- Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
- / ISBN・EAN: 9784199050145
作品紹介・あらすじ
「元気で忍耐強い」そんな募集フレーズに引っかかったのが運の尽き。いまやおれ-イル・コンシーヴドは、辺境地区の郵便配達員。相棒はクラムジー。美の理想像のような完壁な肉体と、うっとうしい限りの性格を兼ねそなえたヒューマノイド。そして、デリカシーの欠落した男女可変タイプのセクサロイドでもあった。赤とうがらしのような郵便艇を駆って、空間を超え、時間を超え、どんなものでも、どこへでも、かならず運ぶ銀河郵便。破天荒なトラブルがいっぱいの、スペース・コメディー第1弾。
感想・レビュー・書評
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銀河の運送屋、という職業は他にあったと記憶しているが、確かに郵便屋というのはなかったかもしれない。
いや、厳密に言うと、ノートンの『太陽の女王号』シリーズ未訳の中編は、主人公たちが郵便船業務を請け負うというものなのだが、まあこれは、本業じゃあないからねえ。
しかし、本作のキモはそこではなくて、人間(男)、セクサロイド(男だけど女にもなる)、船の人工知能(女)の三角関係にあると言える。
主人公のイルは、ノーマルの男なのだが、超絶美貌の相棒、セクサロイドのクラムジーにだんだんと惹かれていってしまう。
一方、何もかも完璧っ、にみえるクラムジーは色々とトラウマなどを抱えているし、実のところイルにぞっこん、らしい。
ところがイルは、自分がクラムジーのような存在に惚れられるほどの男だなどという自信はこれっぽっちもないうえ、ノーマルなのに男であるクラムジーに惹かれている。女であるクラムジーにもくらくらするけど、どうも恋している相手は「男の」クラムジーらしい、と気付いてうだうだするというのが物語の勘所。
勿論、SF的な仕掛けはそこかしこにあるし、センス・オブ・ワンダーにも溢れているけれど、まあ、銀河をまたにかけた壮大な三角関係の物語、だと思うのだ。
このクラムジー、普段は常に男の姿で、精神的ショックを受けたりするといきなり女になってしまうという癖がある。作者はあとがきで、トランスジェンダーにとても惹かれてきた、と述べているが、どうもクラムジーの言動を見ていると、女になっちゃう事がある男(女性的な部分のある男)というより、むしろ、普段は男のようにふるまっている男まさりの女に近いのではないかという気がする。強いし美しいし、アンドロイドだから当然知識量なども凄いのだけど、実はとてもいじらしいのだ。生活能力はないけど、クラムジーは尽くすタイプなんですね。そこが魅力的。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イルとクラムジーもそうだけど、どうも片一方に生活力がなくて、放っておいても生きているだろうけど、何故か居候&同居をしてしまう、と言う展開が物凄く好き。恋愛関係にはなくても放っておけない気持ちを持っている、と言う辺り。ビッグマザーたちの、豪雪の中をマルチーズ型宇宙人に脅されて行軍するこの下り、凄い好きだ。クラムがイルに「リタイアする?」って聞いて、思わずすっとこうしていたいとイルが呟いた声を、聴音域広げてたクラムに聴かれているという描写と、イルを軽々と抱えて力強く歩き続けるクラムの様と…萌え!
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題名に惹かれて図書館で予約して借りてみたら表紙が少女漫画で恥ずかしかった。
中身は表紙ほどではなく世界観は楽しめた。
けど、登場人物にのめり込むまで魅力を感じなかった…。 -
昔本屋で軽く立ち読みして、ちょっと気になっていた作品が復活…と思ったら表紙が様変わりしていて軽く顎を外した一品。
正直レジに持っていくのが恥ずかしかった。
中身は昔読んだままで安心でしたが。
内容的にはあんま深く考えなくて良いものなので、さほど目立った感想はなし。
イルの可哀相っぷりを愛でつつクラムジー可愛いする本、で間違ってないはず。
うーん、でもやっぱり天野喜孝氏の表紙のが良かったな…… -
借本。
表紙に主人公達が描かれているけど、
花を背負ってるのでBL本かと疑った位(笑)
アンドロイドが男になったり女になったりするし、
主人公よりアンドロイドの方が目立つわで、ちょっとこれは面白い本でした。