- 徳間書店 (2020年9月4日発売)
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感想 : 80件
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Amazon.co.jp ・本 (680ページ) / ISBN・EAN: 9784198945909
作品紹介・あらすじ
直木賞作家、文句なしの最高娯楽小説!
加能鉄平は妻・夏代の驚きの秘密を知る。
いまから30年前、夏代は伯母の巨額の遺産を相続、そしてそれは今日まで手つかずのまま無利息の銀行口座に預けてあるというのだ。
その額、48億円――。
結婚して20年。なぜ妻はひた隠にしていたのか。
日常が静かに狂いだす。もう誰も信じられない。
鉄平はひとつの決断をする。
人生を取り戻すための大きな決断を。
夫婦とは、家族とは、お金とは。
困難な今を生きる大人たちに贈る、極上の物語。
「ぼくはこの作品にまるまる2年間費やした。
もうこれ以上おもしろい物語は書けないかもしれない」(白石一文)
白石作品、過去最高のエンタメ度!
感想・レビュー・書評
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NHKで現在ドラマが再放送中。先が気になったので、図書館から借りてきて原作を読んだ。ドラマと原作では、スポットが当てられる人物が若干違ったが、小説も一気読みした。
もし、自分にこんな莫大な遺産が転がりこんてきたら、嬉しくてたまらないけど、同じくらい不安にもなるだろうなぁ。疑心暗鬼にもなるだろうし、命も狙われるだろうし。
自分の身の丈にあった暮らしが一番しあわせだと実感した。
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「一億円あったら何する?」的な話は誰しも一度はしたことがあるのではないだろうか。飲みの席で盛り上がるネタの一つでもある。実際にあるはずもない一億円をああでもないこうでもないと想像を巡らせるのは愉快だ。
そういう点では本作はせっかくの一億円をガッツリ使うこともなく期待外れだし、盛り上がりネタの参考にはならない。
そもそも主人公をはじめとして出てくる登場人物が魅力に乏しいキャラクターばかりだ。主人公は猜疑心が強いくせに人間関係にドライだ。妻はもっともらしいことを色々と言うが共感できない意見ばかり。子供たちは自分勝手で、従弟は更に自己中心的で面倒くさい。昔の後輩は悪い女ときた日には、読んでいて誰に共感すればいいのだろうかと思ってしまう。
最後のオチもどんでん返しというほどの事でもなく驚きもない。ドラマ化されたのが不思議なくらい平凡な作品。 -
妻の夏代が48億円という超巨額な遺産を隠し持っている事実を知った鉄平は、自らの今後の人生を見つめ直すことに、、。
まとまった金があれば、仕事もマイホームも子供たちの進路も何もかもが変わっていた。第一にどんな理由があるにせよなぜ自分に知らせてくれなかったのか。夏代や子供たちへの信頼を無くし、夏代から譲り受けた1億円で全く違う土地に移り住み、人間関係を構築し新しい事業も創り上げていく。
会社員から事業を一から立ち上げる過程や人間関係、家族という集団の考え方、中高年の今後の生き方など展開も幅広く、長いストーリーだったが引き込まれた。
もし1億円を手にしたら、、と夢もあり、でもお金で買えない体験や気持ちであったり、、。
超大作なエンタメ作品。
ただ、色々な事が良い方向に収まっていくけれど、学生時代の自分が犯した罪について、相手も悪人ではあったがそのままなおざりになっているようで鉄平の人格との乖離がありモヤモヤが残った。
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兎に角いろんな物語が詰め込まれすぎていてイマイチ的を得なかった。ストーリーの都合に合わせて話が流れていると中盤で感じ始めてから話に入り込めなかった。ストーリーの案は良いのに構成が勿体無いと感じた。
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久しぶりの白石作品
一億円を手にして、心機一転仕事も家庭も捨てて海苔巻き屋さんを始める。
やっぱり白石さんの作品は面白いなと思った。物語自体というよりも登場人物の発する言葉や思想が魅力的だった。 -
鉄平のことも、夏代のこともあよく理解できなかった。
鉄平の過去の暴行事件の罪は追及されなくて、良いの?鉄平って、サイコパスなのではと思ってしまう。
文章もときおり単調で技工を凝らしてほしいと感じる部分もあった。一番気になったのは、衆院選挙で比例代表って?
