黙過 (徳間文庫)

  • 徳間書店 (2020年9月4日発売)
3.65
  • (27)
  • (69)
  • (54)
  • (9)
  • (4)
本棚登録 : 666
感想 : 54
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784198945916

作品紹介・あらすじ

瞠目の医療ミステリー

下村敦史はあくまでもミステリの枠内に留まり、濃厚な謎解きの味わいと〈どんでん返し〉を盛った上で、死を真正面からテーマにしてみせた。構築の美に感動さえ覚える。
作家・有栖川有栖

読み終わったとき、思わず胸に手を当てずにはいられなかった。
東京慈恵会医科大学 教授・嘉糠洋陸

移植手術を巡り葛藤する新米医師――「優先順位」。安楽死を乞う父を前に懊悩する家族――「詐病」。過激な動物愛護団体が突き付けたある命題――「命の天秤」。ほか、生命の現場を舞台にした衝撃の医療ミステリー。注目の江戸川乱歩賞作家が放つ渾身のどんでん返しに、あなたの涙腺は耐えられるか。最終章「究極の選択」は、最後にお読みいただくことを強くお勧めいたします。
(解説・有栖川有栖)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 帯に『あなたは5回騙される』とあったけど、確かにその通り。別々のストーリーの4つの短編でそれぞれ騙されて、最後の『究極の選択』で大どんでん返し。こんな騙され方があるんだ!という感じ。
    終盤はパズルのピースが次々とはまっていくように、全ての疑問が思わぬ形で見事にはまっていくのはとても気持ちよかった。

    ミステリーだけど、殺人も死体も出てこないのも新鮮。どちらかというと命を救うことに関連したミステリー……それって珍しい。
    テーマはとても重くて考えさせられる。『人間の命は動物の命より重いのか』『動物の臓器を移植したら、人間ではなくなるのか』医学が進歩し死ぬはずの命も助かるようになって、人間はもっともっとと欲張って長生きする方法を求めていくようになってしまった。考えるだけでなくて技術の進歩で実現できるようになって、人間の長生きへの渇望はエスカレートしている。
    昔なら仕方ない…と諦めていた状態でも、それが違法で倫理違反であっても助かる方法があるばかりに、患者や家族は悩まされることになるのだなぁと思った。

  • 本屋さんで、装丁を表に向けて私の方を向いていた。
    書店のポップに目が止まり、ブクログで評価を調べて購入。

    「優先順位」
    ひき逃げされた患者は、ドナーの意思を保険証に示していた。しかしその患者も3日以内に肝臓移植を受けられれば生きられる可能性がある。
    しかし今のまま3日生きられる保証がない。
    彼の臓器が使えたら、助かる人が沢山いる。


    「詐病」
    父親かパーキンソン病を患い、兄は仕事を辞めて父親の介護をしていた。
    その父親が行方不明になり、勘当されていた弟が兄から連絡を受けて実家に戻る。
    ひょんなきっかけで、弟が父親の詐病に気づく。


    と、ここまで読んで、、
    あれ?これ?短編!?
    うっそーん。騙されたーーー(ToT)
    がっくり。

    と思っていたのだが、次の「命の天秤」の登場人物の名前が何か引っかかる。

    そしてもう一話「不正疑惑」を読み終えて、最後の「究極の選択」へ。

    ええーーー!?


    これはびっくり!!
    短編だと思っていた全く別の物語が最後に全て繋がり、しかも、、、

    いやー、素晴らしい!
    これはかなり読み応えがあった!

    医療ミステリはそれほど沢山読んだことが無かったが、これはかなりレベルの高い作品なのでは!?

  • 下村敦史『黙過』徳間文庫。

    医療ミステリー。タイトルの『黙過』とは、知っていながら黙って見逃すこと、らしい。

    最初は5編から成る短編集かと思ったのだが、最後の『究極の選択』を読み、まんまと騙されたことに気付いた。随分と切れ味の悪い短編集だなとまで思ったのだが……

    無論、良い意味で騙されたというか、著者の術中にはまってしまったのだ。5章から成る長編作品というのが正解だろう。

    以下は短編のつもりで読みながら記述しているので、最初の4つの感想はかなり的外れになっている。

    『優先順位』。医療の正義は救える生命の数で決まるのか……短編の中に複数のミステリーの要素はあるが、全てがスッキリとした解決をみる訳ではなく、モヤモヤした読後感が残る。交通事故で肝臓を損傷し、意識不明の状態で運び込まれた患者。患者が臓器移植の意思を示していることから、自らの地位のために患者の臓器を利用しようとする医師と患者を救おうとする医師の対立。その対立に巻き込まれた新米医師が知る真実とは……

