- 徳間書店 (2020年9月4日発売)
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感想 : 54件
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784198945916
作品紹介・あらすじ
瞠目の医療ミステリー
下村敦史はあくまでもミステリの枠内に留まり、濃厚な謎解きの味わいと〈どんでん返し〉を盛った上で、死を真正面からテーマにしてみせた。構築の美に感動さえ覚える。
作家・有栖川有栖
読み終わったとき、思わず胸に手を当てずにはいられなかった。
東京慈恵会医科大学 教授・嘉糠洋陸
移植手術を巡り葛藤する新米医師――「優先順位」。安楽死を乞う父を前に懊悩する家族――「詐病」。過激な動物愛護団体が突き付けたある命題――「命の天秤」。ほか、生命の現場を舞台にした衝撃の医療ミステリー。注目の江戸川乱歩賞作家が放つ渾身のどんでん返しに、あなたの涙腺は耐えられるか。最終章「究極の選択」は、最後にお読みいただくことを強くお勧めいたします。
(解説・有栖川有栖)
感想・レビュー・書評
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帯に『あなたは5回騙される』とあったけど、確かにその通り。別々のストーリーの4つの短編でそれぞれ騙されて、最後の『究極の選択』で大どんでん返し。こんな騙され方があるんだ!という感じ。
終盤はパズルのピースが次々とはまっていくように、全ての疑問が思わぬ形で見事にはまっていくのはとても気持ちよかった。
ミステリーだけど、殺人も死体も出てこないのも新鮮。どちらかというと命を救うことに関連したミステリー……それって珍しい。
テーマはとても重くて考えさせられる。『人間の命は動物の命より重いのか』『動物の臓器を移植したら、人間ではなくなるのか』医学が進歩し死ぬはずの命も助かるようになって、人間はもっともっとと欲張って長生きする方法を求めていくようになってしまった。考えるだけでなくて技術の進歩で実現できるようになって、人間の長生きへの渇望はエスカレートしている。
昔なら仕方ない…と諦めていた状態でも、それが違法で倫理違反であっても助かる方法があるばかりに、患者や家族は悩まされることになるのだなぁと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本屋さんで、装丁を表に向けて私の方を向いていた。
書店のポップに目が止まり、ブクログで評価を調べて購入。
「優先順位」
ひき逃げされた患者は、ドナーの意思を保険証に示していた。しかしその患者も3日以内に肝臓移植を受けられれば生きられる可能性がある。
しかし今のまま3日生きられる保証がない。
彼の臓器が使えたら、助かる人が沢山いる。
「詐病」
父親かパーキンソン病を患い、兄は仕事を辞めて父親の介護をしていた。
その父親が行方不明になり、勘当されていた弟が兄から連絡を受けて実家に戻る。
ひょんなきっかけで、弟が父親の詐病に気づく。
と、ここまで読んで、、
あれ?これ?短編!?
うっそーん。騙されたーーー(ToT)
がっくり。
と思っていたのだが、次の「命の天秤」の登場人物の名前が何か引っかかる。
そしてもう一話「不正疑惑」を読み終えて、最後の「究極の選択」へ。
ええーーー!?
これはびっくり!!
短編だと思っていた全く別の物語が最後に全て繋がり、しかも、、、
いやー、素晴らしい!
これはかなり読み応えがあった!
