有栖川有栖選 必読!Selection8 結婚って何さ (徳間文庫)

  • 徳間書店 (2022年12月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (290ページ) / ISBN・EAN: 9784198948054

作品紹介・あらすじ

アウトロー女子×2 一か八かの逃避行
殺人って何さ?
アタシら絶対やってないっ!

<笹沢左保サスペンス100連発>第8弾は、多彩
なバラエティを誇る笹沢作品でも異色中の異色
ユーモアサスペンス「結婚って何さ」。
上司のイチャモンに衝動的に退職してしまった
非正規雇用のヤンチャな事務員コンビ真弓と
三枝子。自棄酒オールを決め込んだその夜、勢
いで謎の男とホテルにシケ込む。が、翌朝男は
密室状況で絞殺されていた……。
どんな逆境も逃げきれば正義! 生きづらさを
抱えた全ての女子に捧げる殺しの遁走曲(フー
ガ)。

トクマの特選!
イラスト 慧子

〈目次〉
Introduction 有栖川有栖
結婚って何さ
Closing 有栖川有栖

みんなの感想まとめ

非正規雇用のヤンチャな事務員コンビ、真弓と三枝子が繰り広げる逃避行を描いたユーモアサスペンス。上司のパワハラに怒り、衝動的に退職した彼女たちは、飲み明かした夜に出会った男と一夜を共にするが、翌朝その男...

感想・レビュー・書評

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  • 上司のパワハラに怒って退職した非正規雇用のヤンチャ事務員コンビ・真弓と三枝子。ヤケ酒に走ったその夜、バーで知り合った男と旅館へ泊まった。だが翌朝、その男が密室状態で絞殺されていて──。

    内鍵がかけられた離れは密室!状況はクロ!でも、自分たちは絶対に殺ってない!犯人扱いされるならと、一か八かの逃避行へ飛び出した女たちを描くユーモアサスペンス。主人公の真弓が魅力的。妥協じゃなくて、苦しんでも納得して生きていたい。真実を知るべく疾走し続ける彼女の姿はロックだ。

    「要するに、適当に生きる、ってのが、あたしは気に喰わないな」
    「正しい者が必ずその扱いを受けるとは限ってないわ。それ程、世の中を信用しちゃあいないもの」
    こんなセリフがどんどん飛び出してくるのがカッコいい。一緒に飛び出した三枝子のことを気遣いながらも、渦中へと飛び込んでいく思い切りの良さも最高。

    追われつつ無実の証明を探していたら、更なる事件へと巻き込まれていく展開がスリリング。密室や事件の仕掛け自体はシンプルと思いきや、それを解いてからが本番。タイトル「結婚って何さ」という難問がぶつかってくる!ミステリと結婚というテーマがマリアージュする終盤には唸るしかない!

    ぼくも結婚とか恋人という関係性にいろいろ考えることが多いけど、このセリフがスパッと断ち切ってくれて気持ちよかった。深い仲じゃないからできることもあるんだなと。
    「夫婦みたいに誤魔化し合ったり、嘘をついたりすることはないんだ。胸にあるものを吐き出して話し合えばいい。君の話に僕が耐えられなかったら、このまま別れりゃいいんだろう」

    まさかのアレが手がかりになってくるミステリは初めてだし、今後もおそらくないだろうなってところもよかった。真弓たちの逃避行のスピード感に煽られて、一日で読んでしまった!ぜひ駆け抜けるように読んでみてほしい一冊。

    p.106
    「大人達の方が割り切ってるな。あたし達には割り切れない。だから苦しむ。苦しむと大人達は無節操だとか非常識だとか非難するのよ」

    p.220
    「反抗だろう。真実を知ろうとしない人間に対する。不安と惰性の世の中に耐えろって言っても無駄だ。見ざる聞かざる言わざるは御免なんだ。何かが欲しい。結果だけが欲しいんじゃない。自分がうち込めるものが欲しいんだ。──ただそれだけさ」