    『詐病』。こちらの短編も父親が不治の病を偽っていた理由が余りにも弱過ぎてスッキリしなかった。対立する父親と二人の息子。パーキンソン病を患い、安楽死を願う元厚生労働省の役人の父親と兄弟を描いた家族の物語。父親のパーキンソン病は詐病であることを知る兄弟。父親が何故、病を偽っていたのか……

    『命の天秤』。クジラは食べては駄目でマグロや豚、牛は食べても良いなど、動物の種別で保護すべきか否かが決まる不条理。動物の種別で命の重さは決まるのか……大きな命題を出した割りには今一つ。養豚場に対する過激な動物愛護団体の嫌がらせ。突然消えた子豚は誰が盗んだのか……

    『不正疑惑』。この短編は非常に良かった。心臓移植した一人娘を失い、絶望の果てに自殺した医師の不正疑惑。彼は研究費の不正受給の見返りに手にした金銭を使って娘の心臓移植の優先順位を上げたのか……

    『究極の選択』。読む前の注意として、「前知識が必要なので必ず他の四編の読了後にお読みください」とある。なるほど、先の4編の短編が全てつながった。見事に著者の術中にはまってしまったようだ。先の4編の切れ味の悪さの理由が氷解すると共にラストに感涙。完全にやられた。

    本体価格720円
    ★★★★★

  • 『黙過』〜知っていながら黙って見逃すこと。

    下村 敦史さんのメディカル・ミステリー。
    最初に四つの独立した短編があり、それぞれ登場人物も背景も流れも異なり、一応、謎の解決を見る。

    しかし、最後、五つめの短編て、前四つの話が巧妙に絡み合い、最後、驚きの真実が明らかになる。

    ・優先順位
    ・詐病
    ・命の天秤
    ・不正疑惑
    ・究極の選択

    人と人、命の重さとは?
    人間の命と動物の命の重さは?
    いろいろ難問が出てきますね。
    どんでん返しは、さすがです。

  • 下村さんの作品は今のところハズレなし。
    本作は特に優れたミステリーでした。
    「優先順位」「詐病」「命の天秤」「不正疑惑」「究極の選択」からなる医療ミステリーの短編集。
    それぞれ異なる話のはずが「究極の選択」で全てが繋がり、各編で解決したはずの謎がひっくり返されます。見事な構成で不自然さや違和感もありません。
    この構成だけでもすごいのに、問題提起もお見事。深く深く考えさせられました。

    「命の天秤」では人間が食べるために動物を殺すことの是非を問いかけられ、私もこどもに聞かれたら答えに窮するかもしれないと気付かされました(この点はきちんと学び、自分なりの答えを持たなければ)。
    また「究極の選択」はもう本当に究極で、どうかそんな選択をしなければならない状況が私の人生に訪れないでほしいと願うしかなく、そんな自分が情けなくなりました。
    客観的に考えれば、作中にある「私たちは、命の過剰な重さに自らを雁字搦めにしてはいないでしょうか」という問いを素直に受け止め、あまりに不自然な状態で生き長らえる必要はないと言えるけれど、それがもし大切な身近な人間だったらと想像すると答えは出ないのです。

    日々医療が進歩するのは素晴らしいことです。
    けれど進歩と同時に人としての倫理観や、地球上に存在する動物の福祉、共存のあり方も考えておかないと私たち人間は医療の進歩の結果、絶望を味わう可能性もあることを知らされました。

