ランチに行きましょう (徳間文庫 ふ 40-1)

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198943622

作品紹介・あらすじ

たかがランチに3500円!?でもママ友の集まりには行ったほうがいいよね……。生協の配達員に恋する恵子。離婚を隠すシングルマザーの秋穂。スピリチュアルに傾倒する千鶴。若手俳優のおっかけにのめりこむ綾子。娘の受験に悩む由美。この街で、このタイミングで、子どもを産まなければ出会わなかった5人の女たち。幼稚園バスの送迎場所から「ママ友」たちの人生は交錯していく――。(解説:榎本正樹)

感想・レビュー・書評

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  • よくあるママ友のドロドロ話かと思ったら少し違った。(そういうシーンも満載ではある)(あるんかい)
    救いはあるようでないようである(どっち)感じで
    読後感も悪くなかった。

    100%人の幸せを純粋に願える人っているんだろうか。
    私はNOだと思う。
    自分と同じように不幸になってほしい、みたいな感情ってママ友じゃなくても、同僚、普通の友だち、同性異性関わらずあるんじゃないんだろうか。

    あとママ友は友だちなんだろうかというよくある問いだが、私はNO派、なんだけど、でも、ママ友から始まって普通の友だちになれる人もいる。
    ただどっちがいいのかはわからない。

    悪くない読後感でありながら、ここに出てくる「ママ友」たちは幸か不幸か、私は前者だと思った。
    そこが「救いがあるようでないようである」という言葉の意図である。

  • 幼稚園のママ友の話は今までいくつか読んできたけれど自分が当事者だった時と今とでは捉え方が違ってきている。今どきのママ友事情はこんな感じなのかという思いと懐かしい思いで一気に読み終えた。登場する5人の中では自分は誰に近いかとかこの人とは仲良くなれそうにないな、など勝手に考えたりもしていた。スピリチュアルな千鶴にはどうしても自分だったら敬遠してしまう。当たり前だけれどそれぞれに色んな事情を抱えていて誰が一番幸せがは分からない。そして子供の成長に伴ってママ友の関係も終わったり、友情が芽生えて生涯の友となることもあるかもしれない。女性にとってはとても貴重な体験ができる時間であるように今は思える。

  • 幼稚園の送迎バスの停車場で知り合ったママ友5人。
    自分と趣味が合うかなど関係なく、子供同士の関係で知り合うママ友関係の基本は付かず離れず。
    それぞれ個性的なママ達が、ベタっとした関係じゃなくてカラッとした関係ながら距離を縮めていくのが読みやすかった。
    人がいい感じで自他共に無個性と認める恵子、偶然見つけたママ友のブログを使って相手を脅そうとしたり、写真を利用されていたママ友だけじゃなく関係ないママ友にも暴露したり、一番たちが悪いと思った。

  • 幼稚園に子供を通わせているママ達のお話し。
    とにかく読後感が悪い。どろどろした内面の吐露と見栄と建前にぐるぐる取り巻かれる感で気分が悪くなった。
    そういう過去があったね、昔・・・と思えるくらいの感情はあるが、それを懐かしいと感じるかといえば違う。
    今子育て中の人は読みたくないだろう題材だし、誰がこの小説を読みたいのだろうと考えると答えが見つからない。
    別のテーマの小説を読んでみたい。

  • どの登場人物も、なんだか気持ち悪くて共感できなかった…。同じ年代の子育て中ママというだけで、「ママ友」とひとくくりにされてしまうのは、息苦しい。
    各章ごとに、登場人物が一人ずつ語り手になるのだけど、最後に共通するのは、「また今度ランチにいきましょう」というセリフ。
    シチュエーションや人間関係によって、同じ言葉にも色んな意味を込めることができるんだなぁ、と感心した。

  • 女性を規定する未婚か既婚。子どもの有無、学歴、夫の職業等。幼稚園の子を持つ母親達は、出産後初のコミュニティとして「ママ友」問題がある。私も二度と戻りたくない世界。序列が歴然とあって、息がし辛かった。なぜなら子どもが関わるから。良くも悪くも赤裸々にその雰囲気を描く作品だが、身も蓋も無いなあという感想。描きすぎだなあと思う。

    他者が気になるのは自分が満たされていないから、あるいは自分に不安があるからと以前何かで読んだ。幸せになりたくて、或いは安心したくて、周囲を見渡すのに、実は周囲との比較が自分を一層追いやり、不安にさせる。
    でも、わかっていてもなかなか難しいのが現実かな。

