雲上雲下 (徳間文庫)

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  • 徳間書店 (2021年3月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784198946319

作品紹介・あらすじ

「物語が世界から消える?」
子狐に山姥、乙姫に天人、そして龍の子。
民話の主人公たちが笑い、苦悩し、闘う!

「全体の形があらわになった瞬間、
全身に鳥肌の立つような感動を覚えた」
阿部智里(作家)

【出版社からのコメント】
朝井さんと日本各地へ行き、
昔から伝わるお話を聞かせていただきました。
湖や地方の山、遺跡に滝。
ブナ林の中を走り回り、
田んぼの中で
偶然みつけたお地蔵さんを拝んだことも。
そんな四季折々の一瞬一瞬が集められ、
物語となり、生き物のように動きはじめました。
「物語よりおもしろいものがある」
と言われる厳しい時代の中、
朝井さんが命を吹き込んだ“物語たち“は
世界に問いかけます。
物語たちがいなくなってしまったら、
どうするでしょうか?
本作品が、
物語に関わるすべての人に届いたらと
切に願っております。

 昔、むかしのそのまた昔。深山の草原に、
一本の名もなき草がいた。
彼のもとに小生意気な子狐が現れ、
「草どん」と呼んでお話をせがむ。山姥に、
団子ころころ、お経を読む猫、
そして龍の子・小太郎。草どんが語る物語は
やがて交錯し、雲上と雲下の世界がひずみ始める。
――民話の主人公たちが笑い、苦悩し、闘う。
不思議で懐かしいニッポンのファンタジー。
〈第十三回中央公論文芸賞受賞〉
(解説:阿部智里)

章ノ一 小さき者たち
草どんと、子狐
団子地蔵
粒や
亀の身上がり
猫寺

章ノ二 勇の者たち
通り過ぎる者
お花
湖へ
小太郎

章ノ三 物語の果て
草どんと、子狐と山姥
神々の庭
空の下

解説:阿部智里

みんなの感想まとめ

物語が語るのは、日本の民話や昔話の魅力とその深い意味です。主人公たちが笑い、苦悩し、闘う姿を通じて、古き良き物語の重要性を再認識させられます。読者は、田畑や雲上の神々の世界を鮮やかに想像しながら、物語...

感想・レビュー・書評

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  • 日本昔話や民話が好きな方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

    解説では、朝井まかてさんが民話に独自のエッセンスを加えることに
    苦悩されたとありましたが、どれも面白く読ませていただきました。

    田畑が広がる風景や雲の上の神々の世界が、ありありと想像できました。
    もっと朝井まかてさんバージョンの昔話が読みたいです。

    解説の最後にあった中央公論文芸賞受賞時のコメントがとても良く、あたたかい気持ちになりました。

  • 良い本を読んだ。この本の言おうとしていることに私も共感する。
    お伽噺が最初は語られていくが、後半になり語り部の草どんの話へ。日本の古来からある八百万の神などの神々を存在たらしめるものが人々が語り継ぐお伽噺の中にある。それを現代の人間は忘れ、疎かにして神々の存在を儚いものに。
    そう言う意味からも「にほん昔話」復活も併せて望みたい。

  • 本の中で本を読む感覚ですね、たくさんの民話、御伽噺を読めて、何気ない話が実は深い意味があるので。小太郎の話は初めて聞きました。お母さんに会えるのとお父さんに育てのお母さんとみんな意味があるから、自分の使命があるから。草どんが雲上人だったと、それが命尽きると、最後には現代を風刺していて、間違いなんだな、これは人間の行き方ではないのだと確認出来る。LINEとかSNSとかどっぷりハマっている現代人は、どうやって本当の行き方を取り戻せるのかな

  • 時代・歴史小説の名手朝井まかてさんが挑むのは、物語の根源に迫る物語。ほのぼのした話かと思いきや、話の構造が露わになってくるとともに、物語の壮大さに驚かされました。

    始まりは日本昔話と童話を掛け合わせたような、なんとも可愛らしい出だし。永い時間を生きたらしい草の元にやってくる子狐。その子狐は草のことを「草どん」と呼び、何か話を聞かせてくれるようせがむ。記憶もない様子の「草どん」だったが、なぜか徐々に物語が内側から湧き出てきて……

    草どんが語る物語はどこか懐かしい。おむすびころりんや浦島太郎といった日本の昔話を思い起こさせるものがあるのもその理由かと思いますが、お経を読む猫、タニシを産んだ老夫婦など、奇想天外な話も、とぼけ具合や、優しさ、善人や正直者が報われる結末など、そうしたものもまた日本の昔話らしさがあるからかもしれない。
    そして草どんの元には、子狐以外にも山姥や、小太郎という子どもが現れ、そして草どんの語る物語は変質し、草どんの世界に交差していく。

    草どんたちはいったい何者なのか。そして草どんが語る物語たちは、どこからやってきたのか。そして明らかになるのは、今ここにある物語の危機。民話と伝説が一体となったような不思議なこの『雲上雲下』という小説は、最後の最後に読者のいる現実世界にまで舞い降りて、この世界の危機を明らかにしてしまう。読んでいる時は、超展開にポカーン、としてしまったのだけど、読み終えて時間が経つごとに、この物語の真意なるものが、じわじわと心に迫ってくる気がします。

    世の中にあまたある情報は便利で効率がいい反面、空想も想像力も、物語にワクワクする心も、物語の登場人物たちに心を寄せる感動すら奪いつつあるのかもしれない。そうした余裕のない心で、どこまで他人を思いやることが、世界を思いやることができるのか。
    物語が脈々と受け継がれた意味、それは人が人の心を伝えるためのものなのかもしれない、人は、そして自分はなぜ物語が好きなのか、それを改めて考えさせられる、作品でもありました。