  • 下村作品初読み‼︎

    楽しみにしていた一冊は単なる謎解きミステリーではありませんでした。

    巻頭から四つの短編がおさめられ、それぞれが独立したミステリー作品であり、しっかりとどんでん返しにより結末を向かえます。

    そう、それぞれはしっかりと短編の中で完結しているんです。

    そして迎えた終章ともいえる「究極の選択」ではご丁寧に注意書きから始まります。

    ※前知識が必要なので必ず他の四篇の読了後お読みください

    こんな展開を知らずに読み進めていた私は、これから待ち受ける衝撃を前に思わず襟をただすような、一瞬時が止まったような感覚を体験することに。

    そして始まった「究極の選択」。

    独立していた四つの短編全てが一つの謎を解き明かす為に仕組まれたプロット。

    どんでん返しに次ぐどんでん返し。

    確かに謎解きミステリーとしても非常に良く出来た作品でありますが、本作を通じて著者は読者に「命」についてい問かけます。

    まさに「究極の選択」。

    なんて作品なんだ‼︎


    巻末の解説で有栖川有栖先生がこれまた上手く本作を表現してくれていますので、そのまま引用させて頂きます。

    本書『黙過』は、どちらの気分の方にも応える構成になっている。独立した短編として読める四つのエピソードが、最後の「究極の選択」に至り思いもかけない形で一つに束ねられ、クライマックスに雪崩れ込むのだ。
    (※どちらの気分:「今は長編(短編)が読みたい」)
    〜〜〜
    それは、たとえるならば——ジグソーパズルを四つ完成させて満足していたら、「それをバラして、こう組み立てるときれいだよ」と言われて、予想外の大きな絵ができるのを目撃するかのようだ。
    また、あるいは——四つの独唱曲に聴きほれた後、「その歌は、こんなふうに展開するよ」と言われて、すべてが美しい四声体の合唱曲と化して響き合うのを耳にするようでもあり、構築の美に感動さえ覚える。いわば、本作は四声体ミステリと言えるだろう。




    説明
    内容紹介
    第7回徳間文庫大賞受賞!!

    瞠目の医療ミステリー

    下村敦史はあくまでもミステリの枠内に留まり、濃厚な謎解きの味わいと〈どんでん返し〉を盛った上で、死を真正面からテーマにしてみせた。構築の美に感動さえ覚える。
    作家・有栖川有栖

    読み終わったとき、思わず胸に手を当てずにはいられなかった。
    東京慈恵会医科大学 教授・嘉糠洋陸

    移植手術を巡り葛藤する新米医師――「優先順位」。安楽死を乞う父を前に懊悩する家族――「詐病」。過激な動物愛護団体が突き付けたある命題――「命の天秤」。ほか、生命の現場を舞台にした衝撃の医療ミステリー。注目の江戸川乱歩賞作家が放つ渾身のどんでん返しに、あなたの涙腺は耐えられるか。最終章「究極の選択」は、最後にお読みいただくことを強くお勧めいたします。
    (解説・有栖川有栖)
    内容(「BOOK」データベースより)
    移植手術を巡り葛藤する新米医師―「優先順位」。安楽死を乞う父を前に懊悩する家族―「詐病」。過激な動物愛護団体が突き付けたある命題―「命の天秤」。ほか、生命の現場を舞台にした衝撃の医療ミステリー。注目の江戸川乱歩賞作家が放つ渾身のどんでん返しに、あなたの涙腺は耐えられるか。最終章「究極の選択」は、最後にお読みいただくことを強くお勧めいたします。
    著者について
    1981年京都府生まれ。2014年に『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は数々のミステリランキングにおいて高い評価を受ける。同年に発表した短編「死は朝、羽ばたく」が第68回日本推理作家協会賞短編部門候補、『生還者』が第69回日本推理作家協会賞の長編及び連作短編集部門の候補、『黙過』が第21回大藪春彦賞候補となるなど、今注目を集める若手作家である。『難民調査官』『叛徒』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『悲願花』『刑事の慟哭』『絶声』『コープス・ハント』『法の雨』など著書多数。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    下村/敦史
    1981年京都府生まれ。2014年に『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は数々のミステリランキングにおいて高い評価を受ける。同年に発表した短編「死は朝、羽ばたく」が第68回日本推理作家協会賞短編部門候補、『生還者』が第69回日本推理作家協会賞の長編及び連作短編集部門の候補、『黙過』が第21回大藪春彦賞候補となるなど、今注目を集める若手作家である。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 4つの短編それぞれもちゃんと完結しているのに、最後に見事なまとまりだった。

    それぞれの視点から読んだあとの最終章。
    命のありかたについても考えさせられたし、自分だったらどういう選択をするのか…

  • なるほどー。
    短編集かと思いきや、最後に繋がる。。

  • すごく好きな作家さん。
    短編集と思って読んでおり
    今回はどの話もぐいぐい読ませるけど
    落ちが弱いというかゆるいなーと思っていたが
    最後の話を読み始めてふるえた
    やっぱり好きだなー

  • 長編かと思ったら短編集かと思いきや・・・

    最終章の『究極の選択』は最後にお読みくださいとある?

