- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198947262
作品紹介・あらすじ
=============
ロングセラー
『スーツケースの半分は』の
著者が贈る極上のミステリー
AX6============
祖母の依頼で請け負った
観劇代行アルバイト。
行く先々で奇妙な
出来事が起こり――
職場でハラスメントを受け
退職した岩居久澄は、
心に鬱屈を抱えながら
家事手伝いとして
日々を過ごしていた。
そんな彼女に観劇代行の
アルバイトが舞い込む。
祖母に感想を伝えるだけで
五千円くれるという。
歌舞伎、オペラ、演劇。
初めての体験に戸惑いながらも、
徐々に芝居の世界に魅了され、
心が晴れていく久澄だったが――。
私が行く芝居に必ず
「親切な老紳士」がいるのは、
なぜだろう?
感想・レビュー・書評
-
★4に限りなく近い
やっぱり近藤さんの小説は好きです!!
ピリッと痛むんだけど、痛すぎない。
ハッピーな結末になりつつあるも、明るすぎない。
でも希望を残してくれる。
そんなかんじ。
私も歌舞伎を観に行ったら、紳士に会えるでしょうか?
主人公は頭がキレますね。
ワンちゃん可愛くて癒やされる!!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
※
会社員生活に躓いて心身を壊し無職になり、
将来への不安を抱きながらも、なかなか
一歩目を踏み出すことができずにいる主人公。
祖母から歌舞伎のチケットを譲り受け、
初めての観劇に行ったことをきっかけに
少しずつ停滞していた時が進み始める。
新しいものや人との不思議なご縁に出会、
学生時代からの友達との関係性の再構築など、
これまで見えなかったことを見て感じ、
より深いところに触れることで変化していく
再生の物語だった気がします。
立ち止まっている時間も無駄じゃなくて、
いつか進み出せる時が訪れるのを待つことも
大切な一つの考え方なんだと教えてくれました。
-
薄い本でサクサクと読み進み、病院の待合や電車に乗っている間に1日で読了。
会社で受けたハラスメントからパニック障害になり、欝々として家事手伝いとして日々を過ごす久澄。そんな彼女に、歌舞伎を観て来て祖母に感想を伝えるだけで5,000円くれる、というアルバイトが舞い込む…といった発端。
心に傷を負った女性が立ち直っていく様子と、歌舞伎をはじめとした観劇への誘いと、劇場での奇妙な出来事の謎解きとその都度に顔を合わせる老紳士の存在が、うまいことミックスされて語られていたように思う。
久澄の鬱屈が晴れていく様もあまり重くならずに描かれているし、芝居を観るのは好きなので久澄がのめり込んでいくところはよく分かるが入門編といった体だし、謎解きはおまけみたいな感じで、良くも悪くもライトな読み応え。 -
歌舞伎の入門書としても良いかも。
ストプレ、ミュージカル、宝塚には行けるのに、歌舞伎はどこか敷居が高く尻込みしていたのだが…今年は行ってみようかなと思った。
自分も含め、日本人はどうしても完璧を求めてしまう傾向にあるのかなぁと。不完全であることを受け容れて、足りないものを補い合うのではどうしてダメなのだろう?補い合うのは何故異性のパートナーであるべきなのだろう?
近藤さんの描く世界は、謎解きと優しさが両立しているところが好きだなぁ… -
謎解き、人間関係、お芝居で、このお話はいろんな感情にしてくれる。
まさか怪紳士の正体に胸がときめくなんて。
全く興味のなかった歌舞伎に、今は夢中です。 -
職場でハラスメントを受け退職
家事手伝いをする日々を送る「久澄」
祖母の「しのぶ」から
歌舞伎などのチケットを貰って
観劇した感想を送るバイトを頼まれて引き受ける
行く芝居の隣には謎の紳士がいる
紳士の招待とは
芝居に魅せられる久澄に変化がおこる
読んでいて心が救われる
「好きなものがあることが
明日への活力です」(p271)
まさにそのとおり!!
色々悩みはあるけれど
読書は私の明日への活力です -
観劇が大好きなので、余計に楽しく読めた。
歌舞伎も久々に観たくなったし、オペラは観たことないので、今後挑戦してみたい。
劇場のあの独特な雰囲気、始まる前のワクワク感が好き。
主人公の久澄が観劇にハマっていく様がよくわかる。
そして久澄の繊細な心の描写もよくわかる。
無職で卑屈になり、焦る気持ち、将来の不安。
好きなものができたことで、少しずつ前向きになれる感じ。
立場は人それぞれで、幸せで充実してるように見えても、みんな抱えてるものがあって、分かり合えないこともあるけど、自分の気持ちを大切にしつつも、人を思いやれる、優しい気持ちを大切にしたい。
「誰かがあなたを責めようとして発することばは、自分が、いちばん言われたくないことばですよ」
心に刺さった言葉。覚えておきたい。 -
こっくりとした温かいココアのような優しさではなく、爽やかな梅シロップのような、足取りが軽くなる、前を向ける優しいお話でした。
歌舞伎はほとんど観たことがない。だけど、これは観てみたくなるぞ!と読みながら何度も思いました。
リ・スタートすることは、なかなか簡単じゃないと思うし、そのリ・スタートは続いていく。だけど、心のビタミンみたいなものや人との繋がりが、きっと続いていく日々にはとても大切なんだろうな。
-
みんな色んな事情があって、それぞれ頑張って生きているんだね
などなど思いながら読みました
傷ついた主人公が少しずつ自分のペースを取り戻して元気になっていくとこ好き
あたたかい読書感がよいです -
舞台が大好きなので手に取りました。
久澄が、歌舞伎を好きになって上向きになっていく様子を見て行くところがハッピーになれるんですが、久澄が感じていることは深く共感できるものばかりで、自分は紙一重で踏みとどまっているだけで、誰でもこんなこと起きそうではあるなぁと思ってしまいました。
堀口さんの「人が人を責める時は、自分が1番言われたくない言葉を放つ」というようなことを言ってたのがすごく印象深かったです。
誰かに向き合う時、自分は本当に相手を思っているのか、自分に向き合えているのか、一度立ち止まって考えなくちゃと思いました。
お母さんが、久澄に作ってもらったご飯を毎日美味しい美味しいと言って食べるのは自分も見習いたいです。当たり前だと思ってはいけませんね。