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Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784198944186
作品紹介・あらすじ
GHQ占領下の日本。大陸に従軍していた歌舞伎役者・辰三郎は、復員後、梨園での再出発を期す。一方、上司の宮本大尉は諜報組織への参加を条件に巣鴨プリズンを出獄する。GHQは戦後息を吹き返した共産主義勢力を駆逐するため特務機関を組織し、宮本はそのリーダーに選ばれたのだ。GHQの文化政策を担う民間情報局CIEは封建的価値観に基づく歌舞伎演目の上演に難色を示し、歌舞伎界は存立の危機に立っていた。辰三郎はCIE懐柔に奔走するが…
感想・レビュー・書評
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GHQの占領下の日本で制圧された歌舞伎を始めとする日本芸能。今作では、その制圧と立ち向かい、歌舞伎の世界に生きる若者・辰三郎と、戦犯として巣鴨プリズンに収監されるが、アメリカの諜報機関の一員として、活躍する辰三郎の戦時中の上司・宮本、主に二人の視点で描かれる。
GHQの占領下を題材にした作品は、結構な数を読んできたが、歌舞伎に視点を当てた作品は初めて。こんなところにも、影響があったのかと、ただ自分の無知を恥じるのみ。
今作を読んでいる最中に、現天皇陛下が平成最後の誕生日を迎えた。
個人的に、現陛下は戦争の謝罪のために奔走した、平成30年間だったと思う。先代の昭和天皇の戦争の過ちに、さぞ胸を痛めていたことだろう。その思いが、今回の誕生日の会見のお言葉の裏にも垣間見えた。
昭和天皇の敗戦の責任は大きい。しかし、その天皇を敗戦後、人間として受け入れ、大きな混乱もなく、「日本国の象徴」として、今日まで続く日本社会に疑問を思うことも多々あったが、その疑問に今作では大胆に触れている。
諜報物を得意とする作者だが、今作では新たな分野に踏み込み、タブーとされていた分野も描いており、今後の活躍がさらに楽しみになった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
名称が持つ意味は早々に明かされるイエロー・イーグル、だがその背景は一口では説明できない。主要登場人物に歌舞伎役者がいるが、歌舞伎を観たことがない者にも問題なく読めた。戦争に負けた日本が、しかし事実を受け止めて生きぬかんとする姿が、焦土となった東京で驚くほど生き生きと描かれている。負けてもそこに命があることの凄みを感じた。他方、米国側として登場する日系米国人の苦悩。誰も生まれる場所を選べず、運命にも抗えない。そんな紛れもない絶望がそれでも希望となることもあるとおもえば、生きることに信念を持つ勇気が生まれた。
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価値観を変えられる民族ってすごいなぁ。
僕の中にある価値観は何が変わって何が残っているのかな。 -
戦後アメリカの支配下に置かれてのエピソードは多くありますが、伝統芸能の戦いもあったとは知らず、たいへん興味深く読みました。
主人公と香也の関係性、香也に惹かれるアメリカ人、主人公とリオンの組み合わせなどは五條さんらしいです。
著者プロフィール
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