    これ何?と思いきや、少し驚きの構成となっている。


    下村さんの作品のメディア批判には共感が持てます。
    作中の動物愛護団体をみて思うことは、何かを守るために何かを傷つける人達は沢山います。
    メディアの方々と何かを守る団体の方々には世の中に対してフェアに生きてほしいと思います。

  • 本筋とはあまり関係ないけれど、中盤に少し登場の天童教授が魅力的でした。

    「本来、無知は罪ではない。90パーセントの一般人が答えられる常識問題を間違ってしまった人でも、90パーセントの一般人が答えられない非常識問題の答えを知っているかもしれない。
    誰もが知っている知識を知らなかったからといってその人を馬鹿にした言葉は、いずれ自分に帰ってくる。どんな人も自分にはない何かしらの知識を持っている、という当たり前の事実を理解していたら、おいそれと他人を見下せない。とはいえ、無知ゆえに人を追及し、名誉を貶め、苦しめたとしたら、それは罪よ。」

  • 去年秋頃アメリカで豚の腎臓を人に移植成功!というニュースがありましたね〜
    それを思い出しました。
    各短編に強引なこじつけにも感じる言動が多々見られ読みながら少し冷めてしまう事もしばしば…。
    が、一つの定義に対しそれぞれの立場からそれぞれの正解が違う。
    見る側面を変えればどちらが正しいのか…答えが出ない、そんな問題定義に頭は右往左往、心はそれぞれの心情に寄り添ってしまう。
    人の生き死にを誰がどのように決めるべきなのか…

    医学の進歩はゆっくりと、でも着実に前に進んでいるんですね。

  • 4つの短編が最終話で、パズルのごとく組み合わされる連作医療ミステリ。構成がしっかりと練られていて、ミステリとしての完成度はもちろんのこと、生命倫理に深く切り込むテーマ性、そして専門的な知識を話に落とし込む技術も、素晴らしい一作です。

    個人的には第3話の「命の天秤」で養豚場を舞台にしたミステリが特に新鮮でした。特殊な舞台設定名ながら、説明や描写が分かりやすくスッと入ってくるのが本当にすごいと思います。

    各短編でそれぞれに微妙な違和感が残ります。どこか無理やり説明をつけた感じであったり、動機に必然性を感じにくいところがありました。そこだけ切り取ると、何とも言い難い評価になってしまうのですが、それぞれの違和感を、そしてばらばらの舞台に見えた4つの話をきれいにつなげ、全く違った物語の全容を明らかにする。その技巧がとにかく素晴らしいの一言に尽きます。

    中国残留孤児がテーマの『闇に香る嘘』、外国人労働者問題を扱った『叛徒』、山を舞台にした青春ミステリ『失踪者』に続いて、この医療ミステリである『黙過』が4作目の下村作品でしたが、いずれも完成度の高さとテーマの切り込み方に惚れ惚れしてしまいます。次読む作品は何をテーマに、どう切り込むのか。本当に楽しみな作家さんです。

  • 短編から、長編へ繋がって行くところが面白く、視点が変わることによって、真相も変わって行くところが凄いなと思いました。
    ただ、登場人物が思い悩むほど、私自身に倫理的な嫌悪感がないところに、温度差があって、緊迫感に入り込めませんでした。
    異種移植、そんなに嫌悪感あるかなぁ。内臓変わっても、外見からじゃわかんないし。姿かたちが変わってしまったり、本人では無くなってしまうわけじゃないのなら、そんなに嫌悪感は感じないかな。
    そもそも、輸血も臓器移植も、何なら予防接種だって、異物混入には変わりないと思ってしまいます。私としては、自分以外はすべて、人だろうが動物だろうが機械だろうが「他」には変わりないので、嫌悪があるとしたら、「人」と「動物」ではなく、「自分」と「他」だと思います。
    まあ、当事者ではないので、現時点での想像ですけどね。部分をもらって生きると覚悟したならば、使えるものを使うのは当たり前に受け入れられると思うんですけど、そうじゃないのかなあ。

