アナベル・アノマリー (徳間文庫)

  • 徳間書店 (2022年12月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784198948092

作品紹介・あらすじ

少女禍。
彼女はただ存在するだけで、
すべてを変容させることが出来た。


伝説の超絶サイキックSF、再誕!



「序盤は情報量に圧倒されるだろうが、まずは
イメージの激流ともいうべき、超能力の見せる
異様な光景に溺れてほしい」
        ――伴名 練氏 解説より


 殺されたのはアナベルという名の少女。これ
で彼女は、通算一一度、殺されたことになる。
少女禍――。超絶的なサイキック能力を持つ彼
女の呪いは、死後なお、世界を覆う。
「SF Japan」掲載の中篇「獣のヴィーナ
ス」「魔女のピエタ」に、書下し新作二篇を加
えた、連作長篇SF。「二十年の時を超えて、
恐るべき超能力オデッセイが降誕した」と、解
説で伴名練氏が激賞!


目次
獣のヴィーナス
魔女のピエタ
姉妹のカノン
左腕のピルグリム
解説 伴名練

みんなの感想まとめ

テーマは、少女アナベルの持つ超絶的なサイキック能力が引き起こす壮絶な戦いとその背後にある冷酷な現実です。彼女は、存在するだけで世界を変容させる力を持ちながら、同時にその能力がもたらす恐怖と悲劇に翻弄さ...

感想・レビュー・書評

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  • 人為的にサイキックを産み出す「レンブラント・プロセス」が実用化された近未来。黒髪の美少女アナベルがそのプロセスを経て得た能力は、あらゆるものを「変容」させる能力だった。人体をネオン灯に、鋼鉄の扉を生きた鱏に、大伽藍を海水に変容させることができるアナベルの能力は、彼女自身にも制御できず、その破壊力に恐れをなした35人の科学者によってアナベルは撲殺される。うち30人が返り討ちで命を落とし、生き残ったのは僅か5人だった。
    しかし、最強にして最凶のサイキック・アナベルは、自らに関連する事物を依代にして何度も何度も蘇り、蘇るたびに世界を恐怖に陥れる。生き残った5人の科学者によって設立された対アナベル機関「ジェイコブス」は、アナベルに対抗しうるサイキック能力を持つ6人の障害者によるゲシュタルト「Six」を中心に、アナベルの掃討作戦に乗り出す・・・。

    いやー、これ、すごいもん読んじゃったなー。
    読了して巻を閉じた直後の、鴨の率直な感想です。

    全編これゲロゲロのぐっちょぐちょで、血と脂と呪いと報復の連鎖で、これ以上なく醜悪で、しかしながら寄って立つ理屈がちゃんとあって、だからこそ、これ以上なくスタイリッシュな世界観です。
    あらすじを紹介する限りではアナベルとSixの戦いがメインになるかと思いきや、アナベルもSixも、内面まで踏み込んだ描写はほぼありません。この作品で描かれるのは、アナベルとSixの戦いに「使い捨ての兵器」として投入され、生死の狭間で振り回される、凡庸なサイキックたちの生き様。この作品の世界観において、サイキックは単なる「工業製品」であり、ジェイコブスにとっては人間魚雷並みの消耗品です。そんな苛烈な世界観の中、消耗品として使役されるサイキックたちの闘い、そして思いが、この作品のメインテーマです。
    この冷徹さ、虚無感と言ったら・・・鴨的には、日本SF第一世代並みの「針の振り切れっぷり」を感じた次第です。

    そして、鴨的に一番印象的だったのは、ラストシーンの静謐さ。
    これだけ派手派手しい独特の世界観を容赦無く読者の眼前に繰り広げながら、SFとしてきっちりと筋を通し、意図せずして世界を呪う存在となってしまったアナベルの魂の救済を描きつつ、物語の落とし前を付けています。
    これは、神話ですね。寡作な作家さんだそうですが、他の作品も読んでみたいです!

  • いやはや、びっくりです。
    この時代にこんなにストレートなサイキックSFが読めるなんて!
    不勉強で存じませんでした。
    平井和正氏、光瀬龍氏、眉村卓氏を貪るように読んだ10代の頃の興奮を思い出しました。出版してくれてありがとうございます。

  • 世界を変容させる少女アナベルと、彼女を倒すために生み出された複合人格sixのサイキックバトル。
    ……が行われている世界で調査や後処理に駆り出される、捨て駒のような一般職員が主役で視点キャラクターの連作短編です。

    何度も蘇るアナベルが巻き起こす超常の災害が、グロテスクで恐ろしいのにどこか鮮やかで美しさを感じてしまう。
    むしろ彼女を生み出してしまった後も研究を続けて、生まれたサイキッカーを使い捨てにするようなジェイコブスという組織が恐ろしくなってしまうような……。

  • 「なめらかな世界と、その敵」の著者である伴名練さんの解説が載っている繋がりで読んでみました
    ・サイキックSFではありますが、超絶的なドラマのシチュエーションを表現するために「何か凄い超能力のせいだから!」と唐突に放り込んで来る&イメージをぶつけてくる作品のスタイルは「あ~何か似てるかも?」という感じです
    ・ストーリは、アナベルという少女の超能力とそれに対抗する超能力者達の対峙で進みます。少女自身は既に死んでおり、超能力だけが呪いのように世界に残って何かの切っ掛けで発現&災害を引き起こします。少女の超能力は、あらゆるものを宝石やらお菓子やら何やらに世界を勝手に変容していく不条理(アノマリー)なものであり、対峙する側も「防がないといけないから超能力者を使い潰しても良い&コラテラルダメージもしょうがないよね?」で吹っ飛ばす不条理さ(笑)。この不条理&超絶的な対峙がイメージとしてどんどん流し込まれて来るのにワクワク&溺れたい方は読んでみてはどうでしょうか

  • 天災や人災、わざわいは、人びとの生活におけるモノやメンタルを容赦なく打ち壊す。その修復や治癒は個人差はあれど時間と共に前進する。そこにアナロジーとして禁忌が流布される世界は萎縮へと向かい、人びとの思惑と逆行してしまう。この物語はアナベルに翻弄される集団ジェイコブスが管理するサイキック・氾雨天の能力 "過去の人の記憶に侵入する" 局面で高潮する。悔恨だけでは生きる気力を徐々に失っていくのだが、一縷の望み、そこに未来という道程を見付け出そうと懸命になる。逆行と前進、この相容れない時間の様態に引き込まれていく。すこぶる面白いよ。

  • 「獣のヴィーナス」★★★
    「魔女のピエタ」★★
    「姉妹のカノン」★★★
    「左腕のピルグリム」★★★

  • 35人の科学者に撲殺された少女アナベルの呪いは全世界に満ちていた。
    アナベルに関する12のアナロジーは封印されたが、それでも各地に異常事態は起こり続ける。

    連作短編。一作目と二作目は面白かった。後半はちょっと迷子になった。

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著者プロフィール

1971年、和歌山県和歌山市生まれ。龍谷大学文学部卒。『ドッグファイト』で第2回日本SF新人賞を受賞し、2001年、デビュー。その他の著書に『遺産の方舟』『THEビッグオー パラダイム・ノイズ』がある。

「2022年 『アナベル・アノマリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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