ドラマで鑑賞すれば面白いのかもと感じた。 -
ミステリーかと思って読み始めたら違いました。約700ページもある大作ですが、最後まで読めました。
印象に残ったところ。夏代との夫婦関係は、二人の子供を育て上げた時点で役割を果たし切っていた。子育てを終えた夫婦が死別のときまで共に暮らす理由には、もちろん慣れ親しんだ繋がりを失いたくないという願いも強く作用されるだろうが、片方で、経済的な事情や敢えて別れるまでもないという〝面倒くささ 〟も大いに関与していると思われる。
自分たち夫婦の場合は、夫の側に新天地で始めた順調な事業があり、妻の側には娘や息子との深い絆と莫大な財産がある。
そうとなれば「子どもたちの独立」という明確な区切りをもって互いが別々の人生へと乗り出していくのは、考えてみるに決して不自然でも不合理でもないのではなかろうか?
フィナーレが映画の1シーンのようでした。 -
ドリフのコントに『もしも…◯◯な××があったなら…』のコントがあった。これを本書に置き換えれば、『もしも長年連れ添った妻が莫大な隠し資産を持ってたなら…』になる。
常に現実的な小説を紡ぐ白石一文が描く〈大金が転がり込んでくるユーモア小説〉?…と勘繰るも、ですよね…、んな訳なく、やはりいたって現実的な状況下に起こる起伏激しいスリリングな展開ゆえ、先の予測が見えないままに600ページ超を一気読み。
◉さわり…
主人公 加能鉄平(53歳)は福岡市にある祖父が創業した化学製品メーカーの営業本部長。本部長とはいえ、名ばかりの閑職。同族企業にありがちな親族に疎まれ、役員になり損ね閑職に。最初に務めた会社でも、理不尽なリストラの憂き目に遭い、今やその現状を粛々と受け入れ、サラリーマン人生を歩む毎日。ふたりの子どもは他県に進学し、現在はパート勤めの4歳下の妻とのふたり暮らし。妻との関係も良好。このまま定年まで平穏で平凡な毎日が続くと思われたある日、たまたま在宅していた際、弁護士事務所から1本の電話…。
30年前、伯母から莫大な遺産を相続し、手付かずでそのまま銀行にあることを知らされる。その遺産の一部は投資にも回され運用益を含め総額は何と48億円!その衝撃の事実に驚愕すると同時に抑え難い怒りが湧き起こる。
結婚して20年余り、その間には、親の入院費用・子どもふたりの学費・自身のリストラ時の危機…まとまった金が必要だった時は何度もあった。側にいて妻はその苦しい現状を熟知しておきながら、なぜ捻出しようとしなかったのか、そもそも夫である自分になぜ隠し続けたのか…。
衝撃の電話受けて以来、悶々とする日々。日常が静かに狂い始める。ある日、妻に問いただすと意外なことを口にする。それ以降、妻への強い不信感が募る一方。方や子どもたちも学業そっちのけで勝手気ままに謳歌している…。もう誰も信じられない。鉄平はある決断を下す。
◉短評…
さわりだけで判断すれば、シニア夫婦を取り巻く家庭小説。ただそれなら、これほどの大部な小説にはならない。
自分ではなく身内ではあるが、〈突然大金が手に入ったら?〉誰しもが一度や二度妄想をしたことが現実となった五十男。はたしてどう生きていくのか?信頼を無くした妻への愛情は?子どもに対する役目は?揺れ動く主人公の心中を著者は炙り出し、折々に呟く吐露は身につまされる。『夫婦は恋人同士とは違うんだ。愛情で関係を支え合うだけじゃなく、信頼で支え合わなくちゃいけない。そうでなきゃ何十年も一緒にいられない。夫婦は愛し合う以上に信じ合う必要があると僕は思う』。
本書には様々な人物が登場する。それぞれの物語を持ち寄り、それらが複合的に絡み合って発熱し、新しい価値を提供してくれる極めて濃い内容ゆえ、その話だけでも1編の小説が書けるほどの『総合小説』の威容をたたえている。
家族小説・企業小説・起業小説・シニア小説に加え、博多・金沢の観光&グルメガイドにも使える情報がふんだんに盛り込まれており、細部に至るまでの情景描写と著者のサービス精神にニンマリしてしまった。