  • 全てが繋がった時、少し行き先が垣間見えて、読むスピードが止まったのですが、最後まで読まなかったら、突きつけられた問いを、また曖昧にやり過ごしてしまうところでした。

  • 最終章で話が合わさると、ガラッと一気に思わぬ方向にもっていかれる構成。真相は明らかでも答えはなくて、逆に考えなさいよって問いかけられるような...こういう話を知れただけでも身になるお話。

  • 医療ミステリとしてツイッターでおススメいただいたので読んでみた初めての作家さん。
    短編かと思いきや、<最後の話でそれまでのすべてがつながる系>だった。
    勘のいい方はもっと早く気づくのだろうけれど、私は最後の話で、「え?」「ええ~っ!」となりました。

    こう説明すると、「あ、どんでん返し系ね」との認識で終わってしまうかもしれないけれど、本書のテーマは「命」です。
    テーマが命とは、これまたありがちじゃんと思われる向きもあるかもしれませんが、けっこうガチで「命に順列はあるのか」と突き付けてきます。
    それも人間だけでなく動物をも含め、そしてこれをさらに突き詰めていくと、植物ももちろんのこと、この世の生きとし生けるすべてのものを含んでいくんでしょう。

    そう考えたとき、本書でASGが声高に主張する内容はこれまた一方的な見方にしかすぎず、ただただ煽情的で正義とは程遠いものだとわかります。

    結局ありきたりではあるけれど、私は「自分という命がここに存在している以上、かならず他の犠牲の上にあり、だからものをいただくときには、感謝しておいしく残さずいただく」ということ、「ものを使うときには大切に長く使う」ことが大切だと今まで以上に心に刻んだ次第です。

    なお本書に低評価をつけている方には、最終的な問題である”あれ”が荒唐無稽すぎるという意見がありますが、それは現実を知らなすぎるおめでたい意見だな、と。
    少なくとも私はこの本で取り上げられている最終的手段の心臓移植と同じ手術が先日他国でなされたというニュースを新聞で読んでいます。

    はじめての作家さんでしたが<社会派>の方だそうなので、今後も追いかけてみたいなと思いました。

    ★黙過=だまって見のがすこと。知らないふりをしてそのままにしておくこと。

    ====データベース=====
    第7回徳間文庫大賞受賞!!

    瞠目の医療ミステリー

    移植手術を巡り葛藤する新米医師――「優先順位」。安楽死を乞う父を前に懊悩する家族――「詐病」。過激な動物愛護団体が突き付けたある命題――「命の天秤」。ほか、生命の現場を舞台にした衝撃の医療ミステリー。注目の江戸川乱歩賞作家が放つ渾身のどんでん返しに、あなたの涙腺は耐えられるか。最終章「究極の選択」は、最後にお読みいただくことを強くお勧めいたします。

  • いやもうホントなんて題材を扱うんだ。
    “命の重さ”と“人としての尊厳”を問う短編集。
    読みながらいろんなことを考えてしまって、正直騙されるどころじゃなかった。
    その選択は正しかったのか間違っていたのか。
    今の自分には判断できないけど、おそらく受け入れることはできないだろうなと思った。

    • ほくほくあーちゃんさん
      あくらさんのおかげで下村敦史さんの作品を知ることができました!!
      読んでみたい作品がたくさんです!!
      あくらさんのおかげで下村敦史さんの作品を知ることができました!!
      読んでみたい作品がたくさんです!!
      2021/07/20
  • 騙された!
    短篇か思ったら騙された!
    5回?なんかもっと騙された感がある。
    壮大な問題。
    愛犬のだったら・・・・・とか思ってしまうぐらい。(ありえない事だけど)
    目的は同じで、手段が違うだけ。 
    凄いテーマじゃないか。もっとエンタメ強くして長編を読みたい気分。
    面白かった。

  • 全編通して「命の優先順位」について非常に考えさせられる内容で、各短編はそれぞれで長編ができそうな程濃厚。ですが、最後に更に度肝を抜かれる。
    各短編が実は最後に繋がって…は良くあるが、ここまでの見事の構成は滅多にお目にかかれない。星5です。

全48件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

下村敦史の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×