水子 〈中絶〉をめぐる日本文化の底流

  • 青木書店 (2006年2月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784250206023

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  • 日本における「水子」という概念について、現在の日本で「水子」がどう扱われているか、歴史上の記録や人口増減から推測する庶民と為政者との間の経済概念の差違、日本宗教史上の論争などを追った一冊。

    キリスト教国内で中絶や堕胎などを巡って見られるプロチョイスv.プロライフの論争にしばしば言及し、日本国内の情勢に留まらないところもまた魅力か。

  • 日本最大級のペット霊園、慈恵院。
    その一角に、水子地蔵が所狭しと並ぶ棚がある。風が吹くと、水子地蔵が持つ風車が、カタカタカタと一斉に鳴る。

    「御仏の母なる胸に抱かれよ
    このうつし世に幸薄き子らよ」

    水子を祀る絵馬に刻まれた文字。
    子に罪はない。

    あるお寺で見た、絵馬に書かれた言葉。

    「産んであげることが出来なくてごめんなさい」

    「お父さんお母さんの身勝手で生まれてくることができず、苦しい思いをさせてごめんなさい」

    「なんで反対しても産んであげられなかったのか」

    そこには悔恨の言葉が並ぶ。
    その一方で、こんな言葉も。

    「こんな私がもう一度お母さんになりたいと願うことをどうか許してください。応援してくれたら嬉しいな」

    「生まれてくることができなかったあなたの分まで○○を大切にしていきます」

    これを読んで違和感があった。
    自らの罪を謝罪する場に次なる子への希望を書くなんて。

    そんな違和感に対する答えが本書にあった。
    水子供養は自己満足であり、それによって、罪の意識を和らげる効果がある。
    「自らの行為に対して何かしなければ」という思いからの行動であると。

    末尾の解説の言葉を借りれば、「西洋の罪観念との対比のなかで、供養のもつ罪意識と癒し効果」について分析されている。

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著者プロフィール

森下直貴

1953年生まれ。東京大学文学部卒、同大学院人文科学研究科(博士課程)単位取得退学。著書に『生命と科学技術の倫理学』(共著、丸善出版、2016年)、『シスム倫理学的思考』(幻冬舎メディアコンサルティング、2020年)など。

「2020年 『「生きるに値しない命」とは誰のことか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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