『老後2,000万円問題』がひところ話題になった。老後30年間には年金の他に2,000万円が必要説。そんなことも頭をよぎりつつ読み終えた。
はたして、タイトルの『1億円のさようなら』とは何を意味しているのか?読み始める前にまずストーリー展開を想像をされてから、読まれるのをオススメします。秋の夜長のノンストップ読書必至の一冊。 -
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人生や人間やお金についてぐるぐる回るような長編。
夏代という女が最初から最後まで訳わからなく気持ち悪くって嫌いだった。 -
久しぶりに読んだ白石一文さんの作品。読み応えありました。白石さんの描く女性たちは、信念を貫く強い人が多い気がします。これからドラマを見ようと思っています。
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長年連れ添った妻が、実は巨額の遺産を持っていた。その額は48億円。あなたが夫だったとして、そのことを知ってしまったらどうしますか?そして、1億円あげるからあなたの好きなようにしていいと言われたら、一体どうしますか?
お金があるということで見えてくる世界。お金があるからこそできること。お金を超えて大切なもの。そんなお金を巡るあれこれを、作者はリアリティーのある設定と描写で上手に描き出していると思いました。
600ページを越える大作ですが、すんなり読めます。クライマックスでの予想外の展開は、お金は何のために使われるべきかという、物語の主題の一つに対する答えになっていて、とても興味深かったです。 -
いやはや…こんな分厚いのに一日で読み切ってしまった。全力疾走。
20年連れ立った妻に48億もの遺産があると知った主人公。家族、仕事、お金とは。人生とは。
「白石作品過去最高のエンタメ度」とあるけれど、まさしくその通りで、ちょっとした連ドラを一気に見終わった感じ。
最後はいつものように力強い(読者からすると物悲しい)終わりかと思ったけど、いい意味で裏切られた。あの終わり方も「最高娯楽小説」って感じでいい。
白石氏の作品はとにかく登場人物が多いけど、それが複雑に絡み合ってほどけて、また絡んでいく様が気持ちいい。これだけ人がでてきても読み手がこんがらがらないのはすごいと思う。そして人生は運であり、縁だなあと思う。
私は白石一文と柚木麻子が狂ったように好きなのだけど、なんでだろうと思った。
柚木麻子は「苦しいくらい共感できる」のに対し、白石一文作品の登場人物には基本的に共感できない。男性も、女性も。自分とは違う世界の、自分とは違う考え方の人だからその強い言葉や行動がすんなり心に沁みるのかもしれないなと思った。 -
ストーリー的には面白くすらすら読める。
ただ登場人物個人個人の人間性がいまいちよく分からず、行動に共感できない描写が多かった。 -
もし自分の伴侶が億万長者だったら、そしてそのことを秘密にしていたら。
膨大な遺産を継いでいた妻、恋愛至上主義な子どもたち、保身に走る会社の役員たち、昔の後輩である女将、親友を虐めていた同級生…みんな勝手にするがいい、と思って離婚届を置いて金沢に転居した主人公鉄平。
660ページの長編なのにぐいぐい読めた。おもしろかった。 -
この著者では初めて。博多にある親戚の化学系企業に勤めながらトップの代替わりとともに左遷された50代が主人公。妻がずっと前に相続していたという多額の遺産の存在を知る。当然なぜ黙っていたのか、信頼関係が崩れたとなじる主人公鉄平に妻は今後を考えましょうと一億円を渡してくる。果たして鉄平は何をするのか、妻との今後はどうするのかと、人生の危機に直面しての葛藤に共感できる部分は多かった。最後はびっくりでなかなか良かった。ドラマ化されてるようだから見ようかな。
著者プロフィール
白石一文の作品