医療ミステリはそれほど沢山読んだことが無かったが、これはかなりレベルの高い作品なのでは!? -
下村敦史『黙過』徳間文庫。
医療ミステリー。タイトルの『黙過』とは、知っていながら黙って見逃すこと、らしい。
最初は5編から成る短編集かと思ったのだが、最後の『究極の選択』を読み、まんまと騙されたことに気付いた。随分と切れ味の悪い短編集だなとまで思ったのだが……
無論、良い意味で騙されたというか、著者の術中にはまってしまったのだ。5章から成る長編作品というのが正解だろう。
以下は短編のつもりで読みながら記述しているので、最初の4つの感想はかなり的外れになっている。
『優先順位』。医療の正義は救える生命の数で決まるのか……短編の中に複数のミステリーの要素はあるが、全てがスッキリとした解決をみる訳ではなく、モヤモヤした読後感が残る。交通事故で肝臓を損傷し、意識不明の状態で運び込まれた患者。患者が臓器移植の意思を示していることから、自らの地位のために患者の臓器を利用しようとする医師と患者を救おうとする医師の対立。その対立に巻き込まれた新米医師が知る真実とは……
『詐病』。こちらの短編も父親が不治の病を偽っていた理由が余りにも弱過ぎてスッキリしなかった。対立する父親と二人の息子。パーキンソン病を患い、安楽死を願う元厚生労働省の役人の父親と兄弟を描いた家族の物語。父親のパーキンソン病は詐病であることを知る兄弟。父親が何故、病を偽っていたのか……
『命の天秤』。クジラは食べては駄目でマグロや豚、牛は食べても良いなど、動物の種別で保護すべきか否かが決まる不条理。動物の種別で命の重さは決まるのか……大きな命題を出した割りには今一つ。養豚場に対する過激な動物愛護団体の嫌がらせ。突然消えた子豚は誰が盗んだのか……
『不正疑惑』。この短編は非常に良かった。心臓移植した一人娘を失い、絶望の果てに自殺した医師の不正疑惑。彼は研究費の不正受給の見返りに手にした金銭を使って娘の心臓移植の優先順位を上げたのか……
『究極の選択』。読む前の注意として、「前知識が必要なので必ず他の四編の読了後にお読みください」とある。なるほど、先の4編の短編が全てつながった。見事に著者の術中にはまってしまったようだ。先の4編の切れ味の悪さの理由が氷解すると共にラストに感涙。完全にやられた。
本体価格720円
★★★★★ -
『黙過』〜知っていながら黙って見逃すこと。
下村 敦史さんのメディカル・ミステリー。
最初に四つの独立した短編があり、それぞれ登場人物も背景も流れも異なり、一応、謎の解決を見る。
しかし、最後、五つめの短編て、前四つの話が巧妙に絡み合い、最後、驚きの真実が明らかになる。
・優先順位
・詐病
・命の天秤
・不正疑惑
・究極の選択
人と人、命の重さとは?
人間の命と動物の命の重さは?
いろいろ難問が出てきますね。
どんでん返しは、さすがです。 -
4つの短編それぞれもちゃんと完結しているのに、最後に見事なまとまりだった。
それぞれの視点から読んだあとの最終章。
命のありかたについても考えさせられたし、自分だったらどういう選択をするのか… -
なるほどー。
短編集かと思いきや、最後に繋がる。。 -
すごく好きな作家さん。
短編集と思って読んでおり
今回はどの話もぐいぐい読ませるけど
落ちが弱いというかゆるいなーと思っていたが
最後の話を読み始めてふるえた
やっぱり好きだなー -
長編かと思ったら短編集かと思いきや・・・
最終章の『究極の選択』は最後にお読みくださいとある?
これ何?と思いきや、少し驚きの構成となっている。
下村さんの作品のメディア批判には共感が持てます。
作中の動物愛護団体をみて思うことは、何かを守るために何かを傷つける人達は沢山います。
メディアの方々と何かを守る団体の方々には世の中に対してフェアに生きてほしいと思います。 -
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本筋とはあまり関係ないけれど、中盤に少し登場の天童教授が魅力的でした。
「本来、無知は罪ではない。90パーセントの一般人が答えられる常識問題を間違ってしまった人でも、90パーセントの一般人が答えられない非常識問題の答えを知っているかもしれない。
誰もが知っている知識を知らなかったからといってその人を馬鹿にした言葉は、いずれ自分に帰ってくる。どんな人も自分にはない何かしらの知識を持っている、という当たり前の事実を理解していたら、おいそれと他人を見下せない。とはいえ、無知ゆえに人を追及し、名誉を貶め、苦しめたとしたら、それは罪よ。」 -
去年秋頃アメリカで豚の腎臓を人に移植成功!というニュースがありましたね〜
それを思い出しました。
各短編に強引なこじつけにも感じる言動が多々見られ読みながら少し冷めてしまう事もしばしば…。
が、一つの定義に対しそれぞれの立場からそれぞれの正解が違う。
見る側面を変えればどちらが正しいのか…答えが出ない、そんな問題定義に頭は右往左往、心はそれぞれの心情に寄り添ってしまう。
人の生き死にを誰がどのように決めるべきなのか…
医学の進歩はゆっくりと、でも着実に前に進んでいるんですね。 -
4つの短編が最終話で、パズルのごとく組み合わされる連作医療ミステリ。構成がしっかりと練られていて、ミステリとしての完成度はもちろんのこと、生命倫理に深く切り込むテーマ性、そして専門的な知識を話に落とし込む技術も、素晴らしい一作です。
