとハンスによる推理。ハンスは自分が探偵になるという。ハンスはセレナから預かった笛を利用してセレナの姉妹の人魚に会う。人魚はセレナを救出しようとし,ハンスに協力を求める。ハンスは人魚から王子殺害に使われた短刀を受け取る。グリムは魔女が少なくとも2人いること,短刀が2つあることを見抜く。
     翌日,ハンスは学校に行く。それから,夜,セレナを救出するために人魚に会う。ハンスは人魚の力を借り,離宮に潜入する。
     セレナの脱出は失敗する。しかし,グリムは事件の謎を解く。
    1814年
     謎の人魚が助けていたのはナポレオンだった。
    【真相】
     犯人はルイーズ王子妃。ルイーズは馬留めでクリスチャン王子を殺害し,跳ね橋を使って死体を部屋に運んだ。ルイーズ王子妃は凶器の魔女の短刀を町で入手していた。
     セレナの妹がクリスチャン王子を殺害しなかったのは自分が魔女に利用されていることに気付いたから。セレナの妹は短刀を捨てることで魔女をおびきだし,魔女を殺害した。セレナが殺した魔女は,ナポレオンを皇帝に返り咲かせるために行動していた。
     セレナの心臓を戻すには血が必要だった。しかしセレナはハンスを殺さなかった。
     最後にセレナとハンスはグリムから絵を送られる。その絵を見てセレナとハンスは笑った。 

  • グリム童話の「人魚姫」をベースに展開されるミステリー。現代が舞台のミステリーとは一味違った感覚。

  • 2018年1月17日読了。
    2018年28冊目。

  • ファンタジーでミステリ、且つ若干の世界史?な感じ。
    人魚が出てきたかと思ったら、グリム兄弟の話題出てくるし、魔女出てくるし。
    でも、元々ミステリ作家が書いているだけあって、事件がちゃんと【魔法】で終わらせられていなくて良かった…。(魔法だと不可思議な事が出来ちゃうから謎にならないし)
    色々物足りないところはあるので、シリーズ化して先が読みたいと感じた。

    ファンタジーでミステリなので、上遠野浩平の『戦地調停士シリーズ』が嫌いじゃない人なら、結構読めるかも。

  • 画家のグリムと少年アンデルセンが人魚姫に出会って王子様殺害の謎を追うファンタジーミステリー……かと思いきや、案外歴史ロマンスだったりする。よくよく考えればディズニーの『リトル・マーメイド』もお姉さんがいっぱいいたなぁなどと思いだしたり。ともかく、ちょっとどこかずれてる人魚のセレナのキャラクターがかわよい。ちなみにトリックは物理で、ちょっと懐かしい感じ。実現可能性を問答するのはナンセンス。ただし、それでも細かい分で甘いところがあるし、ハッピーエンドだけどちょっと物足りなさを感じる一作。

  • グリム、人魚姫、アンデルセン。ファンタジーっぽいけど、ミステリ。
    人魚姫が、こんな話になるなんて。
    これ、シリーズ化するよね。

  • 童話をモチーフにした本格ミステリ。
    『人魚姫』の通り、主人公の1人は人魚で、魔女も登場する。そして、それがしっかり伏線になっている。
    ファンタジー世界を舞台にしてはいるが、真面目な本格ミステリと言える。

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著者プロフィール

2002年、『『クロック城』殺人事件』(講談社ノベルス)で第24回メフィスト賞を受賞しデビュー。代表作として、デビュー作に端を発する一連の〈城〉シリーズなどがある。

「2022年 『月灯館殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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