  •  「ちょっとしたきっかけ」で会社を辞め、やけ酒を飲んでいた遠井真弓と疋田三枝子という二人の女性会社員が事件に巻き込まれる。
     バーで出会った男と一緒に高級ホテルに泊まるが、朝になるとその男が死んでいた。二人は逃走するが、この殺人は密室で行われていた。二人が犯人でないとすれば、密室内でどのように殺人が行われたのか。
     密室のトリックは、死体のすり替えだった。二人の女性と一緒にホテルに行った男が実は犯人であり、別の場所で殺害した死体を二人が風呂に入っている間に持ち込んでいた。
     物語全体のプロットは交換殺人。伴早苗は夫の伴幸太郎を、矢ノ倉文彦は妻の矢ノ倉涼子を、それぞれ殺害しようと考えていた。この二人はかつて同級生であったが、直接のつながりはない。交換殺人を計画するが、その関係を郵便局員である森川という男に見抜かれてしまう。ここで郵便法54条が重要な要素として登場する。この点には著者の郵政省保健局勤務という経歴が生かされている。
     郵便法54条に関する知識は読者にとって必須ではないが、郵便局員が職務中に2人の関係に気付く展開は興味深い。ただし、森川が伴早苗と矢ノ倉文彦の同級生という設定には、やや御都合主義的な印象を受ける。
     また、サスペンス要素として二人の女性の逃走劇が描かれるが、疋田三枝子が第1章で事故死し、その後新たに水木隆二という男性が物語に絡む。遠井真弓が東京から河口湖へ向かう途中で伴早苗と偶然出会い、さらに水木隆二とも偶然出会う展開は、やや不自然さを感じる。
     伴の家政婦が内情を詳細に話す描写も、時代背景を考えれば納得できるものの、御都合主義的に見える部分がある。
     タイトルである『結婚って何さ』につながる遠井真弓のキャラクターは、それなりに魅力的だと感じられる。
     総合的に見て、本格ミステリとしてテンポは良く、楽しめる部分は多い。しかし、御都合主義的な要素や深みの欠如が目立つため、評価は★3といったところだろう。

  • 使われる言葉そのものは古いけれど、文章が持つ疾走感は不変のものなんだなと。

  • たしかにタイトルからは予想もできないミステリでした。逃走サスペンスとしても面白かったです。

    時代を感じさせる部分はたしかにありましたが、わたしはそれを古さというよりはTVドラマを観ているような懐かしさを感じました。

  • 女子二人が酔っ払って男性と知り合って三人でホテルというか旅館というかに泊まって泥酔しつつ寝て起きたら男性が殺されていた、と。現場はあからさまな密室。このままでは犯人にされてしまうので逃走。
    オーソドックスな感じではありますが、1960年の作品なんですね。文体がいかにもそれっぽい感じ。これまでに何度もドラマ化もされてるんだそうで、とても人気があったんだろうなとは思いました。けどさすがに今読むとちょっと・・・まさかそのまんま交換殺人が真相とは逆に思わなかった。当時は画期的だったのだろうか?
    そして今回新装版のようで。あらすじもアウトロー女子二人が・・・とか書いてあって表紙もいかにもそれっぽいですが一人は速攻で退場するし、そういうミスリードみたいなのはちょっとずるいな、とw

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著者プロフィール

1930年生まれ。1960年、初長篇『招かれざる客』が第5回江戸川乱歩賞候補次席となり、本格的な小説家デビュー。 1961年『人喰い』で第14回日本探偵作家クラブ賞を受賞。 テレビドラマ化されて大ヒットした『木枯し紋次郎』シリーズの原作者として知られ、推理小説、サスペンス小説、恋愛論などのエッセイ他、歴史書等も著し、380冊近くもの著書がある。2002年、逝去。

「2023年 『有栖川有栖選 必読! Selection11 シェイクスピアの誘拐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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