パブリックスクール-ロンドンの蜜月-【初回限定ペーパー付き】 (キャラ文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 66
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784199009808

感想・レビュー・書評

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  • 今回も素晴らしい内容だった。
    副題に「蜜月」とあるので、てっきり甘い話になるかと思っていた。しかし、個人的には今までのパブリックスクールシリーズの中で最も過酷な道のりであるとともに、重要なテーマを提示してくれた。
    アートとは何か?というのが今回の主なテーマだった。しかし、これはアートだけでなく、表現すること、世の中に自分を差し出すこと、すべてに通じる話だと思った。「自分が出したものが誰かの杖になるかもしれない」自分にとっては凡庸なものだと感じても、目の前の人に、世の中に出す勇気をくれる内容だった。

    また、忘れてはならないのは、やはりエドの高い洞察力と、深い愛である。頭が切れるだけでなく、自分の心を理解してるからこそ、他人がどのように感じ動く可能性があるのかが分かるのだと思う。礼が傷つくと分かっていても、黙って見守り頼ってくれるのを待つのは、とても過酷だったと思う。しかし、礼自身が決めて頼ってくれなければ、エドが先回りして、すべての障害物をその暴力的とも言える権力のもとに取り除くことを、この先もずっとやっていかねばならない。それはつまり、鳥かごに閉じ込めることと同様なのだと思う。大事なことは、エドの力を礼が理解し、礼の判断で頼ってくれること。それがあるからこそ、礼が自由に生きることを見守ることができる。そこまで見越しながら、礼に軽蔑されるかもしれない恐怖を抱え、しかしそれを礼には微塵も見せないエド…。その自制心の強さには本当に驚いたし、切なくなるし、正直心配になる。エドのそばに内情を吐露できるロードリーがいてくれて本当に良かったと思う。

    エドと礼は対等では無いかもしれないけど、礼の深い愛こそが、エドを支え守っているものであること、ギルが最後フォローしてたけど、まだ礼はしっかり腑に落ちてないのかな…と個人的には感じた。そこを誇りに思って堂々としている礼を見たいし、甘々な2人をもっと見たいので、是非樋口先生にはエド&礼の続編を期待しています。

  • 例により礼が(洒落でなく)イギリスでメタメタに打ちのめされる。逆転を信じていても罠にハマっていくのを見るのは辛い。しかし逆転が叶うともう…「多くの人を引き寄せるものを生み出す人間は、そのぶん、多くのものを失う気が、礼にはする。」で涙目。礼が在籍中のギャラリーに、世界中の作家からメールが届いたこと。礼の決断。アートとは、愛情とは、またもや深い感動をもらった。

  • パブリックスクールとタイトルにはあるけど、もう既に関係なくなってしまいましたね。
    日本には馴染みのない、持てるものと、持たざるものとの違い。その役割など、噛み砕いてよく分かる。
    貴族社会が脈々と生きているイギリス(そうなのかな?)で、エドと一緒に生きていくことを決意した礼は、その真意を問われる巻だった。
    また礼の仕事としての教示や、アートの考え方など、なかなか盛り沢山だった。
    また時間を置いて読んでみたい。

  • 星をいくつつけても足りないくらい、おもしろかったし、良かった…。

    ロンドンの蜜月、ということで、礼が日本を離れてエドと英国で暮らし始めるお話。
    蜜月だけれども、礼がエドと英国で生きていくということとは、っていう現実を目の当たりにして、それを苦しんだり傷つきながらももがいて受け止めていくっていう、礼とエドの本当の?あらたな?始まりのお話だったように思う。

    にしても、エドの愛は深いよ〜〜。
    エドといることで礼が傷ついて苦しむ姿に、自分もひどく苦しんで傷ついていて、でもそれを見せずにいる。冷静でいて、時には冷徹にもとれる言葉を口にしたりもするけど、密かに礼を助けるための準備をしたりと、どんな時も礼のことを想って愛しているエドを見てるとこっちもエドが愛おしくなってしまう。
    本を買った時にいただいたロードリー視点のペーパーを読んで、更に胸が苦しくなってしまった…。

    エドと対等になりたいという気持ちがあった礼だけど、様々な出来事を通して、エドとは対等はなれないという結論を礼が口にするシーンもいいシーンなんだけどもちょっと切なかった…。

    エドと礼はきっとこれからもいろいろあるだろうけれど、少しでも幸せな日が多いといいな……。

    そしてギルがまた優しくてかっこいいんだ……惚れてしまいそうだった…。

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