    第13回中央公論文芸賞

  • 想像していた内容とはちょっと違ったけど面白かった。
    2章から話の雰囲気が変わったかなあ。
    何個か昔話がでてきて知ってるのもあったけど知らないのもあってふむふむと面白かった。
    自分としては最後らへんはちょっと物足りないと感じたかも。

  • “物語る”とは何か?「物語」を語り継ぐことの意味を描く傑作ファンタジー 朝井まかて『雲上雲下』(徳間文庫) 3月11日(木)発売|徳間書店のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000329.000016935.html

  • ミヒャエル・エンデさんの
    「はてしない物語」の中で、
    主人公のセバスチャンが、
    ある一冊の「物語」を読んでいくうちに、
    その物語の中に入り込んでしまって、
    あの愛嬌のあるファルコンと一緒に
    旅を続けていく中で、
    とてつもない経験と、
    とてつもない勇気を
    身につけていく…
    あのセバスチャンの「奇跡」の感覚が
    この「雲上雲下」を読みふけるうちに、
    自分自身に起きていることに
    感動してしまいました。
     なんと面白く
     なんと壮大な
     なんと身に沁みてくる
    おもしろき「物語」でありましょう!

  • 「草どん」と呼ばれる一本の草が子狐に話をせがまれ、次々と昔懐かしい民話や昔話を語る。
    浦島太郎やおむすびころりんとか傘地蔵、かぐや姫や桃太郎も。童話本などで記憶にある話とは少し違い、朝井まかて風昔話集。
    かと思っていたら、章の三で、雲上と雲下が交錯し、俄然様相が一変する。
    この小説は、お伽噺を題材に、それらの話が現代では歪められたり、忘れ去られていくことへの著者の危機感を著したものだった。
    作中人物に語らせる。
    「今どき、薪割りや草履編みなんぞと言うても通じねえもの。年寄りも結局、子らの喜ぶ新しいもんを与えて機嫌を取る。若い者らに合わせるので、精一杯だ」
    さらに、現代の精神的に余裕のない世情を、現状の雲下の雑音として挙げている。
    「サッサト、シテヨ」「ボヤボヤスルナ」「モット効率ヲ考エロ」等々。
    「物語こそが、雲上と雲下をつなぐものであったのに」
    登場人物の悔いは、作者の悔いでもある。

  • 聞き覚えのある昔話の骨格に、独自のアレンジと解釈を施したお話がいくつか続き、それで十分、おもしろかったのだが・・・いつしか見知らぬ草原に連れてこられ、誰とも分からぬ視点から物語の続きを見ていた。
    言い伝えの子ども、小太郎が現れてからお話と現実が混ざり合っていく――そう書くと何のことやらという感じだが、読んでいると本当にそう感じる。あれ、どこまでが草どんの語るところだったか――境界のあやふやな感触が、ふしぎと忘れがたく、離れがたい。そうしてお話はどんどん深いところへ進んでいくようで・・・さいごは、草どん自身の物語。

    お話を語り聞かせるという行為が持つ、豊かさやあたたかさが描かれているように思う。絵本の読み聞かせだけでなく、大人になっても、お話を聞いて過ごす時間があったらけっこう楽しいのかもしれない。朗読会が行われたりもしているし。本を読む、という行為はその代わりでもあるのかな。

    「ここも、そのうち洞の向こうの世界のようになりましょう。夜がない、闇がない、不思議もない世界になってしまう」

  • よく知っている昔話に手が加わった小噺集かと思いきやら最後にオリジナルな一筋の話にまとまってビックリしました。

  • 知ってる話や知らない話。昔話を、朝井まかて流に語りなおした作品なんだな……と思って読み進めていったら、やがて、「物語とは何か」という壮大なテーマに流れ着き、満腹になった。ただのほっこり系連作短編集かと思いきや、大満足だった。

  • 「草どん」と呼ぶ子狐が可愛い。いくつかの物語が語られ、民話や昔ばなしが消えつつあるという危機が描かれた作品。昔ばなしは今でも大切な親子の時間なんだなと改めて思った。

  • 素晴らしい作品。
    伝承文学を学んだひとにとっては、
    さらに面白みを感じるかもしれない。

    物語は偽か?
    いやちがう、と私は答えたい。

    では、物語ること、それはなにを意味するのか。

    そのこたえが、ここに在る。

  • 最高の綺譚

  • 民話の語り部であるらしい大きな草の話を聞きにやってくる尻尾が短い子狐、何かと文句を言いつつも側にいる山姥。よく知っているお話の変形バージョンのような物語が続いていくうちに、いつの間にか民話を軽んじる現代社会が見え隠れする。
    情報社会になったからなのか民話が消滅しつつある状況を憂うテーマに共感しますが、少し分かりにくいかも。

  • もしこの本をホリエモンが読んだらバカにするんだろうな。でも私はとても好きですね。現在44歳ですが、ここ10年ほどは読書にハマってます。デジタル過ぎる世の中に嫌気が差しております。といいつつもスマホは持ってますが。

  • むかあし むかあし の お話

  • 子狐にせがまれるまま、草どんが語る昔話の数々。
    子狐の「あい」という合いの手がほのぼの。

    後半からの展開は流石。懐かしくもあり、悲しくもある。

  • 草が山姥と狐の子に民話をベースにした物語を語って聞かせる物語、と思いきや最後には神の存在を揺るがす展開に。日本昔ばなしも放送されない今、自分の子どもたちもあんまり民話を知らないのかも、と考えたらものすごくもったいない気がしてきました。

  • 日本昔話のパロディ版かと思いきや、現代にまで繋がるストーリー展開で驚いた。
    短編の中でも小太郎と山姥の話が切なく、ぐっときた。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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