  • スピリチュアルの人が一番苦手だけど、その人が言うオーラとかソウルメイトはなんだかんだ当たってるていうモヤモヤ加減

    なんだかんだであっという間に読み終えてしまった

    「かわいそう」で他人の生活に介入する世間
    著者インタビューの、勝手に下の子の出産で大変でかわいそうなお母さんの子を預かるタイムシフトに入れられたは怖すぎる

  • 友人とのランチは本来楽しいもののはずだけれど、表面的友人に誘われて参加するランチは微妙。子どもを同じ幼稚園に通わせるママ友同士だといっても、生活のレベルはさまざま。性格的にもここで会わなければ友人になっていたとは思えない人とも付き合いを強いられる辛さ。吐露される5人のママたちの心の内は、人の幸福よりも不幸のほうが面白いということを見せつけられているよう。

    必然に迫られて始まった人間関係が真の友人関係に変化することもあるとは思いますが、ここに出てくるママでやっぱり友達になるのは無理だと思う人もいますねぇ。ドロドロ度は割と低く、結局は綺麗に収まります。読み終わったときに「良かった」と言える人は性格良し、「あ、そう」とちょっぴりしらけた私は性格悪い。すみません。(^^;

  • 個人的に、「このテーマだと手に取ってしまう」という作品の傾向があるのですが、「ママ友」って、怖いもの見たさが半端ないです。
    特に幼稚園…いやだわ~

    一日中子供べったりだったのがやっと解放される、昼間の4時間くらい自由になれる!その嬉しさといったら、特に初めての子供の場合は!
    で、「ランチに行きましょう」ということになるのですが…
    このセリフがくせ者で。
    読んでみると分かるのですが、同じセリフでも含まれる意味が全然違う。

    だいいち、子供が同じ幼稚園じゃなかったら、この人とランチなんて行きたくないよね、この人だけは除きたいよね、あの人行くなら私はパスしたいんだけど…
    という自由な取捨選択ができないのが忌々しい。
    自分が仲間外れになるだけなら別にいいけれど、子供が一緒に遊ばせてもらえなくなったり、貴重な情報を教えてもらえなくなったりする。

    なんというか、戦時中の“隣組”と同じような相互監視システムでもある。
    ああ、日本独特。
    ディスカバージャパン!
    エキゾチックジャパン!
    (違う…)

    この、5人のママたちは、戦隊もののようにキャラの色がさまざまで分かりやすい。
    そして、作品の性質上毒を含むが、死に至るほどではないのが逆に薬でもある。
    その狭い世界に閉じこもる必然はない、というアドバイスであり、その世界から出ることを望まないなら、人との距離の適当な測り方を見つけてみよう、という問いかけでもある。
    自分のタイプは…恵子かなあ~

    第一章 幼稚園ママ
    一番平凡な、塚越恵子視点。いつも笑顔仮面を貼り付け、バランス良く、悪目立ちせずがモットー。
    真逆な綾子にうんざり。

    第二章 シングルママ
    唯一フルタイムで働く、女医・坂崎秋穂視点。離婚していることを隠しているので、しつこく家族のことを詮索してくるママ友たちが鬱陶しい。

    第三章 スピリチュアルママ
    国立大を出て頭脳明晰なはずなのにスピリチュアルにのめり込んでいる、大木千鶴視点。
    ほら、言わんこっちゃない、というオチがハマりすぎ。
    この人の発言はすべてスルーしたいなあ…

    第四章 ママブロガー
    巨乳でエロイの大好き、野口綾子視点。
    お触りはいけません。
    この人にも苦労がある。
    けど、苦手なタイプ。ツルみたくないなあ…

    第五章 ビューティフルママ
    元モデル、テレビ局勤めの夫を持つ田畑由美視点。
    うらやましいほどの美貌のセレブだが、内面では夫のモラハラに悩む。
    お金持ちはお友達に欲しいです(笑)

    第六章 チームママ友
    穏やかで安定していると皆に思われていた恵子の家庭が、ぐるっと一周して危機に見舞われる。
    少しずつプラーベートを明かし始め、ママ友たちの仕切りは薄くなっては来るが…どうも、マジックミラーも存在しているようだ。
    しかし、希望の持てる終わり方で良かった。
    結局、自分の家庭は自分で守るしかない。

  • 恵子が平凡みたいな描写おおいけど、ええと思うけどなー

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著者プロフィール

東京都生まれ。2012年「金江のおばさん」で第十一回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。著書に受賞作を含む『ハンサラン 愛する人びと』(文庫版『縁を結うひと』)『ひとかどの父へ』『緑と赤』『伴侶の偏差値』『ランチに行きましょう』『あいまい生活』『海を抱いて月に眠る』などがある。

「2022年 『わたしのアグアをさがして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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