個人的には第3話の「命の天秤」で養豚場を舞台にしたミステリが特に新鮮でした。特殊な舞台設定名ながら、説明や描写が分かりやすくスッと入ってくるのが本当にすごいと思います。
各短編でそれぞれに微妙な違和感が残ります。どこか無理やり説明をつけた感じであったり、動機に必然性を感じにくいところがありました。そこだけ切り取ると、何とも言い難い評価になってしまうのですが、それぞれの違和感を、そしてばらばらの舞台に見えた4つの話をきれいにつなげ、全く違った物語の全容を明らかにする。その技巧がとにかく素晴らしいの一言に尽きます。
中国残留孤児がテーマの『闇に香る嘘』、外国人労働者問題を扱った『叛徒』、山を舞台にした青春ミステリ『失踪者』に続いて、この医療ミステリである『黙過』が4作目の下村作品でしたが、いずれも完成度の高さとテーマの切り込み方に惚れ惚れしてしまいます。次読む作品は何をテーマに、どう切り込むのか。本当に楽しみな作家さんです。 -
全てが繋がった時、少し行き先が垣間見えて、読むスピードが止まったのですが、最後まで読まなかったら、突きつけられた問いを、また曖昧にやり過ごしてしまうところでした。
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最終章で話が合わさると、ガラッと一気に思わぬ方向にもっていかれる構成。真相は明らかでも答えはなくて、逆に考えなさいよって問いかけられるような...こういう話を知れただけでも身になるお話。
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医療ミステリとしてツイッターでおススメいただいたので読んでみた初めての作家さん。
短編かと思いきや、<最後の話でそれまでのすべてがつながる系>だった。
勘のいい方はもっと早く気づくのだろうけれど、私は最後の話で、「え?」「ええ~っ!」となりました。
こう説明すると、「あ、どんでん返し系ね」との認識で終わってしまうかもしれないけれど、本書のテーマは「命」です。
テーマが命とは、これまたありがちじゃんと思われる向きもあるかもしれませんが、けっこうガチで「命に順列はあるのか」と突き付けてきます。
それも人間だけでなく動物をも含め、そしてこれをさらに突き詰めていくと、植物ももちろんのこと、この世の生きとし生けるすべてのものを含んでいくんでしょう。
そう考えたとき、本書でASGが声高に主張する内容はこれまた一方的な見方にしかすぎず、ただただ煽情的で正義とは程遠いものだとわかります。
結局ありきたりではあるけれど、私は「自分という命がここに存在している以上、かならず他の犠牲の上にあり、だからものをいただくときには、感謝しておいしく残さずいただく」ということ、「ものを使うときには大切に長く使う」ことが大切だと今まで以上に心に刻んだ次第です。
なお本書に低評価をつけている方には、最終的な問題である”あれ”が荒唐無稽すぎるという意見がありますが、それは現実を知らなすぎるおめでたい意見だな、と。
少なくとも私はこの本で取り上げられている最終的手段の心臓移植と同じ手術が先日他国でなされたというニュースを新聞で読んでいます。
はじめての作家さんでしたが<社会派>の方だそうなので、今後も追いかけてみたいなと思いました。
★黙過=だまって見のがすこと。知らないふりをしてそのままにしておくこと。
====データベース=====
第7回徳間文庫大賞受賞!!
瞠目の医療ミステリー
移植手術を巡り葛藤する新米医師――「優先順位」。安楽死を乞う父を前に懊悩する家族――「詐病」。過激な動物愛護団体が突き付けたある命題――「命の天秤」。ほか、生命の現場を舞台にした衝撃の医療ミステリー。注目の江戸川乱歩賞作家が放つ渾身のどんでん返しに、あなたの涙腺は耐えられるか。最終章「究極の選択」は、最後にお読みいただくことを強くお勧めいたします。 -
いやもうホントなんて題材を扱うんだ。
“命の重さ”と“人としての尊厳”を問う短編集。
読みながらいろんなことを考えてしまって、正直騙されるどころじゃなかった。
その選択は正しかったのか間違っていたのか。
今の自分には判断できないけど、おそらく受け入れることはできないだろうなと思った。-
あくらさんのおかげで下村敦史さんの作品を知ることができました!!
読んでみたい作品がたくさんです!!あくらさんのおかげで下村敦史さんの作品を知ることができました!!
読んでみたい作品がたくさんです!!2021/07/20
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騙された!
短篇か思ったら騙された!
5回?なんかもっと騙された感がある。
壮大な問題。
愛犬のだったら・・・・・とか思ってしまうぐらい。(ありえない事だけど)
目的は同じで、手段が違うだけ。
凄いテーマじゃないか。もっとエンタメ強くして長編を読みたい気分。
面白かった。 -
全編通して「命の優先順位」について非常に考えさせられる内容で、各短編はそれぞれで長編ができそうな程濃厚。ですが、最後に更に度肝を抜かれる。
各短編が実は最後に繋がって…は良くあるが、ここまでの見事の構成は滅多にお目にかかれない。星5です。
著者プロフィール
下村敦史の作品
