- Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198942656
作品紹介・あらすじ
三年で最貧小藩の経済立て直しは可能か? 家老と藩札万(ルビ・よろず)指南の浪人両名が、命を懸けて挑む。剣が役に立たない時代、武家はどう生きるべきか! 縄田一男氏から平成の藤沢周平と評された時代小説。第152回直木賞賞選考の際の宮部みゆき氏評「藩札という難しい題材を扱いながらリーダビリティが高い、主人公の魅力と、彼が江戸の経営コンサルタントとして直面する〈貧との戦い〉の苛烈さが、ラストまで絶妙なバランスを保っていた」
感想・レビュー・書評
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面白そうな内容なので 読んでみました。
藩札というものがあったという事実にびっくりしました。
時代劇だと 小判とか 銀銭とか が 流通貨だったもので・・・・
ホント 本を読むと色々な事が わかって楽しいですね。
で、この小説なのですが・・・
主人公達は 命がけで 国を良くしようと政策を考えた。
(命をすぐに捨てるのは どうかと思うけど)
実際には 昔のお役人達が どうだったかわかりませんが・・・・
義の為に 命を捨てるのは 良いってイメージがありますよね。
今の政治家って 命がけで 政策を出しているのかしら??
と、 ふと 思っちゃいました。 -
真に経済を立て直そうというならば、小手先の金融施策などでは足りず、産業の育成に流通の方法、潜在的な需要の掘り起こし等を考えなければならない。
そして、その先頭に立つ者には、並々ならぬ覚悟が必要・・・
って、江戸時代の物語です。
その覚悟の程が鬼気迫るものであるとともに、哀しさが宿ります。貧しさを克服するとは、そういうことなのでしょうか。
本筋ではありませんが、城勤めや剣とは違った一芸を持った武士たちの姿が、私の好奇心を刺激しました。
吉宗公と田村意次の間あたりの時代の物語です。 -
2020年25冊目。
待ったなしの変革を目指すリーダーの、恐ろしいほどの覚悟。自分の後ろにはもう責任を負う者がいない、そんな立場の者が得る躊躇のない気迫。いや、自身はまだしも、ときに他者すらも切り捨てなければならない状況において、「躊躇なし」というのは嘘だと思う。けれど、その躊躇すら噛み殺し、必ず成し遂げなければならない変革のために、断行する。その姿は、タイトルに偽りない「鬼」だった。
極貧の藩を3年で立て直さなければならない。そんな崖っぷちにあっては、「状況が難しい」という及び腰はもちろんのこと、「自分では力不足なのではないか」「自分が出るのは僭越ではないか」という弱気すら、言い分けや無責任の範疇に入る。
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自分もまた、力不足である。しかし、頭にとって、力不足は罪ではない。たかが力不足なんぞの理由で、力を出せぬのが罪なのだ。(p.65)
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宝暦年間(1751~1764年)という、いまとは異なる時代設定。加えて経済小説ともなれば、普通は読みづらさが懸念される。けれどこの本は、馴染みのない用語が少なくないにもかかわらず、驚くくらい勢いで読ませてくれる。「どういうことだろう?」と思った直後には、その疑問を先読みしてくれたかのようにうまく説明が入るし、人物も魅力的で読み入る。1ページあたりの文字量も、リズムよくページをめくらせてくれるちょうどよさだった。
大きな覚悟を見せる豪胆さだけでなく、それを推し進めるためにこそ細部を気遣う仕事ぶりも描かれていたおかげで、ただただ遠い話にならず、自分自身の目の前の仕事に対する姿勢と重ね合わせながら読めた。
同時に、答え難い問いも得た。はたして自分は、本当に断行せねばならないものと直面したときに、あれほどの鬼になれるのだろうかと。 -
藩札で藩の経済に取り組む物語ですが、武家の矜持の一端を教えられました。「考えても分からぬときは軀に聞く」「たかが力不足なんぞの理由で、力を出せぬのが罪なのだ」
続編を読んでみたいです。 -
司馬遼太郎や山本周五郎にも、ひけを取らない文章を書く作家に出会った。昨今、時代小説を書く作家は多いが、これほど言葉が、文章がインパクトを持って心に沁みた作家は初めて。香り立つ文章と言ったところか。
話も武家にしかできない藩建て直しの財政問題を感動的に描いてくれて、また一人、お気に入りの作家が生まれた。 -
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いちょう祭りで50円で購入。面白いわ。時代物とは思えない読みやすさでサクサク読めた。時代物なのに経営コンサルタントの主人公と、それでも登場人物たちは武家であるという事を上手に組み合わせて編む手腕が凄い。この人の本もっと読みたい。
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江戸時代の地域経済問題についての小説はほとんど読んだことがなかったが、着眼点もストーリーもとても面白かった。価値を生み出す農産物などがない貧しい藩がどうやって困窮から抜け出すのか、その実現に向けた武家の矜持。今の世の中にかけての感想評論など多くあるが、本当にやるべきことをいかにできるか、その覚悟がタイトルにあり後半の物語で進む。
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命懸け。
簡単に今の政治家たちに使ってもらいたくない言葉。