巨鳥の影 (徳間文庫)

  • 徳間書店 (2025年5月9日発売)
3.43
  • (3)
  • (9)
  • (13)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 116
感想 : 5
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784198950217

作品紹介・あらすじ

心の不思議にせまる長岡ミステリーの醍醐味! 窮地に陥った時、人は何をするのか?

ーー長岡弘樹が紡ぎ出す短編には、考え抜かれ、磨き上げられた短さのなかに奥深さがある。ーー宇田川拓也(ときわ書房本店)

生活のなかで、ふとした心の隙間に忍び込む殺意や悪意が、蟻や、鳥、魚、犬、プラナリアなど、さまざまな生物と絡んで事件が発生する。
のぞきや、泥棒、殺人など、犯罪の背後にあるドラマを描き、謎解きだけではないミステリーの魅力を放つ。
その根底には温かなまなざしと伏線のしかけがめぐらされている。心の揺れや、ゆがみが引き起こす犯罪&どんでん返しの妙を堪能する8篇の極上ミステリー。

仕事中の刑事が給油に立ち寄ったガソリンスタンドで、勤務していたのは外国人だった。そのとき、聞き慣れない鳥の鳴き声がした。ある盗難事件の捜査過程で、その外国人従業員の友人が浮かんだ。彼は逮捕されたが、違和感が残る。その後、真犯人が判明したが……。(「巨鳥の影」)

隣室のキャバ嬢の部屋にそっと忍び込む。ときどき鍵をかけ忘れると知っていた。内気な学生のペットは蟻だけ。柑橘系の彼女の香りを吸い込む。そのとき大きな地震が起き、彼女が戻ってきた。そして蟻を、自分もペットに借りたいと彼女が訪れて…。(「水無月の蟻」)他、ミステリ短編の醍醐味を堪能する6篇収録。

紀伊國屋書店 福岡本店 宗岡敦子氏から届いた本書の感想です。

どの物語も、日常で気がつかないような、
些細な出来事の中に、事件解決へのヒントが隠されていて、
とても驚きました!

人と生き物が、
絶妙なタイミングで交錯する事で生まれた、
違和感から導かれていくラストが、
とにかくすごすぎます!

その衝撃の結末に、
何度も震えました…!

やはり、長岡先生の物語は、
緻密で細やかなミステリの布石が打たれた、
一線を画す面白さだと、
改めて実感いたしました。

みんなの感想まとめ

日常の隙間に潜む心の揺れや悪意が、巧妙に絡み合ったミステリー短編集です。各短編は、些細な出来事から事件解決のヒントを見出し、読者を驚かせる仕掛けが施されています。物語の中で生き物たちが絶妙に絡むことで...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 長岡弘樹『巨鳥の影』徳間文庫。

    あの手この手で伏線を張り巡らし、結末を読んで思わず二度読みさせるようなミステリー短編の名手による8編収録の短編集。当然、当たりの短編もあれば、外れの短編もある。そういう意味で全てが当たりの短編だった『傍え聞き』は類稀なる傑作だったと言えよう。


    『巨鳥の影』。缶詰工場で発生した三百万円の盗難事件を巡るミステリー。記述されていることのどれもが伏線のようにも思える。聞き慣れない鳥の鳴き声、ギャンブル好きの先輩刑事の借金、携帯電話のブラインド・タッチ・メール。予想は半分当たり、半分外れた。なかなか見事なプロットである。

    『死んでもいい人なんて』。何という結末なのだろう。この短編も数々の伏線が張り巡らされているが、自分の推理の上を行く結末に驚いてしまった。小学校の女性教師の家に空き巣が侵入し、女性教師はゴルフクラブで殴り殺してしまう。空き巣の正体は女性教師の教え子の父親だったのだが……

    『水無月の蟻』。凡その予想は当たった。隣室のキャバ嬢の部屋に忍び込む大学生。内気な大学生はペットに大量の蟻を飼っていた。大学生がキャバ嬢の部屋に忍び込んだ時、大きな地震が起きて、2つの瓶が床に落ち、白い粉末を撒き散らした。大学生が白い粉を舐めてみると砂糖だった。

    『巻き添え』。つい最近も痛ましいことに、飛び降り自殺の巻き添え事件が実際に起きている。高校教師の娘が飛び降り自殺を図り、あろうことか高校教師の教え子の母親を巻き添えにしてしまう。娘は一命を取り止めたものの、教え子の母親は亡くなってしまう。結末は何となく解った。

    『鏡面の魚』。ストーリーは読めたし、トリックが少々チープ過ぎるように思う。付き合っていた若い看護婦に別れを告げた医師が密かに他の女性患者と付き合い始め、破滅の道を進む。

    『白いコウモリ』。そんなことがある訳ないだろうというような展開と結末。仕掛け自体は『鏡面の魚』と類似。ある病気で入院することになった小学生。母親は交通事故で死んでいるとも言えるし、生きているとも言える状態だった。

    『見えない牙』。これも凡その展開は読めた。ストーリーとしては然程面白くはない。母親とヒモ状態の義父はなかなか小学生の娘との距離を縮めることが出来ないでいた。ある日、娘が義父の携帯電話を手にして出掛けてしまう。

    『再生の日』。再生から連想するのはプラナリアである。作中のにもプラナリアの再生能力が描かれているが、それがどうストーリーと関わって来るのか。医学生で過激派に汲みした男がスポーツクラブのロッカーに入れた鞄を盗まれる。

    本体価格820円
    ★★★★



  • ミステリ短編集。

    ミステリーなんだけど、ちょっとひねりが効いていて、読んだあと心がすっと冷たくなるような。

    読みやすくあっという間に読めた。

  • 一人称でさまざまな視点から綴られる犯罪。鳥、魚、最後は人間の体がモチーフになって犯人の思いが明らかに。中には、子の真意を知って慄くことも。タイトルもダブルミーイングとなっていたりして、読み返したくなる短編集でした。

  • 八つの物語を集めた短篇集
    それぞれの最後のページを読み終えた時に
    なる程という思いだけでない何かが残っている。なに?これ

    四つ読んだところで
    何となく思い付いたのが
    物語の続きのイメージが浮かぶのだ
    それも複数
    ふーん。面白いじゃないですか☆☆

  • 長岡作品お得意の短編集
    良作ではあるが驚きはなかった感じ
    アベレージから抜けたものが読みたい

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1969年山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒業。2003年「真夏の車」で小説推理新人賞を受賞し、05年『陽だまりの偽り』でデビュー。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。13年刊行の『教場』は「週刊文春ミステリーベスト10」の1位、「本屋大賞」6位などベストセラーとなった。他の著書に『線の波紋』『波形の声』『群青のタンデム』がある。

「2022年 『殺人者の白い檻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長岡弘樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×